公務員制度改革問題

※平成十四年の通常国会に法案を提出する方針。夏の参院選前に法案処理、とりまとめに全力をあげる方針。
※国家公務員法と地方公務員法を廃止して共通の新公務員法制定を目指す
※市町村合併を促進し現在約三千二百ある市町村を千にする
※年功序列的な人事制度、給与体系をやめ、民間企業と同様、実力主義の人事制度、賃金体系へ転換する。実績が伴わない職員は自動的に降格や報酬ダウンを実施。

※国立病院や地方自治体病院などの技術職の公務員はどうなる?

産経新聞2001年1月9日

実力主義を導入
政府・自民大枠固める 一部に労働三権付与
公務員改革

 行政改革の焦点の一つ、公務員制度改革の骨格が八日までに明らかになった。@公務員の特権的な身分保障の廃止A人事・組織管理の抜本見直し−−を柱に、国家公務員法と地方公務員法を廃止して共通の新公務員法制定を目指すほか、警察などを除き、団体行動権(スト権)などいわゆる労働三権を認めている。また、年功序列的な人事制度、給与体系をやめ、民間企業と同様、実力主義の人事制度、賃金体系へ転換するのも特徴。政府・自民党は六月までに「基本設計」(森喜朗首相)をとりまとめ、平成十四年の通常国会に法案を提出する方針だ。(3面に関連記事)


 公務員制度改革の骨格は、自民党行政改革推進本部(野中広務本部長)が基本的な対処方針(大枠)としてまとめた。すでに野中氏と政府側の責任者である橋本龍太郎行革担当相との間で大筋一致している。


 防衛、警察、海上保安庁、監獄、消防を担当する公務員には引き続き身分保障を与え、団結権、団体交渉権、団体行動権の労働三権を付与しないが、その他の事務担当の公務員は労働三権を保障し、民間と同一との法令を適用。そのために国と地方共通の新公務員法を制定する。


 年金に関しては、公的年金制度一元化の動きを踏まえ、共済年金の厚生年金への統合を検討。


 人事・組織管理の抜本見直しでは、企画部門と実施部門の分離を図るため、管理職昇任時にT・U・V種、事務職、技術職といった現行の職種区分けを無くし、「企画管理職」と「実施管理職」の二区分に。企画管理職の給与は年俸制とし、各ポストごとに年俸水準を固定化せず、総枠の範囲内で各省が柔軟・機動的に設定する一方、実績が伴わない職員は自動的に降格や報酬ダウンを実施。企画管理職の一定数を外部登用とし、公募制とする。


 首相と大臣は五人の補佐官を任用可能とし、公務員試験の結果を点数制とするほか、受験可能年齢の制限を撤廃、年二回受験の実施などを検討する。

特殊法人整理、公務員制度改革……
“野中行革”本格始動
官僚の抵抗どうかわす

 自民党行政改革推進本部(野中広務本部長)は今月中旬から、特殊法人の整理、公務員制度改革など、行政改革具体化への取り組みを本格化させる。野中本部長は、橋本龍太郎行革・沖縄北方担当相と協議し、政府・自民党が一体となって夏の参院選前に法案処理、とりまとめに全力をあげる方針を確認している。しかし、行革は官僚の抵抗で骨抜きにされ、挫折を繰り返してきた歴史があるだけにどこまで切り込めるか、“野中行革"の手腕が問われそうだ。

参議院選にらみ中旬から

 党行革本部では、今後の具体的検討課題として

1)役員給与・退職金の適正化、特殊法人の「わたり」(再々就職)の抑制

2)抜本的な公務員制度の改革−などに取りむ。

このうち公務員制度改革では政府側との間ですでに基本的な対処方針(大枠)を固めており、国・地方共通の新公務員法制定、特権的身分保障の廃止、能力・実績主義に基づく信賞必罰の人事制度の原則明確化などを抜本的に検討していく。


 参院選で行革に取り組む姿勢をアピールするためにも六月までに「基本設計」(森喜朗首相)をとりまとめる。しかし、これらの内容はいずれも「役人にはかなり刺激的な内容」(自民党中堅)とされ、どこまで打ち出せるか未知数だ。


 特殊法人改革も大きな柱。特定の事業推進のため法律により設立され運営は国が全責任を負う特殊法人は現在七十八ある。政府の行政改革大網では平成十七年度末までの五年間を「集中改革期間」と位置づけ十三年度中に廃止などの「整理合理化計画」を策定、遅くとも五年以内に必要な措置をとるとしている。


 ただ特殊法人や省庁の認可によって設立される公益法人が、中央省庁幹部の有力な天下り先となっている現実もあり、整理・廃止に官僚側の抵抗は必至。自民党内からも「行革を本気でやろうとすれぱ官僚の“宮廷革命”が起きる」(閣僚経験者)と難しさを指摘する声がある。


 特殊法人をめぐっては会計・経理が複雑だったり不透明なことも“無駄遣い”の温床になっているのではないか、との指摘がある。党行革推進本部では昨年八月から、公認会計士や大学教授などからなる勉強会を開催、検討を進めてきた。今後、情報公開法の対象外となっている特殊法人を含め各省庁予算の事業ごとの人件費を明示した会計貸借対照表を作成し公開する方向で議論を進める。


 これまで「事業ごとに実際いくら人件費がかかったか分かりづらい」(自民党幹部)という批判があったことを考慮。民間会社が実施しているのと同様に、個別事業にかかる人件費や物件費を示した貸借対照表を公認会計士に作成してもらうなどして国民に開示し、人件費抑制にもつなげたい考え。


 同時に国家公務員の定員に含まれていない特殊法人の職員も定員に含める方向で検討する。国家公務員の実質的な削減に役立てたい意向だ。地方分権の観点から、市町村合併を促進し現在約三千二百ある市町村を千にするための合併推進策にも取り組む。


 ただ個別課題の具体的検討が進むにつれ、省庁側のあの手この手の抵抗は必至。野党側からは「参院選の支持を得るため、役所や業界のネジをまくいつもの自民党の手法ではないか」(民主党中堅)との見方もあり、“野中行革”がどこまでメスを入れ、成果を出せるか注目される。

◇主要テーマと今後の取り組み方針◇
【公務員制度改革】
 年功序列の昇進体制を改め、能力・実績主義に基づく信賞必罰の人事制度の原則を明確化(行革大綱)。自民党行革本部では国家公務員法、地方公務員法を廃止し、国・地方共通の新公務員法の制定などを盛り込んだ制度改革案をまとめ、今後順次法制化かへ。


【特殊法人改革】
 役員給与や退職金制度の適正化、特殊法人の「わたり」(再々就職)の抑制を提言(行革大綱)。自民党行革本部では、国家公務員定数に入っていない特殊法人職員を国家公務員定数の対象内にする方針で、公務員の実質的削減を行う。


【公会計の見直し】
 特殊法人等情報公開法案を次期通常国会に提出する(行革大綱)。自民党行革本部では各省庁予算の事業ごとの人件費を明示した会計貸借対照表を作成する。


【規制改革推進】
 IT(情報技術)、医療・福祉、雇用・労働、教育、環境、競争政策、民事・刑事の基本法制の分野で積極的に規制緩和を促進する(行革大綱)。


【地方分権の推進】
 与党行財政改革推進協議会における「市町村合併後の自治体数を1000を目標とする」との方針を踏まえ、自主的な市町村合併を積極的に推進する(行革大綱)。


【行政評価システムの導入】
 府省(省庁)の政策評価の指針となるガイドラインを平成13年1月に決定し、公表する(行革大綱)。
2002/07/10 06:02:47;51460;f6876db868v;RETR;ok;/htdocs/archive/news/roudou/koumuinseido.html