<asahi.com2001年5月20日>
精神医学と神経学の医師、研究者らでつくる日本精神神経学会(理事長・佐藤光源東北福祉大大
学院教授)は、心の病に対する社会的偏見の解消を目指した運動に重点的に取り組んでいくことを
決めた。すでに佐藤理事長を委員長とする特別委員会を設置し、厚生労働省に対して研究費補助金
を申請。差別・偏見解消のための具体的な「行動計画」を作成するほか、行政、家族会、精神保
健・福祉の関係団体とも連携する方針だ。
96年から「精神分裂病に対する偏見、差別と戦う世界的プログラム」を実施するなど啓発活動
を続けている「世界精神医学会」の12回大会(約150カ国から12000人が参加予定)が来
年8月に横浜で開かれることから、これに合わせて日本の学会として初めて、「脱・偏見」の運動
に取り組むことになった。
具体的な取り組みは(1)専門家、行政関係者、当事者、家族団体、一般の市民を対象にした大
規模な意識調査を行う(2)行政やボランティアが精神障害者の社会復帰に積極的な地域とそうで
ない地域とで、市民の意識の違いを明らかにする(3)全国の精神病院や精神障害者福祉施設を対
象としたアンケートを実施し、施設開設をめぐる地域住民とのトラブルの実態、理解を得られるま
での経緯を詳細に分析する(4)「精神分裂病」という病名の告知が、患者本人や家族に与える影
響を追跡調査し、病名変更の必要性、告知のあり方を明らかにする――としている。
調査、研究は3年計画。最終的には、市町村や保健所などが地域で実施できる具体的な提言をま
とめることにしている。また同学会は、行政や関係団体などと協力し、心の病とはどういうものか
▽治療法はどこまで進んでいるのか▽精神障害者の社会参加がなぜ必要なのか――などを地域住民
に訴える活動を展開していくとしている。
同学会の佐藤理事長は「精神病に対する『治らない』『危険な病だ』という社会的な偏見が、患
者の治療を妨げ、社会復帰を難しくしている。こうした現状を21世紀にまでずるずると持ち越し
ていてはならない。まずは、精神病、精神障害に対する正しい知識を広く普及させることが学会の
使命だと考えている」と話している。
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