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児童多数殺傷事件の報道における精神科医の関わりについての要望
<2001年6月29日>社団法人日本精神神経学会 理事長 佐藤 光源 様
(財)全国精神障害者家族会連合会 理事長 古 屋 治 男
貴学会におかれては、日頃、本会に対してご懇篤なご支援をいただき、深く感謝してります。
さて多忙中まことに恐れ入りますが、このたび頭書のことについて、本会として要望を申し上げたく、以下に要点を記させていただきました。報道に関与する精神科医の倫理規程制定などに向けて、格別のご配慮いただければ誠に光栄に存じます。以下続きはこちらへ→全家連から精神神経学会への要望書
「タブロイド精神科医」と呼ばれる人たちの問題発言に対して、日本精神神経学会からの改善策を求めるもので、主に精神科医の倫理規程を策定するよう要望する内容になっています。
<2001年6月18日>
(財)全国精神障害者家族会連合会
今回の事件はあまりにも痛ましく、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。あわせて、被害に遭われた方々の一日も早いご回復を願っておりますとともに、被害者・ご家族が負われた「心の傷」の深さはいかばかりかと、お察し申し上げております。
今回の事件は、事態があまりにも悲惨かつ衝撃的であるために、マスコミもできるだけ多くの情報を国民に提供しようと、さまざまな角度からの報道がされています。そうしたなかで、犯人の入・通院歴や病名が重要な要因であるかのように報じられ、「精神障害者の犯罪」という図式が形成されてしまいました。しかし、事件と病気・障害の関係性が明らかになっていない段階でこうした報道をすることに、私たちは強い懸念を表明します。
犯人については、当初「精神安定剤依存症」、「精神分裂病」あるいは「妄想性人格障害」と報じられ、その後、「犯人は精神障害を装っていた」とも報じられています。こうした安易な報道によって、「精神障害者は危険だ」という社会の偏見がより強くなりました。そのため全国に200万人以上いる精神障害をもつ本人、そしてその家族は本当に身の縮む思いをしています。本会には毎日、本人・家族から「近所の人から危険な人と思われているかと思うと、暗い気持ちになり、外に出られない」「落ち込んで、どうしてよいのかわからない」「子供の具合が悪くなるので、テレビも新聞も見せられない」という電話、手紙が次々に寄せられています。今回の報道によって、精神障害をもつ本人・家族たちも困惑し、大きな「心の傷」を負っています。これは「報道被害」であるといっても過言ではありません。以下の続きはこちらへ→全家連の声明<2001年6月18日>
参考:大教大池田小児童殺傷事件の報道について<2001年6月8日>
以下は、記者の言葉です。
「 何も容疑者を擁護しているのではなく、真実と深淵を追究しているだけですが、
こういう記事が大阪の夕刊にしか載らず、載ってもさほど扱いが良くないのす。」
大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件で、宅間守容疑者(37)は数年前まで、自分の性格や粗暴な行動に問題があることを自覚して悩み、病院の精神科や心理相談機関に通っていたことが十九日わかった。当時は「薬よりカウンセリングを受けたい」と援助を求めていた。凶行に至る心の軌跡を探るうえで重要な手がかりで、苦悩の段階で安定した関係を築けなかった地域精神医療のあり方も問われそうだ。
関係者の話を総合すると、宅間容疑者は高校中退後の十七歳の時に自殺未遂をして以来、兵庫県や大阪府の精神科病院などに入院や通院を繰り返していた。
事件やトラブルを起こし、警察の紹介で受診したケースのほか、自ら受診したことも多く、訪れた医療機関は七か所を超す。
一九九三年には、カウンセリング機関に数回通い、「職場に適応できない」と対人関係の悩みを相談。
翌年、外来受診した精神科病院では「小さなことにこだわり、過激な行動に走ってしまう。自意識が強すぎ、他人の態度にすぐ腹が立つ」「被害的な気持ちになり、突発的行動をとってしまう」などと打ち明け、投薬ではなくカウンセリングを希望していた。
「自分を抑えているのは理性ではなく、職を失いたくない打算だ」という言葉もあり、高校時代のノートに書いたのと同様、自分の性格について、それなりに真剣に悩んでいたらしい。
しかし、どの医療機関でも通院は断続的で、同じ時期に複数の病院にかかっていたこともあった。
九九年三月には勤務先の兵庫県伊丹市の小学校で精神安定剤をお茶に混入。精神障害との判断で起訴されず、兵庫県の民間病院に措置入院になったが、退院後、元の病院に通いつつ他の病院も受診。この段階では、「眠れないので薬がほしい」と精神安定剤を求める傾向が強かったという。
大阪府警も、こうした過去の受診歴を把握。伊丹事件の後は、精神障害を逆に利用するような言動が目立ち、今回の事件で逮捕時も重い病状を装ったと供述しており、精神状態がどのように変遷したのか、慎重に分析を進めている模様だ。
精神科七者懇談会 <2001年6月29日>
- 国立精神療養所院長協議会 会長 白倉克之
精神医学講座担当者会議 代表世話人 山内俊雄
全国自治体病院協議会 会長 小山田惠
日本精神神経科診療所協会 会長 三浦勇夫
日本精神神経学会 理事長 佐藤光源
日本精神病院協会 会長 仙波恒雄
日本総合病院精神医学会 理事長 黒澤 尚緊急声明はこちらへ→精神科七者懇談会の声明
関連記事→<毎日新聞2001年6月30日>
以前紹介した「精神医療をよくする市民ネットワーク」のメーリングリストで流された京都精神障害者の人権を守る会の呼びかけの「緊急共同抗議声明」です。転載させていただきます。
************************************************************** 私たち「守る会」では、現段階で確認できたいくつかの団体と共に、6月18日付けで「緊急共同抗議声明」を発表しました。京都府下、京都市内の共同作業所、医療機関、当事者団体、家族会を中心に京都以外にもできる限り多く送付しました。
************************************************************** 6月8日、I小学校で起こった児童が8人も殺害され、他に15人の重軽症者を出すという凶悪殺傷事件に対して、被害者のみなさん、そのご家族の方たちの悲しみは言葉に言い表わすことのできないものであると察します。私たちもこの事件を決して容認できるものでありません。
しかし、この事件の容疑者が以前に犯罪を犯しながら、刑法上の実刑を受けることなく、精神病という理由で措置入院し、今回も犯罪を実行する前に、精神安定剤を多量に服用して実行したというような、供述が公表されるや、マスコミの報道は彼の病歴、即ち、精神分裂病と精神安定剤の多量の服用がこの凶悪な犯罪と深く関わっているかのように一斉に報じました。しかし、数日後、容疑者が精神障害者を装っていたとか、犯行前に多量の薬は飲んでいなかったというように報道内容が変化しました。事件が精神障害者、精神科治療の薬を結びつけて報道されたことによって多くの精神障害者に大きな動揺をもたらしました。それだけでなく、一般市民の意識に精神障害者への差別と偏見を助長させてしまったことは事実であり、軽率な報道によりいわれのない苦悩を増大させられた多くの精神障害者に対して各報道関係者はその責任を認識しなければならないと思います。以下続きはこちらで→緊急共同抗議声明
重大犯罪行為の精神障害者処遇
- 重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇問題で、政府・与党が犯罪の再発防 止、精神障害者の人権擁護の観点から制定を目指している新法の試案が28 日、明らかになった。精神病院への強制入院、退院の判断などに司法関係者らが関与する「準司法手続き」を採用するほか、専門家の育成、治療法の研究・ 開発のための「司法精神医療研究所」を新設する。政府・与党は年内にも法案づくりに着手する方針だ。
- 日本では、重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇に関する専門家がひと握りの精神科医に限られているのが実情。治療法も薬物投与が中心で、個別患者によって異なる症状に十分対応できていないとの指摘もある。このため政府・ 与党は、司法精神医療研究所設置を盛り込んだ。
- 試案の対象犯罪は、殺人、放火、傷害、傷害致死、強姦(ごうかん)、強盗の六つ。これらの犯罪行為をした精神障害者が不起訴や無罪となった場合、裁判官(OBを含む)をトップに精神科医、弁護士、心理カウンセラーらで構成する新設の「司法精神医療審判所」(仮称)が、専門治療施設である司法精神病棟への強制入院について決定する。
- 強制入院の必要がないと判断された場合は、訓練命令、服薬命令に基づき、社会復帰訓練施設に入所する。また、強制入院後、審判所が治療が進んだと判断すれば、司法精神病棟からの退院の決定を下し、訓練施設に移す仕組みになっている。
- 審判所の審査は、精神障害者、犯罪被害者双方の関係者が傍聴できるようになる見通し。訓練施設は「通院型」が想定されており、精神科医、精神保健福祉士、保護観察官が協力して支援する体制を整えるなどアフターケアを充実させる。
- 司法精神病棟の名称は、法務、厚生労働両省で「特定精神病院」案が出ているが、政府・与党に「イメージが悪い」との異論があり、今後の検討課題になりそうだ。
関連記事→司法精神医療審判所を 坂口厚労相 <2001年6月29日朝日新聞>
無罪・不起訴の精神障害者、治療研究へ専門施設 <2001年6月29日読売>
これは保安処分そのものではありませんか
政府の総合規制改革会議は29日、雇用契約に関する規制を大幅に緩和する方針を固めた。
終身雇用を前提にした制度を転換する。構造改革に伴って大量の失業者が出ることに備え、新しい産業分野で雇用を拡大するのが狙いだ。これまで新商品を開発する研究者など一部の専門 職にのみ認められている期間3年の雇用契約の対象を為替ディーラーなどにも広げ、期間も最長5年に延長。派遣労働者の派遣期間を1年から3年に延長することなどを検討する。7月の中間とりまとめに盛り込む。有期雇用や派遣労働はこれまで、一般の従業員の雇用を守ると同時に待遇が不安定な労働者の増加を防ぐ観点から、対象業務や契約期間が制限されていた。正社員は判例によって解雇が厳しく制限されているため、企業は正社員の採用に消極的だとされ、雇用の不安定化を防ぐための規制が企業にとっては使い勝手の悪さにつながると指摘されていた。
さらに、小泉内閣が表明している不良債権処理を徹底的に進めることで、失業者が大量に発生する可能性がある。この受け皿をつくるため、経営が軌道に乗る前のベンチャー企業などでも積極的に労働者を受け入れられるような制度の整備を求める意見も強まり、小泉純一郎首相は有期雇用の対象拡大などを検討するよう厚生労働省に指示していた。
ただ、今回の規制緩和案のうち、労働者派遣事業の派遣期間の見直しをめぐっては、99年に施行された改正労働者派遣法で再検討は「3年後」に先送りされている。前倒しで規定を見直すことになれば「派遣契約の明確化や労働者保護の実施状況を見た上で当初のスケジュールに沿って見直すべきだ」と主張している連合など労働団体の反発が予想される。 旧労働省の調査によると、99年度の派遣労働者数は約107万人で、前年より19.3%増えている。
中間とりまとめにはこのほか、
(1)中高年層の再就職を促進するため、募集に当たって雇 用者が年齢制限を設けないよう徹底するとともに、年齢要件をつける場合には理由を明らかにするよう義務づける
(2)新たな業務に対応するために専門学校などに通う資金を奨学金として貸し出す制度を設ける、などが盛り込まれる方向だ。
<2001年6月24日>
(社)日本精神神経学会
精神医療と法に関する委員会
委員長 富田 三樹生小泉首相は、精神障害者で重大な犯罪を犯した者に対する施策に関して、保安処分も含めて検討すると言明し、従来の議論を乗り越える意志を表明した。また、新聞報道等によれば、特別立法により、特定病院を作り、刑事と精神科医療のはざまの精神障害者を収容する方向で法務省、厚生労働省が合意し、その実現にむけて動き出していると伝えている。しかし、精神科医療においても、刑事法制においても根本的な欠陥があり、そのなかで、「間」の施設をつくることでは矛盾はさらに深まるのみなのは明らかで、容認出来ない。
<2001年6月18日>
日本精神保健福祉士協会
会長 門屋 充郎
- このたびの大阪の校内児童殺傷事件で、不幸にして亡くなられた児童のご冥福と、被害に遭われれた方々及びご家族の1日も早い回復を心よりお祈り申し上げたい。今後、すでに派遣されているメンタルサポートチームを中心として、事件現場に居合わせた児童を含めた被害者に対するアフターケア-体制が万全に敷かれることを強く求めたい。
事件は未だ捜査段階であり、事実関係は明らかではない。しかし、容疑者の精神科治療歴等が報道され、社会的な反響が大きく広がっていることから、本協会としての事件に関する当面の見解を表明する。以下の続きはこちらに→日本精神保健福祉士協会 の声明
<2001年6月28日>
山本深雪(NPO大阪精神医療人権センター事務局長)
- 池田小学校事件の痛ましい結果については心よりお悔やみ申し上げる以外ありません。
- 事件直後から報道の洪水の中、精神障害者全員が無関係にも関わらず、日々脅かされ、まるで精神障害者であることが悪い事であるかの様な裁かれる心境に追いやられました。
6月26日には「法務厚生労働両省は重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇について、各都道府県に司法精神医療審判所、特定精神病院を新設する方針を協議している」との報道がなされました。
約300万人の精神障害者の人権に関わる問題であるにもかかわらず、慎重な論議を抜きにして、政府は急激な展開を強行しようとしている事に大きな危惧の念を抱いています。- (6月28日衆議院第二議院会館での「検証 刑法改正保安処分」緊急集会用のメッセ−ジです)
- 以下の続きはこちらに→メッセ−ジ
<読売新聞2001年6月29日>
厚生労働省は28日、医療の最前線で週100時間もの激務をこなしている研修医を「労働者」と認め、労働基準法を適用する方針を固めた。これまで研修医の立場はあいまいで、労働時間が法定基準を大きく上回る現状が放置されていた。今年4月には、急死した研修医(当時26歳)の労務管理に問題があったとして、関西医科大(大阪府)の前学長らが労働基準法違反で書類送検されたことを受け、同省は今後、悪質とみられるケースの是正に乗り出す。
詳しくはこちら→Yomiuri-On-Line
<産経新聞 夕刊 2001年6月27日>
- 犯罪が増え、大阪の校内児童殺傷事件や電車内での傷害致死事件など、身近で安全なはずの場所で重大犯罪が繰り返される危機的な状況にあるとして、政府は二十七日までに内閣に官房長官を本部長とする「治安問題連絡推進本部」を新設し、効果的な犯罪対策を進める方針を固めた。
- 法務省と警察庁中心の本部体制などを詰め、二十九日に閣議決定する。年間の犯罪通報件数が三百万件に迫る中、とりわけ外国人、少年、ハイテク、触法精神障害者の各犯罪対策が課題となる。
- 詳しくは→産経新聞6月27日の夕刊をクリック
- ・推進本部は「国民にとって真に安心して生活できる社会の実現が危ぶまれる実情」との認識を基礎に新設。
- ・メンバー:官房長官、政務の官房副長官二人、国家公安委員長、内閣府副大臣、法務、外務、財務、文部科学、厚生労働、経済産業、国土交通各副大臣と警察庁次長の計十三人。
- 犯罪対策:
- (1)警察の摘発率を上げる
- (2)刑罰の在り方を見直す
- (3)犯罪の悪質・巧妙化に対抗する新しい法律を制定する−などを検討。
- ▽外国人犯罪を防ぐための不法入国対策▽非行につながる少年の問題行動への学校、地域も含めた対策
- ▽国際組織犯罪の批准と国内法整備▽ハイテク捜査の強化
- ▽重大事件を起こした精神障害者の処遇見直し−など、対策が急務。
- 犯罪白書:平成十一年の
- 通報件数:約二百九十万四千件(交通事故の業務上過失致死傷事件を除くと、約二百十六万五千件)
- 摘発件数:約百四十六万九千件(同約七十三万千件)。
- 摘発率は50・6%(同33・8%)にとどまっている。
- 殺人、強盗、放火、婦女暴行などの重要犯罪は七年以降、年々増加。昨年は前年より三千件近く増えて約一万八千件。
- 精神障害者の容疑者:放火の14・4%、殺人の9・4%。
- 外国人犯罪:(昨年約三万件)十年前の約三倍。(十一年の統計)
http://www.sankei.co.jp/databox/paper/0106/27/paper/today/itimen/27iti001.htm
<産経新聞 朝刊 2001年6月27日>
- 政府・自民党は二十六日、大阪の校内児童殺傷事件を受け、重大な罪を犯した触法精神障害者の再犯防止のため、入退院の決定権を裁判所に付与する制度を新設する方針を固めた。これまで責任能力なしとして不起訴や無罪となった精神障害者の入退院の可否を事実上、精神科医にゆだねていたが、裁判所が責任をもつことで、より公正な処置を期待できるとしている。政府・自民党は特別立法による新たな「特別裁判所」(仮称)の設置を念頭に議論を重ね、来年の通常国会での法 案提出を目指す。
- 詳しくはこちらへ→産経新聞
- ・「特別裁判所」設置案が浮上したのは、重大事件を起こした触法精神障害者に対する従来の「措置入院」制度では、医療関係者が責任を負っていることの限界が明白になったと判断。
- ・特別立法で対応するのは、刑法改正よりも迅速に対応できるため。
- ・政府・自民党は裁判所が強制的な治療措置に対する最終的な責任を負うことにより再犯防止に効果があるとみている。
- ・同時に医療的な判断だけに限らず、裁判の仕組みの中で入退院を決めるため、「人権侵害の恐れを排除できる」としている。
- ・軽い事件に関しては従来通り、精神保健福祉法に基づく「措置入院制度」で治療と社会復帰を図る。
- ・英国やドイツでは「司法精神医療制度」の柱として触法精神障害者の処遇に関する裁判所の権限が確立されており、制度導入前に懸念されていた触法精神障害者の人権も「裁判所の判断で保護されている」(厚生労働省幹部)という。
- ・自民党内には、なお刑法改正を模索する動きもあるが、「人権保護の立場から強い批判を招く可能性があり、被害者の立場を考えた措置は結局、何もできないことになる」(閣僚経験者)との判断が強い。
- ・公明党内では精神保健福祉法の延長線上で入退院の措置に裁判官を加えた「第三者機関」を設置するための特別立法制定を主張しており、与党内調整が難航する可能性もある。
<毎日新聞2001年6月16日>
- 大阪府池田市の学校乱入殺傷事件を受けて、法務、厚生労働両省は15日、重大な犯罪行為をした精神障害者を強制入院させる専門治療施設「特定精神病院」(仮称)の設置に向け、検討を始めた。刑法改正ではなく、新法で対応する、方向で協議を進める。医師に法曹関係者、有識者を加えた判定機関が入退院を判断する新た方式が想定されている。新施設は「刑務所に限りなく近いもの」(厚労省幹部)となるため、日本弁護士連合会や人権擁護団体の反発も予想され、論議を呼ぶことは必至だ。
- ・両省で「20床程度の専門病棟を各地に新設し医療スタッフや保安要員を常駐させる」と具体案。
- ・現行法では、心神喪失などで刑事責任が問えない場合、刑罰の対象とならない。不起訴・無罪になった時は精神保健福祉法に基づき「自傷他害の恐れがある」と2人以上の指定医が判断した場合、措置入院となる。措置解除の判断は事実上1人の指定医が担う。
- ・1月から両省で合同検討会を設け、こうした問題について検討してきた。池田市の事件を契機に、結論が早まる可能性が出てきた。
- ・与党3党もプロジェクトチームの設置を決めた。
- ・政府・与党内には「重大犯罪の場合は心神喪失でも刑事責任を問えるようにすべきだ」と刑法改正を求める意見もある。
- ・厚労省幹部は「そもそも司法判断の結果、措置入院になった人を一般の病院が引き取るのは非常に無理がある」と強調。
- 詳しくはこちら→Mainichi INTERACTIVE Yahoo! News
<毎日新聞2001年6月27日>
- 法務、厚生労働両省は26日、重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇問題で、強制入院と退院を判断する新たな組織「司法精神医療審判所」(仮称)を各都道府県に設置する方針を固めた。審判所が早期の社会復帰が可能と判断した場合の「受け皿」の新設についても協議を進め、来年の通常国会に特別法案を提出する。
- 骨子
- ・「司法精神医療審判所」(案):裁判官・精神科医・弁護士・心理カウンセラーで構成。殺人、放火、強盗などをおこした精神障害者が不起訴あるいは、裁判で無罪となった場合、審判を行って強制入院や退院処遇について協議する。
- ・「特定精神病院」(仮称):重大な犯罪行為をした精神障害者を強制入院させる専門治療施設の設置を盛り込む。
- ・保安処分の色彩を濃くしないよう、両省は社会復帰を支援する施設の新設を検討。審判所が入所命令を出した精神障害者や、専門治療施設で治療が進んだ者などが入る。
詳しくは毎日新聞ニュースセレクションへ
- 「大阪児童殺傷事件」に関する理事会見解
社団法人 日本精神神経学会
理事長 佐 藤 光 源2001年6月25日
今回の大阪児童殺傷事件は想像を絶する悲惨なものであり、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害を受けた方々およびそのご家族に心からお見舞いを申し上げます。
このような事件が再び繰り返されないように、万全の配慮と対策が講じられなくてはなりません。しかし今回の事件は、いまだ事実関係が明らかとは言えず、本学会としては、真実の解明と被疑者の刑事責任能力について、精神鑑定、検察庁の判断、裁判所の審理等の推移に重大な関心をもっております。
また、このような事件の被害者の方々には、十分な心理的・精神医学的ケアが受けられるよう、本学会としても最大限の協力をしたいと思います。- 今回の事件に関連して、日本精神神経学会理事会として、以下の見解を表明します。
記 - 1.現行法における司法と精神科医療システムの狭間にある問題点を、早急に見直す必要がある。
その問題点とは、次のようである。
重大事件の犯罪者が精神障害をもつ場合、障害による免責には、@検察官決定による不起訴処分、A裁判所の判決による心神喪失または心神耗弱がある。心神喪失や心神耗弱で不起訴になった場合は措置入院となる場合が多く、起訴された精神障害者の中には減刑されて服役する者もいる。精神鑑定や措 置診察の質的向上、検察官通報による措置入院制度、措置入院中の治療と処遇のあり方、措置解除の制度、受刑者の精神医療などについて、検討をすべきである。
ただし、当面重要な問題は以下のことである。- 1)起訴前鑑定のあり方などを早急に見直す必要がある。
現在の起訴便宜主義には、重大な制度的欠陥がある。犯罪を犯した精神障害者の89%が、検察官などの判断で不起訴処分とされている現状に鑑み、起訴前鑑定のあり方について早急に見直すべきである。少なくとも重大事件を起こした精神障害者については、安易な起訴前鑑定(簡易鑑定)を行うことなく、検察官の委嘱または裁判所の命令による正式な司法精神鑑定をすべきである。また、精神障害者も一人の市民として平等に裁判を受ける権利があることを付言する。- 2)精神科医療全体の底あげが先決であることは言うまでもないが、措置入院等となった重大事件を起こした精神障害者の治療には、特に十分なマンパワー配置のある精神科病棟(国・公立および一部民間病院)で治療出来るように公費を投入すべきである。また、司法諸機関における精神科医療の充実も図られなくてはならない。
- 3)アフターケアのあり方を検討すべきである。
重大事件を起こした精神障害者の退院または出所後のアフターケアについては、司法が一定の役割を果たすべきであり、精神医学の専門家と十分に協議しながら適切な受診援助などが行われるよう、第三者機関としての審査機関の設置などを早急に検討すべきである。- 2.現行法下での改善をまず優先し、政府は早計に刑法改正などにより保安処分制度や特定専門病棟の設置などを導入すべきではない。精神科医療をめぐるさまざまな問題の解決には、まず現行の精神科医療の抜本的改善を図るべきである。
- 3.精神障害者に対する偏見除去を推進しなければならない。
今回の事件を機に、重大事件を起こした精神障害者に対する司法措置が検討されている。しかしそれは「重大事件を起こした場合」に限られるべきであり、断じて「精神障害者すべてへの司法措置」を検討するものであってはならない。それにもかかわらず、この点を混同したり、被害者や精神障害者の心情を考慮しないマスコミ報道、事実に基づかない一部精神科医の発言等が相次いでいる。これらのことは、精神障害者とその家族に深刻な不安と動揺を与え、社会参加への意欲を阻喪させ、精神障害者に対する社会の偏見や差別を助長し、精神科医療を大きく後退させるものである。本学会の「精神 障害に対するアンチスティグマ(偏見除去)特別委員会」は、これらの問題 を詳細に調査し、精神障害に関する正しい知識の啓発活動を早急に展開するものである。
以上のように、重大事件を起こした精神障害者の治療と処遇に関して適切な施策が立てられるとともに、より良質な精神科医療が提供されるような構造改革が行われ、精神障害者とともに市民が安心して生活できる社会が構築されるよう強く希望します。
<朝日新聞2001年6月25日夕刊>
重大な事件を起こした精神障害者の処遇について、政府が入退院の際の司法の介入、収容する専門病棟の新設などを柱とする新法制定を検討していることに対し、精神科医や精神医学者らでつくる日本精神神経学会は25日、「現行法のもとでの司法、精神医療の改善を優先するべきだ」と新法に反対する理事会見解をまとめた。同日午後、佐藤光源理事長(東北福祉大大学院教授)らが厚生労働、法務両省を訪れ申し入れる。
見解は、重大事件を起こした精神障害者については、起訴前の簡易鑑定のみで検察官が安易に責任能力を判断する傾向にあることを指摘。起訴したうえで公判で正式に精神鑑定して責任の有無を明確にすることが、精神障害と事件の関係を明らかにし、社会の偏見をなくすことにもつながるとしている。
また、不起訴や執行猶予となった精神障害者は、十分なマンパワーがある国公立を中心とした精神科病棟で治療が受けられるよう公費を投入すべきだとし、精神病院を退院したり刑務所を出所したりした精神障害者の在宅治療を継続できるように、司法と医療が連携する機関を設置することなどを提言している。
さらに、大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件にともなう一部のマスコミ報道や事実に基づかない精神科医の不用意な発言で、すべての精神障害者に対する司法措置が検討されているかのような誤解、偏見が広がり、患者や家族に深刻な不安と動揺を与えていることを懸念。
精神障害に関する正しい知識を市民に普及する啓発運動を早急に展開するとしている。
皆さまへいくつかのメーリングリストに重複してお送りすることをお許しください。ホームページをお持ちの方は掲載していただければ幸いです。
保安処分攻撃が嵐のように私ども「精神病」者に襲いかかっておりますが、6月28日に保安処分阻止のための緊急集会が以下の内容で開催されます。 取り急ぎご案内まで
(1) 議事メモ
- 第4回の合同検討会の議事メモを作成しました。
当日、事件の後だけに傍聴希望者が入れないという殺到ぶりでした。30分前に行き並びましたが、あと5分遅ければアウトだったかもしれません。- あくまでも「メモ」であること、正確さに欠ける点などあること、ご承知おきください。
(2) 提出資料
- 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムの在り方について(議論の素材として)」弁護士 神 洋明
- 「重大な犯罪行為を行った精神障害者の処遇決定及び処遇のあり方について」弁護士 池原毅和
<2001年6月21日>
社団法人 日本精神病院協会 会
長 仙 波 恒 雄
<2001年3月23日>
社団法人日本精神病院協会
会 長 仙 波 恒 雄
特別立法秋にも提出 法務省固める
<読売新聞 2001年6月24日>
(1)精神科医の診療報酬を充実させるなど精神医療への予算拡大
- (2)重大な犯罪を繰り返す精神障害者を扱う専門施設の新設
- −−も盛り込む方向で調整を進めている。
法務省は、厚生労働省とともに行っている精神障害者への対応に関する検討会の中で、近くこうした考えを提示する方針だ。
詳しくはこちら→Yomiuri-On-Line http://www.yomiuri.co.jp/top/20010624it01.htm
<朝日新聞2001年6月21日>
<2001年6月16日>
詳しくは→Yomiuri
On-Line および Yomiuri
On-Line 特集
<2001年6月16日>
詳しくは→Mainichi INTERACTIVE
<2001年6月16日>
関連ニュース→毎日インタラクティブ精神障害者連絡会:声明を発表 殺傷事件報道で差別意識拡大
<2001年06月14日>
大阪教育大付属池田小の乱入殺傷事件に絡んで、精神障害者や弁護士らでつくるNPO法人「大阪精神医療人権センター」(大阪市)に、精神障害者を中傷する電話がかかっていることが13日、分かった。
事務局長の山本深雪さんは「すべての精神障害者を危険視した感情的な反応。精神障害者を敵対視した一部の報道が一因」と批判している。詳しくは→Mainichi INTERACTIVE
(この報道後、嫌がらせ電話は途絶えたようです。キチンと抗議することは大切ですね。)
日弁連サイド「保安処分」に慎重意見
- 「重大な罪を犯した精神障害者の処遇システムを検討する」厚生労働省・法務省の第4回合同検討会
<2001年6月12日>
- 意見陳述:日本弁護士連合会 神洋明弁護士、池原毅和弁護士
- 神洋明弁護士:裁判所の決定で精神障害者を治療施設などに収容する「保安処分」に慎重姿勢を示した。精神障害者の犯罪が最近とくに堵加している状況はない。刑法改正で保安処分を導入することは人権保障上デメリットが大きいと強調。ひいては精神障害者そのものを犯罪予備軍として敵視することになりかねないとも指摘した。
- 池原毅和弁護士:将来の「自傷他害の恐れ」を見据えた措置入院決定など、現行の措置制度や医療体制の改善が優先されるべきだと主張。
- 措置入院制度の拡充が先決だとし、「措置入院の自傷他害の可能性をあまりに厳格に限定し、現時点での危険性しかみていないが、もう少し俯瞰して半年くらいの長さで自傷他害の可能性をみたほうがいいのではないか」と問題提起した。
措置解除で重大な罪を犯した精神障害者が社会に戻ってしまう点には、「措置入院 →医療保護入院 →任意入院 →退院」という形で段階的に退院に向かうシステムを提唱した。
日弁連の刑事法制委員会は現在、触法精神障害者対策を主要テーマに据えており、精神保健福祉法小委員会では7月末、同問題を集中審議する合宿を開く予定。
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Mainichi INTERACTIVE6月16日新法で「特定精神病院」を検討 、法務、厚生労働両省 Yomiuri On-Line2001年6月13日漂う精神障害者の処遇論議
<2001年6月12日>
- 自民、公明、保守の与党3党は12日の政策責任者会議で、大阪教育大附属池田小学
校での児童殺傷事件について協議し、犯罪を犯した精神障害者への対応などを議論す
るためのプロジェクトチームを与党内に設置する方針を確認した。- 今後は、各党レベルで今回の事件を踏まえた刑法、精神保健福祉法上の具体的な問題点を整理したうえで、今国会中にも設置するプロジェクトチームで改めて協議をスタートさせる見通し。
- 小泉純一郎首相が前向きな発言をしている刑法の早期改正については、精神障害者に対する人権上の問題なども含め、各党代表者から慎重な意見が相次いだ。
一方、坂口力厚生労働相は同日の閣議後の会見で、今後の対応を協議するにあた
り、精神障害者人権の問題と、国民の安全確保の両面から議論する重要性を強題し
た。ただ、犯罪を犯した精神障害者の処遇をめぐっては「議論がたくさんされるわり
には前に進んでこなかったことも事実」と検討作業が難航している現状を説明。その
うえで「大変難しい、重い課題ではあるが、ここはやはり一歩前に進まなければなら
ない」と述べ、何らかの対応策を必要になるとの見方を示した。
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2002/07/10 06:02:23;51460;f6876db868v;RETR;ok;/htdocs/archive/news/backnumuber/0106.html