全国精労協HOME資料庫厚生労働省交渉

2001年第13回厚生労働省交渉と10月1日中間交渉の報告


2001年11月18日

全国精神医療労働組合協議会 政策委員会 

 厚生労働省交渉は全国精労協発足とともに取り組み始めすでに13回を数えるにいたった。今年精神保健福祉法改正後、一年を経過するが、昨年だけでも、上妻病院、朝倉病院、成木台病院、真城病院、箕面ヶ丘病院と人権侵害、不正請求などが発覚している。
 これら不詳事件の温床は、交渉課題の「1.入院者の処遇と権利の保障及び通信面会の自由 2.精神科特例」と密接な関係がある。私たち労働者は自らの生活と権利を守る闘いと同時に、精神医療に従事する労働者として、差別のない医療、安心してかかれる精神医療と誇りをもって働ける職場の実現に向けて団結していこう。

 交渉前日、5月行動の講師が病気で欠席したが、その時間をトキワ警備が紹介されたビデを上映し、問題になっている「移送制度」を中心に、各交渉課題の事前学習会を行った、これによって、交渉参加者は課題を良く把握して交渉に臨む事ができた。これを教訓に今後も事前学習に力を入れていきたい。

 9月の精神医療研究懇談会では、「どこまでしんどい、精神医療」として、現場病棟でのマンパワー不足と患者さんの処遇を回る問題について分科会を政策委員会で担当した。また朝日新聞の和田公一氏を講師に招き、保安処分問題についての学習をおこなった。政策課題を組合員が学び考える機会を継続的に設定していきたい。

 またここ数年、厚生労働省との交渉だけでなく、東京都、京都府やNTT東日本との交渉など、厚生省が自治体などに責任を押し付けている問題についても平行してすすめてきた。その成果として、厚生労働省の居直った発言を許さず、デイケア喫茶問題は一定の解決をみた、カード式電話の導入などではすすんだ厚生労働省の姿勢をひきだしている。今後も各自治体など、現場の問題を具体的に交渉することは極めて有効であり重要である。
 また今年も昨年に続き140名がデモの後、交渉に臨んだ。政策委員だけでなくそのフロアーからも時に迫力のある追及やブーイングもふくめた参加と熱気が、厚生労働省交渉を作りあげ、力にしていると言える。

 5月交渉の積み残し課題を中心に、10月1日中間交渉を政策委員でおこなった。NTTへのカード式公衆電話設置問題では、厚生労働省が交渉を受けて、NTTや日精協に働きかけているということが分かった。全国精労協の取り組みの成果といえる。現在の移送制度では、不服申し立てが実質的に困難という問題では、根拠法が違い精神だけ特別にはできないとの回答で平行線。精神医療審査会の半数が請求から1か月以内に審査が終了していないなど機能が十分発揮されていない件については、専用電話、専用職員を置くことが不可欠と精労協より指摘。「自治体格差があり、それを改善することが重要。検討していきたい。」事前通知しての立ち入り調査では、違法行為がいくらでもすり抜けられるとの指摘について、「端緒がないと抜き打ちにはできない」と姿勢は崩さず。薬剤師の配置基準については、検討中。具体的方針はまだとの回答のみ。
三重県の大部屋収容の問題については「立て替え計画と合わせ方策を県とともに検討中」
「重大事件を起こした精神障害者」問題を巡っての「特別立法化」の動きについて、「新聞報道は勝手に書かれたもの」で方針は定まっていないと表明されず。
政策委員からは鑑定制度や、「法案」骨子の問題点を指摘した。地域で24時間相談できる窓口がなく救急体制が整っていないこと、啓発活動の遅れなどから、精神障害者が孤立して事件につながることもある。精神科特例を撤廃し、人権擁護につとめ安心してかかれる医療体制にすること、精神障害の社会生活を支える、精神保健福祉の充実こそが必要、それが翻って結果的に不幸な事件が少なくなることにもつながると指摘した。

 精神保健福祉法、医療法が改正されても、今だ医療法の特例に典型的な精神医療への差別的で貧困な精神医療政策は改まっていない。そのことがもたらしている精神障害者への不利益は計りしれない。先進工業国で最悪の平均在院日数が示す、長期入院、社会的入院は精神科特例が背景にある。また、精神科特例は、マンパワー不足であえぐ精神医療現場で働く我々の劣悪な賃金労働条件の背景でもある。
 宇都宮病院事件をきっかけに精神障害者の人権擁護と福祉の充実をうたって作られた精神保健福祉法は実施15年になり改正が5年ごとにくり返されてきた。しかし、精神病院の不祥事件は今だ絶えず、精神障害者の人権侵害事件や、不正請求は毎年のように発覚している。任意入院は開放処遇の原則や通信面会の権利は充分保障されていない。患者さんの人権擁護の機関である精神医療審査会も多くの都道府県で機能しているとは言いがたい。
患者さんらに安心してかかれる、良い精神医療を提供することは、私たちの働く誇りでもある。

 厚生労働省交渉では入院者の人権擁護の課題とともに、労働現場に関わる問題に取り組んできた。精神科特例撤廃を訴え、給食の外注化反対、薬局の配置基準、看護補助加算問題、働きながら学べる看護学校の存続問題など我々の労働条件に関わる問題にとりくんできた。また、デイケア喫茶、援護寮利用期間など、現場の問題を反映しながら改善を求めてきた。
 現場の実態と問題を反映し、その改善につながっていく交渉をさらに充実させていく必要がある。薬局の配置基準問題など、職種に関わる問題では、政策委員会への参加や協力を求めるなどの方法で、反映していく工夫も検討している。

 6月に起きた、いたましい池田小学校事件は精神医療労働者の我々にとっても大きな衝撃であった。その後マスコミの精神障害者が危険と言わんばかりの論調は事件の二次被害といってよく、精神障害者と家族らの不安を募らせ脅かした。その後全国で入院は増加し、援護寮や福祉工場が地域住民の反対で建設計画が難航するなどの事態がおきている。
 中間交渉の交渉で「特別立法」について、厚生労働省としての見解を求めたが、厚生労働省としては検討中として表明はなく、逆に精神医療現場で働く者の団体としての見解を求めてきた。
 政府-与党は、「重大事件を起こした精神障害者」の処遇について、@入退院の決定に精神科医だけでなく、裁判官、精神保健福祉を含む「判定機関」を地裁におく。A入院は国公立に「専門治療施設」を設ける。B退院後は保護観察所が指導監督する事などを検討している。中間交渉で政策委員は見解を表明しているが、全国精労協全体の意見を充分反映しているとは言いがたい。この問題ですすめている実態調査をもとに、精神障害者の権利擁護を軸としながら全国精労協としての見解をまとめていく。

 交渉内容についての事前の政策委員の討議の充実とともに、各労組の執行委員会、職場での検討・討議が重要である。また課題を全国精労協での実態を反映するべくアンケート、や実態調査などの方法で、現場の問題を集約して交渉に臨むことが必要となる。またこうした作業とともに、職場に返しそこから政策委員へとフィードバックしていく取り組みに、各労組の協力を要請する。

 国の政策と運用に対して働きかけるだけでなく、この交渉の成果を持ち帰り、安心してかかれる精神医療を時実現するために、自らの労働現場に働きかけていく工夫を各労組でもすすめよう。
 精神医療の労働組合団体、協議体として、患者さんの人権擁護と精神医療の充実にむけて厚生労働省と交渉を持っているのは全国で我々だけである。自負と誇りをもって厚生労働省交渉、各自治体交渉にとりくもう。



厚生労働省・地方自治体・NTT交渉 目次

全国精労協のホームページ

 最新医療ニュース

E-mail : zenkoku@seirokyo.com

事務局 : 〒604-8854 京都市中京区壬生仙念町30-2

ラボール京都4F 京都民間医労連気付

Tel/Fax: 075-811-5672