社会保障審議会障害者部会精神障害分会に対する要請文
2002年9月13日
社会保障審議会障害者部会精神障害分会
委員 様厚生労働省障害保健福祉部精神保健福祉課
課長 松本 義幸 様全国精神医療労働組合協議会
代表 山本 真一記 8月23日、厚生労働省社会保障審議会障害者部会精神障害分会の報告書骨子案が出されております。精神保健医療福祉施策の充実への取り組みについて、我々精神科医療福祉に従事する労働者である、全国精労協としても、大きな関心をもって見守っております。
その報告書骨子案の総論の中に「心神喪失者等医療観察法案が国会にて審議中であるが、精神保健医療福祉対策全般の充実向上は、これと車の両輪として進めていくベきもの。」
という文章があります。これでは精神障害分会として、「心神喪失者等医療観察法案」に賛成する立場を表明することになります。審議会には廃案や反対を主張する団体代表あるいは個人の立場で「廃案」を主張している委員も含まれています。そこでこのような合意がなされたのでしょうか。「心神喪失者医療観察法案」は現在も精神医療福祉の関係者の中で、評価が真っ向から分かれています。精労協として知りうるかぎり、公表されている声明見解では、日本医師会と日精協以外のおもだった精神科医寮福祉の団体は反対を表明しております。(声明、見解などについては全国精労協のホームページhttp://www.seirokyo.com/や添付資料を参照してください)国会審議では法案への評価が大きく対立しており、継続審議となっています。当事者、家族と精神医療福祉関係者がそのゆくえを注目している時期に、あえて、同法案は精神保健医療福祉充実と車の両輪として表現されることは理解できません。
我々全国精労協は、心神喪失者医療観察法案について、「わたしたちの仕事は安心してかかれる精神医療の提供であり、治安のための隔離ではない」と廃案とすることを求める声明を出しています。
5月28日の国会審議で坂口厚生労働省大臣がオックスフォードの精神医学教科書を引用して「再犯予測は可能」と答弁しましたが、実際に同書に書かれているのは精神科医に再犯予測が求められるが、正確な予測は極めて困難と言う内容でした。7月9日の国会審議で中島直医師より反論されているとおりです。法案の前提が間違っているということです。
やっていない犯罪を予測して拘禁することは刑法の前提に反しています。精神障害者には刑法の前提をゆがめて構わないとすれば、差別に他なりません。さらに法案は無期限の予防拘禁を可能とする保安処分的なものです。精神科医療に社会防衛の役割を背負わせ、治療関係や信頼関係を破壊するものです。「心神喪失者医療観察法案」が成立すれば、「精神障害者は何をするかわからないから、おそれだけで閉じこめてよい」と国が認めることになります。審議会で取り組まれてきた「精神疾患、精神障害者への正しい理解の促進」に反して、社会的偏見を強化する事になります。そして、犯罪予防にもほとんど無効な的外れな法案でもあります。社会保障審議会障害者部会精神障害分会は、今後の日本の精神医療福祉の方向性に影響を与える重要な審議がおこなわれているものとして我々は注目しています。審議には精神医療の貧困さの最大の原因である、精神科特例の撤廃に取り組むことがまず必要だと我々は考えています。それどころか精神医療福祉の充実に反するものである「心神喪失者医療観察法案」を、車の両輪として期待することは到底容認できません。上記文章の削除を求めます。
全国精神医療労働組合協議会
事務局 : 〒604-8854 京都市中京区壬生仙念町30-2
ラボール京都4F 京都民間医労連気付
Tel/Fax: 075-811-5672
ホームページ http://www.seirokyo.com/
E-mail:zenkoku@seirokyo.com
添付資料
(1) 全国精労協の声明文
(2) 反対声明団体一覧
有田佳秀 (有田佳秀法律事務所所長)……弁護士代表
池口博信 (滋賀県健康福祉部長)……県代表
池原毅和 (全国精神障害者家族連合会常務理事)
猪俣好正 (全国自治体病院協会精神病院特別部会副部長)
岡谷恵子 (日本看護協会専務理事)
恩田隆嗣 (静岡市健康福祉部長)……市町村代表
北川定謙 (埼玉県立大学学長)……厚生省OB
京極高宣 (日本社会事業大学学長)
齋藤慶子 (戸田病院臨床心理士)
新保祐元 (全国精神障害者社会復帰施設協会副会長)
末安民生 (日本精神科看護技術協会常任理事)
関宏之 (大阪市職業リハビリテーションセンター所長)
高橋清久 (国立精神・神経センター総長)
津久江一郎(日本精神病院協会副会長)
西島英利 (日本医師会常任理事)
広田和子 (精神医療サバイバー)
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