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2002年8月10日


新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ

委員様

精神科七者懇談会                    
社団法人日本精神神経学会     理事長   佐藤光源
精神医学講座担当者会議      代表世話人 山内俊雄
社団法人日本精神科病院協会    会長    仙波恒雄
国立精神療養所院長協議会     会長    白倉克之
社団法人全国自治体病院協議会   会長    小山田恵
社団法人日本精神神経科診療所協会 会長    近間悟 
日本総合病院精神医学会      理事長   黒澤尚 

精神科研修必修化に関する要望書

 平成16年度から始まる新医師臨床研修制度につきましては,現在,小委員会において研修プログラム,施設基準,処遇等について精力的な検討が行われております。新制度の目途するところに従って「研修プログラムの基準(案)」におきましては精神科が必修研修と位置付けられており,このことは高く評価されているところでございます。我が国の精神科医療を担うものとして,七者懇談会を構成する各団体は,共通認識の上にたち,新医師が望ましい医師像を確立するのに貢献すべく準備を進めているところでございます。
 新研修制度においては,利用者たる国民各層が望ましいと考える医師の養成についての国民の声にも耳を傾ける必要があると存じます。その中で求められている治療者としての医師像は,医術に長けているのみならず,心を癒し,社会的要因にも目を配ることができることであります。そのためには,精神科研修は必須と考えられ以下の観点を強調し,ご理解を得たいと存ずる次第です。

1.医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会の「中間とりまとめ(論点整理)」(本年5月22日)でも引用されました通り,第150回国会参議院国民福祉委貝会における医師法改正に対する附帯決議には,「医師及び歯科医師の臨床研修については,インフォームドコンセントなどの取組や人権教育を通じて医療倫理の確立を図るとともに,精神障害や感染症への理解を進め,更にプライマリ・ケアやへき地医療への理解を深めることなど全人的,総合的な制度へと充実すること」とあります。
 新医師としてまず最初に学ぶべきことは,全人的すなわち身体−精神−社会−倫理的に患者を把握し,治療を行うことであります。これは,生涯必要な診療姿勢として保持し続けるべきものであります。かかる診療姿勢を集約的に修得するには主治医として精神科臨床の実践を体験することが必要です。


2.深刻な社会問題となっている中高年などの自殺の防止対策を審議してきた厚生労働省の「自殺防止対策有識者懇談会」では,8月7日,うつ病等の対策に重点を置いた自殺防止対策の提言案を論議し大筋で合意したとのことです。自殺者は4年連続して年間3万人を超えていますが,その半数が疾病を苦にしてのものとなっており,一般科の医師にとっても精神科的素養が重要です。


3.精神疾患ないし精神障害者に対する偏見がある現状に鑑み,偏見を除去し精神疾患の身体合併症の治療にあたって一般科医師が精神疾患に理解を持つ必要があること。また,身体疾患に伴う精神症状の発現に対して精神科的な対応ができるコンサルテーション・リエゾン・ワークの素養も,これからの医師には必須であります。


4.チーム医療・社会復帰活動・地域リハビリテーション等を経験するには,精神科医療を通じて習得することが,最も現実的で理解を得やすいものであります。


5.これまでにも私共は繰り返し要望して来ましたが,以下のような現状を改めて指摘させて頂きたいと思います。


 上記の点は卒前教育の範囲内では理念のみの修得におわり,たとえ見学をしたとしても十分に体得できるものではありません。やはり,短期間であっても精神科において患者の主治医となり,指導医の下で実際に診断し,治療薬を選択し,処方して,その結果がどうなるのかをしっかりと体得することこそ必要であると考えます。
 以上により,新医師臨床研修制度検討にあたって,重ねて精神科研修を必須のものとして組み入れていただくことを強く要望するものであります。



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