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大阪府精神保健福祉審議会 意見具申
「精神病院内における人権尊重を基本とした適正な医療の提供と処遇の向上について」http://www.iph.pref.osaka.jp/kokoro/siryou/ikengusin.html#5 精神障害者の権利擁護運動の一つの到達点でもあると思います。 入院中の精神障害者の権利に関する宣言を是非読んで下さい。大阪の各精神病院に掲示されていると思います。
平成12年8月4日 大阪府知事
齊 藤 房 江 様大阪府精神保健福祉審議会
会長 西 村 健精神病院内における人権尊重を基本とした適正な医療の提供と
処遇の向上について(意見具申)平成12年5月19日に開催した審議会において標記についてまとめましたので、別紙
のとおり意見具申いたします。精神病院内における人権尊重を基本とした
適正な医療の提供と処遇の向上について(意見具申)
平成12年5月 大阪府精神保健福祉審議会 目 次 はじめに
1 「医療人権部会」設置の経緯
< 大和川病院事件とは >
2 人権とは何か
(1) 個人の尊厳を尊重される権利
(2) 適切な治療・処遇を受け、不適切な治療・処遇を拒否する権利
(3) 治療計画の検討に参加する権利
(4) インフォームド・コンセントの権利
(5) 権利等の告知を受ける権利
(6) 通信・面会等により自由に外部と交流する権利
(7) 治療・処遇につき不服申立てをする権利
(8) 治療・処遇につき自らの権利を擁護するための第三者の援助を受ける権利
3 意見具申の構成T 精神科医療の歩みと現状
1 精神科医療の変遷
(1) 黎明期
(2) 精神病者監護法の制定
(3) 精神病院法の制定
(4) 精神衛生法の制定
(5) 精神衛生法の昭和40年(1965年)改正
(6) 精神保健法の成立
(7) 精神保健法の改正
(8) 精神保健福祉法の成立
(9) 精神保健福祉士法の制定
(10) 精神保健福祉法の平成11年(1999年)改正
2 入院患者の処遇3 大阪府の精神科医療の現状
(1) 精神科救急医療
(2) 精神科病院、診療所等
(3) 病棟の状況
(4) 疾患分類別在院患者の状況
(5) 入院期間別在院患者の状況
(6) 年齢区分別在院患者の状況
(7) 入院患者のその後
4 精神科医療の抱える問題点
(1) 入院患者の主体性の軽視と地域からの隔離
(2) インフォームド・コンセントの欠如
(3) 収容の性格を帯びた入院の継続U 人権擁護の現状と課題
1 精神医療審査会
(1) 精神医療審査会とは
(2) 審査会の設置
(3) 審査会の審査
(4) 精神保健福祉法第38条の6第1項に基づく精神病院入院者に係る実地審査
(5) 平成11年(1999年)の精神保健福祉法改正に伴う審査会の見直し
2 精神病院に対する指導監督
(1) 医療法に基づく医療監視
(2) 精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導
(3) 旧安田系3病院に係る不祥事の反省を踏まえた関係部署の連携の必要性
3 第三者機関としての人権擁護機関
(1) 大阪後見支援センター“あいあいねっと”
(2) 大阪精神障害者連絡会“ぼちぼちクラブ”
(3) 大阪精神医療人権センター
(4) 高齢者・障害者総合支援センター“ひまわり”
(5) 大阪府障害者110番
(6) 大阪府同和地区総合福祉センター
(7) 人権擁護活動における課題
4 情報公開・実態調査
(1) 大阪府の情報公開制度
(2) 精神保健福祉行政における情報公開の実績
(3) 収集し、公開されるべき精神科医療情報
(4) 大阪府情報公開条例の制定
(5) 適切な医療及び保健福祉サービスが提供されているかどうかの実態調査
5 医療従事職員の意識啓発
(1) 大阪府立こころの健康総合センター
(2) 社団法人大阪精神病院協会
(3) 大阪地域精神医療を考える会
(4) 社団法人日本精神科看護技術協会大阪府支部
(5) 各精神病院における職員研修の課題V 提言
1 精神医療審査会等の機能強化
(1) 精神医療審査会の広報・啓発及び積極的活用
(2) 電話等による申請を含む請求の速やかな受付と審査内容の情報公開
(3) 請求者本人及び代理人への情報の開示及び通知
(4) 審査会委員・事務局の増強
(5) 精神病院入院者に係る実地審査の活用
2 精神病院に対する指導監督の充実
(1) 大阪府独自の医療監視及び精神病院実地指導
(2) 精神科医療の質の改善へのフィードバック
(3) 研修・情報公開・機動性を加味した医療監視及び精神病院実地指導
(4) 精神医療審査会との連携
(5) 関係部署の連携3 第三者機関としての人権擁護機関の機能強化とネットワークの構築
(1) 人権擁護機関に要請される基本的事項
(2) 人権擁護機関のネットワークの構築
(3) 精神障害当事者による権利擁護活動(セルフ・アドボカシー)
4 情報公開・実態調査の推進
(1) より開かれた情報公開制度
(2) 情報公開の範囲
(3) 適切な医療及び保健福祉サービスの確保のための実態調査の実施
(4) 継続的な調査・把握の実施
5 医療従事職員の意識啓発の強化
(1) 意識啓発の手法と考え方
(2) 各種評価による医療の質の向上
(3) 施設内外の人権研修
(4) 意識啓発の方向性
6 医療の質の改善
(1) 医療の質の改善のための方策
(2) 指針(権利の明文化)の策定に向けて
○ 入院中の精神障害者の権利に関する宣言資料編
1 精神科病院における入院患者処遇の指針
2 大阪府精神医療審査会及び精神病院入院者実地審査の実績
3 平成9年度(1997年度)及び平成10年度(1998年度)の精神保健福祉行政
関連の情報公開請求への対応実績
4 大阪府精神保健福祉審議会委員及び臨時(医療人権部会)委員名簿
5 「医療人権部会」審議経過
6 参考資料一覧表
はじめに1 「医療人権部会」設置の経緯
本審議会は、平成9年(1997年)4月に知事から「大阪府障害保健福祉圏域における精神障害者の生活支援施策の方向とシステムづくりについて」の諮問を受け、生活支援部会を設けて審議を行い、同年12月に中間答申を行った。
しかし、その間に大和川病院事件が表面化し、精神障害者の人権侵害の実態が明らかになった。そのため、人権擁護の視点を深めるべく「生活支援部会」を「生活・人権部会」と改称し、精神障害当事者を含めた新たな委員の参加を求め、新しい審議会運営を試み、平成11年(1999年)3月に答申するに至った。
この「生活・人権部会」の審議の中で、「医療の確保」については改めて審議すべき重要な課題として位置づけ、答申では、地域での自立生活を支える視点からの医療のあり方について提言することとなり、精神病院内における患者の人権尊重を基本とした処遇等については、新たに、本審議会に「医療人権部会」を設置して、引き続き集中的に審議することとなった。
その結果、生活・人権部会と同様に、精神障害当事者を含めた民間の有識者を新たな委員として審議会運営を引き続き行い、『精神病院内における人権尊重を基本とした適正な医療の提供と処遇の向上』について意見具申することとした。
大和川病院事件とは、次のような内容である。平成5年(1993年)2月、大和川病院(大阪府柏原市大字高井田)に入院中何者かから暴行を受けた患者が、他の病院に転院後に死亡した事件が報道された。大和川病院は、以前より入院患者に対する不適切な医療や処遇などの問題が指摘されていたが、この死亡事件を契機として、過去長期にわたる不正が明確なものとなり、平成9年(1997年)10月、廃院の措置が取られた。
この事件は、入院患者に対する劣悪な医療内容のみならず、任意入院患者に対する違法な退院制限、入院患者に対する違法な隔離・拘束、常勤の精神保健指定医不在のままの医療保護入院の実施、医療保護入院に際しての精神保健指定医の診察義務違反、患者の代理人である弁護士への面会拒否等の実態を明らかにした。
大和川病院事件は、精神障害者の人権を大きく侵害する事件として全国的にも注目され、今般の「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)」の改正にも影響をおよぼした。
さらに、本事件は、[1]我が国の精神科医療が、なお非医療的な、単に精神病院に入院(収容)させて地域から隔離するといった機能を残していること、[2]精神障害者のことを正しく理解していなければならないはずの精神病院内において、人権侵害が行われていた事実が発覚したことで、精神科医療に従事する者でも偏見と差別意識があることが改めて明らかになったこと、[3]こうした精神障害者に対する差別意識は、適切な精神科医療を受ける権利を持つ精神障害者とその家族にとって、医療を受ける上で大きな障害となり、社会復帰を遅らせる原因となっていること、などの諸問題を改めて提起するところとなった。
大阪府は、来る21世紀を「人権の世紀」とすべく、国際的な取り組みである「人権教育のための国連10年」の推進や、平成10年(1998年)11月に「大阪府人権尊重の社会づくり条例」を施行するなど、人権尊重の社会づくりに向けた取り組みを進めているところである。
しかし、大和川病院事件は、それまでの精神保健福祉行政の不備と精神病院における人権侵害の事実とを改めて浮き彫りにするものであった。
大阪府及び精神科医療関係者は、この事件を深く反省し、二度とこうした事件を生じさせないためには、新たな、より強固な人権擁護システムの確立が喫緊の課題であることを、強く認識するに至った。2 人権とは何か
本審議会においては、まず初めに、主として精神病院に入院中の精神障害者が主張できる権利、決して剥奪又は制限されない権利として有する「人権」とは何かについて、日本国憲法の根幹を成す基本的人権擁護の理念と国際的に承認されている基本的な考え方をもとに審議し、概ね次のような結論を得た。
まず、人権一般ではなく、精神障害者の人権とは何かという視点から問題を整理することの重要性が認識された。
人権は、本来全ての人に等しく保障されているはずであるのに、何故、精神障害者の人権ということが強調されなければならないのか。この点にこそ、精神障害者、とりわけ入院中の精神障害者が受けてきた深刻な人権侵害の状況が端的に示されている。
本審議会に「医療人権部会」が設置される契機となった前述の大和川病院事件やその他の精神病院における不祥事を引き合いに出すまでもなく、精神障害者に対する人権の保障は、未だ著しく不十分であり、人権擁護を徹底するための諸方策の早急な具体化が強く求められている。
そのためには、守られるべき精神障害者の人権とは何かを明らかにし、全体の共通認識としておくことが重要である。
精神障害者には、日本国憲法、世界人権宣言、障害者の権利に関する宣言や経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)、精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則(以下、一部を除き「国連原則」という。)などに規定された諸権利が保障されなければならない。
これらの諸権利について、我が国の法律レベルで具体化されたものが精神保健福祉法ないし関係諸法令ということになるが、その内容は十分なものとは言い難く、精神障害者に対する人権侵害を許す結果となっている。
我が国においては、先進諸外国と比べて多くの精神障害者が精神病院に入院している、あるいは、させられているので、ここでは、「入院中の精神障害者の権利」を中心として具体的に列記すれば、概ね次のとおりであろう。(1) 個人の尊厳を尊重される権利
日本国憲法、国連原則1・13などで明確にされているとおり、個人の尊厳を尊重される権利は、人として有する当然の権利である。
しかし、入院中の精神障害者を呼び捨てにし、あるいは番号で呼ぶ精神病院があるとの訴えや、入院患者に対する暴行、虐待、懲罰あるいは無視が行われているなどの訴えが数多く寄せられている。
さらに、プライバシーの保護が極めて不十分である。例えば、個人用ロッカーが病室に設けられていない病院も多く、精神障害者が私物を保管できず、院内で自身の衣服を自由に着用するなどして生活を潤いのあるものにすることを阻害されている。
入院患者は、小遣い銭の自己管理もさせてもらえないことが多く、仮に病院側が管理する場合でも、その使途が裏付け資料とともに納得できる形で明らかにされないことがある。
これらに限らず、精神障害者が個人として尊重されていない例はしばしば見られるが、早急な改善が行われるべきであるとともに、精神科医療従事職員の人権意識の向上が求められる。(2) 適切な治療・処遇を受け、不適切な治療・処遇を拒否する権利
精神科病院の医師・看護者の数が、一般科より少なくてよしとする医療法の精神科特例は、今や実情にそぐわず、合理的な理由が薄れており、適切な医療を受ける権利を阻害するものである。
任意入院であるにもかかわらず、その半数以上が閉鎖病棟に入院させられているという実情は、早急に改善される必要がある。
精神科医療は、治療の名の下に様々な強制、権利制限などがしばしば行われているが、治療とは無縁の、個々の入院患者の病状とは関係のない、単なる隔離・収容のための強制、権利制限に過ぎない場合が往々にして見受けられる。しかし、国連原則9が規定しているように「すべての患者は、最も制限の少ない環境で、最も制約が少なく、もしくは最も侵襲が少なく、かつ自らの健康上のニーズと他の者の身体的安全を保護する必要に照らして、適切と考えられる治療を受ける権利を持つ」のであるから、安易な強制、権利制限は許されないという認識をより浸透させることが求められる。(3) 治療計画の検討に参加する権利
精神障害者に対する治療及びケアは、資格を持つ専門職員によって個別に作成される治療計画に基づくものとし、その計画は精神障害者も参加して検討され、定期的に見直され、必要な変更がなされなければならない(国連原則9)。(4) インフォームド・コンセントの権利
上記2、3は、いずれもインフォームド・コンセント(informed consent)の問題でもある。
精神障害者は、原則として、治療の内容について適切な情報が提供され、正確かつ分かりやすい説明を受け、それらを理解した上で、同意あるいは不同意を選択する権利を保障されなければならない。(5) 権利等の告知を受ける権利
精神障害者は、入院時に自らの権利について告知を受ける権利を有するだけでなく、入院中はいつでも自らの権利について情報の提供及び説明を受ける権利を有している。
また、権利が精神障害者だけでなく、広く精神科医療従事職員、家族等の共通認識となるよう広報、啓発され、その保障のため種々の配慮を行うことが必要である。(6) 通信・面会等により自由に外部と交流する権利
入院中の精神障害者にとって、家族・友人・知人あるいは権利擁護の援助者など外部の第三者と通信・面会等により自由に交流できることは、生きる力を活性化し、早期に社会復帰・社会参加していく上で極めて重要である(国連原則13)。(7) 治療・処遇につき不服申立てをする権利
精神病院における治療・処遇は、様々な強制、権利制限を伴っていることがしばしばあるが、それらが常に必要かつ他に代替手段がない場合ばかりとは言えない。
むしろ、これまでの精神科医療の歴史は、強制、権利制限が合理的理由もないのに濫用されてきたことが多かったことを示している。大和川病院事件はその最も典型的な例である。
精神障害者は、このような違法・不当な治療・処遇に対して、第三者機関に不服申立てをする権利を保障されていなければならない。その第三者機関が独立、公正で、かつ迅速な処理能力を持ったものでない限り、この権利が実質的に保障されているとは言えない。(8) 治療・処遇につき自らの権利を擁護するための第三者の援助を受ける権利
上記7の不服申立権の行使はもちろんのこと、治療計画や退院後の生活設計の検討に参加するためには、弁護士などの法律家、精神科ソーシャルワーカーなど医療・福祉の専門家などの援助を受けられることが極めて重要である。上述の8つの権利を中心とする精神障害者の権利も、それを行使することによって、かえって入院患者が不利益を受けるような精神病院内の体質・雰囲気であれば、精神障害者はとてもそれを行使する気持ちにはなれないであろうし、権利は絵に画いた餅となってしまう。
権利が精神障害者、その家族、精神科医療従事職員などの間で共通の認識となり、権利を行使することがより適切な医療を実現する上で必要なステップと位置付けられ、権利行使することによる不利益を何ら心配する必要がなく、万一不利益を蒙った場合には、その除去と権利の回復が速やかになされるという態勢の確立が必要である。
精神障害者の人権やその権利擁護態勢の確立と言うとき、何故、今日まで人権侵害が繰り返し行われてきたのか、何故、長期間それらの事態が放置されてきたのか、何故、精神障害のある人もない人も地域で安心して暮らせる社会(障害者と共に生きる社会)を目指すのではなく、精神障害者を社会から隔離する方策が採られてきたのか、精神障害者に対する差別と偏見が何に起因し、何によって助長されてきたのかを根底的に見つめ直すことなしには、その実現は不可能である。
これらを踏まえた上で重要なのは、[1]精神障害者の人権擁護とは、精神障害者が本来有しているはずの人権を実質的に保障すること(すなわち、人権侵害を未然に防止すること)及び人権侵害が発生した場合には、迅速にその救済が図られることの二つの意味を有するものであり、[2]人権擁護システムとは、この両面に対応できるものでなくてはならず、[3]そのためには、医療、福祉、人権救済のための諸制度を中心とした多面的かつ体系的な施策が不可欠である、という認識を共通のものとすることである。3 意見具申の構成
人権尊重を基本とした適正な医療の提供を確保するためには、個々の病院における改善への取り組みはもちろん、精神保健福祉法に基づく精神医療審査会及び精神病院に対する指導監督等の機能の強化、その他の第三者人権擁護機関の制度化、さらに、医療の透明性を高めるための情報公開や適切な医療及び保健福祉サービスが提供されているかどうか実態を把握するための調査などが必要である。
本意見具申は、先に掲げた「人権」の意義に関するコンセンサスを前提とし、まず、現在に至る精神科医療の歩みと現状を踏まえ、人権擁護の視点で設定した審議課題、[1]精神医療審査会、[2]精神病院に対する指導監督、[3]第三者機関としての人権擁護機関、[4]情報公開・実態調査、[5]医療従事職員の意識啓発、について現状と課題を分析し、次に、それぞれについて課題を解決するための提言及び[6]医療の質の改善、について述べるという構成になっている。
なお、この意見具申書が、各精神病院・各精神科病棟の入院患者の皆さんにとって、いつでも自由に手に取って読むことができるような精神科医療上の環境が実現することを、審議会として切に希望する。1 精神科医療の変遷
(1) 黎明期
我が国においては、明治初期まで、精神保健の分野は全く法的規制がないままに推移していた。この時期には、ほとんどが加持祈祷に頼っており、精神病者は私宅に監置されたり社寺の楼塔に収容されたりしていた。明治7年(1874年)に医制が発布され、この中で、てん狂院(当時は精神病院のことを“てん狂院”と呼んだ。)の設立に関する規定があったが、設置は遅々として進まず、精神病者の大多数は、私宅に監置されて、家族の世話に任されていた。公立の精神病院としては、明治8年(1875年)に南禅寺境内に建設された京都てん狂院が最初である。(2) 精神病者監護法の制定
明治33年(1900年)3月に精神病者保護に関する最初の一般的法律「精神病者監護法」が公布、同年7月1日から施行された。精神病者を監置できるのは監護義務者だけで、私宅、病院などに監置するには、監護義務者は医師の診断書を添え、警察署を経て地方長官に願い出て許可を得なくてはならない等と規定された。
明治35年(1902年)には精神病者救治会が設立され、日本で初めて精神保健運動が行われるようになり、日本神経学界も発足した。(3) 精神病院法の制定
大正5年(1916年)に保健衛生調査会が設置され、精神病者の全国一斉調査が行われた。その結果、精神病者総数は約6万5千人、そのうち精神病院等に入院中の者が約5千人にすぎず、私宅監置を含めて約6万人の患者が医療の枠外にあるという実状が示された。このような状況の中で、大正8年(1919年)に精神病院法が制定された。
この時期、大阪府においては、大正15年(1926年)に府立中宮病院が開院している。
当時、内務大臣は道府県に対して、精神病院の設置を命じることができ、また、道府県立の精神病院に代用するため私立精神病院を指定することができると規定されていた。
しかし、公立精神病院の建設は予算不足のために遅々として進まず、昭和6年(1931年)の調査によれば、患者総数7万余人に対し、収容数は1万5千人であり、病院数は、約90で精神病院法による施設を持つ府県は、わずか3府17県であった。
昭和13年(1938年)には厚生省が設置され、衛生行政の機構が確立されたにもかかわらず、精神保健対策は十分な効果を挙げるに至らなかった。(4) 精神衛生法の制定
第2次世界大戦後は、欧米の最新の精神衛生に関する知識の導入があり、かつ、公衆衛生の向上増進を国の責務とした新憲法の成立により、精神障害者に対し、適切な医療・保護の機会を提供するため、昭和25年(1950年)に精神衛生法が制定された。
内容としては、[1]精神病院の設置を都道府県に義務づけ、[2]私宅監置制度の廃止、[3]精神衛生相談所や訪問指導の規定、[4]精神衛生審議会(関係官庁と専門家との協力による精神保健行政の推進を図る。)の新設、[5]精神衛生鑑定医制度の創設などがあった。この時期、大阪府においては、昭和27年(1952年)に精神衛生相談所が設置され、国においては、国立精神衛生研究所(精神保健に関する総合的な調査研究を行う)が設置された。
昭和35年(1960年)には、精神病床は全国で8万5千床に達し、治療についても薬物療法、更には精神療法や作業療法等の治療方法の進歩によって寛解率は向上した。(5) 精神衛生法の昭和40年(1965年)改正
高度経済成長下の昭和40年(1965年)に精神衛生法の改正が行われた。
改正の概要は、[1]保健所を地域における精神保健行政の第一線機関として位置づけ、在宅精神障害者の訪問指導、相談事業を強化し、[2]精神衛生センター(各都道府県の精神保健に関する技術的中核機関)を設置し、[3]在宅精神障害者の医療の確保を容易にするために通院医療費公費負担制度を創設し、[4]措置入院制度に関連した手続上の改定として、病院管理者による届出の制度、緊急措置入院制度、入院措置の解除規定、守秘義務規定などを新たに加えた。
この時期、大阪府内においては、昭和41年(1966年)に社団法人大阪精神病院協会が、昭和45年(1970年)には社団法人大阪府精神障害者家族連合会が設立された。
昭和50年(1975年)には、精神病床は全国で28万床、人口万対24.9床となる一方、措置入院患者は徐々に減少し、昭和45年(1970年)の 7.7万人をピークに 6.4万人となり、更に、昭和60年(1985年)には 3.1万人まで減少した。
また、昭和49年(1974年)に作業療法、デイ・ケアの点数化が実現し、昭和50年(1975年)には「精神障害回復者社会復帰施設」及び「デイ・ケア施設」、昭和55年(1980年)には「精神衛生社会生活適応施設」の運営要綱が示された。昭和57年(1982年)からは、「通院患者リハビリテーション事業」を実施し、昭和61年(1986年)には集団精神療法、ナイト・ケア、訪問看護・指導料等の点数化が実現した。(6) 精神保健法の成立
昭和40年(1965年)の精神衛生法改正以降、「入院医療中心の治療体制から地域におけるケアを中心とする体制へ」という流れが生まれたが、入院患者をはじめとする精神障害者の人権擁護のための対策は十分ではなかった。
このような中で、いわゆる宇都宮病院事件などの精神病院の不祥事を契機に、精神衛生法改正を求める声が国内外から強く示されるに至った。厚生省においては、通信面会に関するガイドライン等により指導を強化するとともに、精神障害者の人権に配慮した適正な医療及び保護の確保と精神障害者の社会復帰の促進を図る観点から、精神衛生法が改正され、精神保健法となった。
昭和62年(1987年)における精神衛生法改正の概要は、[1]精神障害者本人の同意に基づく任意入院制度の創設、[2]入院時における書面による権利等の告知制度の創設、[3]精神衛生鑑定医制度を精神保健指定医(以下、一部を除き「指定医」という。)制度に変更、[4]精神医療審査会制度の創設、[5]応急入院制度の創設、[6]精神病院に対する厚生大臣等による報告徴収・改善命令に関する規定を設け、[7]精神障害者社会復帰施設に関する規定を設けるなどであった。
昭和62年(1987年)の精神保健法成立以降、措置入院患者の数は更に減少し、医療保護入院患者の数も減少している。一方、任意入院患者及び通院患者については増加している。(7) 精神保健法の改正
平成3年(1991年)12月に、国連総会にて精神障害者に対し人権に配慮された医療を提供するとともに、その社会参加・社会復帰の促進を図ることなどが盛り込まれた「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」(国連原則)が採択された。
また、平成5年(1993年)3月には、国連・障害者の10年を経て、今後の新たな取り組みを定めた「障害者対策に関する新長期計画」が障害者対策推進本部において決定された。こうした精神保健を取り巻く諸状況の推移等を踏まえて、精神障害者の社会復帰の一層の促進を図るとともに、精神障害者の人権に配慮した適正な医療及び保護を実施する観点から、同年6月に精神保健法が改正された。改正の概要は、[1]精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)の法定化、[2]厚生大臣の指定法人として精神障害者社会復帰促進センターの設置、[3]平成8年(1996年)4月1日から、道府県(知事)の事務を政令指定都市(市長)に移譲、[4]精神疾患の治療法等の進展を踏まえ、精神疾患を絶対的欠格事由とする栄養士、調理師、製菓衛生師、診療放射線技師、けしの栽培の資格制限等が相対的欠格事由に改められたことなどであった。(8) 精神保健福祉法の成立
平成5年(1993年)12月に障害者基本法が成立し、同法が対象とする障害者に精神障害者が含まれることとなった。平成6年(1994年)7月には地域保健法が成立し、地域保健対策の見直しが行われ、地域精神保健の施策の一層の充実が求められることとなった。こうした状況を踏まえ、平成7年(1995年)5月に精神保健法が改正され、精神保健福祉法が公布された。
改正の概要は、[1]法律の目的に、これまでの「医療及び保護」、「社会復帰の促進」、「国民の精神的健康の保持増進」に加え、「自立と社会参加の促進のための援助」という福祉の要素を加え、[2]精神障害者保健福祉手帳の制度の創設、[3]社会復帰施設として、生活訓練施設(援護寮)、授産施設、福祉ホーム、福祉工場の4施設類型の規定を法律上明記、[4]通院患者リハビリテーション事業の法定化、[5]正しい知識の普及啓発や相談指導等の地域精神保健福祉施策の充実、[6]医療保護入院を行う精神病院では常勤の指定医を置くこととし、指定医の5年ごとの研修の受講を義務化、[7]入院時の告知義務について、精神障害者の症状に照らして告知を延期できる旨の例外規定に、4週間の期間制限を設定、[8]通院公費負担医療の認定の有効期限を2年に延期し、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者については通院公費の認定を省略、[9]公費負担優先の仕組みから保険優先の仕組みに変更するなどである。(9) 精神保健福祉士法の制定
平成9年(1997年)12月に精神保健福祉士法が成立し、精神障害者が社会復帰を果たす上で障害となっている諸問題を解決し、退院のための環境整備などについての様々な支援を行う人材の要請・確保を図るため、精神障害者の社会復帰に関する相談援助を行う者として、精神保健福祉士の資格制度が創設された。(10) 精神保健福祉法の平成11年(1999年)改正
厚生省大臣官房障害保健福祉部の創設後、平成8年(1996年)10月より、障害者関係3審議会(身体障害者福祉審議会、中央児童福祉審議会障害福祉部会、公衆衛生審議会精神保健福祉部会)の合同企画分科会を設け、主として各障害者施策の統合化の観点から議論が行われた。このような状況を踏まえ、精神保健福祉法が改正(平成11年(1999年)6月4日公布)された。改正点は、[1]医療保護入院の要件に、その対象者が精神障害によりその同意に基づいた入院を行う状態にない者であることを追加し、[2]精神医療審査会の委員数に関する制限の廃止、[3]精神医療審査会に、カルテ等の関係書類の提出、医療委員による患者の診察、関係者に出頭を命じて審問を行うなどの独自の調査権限を付与し[4]精神保健指定医の診療録記載義務を、指定医の職務全般に拡充し、[5]指定医が違法な処遇を発見した場合に管理者に報告して適切な対応を求めるなど処遇の改善のため努力する義務を規定し、[6]指定医に対する処分として、職務の一時停止処分を追加し、[7]精神病院に対する厚生大臣等による入院医療の提供の制限命令、改善計画の提出命令に関する規定が設けられ、[8]医療保護入院・応急入院のための移送制度の新設、[9]保護者の自傷他害防止監督義務の廃止、[10]自らの意思で継続して医療を受けている患者の保護者の義務の免除等を行い、[11]在宅福祉事業として、現行の精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)に加え、精神障害者居宅介護等事業(ホームヘルプ)、精神障害者短期入所事業(ショートステイ)を創設し、前記3事業を精神障害者居宅生活支援事業として分類し、[12]居宅生活支援事業については、市町村を単位として事業を実施することとし、[13]福祉サービスの利用に関する相談・助言を市町村を窓口として実施し、保健所、都道府県が専門的な支援を行い、[14]通院医療費公費負担の申請窓口を市町村に移管し、[15]精神保健福祉センターの名称を弾力化するとともに、同センターにおいて、精神医療審査会の事務等の新たな事業を行うことなどである。
改正部分の施行日は、平成12年(2000年)4月1日とされているが、市町村への事務移管、精神保健福祉センターの機能強化に関する規定は、平成14年(2002年)4月1日から施行することとされた。2 入院患者の処遇
入院患者の処遇は、患者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に配慮しつつ、適切な精神医療の確保及び社会復帰の促進に資するものでなければならない。
入院患者の院外にある者との通信及び来院者との面会は、原則として自由に行われることが必要である(厚生省告示第130号)。
医療上の必要性から入院患者の行動について制限を行う場合でも、特に人権上重要な厚生大臣の定める次の3種類については、厚生省告示第128号により制限を行うことができない。[1] 信書の発受の制限 [2] 都道府県及び地方法務局その他の人権擁護に関する行政機関の職員並びに患者の 代理人である弁護士との電話の制限 [3] 都道府県及び地方法務局その他の人権擁護に関する行政機関の職員並びに患者の 代理人である弁護士及び患者又は保護者の依頼により患者の代理人となろうとす る弁護士との面会の制限また、行動の制限のうち、厚生大臣が定める著しい制限については、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。このような行動制限として、厚生省告示第 129号により次の2種類が定められている。
[1] 患者の隔離(12時間を超えるもの。) [2] 身体的拘束この他、厚生大臣は、精神病院に入院中の者の処遇について必要な基準を定めることができるものとし、精神病院の管理者は、この基準を遵守しなければならないものとされており、その基準が厚生省告示により定められている。
3 大阪府の精神科医療の現状
(1) 精神科救急医療
大阪府内において、精神科救急医療体制として、精神科救急医療に協力する民間精神病院(34病院)の当番制で休日・夜間に7床の空床を確保している。府立中宮病院は、当番病院数が少ない日の救急対応及び民間の救急当番病院で受け入れた患者のうち、対応困難な重症例について後送を受け入れ対応している。また、応急入院・緊急措置入院については、緊急病院(4病院)及び応急病院(5病院)で対応している。救急医療体制による平成10年度(1998年度)の入院の状況(大阪市を含む。)は、救急入院が1,680人、応急入院37人、緊急措置入院75人となっている。また、身体合併症受け入れ協力病院への入院は 170人であった。(2) 精神科病院、診療所等
(本項2及び次項3〜7は、厚生省による平成10年度(1998年度)精神保健福祉関係資料調査にもとづき、各精神病院が記載したものを大阪府が取りまとめたものである。)
大阪府内の入院施設を持つ精神科病院数は67で、そのうち単科病院は39、一般病院精神科は27(うち精神病床80%以上の病院12)である。精神病床数は合計20,504床で、そのうち専門病棟は、急性期A病棟2(90床)、急性期B病棟2( 112床)、老人性痴呆疾患治療病棟2(108床)、老人性痴呆疾患療養病棟2(103床)、精神療養A病棟25(1,366床)、精神療養B病棟10(625床)、老人精神病棟22(1,262床)、アルコール病棟9(513床)、児童思春期2(92床)となっている。
精神科病床は持たないが、精神科の診療を行う病院が30病院、精神科の診療所が190か所ある。また、34の単科精神病院、24の精神科診療所でデイ・ケア施設が整備されている。(3) 病棟の状況
病棟の開放状況は、8時間以上開放100 病棟(5,441床)、個別開放 133病棟(7,869床)、終日閉鎖 127病棟(7,214床)となっている。
入院形態別の病棟開放度は、医療保護入院患者(5,650人)については、8時間以上開放 624人、個別開放 2,059人、閉鎖 2,967人となっている。また、任意入院患者(13,184人)については、8時間以上開放 4,103人、個別開放 4,851人、閉鎖 4,230人で、30%余りが閉鎖処遇となっている。(4) 疾患分類別在院患者の状況
疾患分類別に在院患者の状況を見ると、精神分裂病・分裂病型障害及び妄想性障害12,350人、症状性を含む器質性精神障害(痴呆、せん妄、脳損傷・脳疾患による精神障害等) 2,583人、精神作用物質使用による精神及び行動の障害(アルコール、覚醒剤、揮発性溶剤、睡眠剤・鎮静剤等) 1,489人、感情障害(躁病、うつ病、躁うつ病)961人、精神遅滞 377人、てんかん 325人、神経症性障害・ストレス関連障害及び身体表現性障害(不安障害、パニック障害、強迫性障害、重度ストレス反応・適応障害等)286人、成人の人格及び行動の障害(情緒不安定性人格障害等)167人、生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(摂食障害、産褥期精神障害等)28人、心理的発達の障害(小児自閉症等)29人、小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害及び特定不能の精神障害(多動性障害、行為障害、情緒障害等)21人、その他 795人、合計 19,409人となっており、精神分裂病とその近縁疾患が60%余りを占めている。(5) 入院期間別在院患者の状況
入院期間別在院患者の状況は、3か月未満 2,947人、3か月以上〜6か月未満 1,258人、6か月以上〜1年未満 1,523人、1年以上〜5年未満 5,444人、5年以上〜10年未満 3,026人、10年以上〜20年未満 2,660人、20年以上 2,451人で、1年以上の在院患者が約70%、5年以上の在院患者が約40%となっている。(6) 年齢区分別在院患者の状況
年齢区分別在院患者の状況は、20歳未満 152人、20歳以上〜40歳未満 2,855人、40歳以上〜65歳未満10,787人、65歳以上 5,615人となっている。(7) 入院患者のその後
平成9年(1997年)6月の1カ月間の入院患者 1,646人についての追跡調査によると、同年8月末までに家庭復帰が 761人、社会復帰施設等への退院が30人、同年11月末までに家庭復帰が 974人、社会復帰施設等への退院が53人、平成10年(1998年)5月末までに家庭復帰が 1,086人、社会復帰施設等への退院が67人で、3カ月未満の退院が 791人(約50%)、 6カ月未満の退院が 1,027人(約60%)、1年未満の退院が 1,153人(約70%)となっている。4 精神科医療の抱える問題点
精神保健福祉法には、前述のように次第に改正が加えられてきているが、現実の精神科
医療には様々な問題が残されている。(1) 入院患者の主体性の軽視と地域からの隔離
非自発的な入院である場合、「いつ退院できるのか?」、「私の治療計画を説明して欲しい。」、「アパートがあるうちに退院したいから(入院が長期化すると賃貸アパートを解約させられてしまう)。」という思いを入院患者が抱くのは当然であろう。
「何の説明もなく検査を繰り返し、結果も教えない」といった姿勢に見られる精神科医療提供側の入院患者に対する態度、すなわち患者の意思・主体性の軽視が、精神科医療の受け手に与える人権侵害の基底に存在する。
任意入院による入院であっても、患者本人が入院の意義を理解していない場合、あるいは十分な説明を受けていない場合がある。任意入院患者の約3割が閉鎖処遇を受けているのは前述したとおりである。
平成3年(1991年)の国連決議が、その原則8で「すべての精神疾患の患者は、他の病院と同一基準によるケア及び治療を受ける権利を有する。」と明文化した背景はここにある。(2) インフォームド・コンセントの欠如
精神病院の入院患者に対する対応の中には、「入院患者は自分自身を自ら律することは無理」と決めつけていると考えられるケースがある。それは、病名に付随する予断によって、医療従事職員(内科など他科も含む)がそのような感覚に陥ってしまうことが原因なのかもしれない。より個別的、具体的に入院患者の状態を診察し、入院患者本人が当面知りたい又はそう考えられる内容、例えば、治療計画や入院期間の目途などを入院患者本人に説明すること、そして入院患者自身の同意を得ていくことは、治療上も人権上も重要な点である。(3) 収容の性格を帯びた入院の継続
任意入院であるときでも退院の条件として「保護者の引取りの意向、同意が必要」と言う医師が多い。これには、長期にわたる「保護者が依頼人」との発想が根底にある。しかし、現実には、入院患者本人の人生と家族の生活は分けて対応すべきである。
入院の長期化や入院患者の高齢化に伴い、家族による受け入れが困難となっている実態に依存して「引取人のいない人は退院は無理」と放置してきた病院経営者側の姿勢は改められるべきであり、その果たしている責任は重い。決して、精神保健福祉施策の遅れ、家族の見放しや地域の偏見のみに責任を帰すことのできる問題ではない。1 精神医療審査会
(1) 精神医療審査会とは
精神保健福祉法第12条から第15条まで及び第51条の12の規定により、精神障害者の入院の要否及び処遇の適否に関する審査を行うため、都道府県及び指定都市に、精神医療審査会(以下、一部を除き「審査会」という。)を設置することとされている。これは、地方自治法第 138条の4第3項にいう地方公共団体の執行機関(都道府県知事・指定都市の市長)の附属機関として設けられるものであり、都道府県知事や指定都市の市長から独立した審査権を持つ機関である。審査会は、国際人権B規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)の精神を徹底するため、昭和62年の法律改正により新しく設けられることとなったものであり、大阪府においては、『大阪府精神医療審査会』として、昭和63年7月1日から審査を行っている。(2) 審査会の設置
審査会委員は、平成11年(1999年)の精神保健福祉法改正まで、法定数が5人以上15人以内とされ、精神障害者の医療に関し学識経験を有する者(指定医である者に限る。医療委員)、法律に関し学識経験を有する者(法律委員)及びその他の学識経験を有する者(有識者委員)のうちから、都道府県知事又は指定都市の市長が任命することとされている。
また、審査会は、指定医3人、法律に関し学識経験を有する者1人及びその他の学識経験者(有識者委員)1人をもって構成する合議体で審査を行うこととされている。
大阪府においては、かつての法定数上限の15人の審査会委員による3つの合議体(A、B及びC合議体)からなる審査会を設置しており、各合議体は、6週間以内に1回程度の頻度で開催(3合議体で1カ月当たり2〜3回開催)されている。(3) 審査会の審査
精神保健福祉法第38条の3及び第38条の5の規定により、都道府県知事又は指定都市の市長は、次の場合には、審査会に審査を求めなければならないこととされている。
[1] 精神病院の管理者から、措置入院者に係る6月ごとの定期の報告、医療保護入院者に係る入院時の届出及び医療保護入院者に係る12月ごとの定期の報告を受けた場合、その入院の必要があるかどうかに関しての審査
[2] 入院患者又はその保護者等から退院又は処遇の改善のための請求を受けた場合、その入院の必要があるかどうか又はその処遇が適切であるかどうかに関しての審査
審査会は、必要があると認めるときは、関係者の意見を聴くことができることとされている。また、上記[2]の審査を行うに当たっては、原則として当該請求を行った者及び当該審査に係る患者の入院している精神病院の管理者の意見を聴かなければならない。
大阪府においては、医療委員1名、法律委員又は有識者委員1名、事務局員1名の計3名で精神病院に出向き、審査のための実地面接を行っている。
都道府県知事又は指定都市の市長は、審査会の審査結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は精神病院の管理者にその者を退院させることを命じ若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じなければならないものとされている。また、退院等の請求を行った者に対しては、審査の結果及びこれに基づき採った措置を通知するものとされている。
指定都市(大阪市)との関係において、大阪市長の命令によって措置入院した者に係る請求については、大阪市の審査会が審査することとなる(「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の大都市特例の施行に係る留意事項について」平成8年(1996年)3月21日付け厚生省保健医療局精神保健課長通知)が、医療保護入院者の請求に係る審査は、当該入院病院所在地を管轄する知事、つまり大阪府の審査会が審査することとされている。しかし、大阪市長が保護者となっている医療保護入院者の退院や退院後の生活支援につなげるためにも、大阪市域の入院患者に係る審査は、大阪市の審査会で審査することが望ましい。
なお、審査会の実績については、資料編2、1の[1]〜[4]に記載している。(4) 精神保健福祉法第38条の6第1項に基づく精神病院入院者に係る実地審査
入院患者又はその保護者等からの退院又は処遇の改善のための請求に基づく審査会による入院患者に対する審査(実地面接等)の他に、精神保健福祉法第38条の6第1項に基づき、厚生大臣、都道府県知事及び指定都市の市長は、必要があると認めるときは、当該職員若しくはその指定する指定医に、精神病院に立ち入り、精神病院に入院中の者その他の関係者に質問させ、又はその指定する指定医に、精神病院に立ち入り、当該精神病院に入院中の者を診察させることができる。これは、審査会と同様に昭和62年(1987年)の法律改正により設けられた制度である。
この規定を受けて、大阪府においては、平成元年(1989年)度から『大阪府精神病院入院者実地審査実施要領』に基づき、[1]精神病院に入院した後、概ね3月を経過した措置入院者、[2]知事が実地審査の必要があると認めた医療保護入院者に対して実地審査を実施している。[1]について、措置入院者に対する実地審査は、1名に対し原則として年1回実施しており、また、[2]において、「知事が実地審査の必要があると認めた」とは、精神病院の管理者から医療保護入院者に係る入院時の届出及び医療保護入院者に係る12カ月ごとの定期の報告を受けた場合における審査会による入院の必要性の審査の際、審査会から知事に対して、合議体の審査の必要上実地審査を行うよう要請された場合等をいう。
なお、上記[1]、[2]に該当する入院者に対して審査会による実地面接を実施したときは、その年においては実地審査を実施したものとみなすことができる運用を行っている。
精神病院入院者実地審査の実績については、資料編2の2に記載している。(5) 精神保健福祉法改正に伴う審査会の見直し
今回の精神保健福祉法の改正により、審査会についても見直しが行われた。主な改正内容は3点あり、[1]審査会の事務局、[2]審査会委員の報告徴収権、[3]審査会委員数の制限の撤廃などの見直しである。
[1] 審査会の事務局
審査会は、執行機関の附属機関として独立した第三者機関としての役割が期待されているにもかかわらず、地方自治法第 202条の3の規定により、執行機関である都道府県知事や指定都市の市長の担当部局において庶務その他の事務を掌ることとなっている。
この場合、審査実施者が審査についての庶務を被審査者(都道府県知事等)に委ねており、また、都道府県知事等は措置入院を行う主体でもあるため、利益相反の関係に立つこととなる。
このため、通常、都道府県等の担当課とは別の系統の機関として組織され、職務遂行において比較的独立性が高く、医師、精神科ソーシャルワーカー、保健婦(士)等の専門職種が配置され専門性のある精神保健福祉センターに庶務その他の事務を行わせることとなった。これを受けて大阪府においても、平成14年度(2002年度)から府立こころの健康総合センターにおいて、審査会の請求の受付や審査会の開催事務、審査会の審査の遂行に必要な調査等を取り扱うことができる態勢が整備される予定となっている。
[2] 審査会委員の報告徴収権
法改正以前の審査会は、審査において疑義がある場合においても関係者の意見を聴くことができるだけで、診療録等の関係書類の検査権が認められていなかった。しかしながら、審査を行う際には、定期病状報告等の書面審査や関係者からの意見聴取だけでは不十分な場合があり、患者の診療録の検査、患者の診察等を行い、当該病院でどのような医療が行われていたかを審査することが必要な場合がある。
このため、審査会の報告徴収権限として、関係者からの意見徴収権限に加えて、(a)診療録等関係書類の提出を求める権限、(b)医療委員に患者の診察等を行う権限、(c)関係者の出頭を命じて審問する権限が付与されることとなった。また、報告徴収権限を担保するために、当該報告徴収に協力しない場合等の罰則規定が新たに設けられた。
[3] 審査会委員数の制限の撤廃
法改正以前の審査会の委員数は、5人以上15人以内とされていた。しかしながら、大阪府では毎年度、定期病状報告等の審査件数が9千件前後、退院請求等の審査件数が百数十件に達するなど、全国1、2位の審査件数を抱えており、かつての法定上限15人の委員数では、今後、審査を迅速、的確に処理できない状況に陥ることも考えられる。
このため、大阪府内の病床数、過去の平均審査日数等を勘案しながら、必要な委員数を確保していかなければならないという課題を抱えている。2 精神病院に対する指導監督
近年、医療需要や疾病構造の変化、医学・医術の進歩、医療ニーズの高度化・多様化、患者の受療行動の変化など、医療を取り巻く環境は大きく変化しており、府民が健康で文化的な生活を送るためには、こうした変化に対応して良質かつ適正な医療の供給が極めて重要である。
とりわけ、精神科医療の分野では、その症状の特異性から精神病院における入院患者への処遇について必要な行動制限を行うことができると精神保健福祉法に定められており、人権に配慮した適正な医療の確保を図りつつ、良質な精神科医療の提供が望まれるところである。
しかしながら、一部の精神病院において、この法律の趣旨を逸脱した運用がなされ、既に廃院となった大和川病院の事例に見られるような精神障害者への著しい人権侵害を呈する不祥事が相次ぎ発生し、精神病院に対する不信を招き、今後の精神保健福祉施策の推進を阻害しかねない事態となっている。
こうしたことから、平成10年(1998年)3月3日、厚生省関係部局長から各都道府県知事等に対して、医療法に基づく医療監視や精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導などの指導監督の徹底について通知されたところである。(1) 医療法に基づく医療監視
医療監視は、医療法第25条の規定に基づく立入検査により、病院が医療法その他の法令により規定された人員及び構造設備を有し、かつ適正な管理を行っているか否かについて検査することにより、病院を府民に対し、科学的で、かつ適正な医療を行う場にふさわしいものとすることを目的として実施しているところである。
医療法に基づくすべての病院を対象に、基本的に毎年度1回、医療従事者に関すこと等106項目について、監視を担当する各保健所において、医師、放射線技師等、様々な職種の職員、概ね10名程度のチームを組んで確認を行っている。
医療従事者の状況等については、病院から提出のあった職員名簿と出勤簿又はタイムカード、勤務割表等の10数種類の書類を相互にクロスチェックすることにより行っている。行政が行っている医療監視は、医療の実態を把握するための調査が中心となるべきであるが、従来、書類調査が中心となってきたことを反省し、大和川病院事件を含む安田系3病院の事件以来、大阪府では、いくつかの見直しを行ったところである。
例えば、[1]複数の病院を有する法人に加え、同系列と思われる病院についての同日医療監視の実施、[2]必要に応じて、精神保健福祉法や健康保険法などを所管する関係各課との合同調査の実施、[3]医療法上適切を欠く疑いのある病院に対しては、事前に通告を行うことなく、抜き打ちで医療監視を実施するとともに、必要に応じて医療従事者に対する面接調査を実施するなどである。
なお、平成9年(1997年)6月27日に、厚生省が通知した「医療監視の実施方法等の見直しについて」は、大阪府のこのような見直し結果を基に作成されたところである。(2) 精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導
精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導については、大阪府内の精神病床を有する病院に立ち入り、関係法令の遵守及び入院患者の適正な医療及び保護の状況を調査するとともに、必要な指導が行われているところである。
大和川病院事件においては、不祥事が発生するたびにその都度、実地指導がなされたが、改善指導に留まり、実効性ある改善命令が発せられなかったことや入院患者等からの苦情などに対し、迅速に対応する体制が不十分な状況が明らかになった。
大阪府においては、この大和川病院事件を真摯に受け止め、平成10年(1998年)4月に保健衛生部健康増進課精神保健室に「病院指導班」を設置するとともに、「大阪府精神病院実地指導実施要領」を定め、医療監視との合同実施や入院患者からの聞き取り調査の実施、大阪府精神医療審査会との連携など、実地指導の方法及び指導項目を明確にし、指導監督体制の強化が図られたところである。
また、今回の精神保健福祉法の改正により、改善命令に従わない場合に、業務停止命令などの罰則規定が設けられたが、入院患者の行動制限など人権に配慮した処遇という観点での客観的・数値的処遇基準の設定が未だ不十分であり、相対的な改善指導に留まっている現状にある。3 旧安田系3病院に係る不祥事の反省を踏まえた関係部署の連携の必要性
大阪府においては、精神病院に関係する各種の指導監督について、前述したように、医療法に基づく医療監視を実施する部署、精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導を実施する部署や健康保険法、国民健康保険法などの社会保険を所管する部署、生活保護法を所管する部署など、関係法令ごとに複数の指導監督部署が縦割的な体制を採っている。
大和川病院事件を含む旧安田系3病院に係る不祥事の反省を踏まえ、医療現場のあり様に応じたこれら関係部署の連携を強化するとともに、指導監督の一元化が望まれるところである。3 第三者機関としての人権擁護機関
第三者機関としての人権擁護機関としての機能を有し、障害者や高齢者に対する権利擁護、自立支援を目的とした窓口を設けているものには、「大阪後見支援センター“あいあいねっと”」、「大阪精神障害者連絡会“ぼちぼちクラブ”」、「大阪精神医療人権センター」、「高齢者・障害者総合支援センター“ひまわり”」、「大阪府障害者110番」、「大阪府同和地区総合福祉センター」などがある。(1) 大阪後見支援センター“あいあいねっと”
大阪後見支援センター“あいあいねっと”(以下「支援センター」という。)は、社会福祉法人大阪府社会福祉協議会により大阪府、大阪市、堺市からの補助を受けて運営が行われている相談窓口である。支援センターでは、意思能力にハンディキャップがある精神障害者・知的障害者・痴呆性高齢者等の権利擁護を図り、その自立と社会参加を支援することを目的として、権利擁護相談、経済生活支援サービス、啓発・情報提供事業を行っている。相談窓口は、月曜日から金曜日、午前10時から午後4時まで開設されている。
また、電話相談のうち必要なケースについては、火・木曜日に開設している専門相談窓口に予約され、弁護士、社会福祉士が面接により相談に応じる体制が採られている。
具体的な援助が必要なケースについては、利害関係者・関係機関との調整、弁護士の紹介を行うとともに、権利擁護関係機関とのネットワーク化を図り、問題解決に努めている。
[1] 権利擁護相談
平成10年度(1998年度)の電話相談状況は、 965件となっている。うち精神障害者からの相談件数は 486件、50.4%であり、知的障害者や痴呆性高齢者を合わせた件数よりも多くなっている。相談内容では、病状や人間関係に関するものが50%を超えており、知的障害者や痴呆性高齢者は経済的問題が多いのに比べ、相談内容の傾向の違いを示している。相談者別では、本人からの相談が54%を占め、知的障害者や痴呆性高齢者が関係者からの相談が多いのに比べ、傾向の違いを示している。また、同一人物からの相談が多いのも特徴である。
専門相談では、精神障害者の比率は低く、30%を占めるにすぎない。精神障害者の場合、療養生活上の悩みや今後の生活の不安等についての相談相手を求める傾向は強いことを示しているものと思われる。
一方、消費関係での具体的な事例としては、他人の賃借に巻き込まれたり、病気につけ込んだ物品の購入やお祓い等の被害があった。
[2] 経済生活支援サービス
預貯金の通帳や証券等の財産を保管する財産保全サービスと預貯金の出し入れ等を行う金銭管理サービスが行われている。サービス実施機関としては、10市に設けられており、大阪市社会福祉協議会、枚方市社会福祉協議会、豊中市福祉公社、池田さわやか公社、八尾市社会福祉協議会、摂津市社会福祉協議会、羽曳野市社会福祉協議会、茨木市社会福祉協議会、箕面市社会福祉協議会、高槻市保健福祉振興協会となっている(平成11年度(1999年度)。
サービス利用希望者は、経済生活支援計画に基づいてサービス実施機関との契約を行い、所得に応じた利用料(市町村社会福祉協議会等が決定する。ただし、低所得者には減免措置あり。)を支払ってサービスを利用する。
開設以来(平成9年(1997年)10月〜平成11年(1999年)11月)の契約者数は93件となっているが、うち精神障害者12人で12.9%となっている。精神障害者の契約内容としては、日常の生活費の管理の代行、被害的な妄想(盗難)より生じた援助(鍵の管理)などがある。精神障害者の場合、契約時や解約時において、病状によるものではなく、本人の意思に基づいて行われていることを確認することが大切だと考えられており、審査会等の活用が必要とされている。
なお、経済生活支援サービスについては、平成11年(1999年)10月から新たに創設された国制度である「地域福祉権利擁護事業」に移行し、平成12年度から、ほぼ全市町村において実施されることとなっている。(2) 大阪精神障害者連絡会“ぼちぼちクラブ”
大阪精神障害者連絡会(以下「ぼちぼちクラブ」という。)は、精神科への入院、通院の経験のある者及びそれらの経験者によって構成されていう患者会などにより、平成5年(1993年)12月に、[1]会員が抱えている問題について、情報 交換を行う。[2]会員同志の親睦や交流と府下の患者会との交流を深め、仲間づくりを進める。[3]精神障害者に対する差別と偏見をなくし、安心して暮らせる地域社会づくりをめざすこと。を目標として、結成された団体である。
そして、上記目標達成のため、以下の活動を行っている。
[1]機関紙を発行
[2]精神保健福祉行政に参画し、精神障害者自身の声を施策に反映
(大阪府精神保健福祉審議会、大阪府・市の障害者施策推進協議会、大阪市障害者政策専門委員会、関係行政機関との協議)
[3]学習会を実施
(体験発表を通じて力をつけるためのパネルディスカッションや講演会の開催)
[4]交流会を実施
(女性の交流会・「言いっぱなし、聞きっぱなし」をルールとした交流会など)
[5]地域サロン(大阪市今里)を開催(月2回)
[6]精神障害者自身による電話相談を実施(毎週火曜日・木曜日)
平成11年度(1999年度)の実績は、 1,010件となっており、ぼちぼちクラブへの入会希望の問い合わせが 185件、症状や薬に関する内容相談が 174件、ディケアや病院での不服43件、年金や生活相談等の相談25件、話を聞いてほしいが 291件、その他 292件となっている。なお、電話相談にあたっては、同じ精神障害の当事者同志の気持ちの通い合いを大切にしている。(3) 大阪精神医療人権センター
大阪精神医療人権センター(以下、一部を除き「人権センター」という。)では、精神病院での人権侵害事件を踏まえ、昭和60年(1985年)に設立された団体である。平成11年(1999年)10月12日付けで特定非営利活動促進法(NPO法)にもとづく法人格を取得している。人権センターの活動は、電話相談、病院への面会活動を行うとともに、精神科医療の改善を目指し、対行政交渉等を行っている。
[1] 相談活動
電話相談、郵便及び面会による相談を行っている。電話相談の実施日は、午後2時から午後5時までである。郵便による相談は、私書箱を設置して対応する方法が採られており、相談に関する費用は無料となっている。
過去8年間(平成元年(1989年)〜平成7年(1995年))の相談実績では、退院や治療の目処などの治療内容に関する相談が35%、情報提供に関する相談が35%、生活に関する相談が30%となっている。最近の傾向(平成11年(1999年)1月〜3月)として、他機関からの相談・連絡が高い比率(65%)を占めている。これは、人権センターの活動についての認知が進んだこと、利用者の立場に立った援助が期待されていることの現れであると考えられる。
[2] 訪問・面会活動
人権センターから精神病院や社会復帰施設に赴き、利用者の処遇実態の把握を行うとともに、必要な改善を求めていく活動を行っている。また、電話や郵便による相談の中から、人権センターとして支援できる内容については、面会等により問題解決のための活動を行っている。
[3] 権利擁護のための広報、啓発活動
入院中の精神障害者に保障されている権利や病院内での処遇改善、退院請求の手続等についてのパンフレットの発行を行い、擁護され行使できる権利の周知を図っている。
また、社団法人大阪精神病院協会の協力の下に精神病院の訪問を行い、適切な医療の選択ができるように、精神病院の医療・処遇の内容についての情報誌を発刊した。この情報誌には多くの注文が寄せられており、利用者の立場に立って、利用者が知りたい情報が求められていることを示しているものと思われる。一方、精神病院にとっても、従来の閉鎖的な環境での治療ではなく、開かれた医療のあり方が問われることとなり、精神科医療従事者の自覚を高めることにも寄与するものと思われる。(4) 高齢者・障害者総合支援センター“ひまわり”
“ひまわり”は、高齢者や障害者のための総合的な相談窓口として、大阪弁護士会が設置・運営する「高齢者・障害者総合支援センター」の愛称である。“ひまわり”では、財産管理支援、介護福祉支援、精神保健支援等について、電話や来館での相談のほか、必要に応じて出張相談を行っている。相談受付時間は、月曜日から金曜日、午前10時から午後4時までとなっており、“ひまわり”を利用した場合の費用は、相談時間や委任後の支援内容によって費用設定がなされているが、生活保護世帯や非課税世帯については相談料が免除されている。“ひまわり”の精神保健当番弁護士は、リーガルサポートの一環として、電話による出張相談の依頼があれば、10日以内に出張して面接を行っている。
平成10年度(1998年度)の利用形態別の実績は、出張相談 126件、電話相談 269件、来館相談61件で計 456件となっている。相談種別では、一般相談が30%、財産管理18%、精神保健8%、遺言5%、福祉サービス4%となっている。相談種別では、精神障害者が16%を占め、高齢者・身体障害者(いずれも22%)に次いで多くなっている。
なお、平成11年(1999年)4月〜10月における相談件数 305件のうち、精神障害者の相談件数は 104件(34%)となっており、最も多くなっている。また、利用形態別では、電話相談が52%、出張相談が37%、来館相談が12%となっている。精神障害者関係の相談が増加しているのが目立っている。(5) 大阪府障害者110番
大阪府障害者110番(以下、一部を除き「障害者110番」という。)は、大阪府が社会福祉法人大阪身体障害者団体連合会・大阪府障害者社会参加推進センターに補助して実施されている事業である。障害者110番では、常設の相談窓口を開設し、身体・生命に関する危害、財産に対する侵害、契約関係、雇用条件関係、職場などでの人権関係等についての相談を電話・来所などの対応により行っている。相談内容によっては、弁護士や公認会計士、ソーシャルワーカー等による相談チームを編成し、問題の解決に当たっており、相談費用は無料となっている。
平成11年(1999年)6月〜11月の相談、面談等の実施件数は21件となっている。相談等の内容は、借金返済や賃金などの経済的な問題、公費負担等の手続きに関する問題、施設内での処遇など人権侵害に関する問題であった。
障害者110番事業は開始されたばかりであり、専門的な知識や経験が必要とされる場合も多く、関係機関や障害者団体等との緊密な連携や事例の積み重ねによる各種ノウハウの蓄積が必要となっている。(6) 大阪府同和地区総合福祉センター“ヒューマインド”
大阪府同和地区総合福祉センターは、社会福祉法人大阪府総合福祉協会が運営主体となって、昭和61年(1986年)6月に開設されて以来、同和地区の福祉の増進に努めるとともに、「福祉・保健・医療に関わる人権センター」として、大阪府域全体の福祉と人権の推進に重要な役割を果たしてきた。この中で、心の悩み相談、精神障害者に対する自立支援プログラムづくりや権利擁護システム構築の検討などの課題に取り組んでいる。
平成9年(1997年)11月から、回復途上にある、在宅の精神障害者の交流の場を整備促進し、共同活動を通じて自立と社会参加への意欲を養成するとともに、地域住民との交流機会を深めて、精神障害者に対する理解と協力を広げることを目的として、精神障害者地域交流(地域サロン)事業が実施されている。平成10年度(1998年度)末時点で、4地区において48名が登録し、精神障害者と地域住民などが料理、手芸教室、ハイキング、カラオケ等の活動を行った。
また、現代社会のストレスや職場、家庭、近隣等の人間関係の軋轢から生じる心の悩みの解決の糸口を見つけるために精神科医など、専門カウンセラーによる人権相談として、精神障害者人権相談(心の悩み相談)を毎週木曜日の午後1時から5時(祝日・第5木曜日休み)に、面接又は電話相談の形式で実施している。同相談は、事前予約制であるが、費用は無料となっており、平成10年度(1998年度)における精神障害者などからの相談延べ件数は、129 件であった。
自立支援事業としては、平成11年度(1999年度)には新たに「自立支援室」を立ち上げるとともに、平成12年度(2000年度)からは、障害者や高齢者などのセルフ・アドボカシー(self advocacy;35ページ参照) やエンパワーメント(empowerment;権限付与)を支援する予定となっている。(7) 人権擁護活動における課題
人権擁護を図る既存の諸制度や各種人権擁護機関の狭間で、入院患者に対する的確で迅速な人権擁護のための機能が働きにくくなる次のような課題が存在する。
[1] 各種相談機関の相互の連携・信頼関係が不十分なため、入院患者の人権侵害に関する情報が各機関でバラバラに集積され、結局、入院患者から見れば、どの相談窓口も十分に納得できる適切な支援者となり得ていない場合がある。
[2] 入院患者と病院職員との関係が対等でないため、あるいは入院患者としての権利が保障されていないため、入院患者による精神病院外への意思伝達が適時に行えないような場合(例えば、精神病院の看護主任が、病院の外部に院内情報が流されることを極度に嫌がるようなタイプの者である場合、電話での訴えが心理的にしづらい、あるいは物理的にテレホンカードを渡してもらえないなどの場合)がある。
[3] 入院患者が実名を出して待遇内容への不服を述べることにより、院内で制裁や尋問を受けるかもしれないという恐怖感、不安感があるため、どうしても匿名でしか不服を伝えられない場合がある。
[4] 面接のため精神病院にやってくる人権擁護機関の関係者に対し、対等に意思表示することが入院患者に十分にできない場合がある。
[5] 入院患者が退院したいのに入院させられたまま放置されているにもかかわらず、
精神病院側は「身元保証人となる者が不在のため、退院先を探すことが難しい」という理由で、退院の実現に消極的である場合がある。これらの課題の克服のために人権擁護機関と関係行政機関の有効な連携体制の構築、さらにオンブズマン制度の検討が急務である。
4 情報公開・実態調査
(1) 大阪府の情報公開制度
大阪府の情報公開制度は、府と府民との信頼関係を基盤に、開かれた府政、府民参加の府政を目指し、全国で3番目、西日本では初の条例(大阪府公文書公開条例(昭和59年(1984年)3月28日施行) として実施されたものである。その後、年を追うごとに制度の利用件数は増加し、平成10年度(1998年度)には年間32,000件を超えるまでになったが、府民の情報公開に対する関心が高まる一方で、制度の周知と普及は未だ十分とは言えない。すべての都道府県で情報公開条例が施行され、また、国においては、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」、いわゆる情報公開法が平成11年(1999年)5月に公布された今日、大阪府の情報公開制度は、その普及と内容の充実に向けた新たな歩みをスタートさせるべき時期にきている。(2) 精神保健福祉行政における情報公開の実績
入院患者に対する違法な隔離・拘束、暴行事件や弁護士面会の拒否など患者の人権を無視する重大問題等を引き起こし、平成9年(1997年)10月1日に開設許可を取り消された大和川病院をめぐる一連の不祥事件の発生などを契機として、府民の精神保健福祉行政に対する関心は以前にも増して高いものとなってきている。
精神保健福祉行政関連の情報公開請求への対応実績は、平成9年(1997年)度が15件、平成10年(1998年)度が4件である。
情報公開請求のあった公文書の中で、精神病院の入院患者の人権に特に関連するものとして、厚生省の指示に基づき大阪府が調査している「精神保健福祉資料」があるが、これについては、全病院の了解の下に、その内容のすべてを公開している。
具体的には、精神病院の施設数・病床数、従事者数、施設・病床の状況(総括・個別)、入院区分別・保護室の使用状況別の精神病院の患者数等の状況(総括・個別)、診断区分名・年齢階層・入院区分別精神病院在院患者数(総数・男女)などのデータが含まれている。ちなみに、平成10年(1998年)度の精神保健福祉資料は総数 418枚にも及び、通常1枚当たり20円の写しに係る費用が必要なため、すべての資料を請求すれば8,360円を要することとなり、情報公開制度も利用しやすい制度とは言いにくい。(3) 収集し、公開されるべき精神科医療情報
精神科医療の分野に関しては、他にも公開されるべき情報は多くある。例えば、[1]入院患者の転帰、すなわち治癒して退院したか否か、あるいは亡くなって退院したかという情報。特に、死亡退院については、個別ケースごとに大阪府は、精神病院から事情を聴取すべきである。現状では、事故については大阪府に報告することになっているが、死亡診断書は、亡くなった患者の住所地の市町村に届出があり、当該市町村を管轄する保健所にその写しが残ることになっているが、特定のある病院で死亡件数が集中しているというようなことはチェックできない仕組みになっている。[2]ベットの回転率、3カ月未満の在院患者率、4年以上の在院患者率、死亡退院率。[3]常勤医療従事職員1人当たりのベット数、1ベット当たりの月間外来数。つまり、病床規模と比べて外来数が多いか否か。
また、時間外の外来患者数も情報としては重要である。外来患者が多いことは、その病院が、地域密着型でオープンな医療を提供できる場になっているという重要な指標でもあり、入手し、公開されるべき情報である。[4]費用区分についても明らかにされていないが、行旅病人を多く入院させている病院か否か。このような病院の特徴が読み取れる情報は、入手し、公開されるべきである。[5]現行の精神保健福祉資料は、入院患者の年齢区分が細かく分類されておらず、18歳未満、18歳以上20歳未満、20歳以上65歳未満、65歳以上という大きな分類となっているが、東京都のように10歳刻みで情報を収集する方が、施策を企画する上で有効である。[6]院内感染の実態についての情報も公開され、必要な対応がなされるべきである。[7]常勤医・非常勤医、看護婦の数、その氏名、1週間の勤務時間数などの情報も、これらの情報が公開されていないため大和川病院からの不正な報告を第三者機関がチェックできず、結果的に重大な人権侵害につながったことを考慮すると、積極的に公開されるべきである。(4) 大阪府情報公開条例の制定
大阪府では、平成11年(1999年)7月に策定した「新情報公開制度大綱」を踏まえ、従来の大阪府公文書公開条例を改正し、新たに大阪府情報公開条例を平成12年(2000年)6月から施行する。
新条例は、従来から盛り込まれていた「知る権利」に加え、その前文に「府の諸活動を府民に説明する責務」が明記され、情報公開請求権者の範囲は、「何人も」に拡大された。また、公開請求の対象となる文書の範囲を決裁・閲覧を終了した文書に限定することなく、「組織的に用いるものとして実施機関が管理しているもの」とされたほか、フロッピーディスク等に記録された電磁的記録についても対象文書に含められた。
精神科医療は、強制的な契機を含む治療の場であり、特定の行動制限を行う可能のある医療であるので、今後とも、公開原則とプライバシーの保護を目的として掲げながら大阪府の所有する行政情報は、非公開事由に該当しない限り、すべての文書について公開することを原則とした精神保健福祉行政を展開する必要がある。(5) 適切な医療及び保健福祉サービスが提供されているかどうかの実態調査
平成10年度(1998年度)まで審議を行っていた大阪府精神保健福祉審議会「生活・人権部会」においては、審議会答申の取りまとめのために精神障害者保健福祉手帳所持者等について大規模なニーズ調査を行った。そして、答申の中では、保健福祉サービス拡充の必要性と併せて社会的入院は重大な人権侵害であるとの考え方が取りまとめられた。
今後とも、入院患者の人権に配慮した適正な医療及び保健福祉サービスを確保するために、精神障害当事者の視点に立った行政施策に反映するための定期的な実態調査が必要であると考えられる。実態調査は、精神科医療の質の改善、医療従事職員の研修・啓発に役立つとともに、精神障害者の人権侵害を未然に防ぐためのシステムづくりの一環として有用なものでなければならない。5 医療従事職員の意識啓発
大和川病院事件は、精神科医療に従事する者に精神障害者に対する差別意識が根強く残っていることを、改めて浮き彫りにした。医療従事者の意識啓発の計画的推進が、現状ではなお、重要課題のひとつであることを確認しなければならない。
大阪府内において、精神科医療従事職員の意識啓発としては、一般的に精神保健福祉に係る研修などが公民の各実施機関ごとに次のとおり行われている。(1) 大阪府立こころの健康総合センター
大阪府立こころの健康総合センターは、精神保健福祉法第6条の規定に基づき、精神保健及び精神障害者の福祉に関し、知識の普及を図り、調査研究を行い、相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行う施設として都道府県及び政令指定都市が設置することができる精神保健福祉センターとして設置されている施設である。府立こころの健康総合センターでは、精神保健福祉業務・活動に従事している職員の資質向上を目的とした研修や人材育成を図るための研修を行っている。研修内容としては、「(大阪府)保健衛生部精神保健福祉担当職員研修」、「関係職員研修」、「他機関との共催等による研修」などを行っており、また、セミナーや講習会の開催、学生実習の受け入れを行っている。「保健衛生部精神保健福祉担当職員研修」の中で新任及び転任の職員対象のものでは、精神保健福祉法に関して年間延べ39回の講座を設定している。現任職員研修においても、全体別研修、コース別研修、課題別研修、ブロック別研修等が実施されている。
精神障害者共同作業所(小規模作業所)職員対象の研修については、財団法人精神障害者社会復帰促進協会に委託して実施している。精神障害者グループホーム関係職員対象の研修については、年2回の講座を実施しており、通常30人程度の参加を得ている。
また、精神科医療機関社会福祉職員及び心理職員研修については、社団法人大阪精神病院協会及び社団法人大阪精神科診療所協会と連携して年間延べ7回の講座を設定し、1講座20人〜30人程度の参加者がある。(2) 社団法人大阪精神病院協会
社団法人大阪精神病院協会(以下「大阪精神病院協会」という。)は、昭和41年(1966年)に社団法人として設立認可され、会員の相互親睦、大阪府精神障害者家族連合会との合同キャンプ、各種調査活動等を行い、精神科医療の向上に努めている。
大阪精神病院協会の会員は、大阪府内に所在する私立精神病院及び精神病室を有する私立病院をそれぞれ代表し、精神病院及び精神障害者医療施設についての調査研究、資質の向上、精神保健福祉思想の普及、精神障害者の治療及び社会復帰を推進することに賛同した者とされ、医療従事職員の意識啓発を図るため、次の各種事業を行っている。
[1] ピア・レビュー「病院相互訪問」の実施
大阪精神病院協会では、大和川病院事件を契機として、従前から検討していた「ピア・レビュー」と称する同協会所属会員の病院相互訪問を平成10年(1998年)秋から実施している。訪問実施方法については工夫を重ね、平成11年度(1999年度)は、同協会会員が看護部長や事務長等を同行して相互訪問を実施している。
[2] 研修会及び講演会の実施
大阪精神病院協会では、精神障害当事者や人権に関し造詣の深い講師などを招き、人権講演会を実施しているほか、大阪府の医療監視及び精神病院実地指導を踏まえ、指摘のあった問題点の是正に努め、大阪府内の医療関係団体と「人権問題等検討委員会」を発足させている。
また、大阪精神病院協会が設置する大精協看護専門学校で行われている文化祭において人権問題への取り組みなども行っている。(3) 社団法人大阪精神科診療所協会
昭和45年 (1970年) に設立され、地域精神保健活動等を行ったきた大阪精神科診療所協会は、平成11年 (1999年) 4月に社団法人として認可された。
社団法人大阪精神科診療所協会には、精神神経科の診療を行っている約 150の診療所が所属し、公益的な精神保健活動、学術講演会及び各種講習会等を実施している。
様々な職種の医療従事者が連携・協力し、よりよい医療の提供を目的として、平成9年に「精神科診療所医療従事者研修交流委員会」を発足させ、「全体研修交流会」と府内を4ブロックに分け「ブロック研修会」を行っている。
いずれも、全職種の職員が毎回80〜 140人参加している。(4) 社団法人日本精神科看護技術協会大阪府支部
「患者さんに暖かい手を差しのべる」、「職業倫理の高揚に努める」、「組織を拡大し学びの輪をひろげる」、「精神保健福祉の普及啓発に努める」をスローガンとして結成された社団法人日本精神科看護技術協会大阪府支部は、平成11年(1999年)度で結成31年を迎えた。
会員相互に自己研鑽を重ね、精神科看護の専門的技術の向上と精神保健福祉思想の追求を図るため、大阪精神病院協会と連携して、各界の専門家を招き、各種研修会、講演会、看護研究発表会を実施している。また、大阪府内の精神病院に対して、病院訪問活動も実施している。
平成11年(1999年)4月現在、会員数は、80施設で 1,409人となっており、平成10年度(1998年度)は、13回の研修会を実施し、中間管理者等研修会においては、33病院から 161人の参加を得ている。(5) 大阪地域精神医療を考える会
大阪における地域精神医療の研究と実践活動の推進を目的とする大阪地域精神医療を考える会は、地域の精神科診療所を拠点として、医師、病院職員等のパラメディカル、保健所相談員、福祉事務職員など、精神保健福祉に関わる職種横断的な専門家からなる任意団体として組織されており、精神科医療等について、「閉鎖された病棟の開放」をテーマに、自主的な勉強会を運営している。昭和51年(1976年)に第1回総会を開催し、平成11年度(1999年度)には25回目の総会を行っている。
現在、同会会員の所属は、6病院、11診療所、保健所、精神障害者共同作業所(小規模作業所)、精神障害当事者とその家族会など広範囲にわたり、「各職種の交流」、「職場の枠を越えた付き合いの場」が同会の特徴となっている。(6) 各精神病院における職員研修の課題
大阪府内の各精神病院においては、規模や回数の差こそあれ、概ね何らかの形で医療従事職員に対して研修が行われている。
しかし、精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導の際に実施している職員からの聞き取り調査では、数カ所の精神病院において、最近1年以内に病院内における研修を受講したことがない、あるいは受講した記憶がないとの回答があった。病院内における医療従事職員の研修は、精神保健福祉法、医療法などの法令の理解のみならず、入院医療の質の向上に欠かせないものであり、自主的な取り組みが期待されるところである。人権意識の啓発が必要なのは、精神科医療従事者に限らない。一般の医療従事者にとっても、また一般市民を含むすべての人々にとっても、同様である。しかし、精神病院における人権尊重を基本とした適正な医療を確保するためには、精神科医療従事者が、まず率先して意識啓発の事業に取り組む必要がある。
1 精神医療審査会等の機能強化
(1) 精神医療審査会の広報・啓発及び積極的活用
本審議会において、「入院患者本人が退院請求あるいは処遇改善請求をしたくても、請求をすることで病院側からの“しっぺ返し”を恐れてできないことが多々ある」ということが委員から指摘されるとともに、「退院希望を述べたら保護室に入れられた」という苦情が、大阪府精神障害者家族連合会に匿名で寄せられていることも医療人権部会において委員から実例を示して報告された。
精神医療審査会の役割・機能が、入院患者によく理解されていないという基本的な問題があるのは事実である。このため、医師は、入院患者に審査会についてていねいに説明をすべきである。また、審査会に対して入院患者から請求が出されることは、当該病院の医療に問題があると思われるから避けるべきだと、病院管理者や主治医が考えている場合があることも併せて指摘されており、病院管理者や医師が、審査会への相談や申請の意義を積極的、肯定的に捉えることができるように、大阪府は審査会に関する広報・啓発活動に更に力を入れる必要がある。
一方、審査会の意見が、入院患者にとってはセカンド・オピニオン(第二の意見:患者本人の医療情報を得る過程で、診断を受けた医師とは異なった専門家の意見を求めること。)としての意味を持ち、医療に対する信頼感を強化することに役立つ場合もある。
また、審査会による意見聴取の際の関係者との面接や調査が、その入院患者にとって必要な社会復帰の条件を整備するきっかけになることもある。こうしたことを考慮し、精神病院は、審査会に対する患者からの相談や請求の制度を医療提供者と入院患者とのより良好な関係を作り出していく契機になるものであるという積極的な位置づけを行うことが望まれる。(2) 電話等による申請を含む請求の速やかな受付と審査内容の情報公開
現在、入院患者本人から退院及び処遇改善請求について電話による相談を受けた場合、当該請求者あてに請求用紙を送付し、入院患者本人から改めて書面での請求を待って、正式に受理するという手続きを踏んでいる。しかし、精神病院によっては、入院患者が審査会に対して請求を行うことを思い留まらせたり、意図的に取り消させたりする場合があることについて、本審議会においてもたびたび指摘されてきたので、相談内容によっては、電話(口頭)やファクシミリのみによっても退院請求もしくは処遇改善請求の申請を受け付けるべきである。
なお、平成11年(1999年)の精神保健福祉法改正に伴い、「精神医療審査会運営マニュアル(昭和63年(1988年)5月13日付け健医発第 574号 各都道府県知事宛、厚生省保健医療局長通知)」が法改正の趣旨や大阪府の要望等を取り入れた形で改訂されたところであり、その中で、都道府県知事に寄せられた入院患者からの電話相談について、内容を審査会に報告するとともに、事例によっては口頭による退院及び処遇改善請求として取り扱うことが可能となることが掲げられている。大阪府においても、平成12年度(2000年度)から直ちに実施に移すべきである。
また、精神病院に入院中の患者から容易に精神医療審査会事務局への電話連絡ができるよう、専用回線の設置やコレクトコ−ル(通話料金の受信者負担)方式といった条件の整備を検討する必要がある。
審査会に持ち込まれる退院請求・処遇改善請求の中には、内容によっては精神科医療の質の改善のために欠かせない有益な情報が含まれている。したがって、入院患者個人や関係者のプライバシー保護に十分配慮した上で、精神科医療の質の改善に反映されるように、毎年、退院請求・処遇改善請求の請求件数や審査件数だけではなく、苦情内容や対応結果などの資料についても、審査結果が報告された後は、情報公開すべきである。(3) 請求者本人及び代理人への情報の開示及び通知
退院請求・処遇改善請求を行った入院患者本人や当該患者に弁護士である代理人がいる場合には、その代理人に対して、審査会の合議体における審査資料、特に、精神病院側の意見などの情報は開示すべきである。
また、請求に対する審査結果の内容については、請求者本人又は代理人に対して、必ずその理由を付して通知することが必要である。特に、請求内容を認めない審査結果の場合には、よりきめ細かい理由を記載すべきである。(4) 審査会委員・事務局の増強
平成10年度(1998年度)における審査会の実績統計によると、退院請求の受理から意見聴取のための入院患者本人等の面接まで平均約54日、審査結果を出すまでには約67日の日数を要している。平成11年度(1999年度)の精神保健福祉法改正において審査会の委員数の制限(上限15名)が撤廃されたところであり、今後、大阪府においては、行政機構の肥大化抑制の観点にも配慮しつつ、審査会委員定数や合議体数を増加し、また、事務局体制の強化、効率化を図り、退院請求・処遇改善請求申請の受理から結果の通知までに要する期間の短縮を図り、概ね1カ月以内には入院患者本人等に審査結果を通知する体制づくりが求められる。
具体的には、過去の審査実績や審査日数などを加味し、当面は、1合議体(委員5名)程度の増強を図るとともに、精神保健福祉法改正や前述の精神医療審査会運営マニュアルの改訂による審査会事務局の事務処理量の増加に伴う事務局員を増やすことが必要と考えられる。
また、審査方法については、社会的入院患者を解消していく観点から、入院患者の症状等の医学的な内容を主として、客観的に判断していくことが求められる。そして、審査に先立って行う入院患者等からの意見聴取の実施についても、審査の確実性、信頼性を担保するため、2名以上の審査会委員(1名以上の医療委員を含む。)によって行う必要がある。特に、入院患者本人からの意見を予断なく聴取することが重要であり、そのために優先的に時間を確保する必要がある。
なお、居住地が、指定都市である大阪市の入院患者や大阪市域からの入院患者に係る審査会の審査については、大阪市の審査会において審査が可能となるよう関係法令の改正を含め、国に要望していくことが望ましい。
さらに、審査会の附属機関としての専門性、独立性を更に向上させるため、精神保健福祉法の改正に基づき、平成14年度(2002年度)には審査会の事務が,精神病院の指導監督に当たる本庁(精神保健福祉課)から府立こころの健康総合センターに移管される。
従って、本庁と府立こころの健康総合センターとの連絡体制をより一層緊密にする必要がある。(5) 精神病院入院者に係る実地審査の活用
審査会において実施している措置入院者・医療保護入院者の定期病状報告書及び医療保護入院者の入院届に関しての審査では、他の入院形態への変更や入院継続不要の結果が出された実績はなく(資料編2、1の[4]参照)、全国的に見ても年間数件の実績しかない状況である。このような報告書や届出書に対するいわゆる書類審査をより実効性あるものとするため、審査会の運営とは別に行っている精神病院入院者に係る実地審査と書類審査を有機的に組み合わせて、実地審査をよりきめ細かく実施し、活用していくことが求められる。2 精神病院に対する指導監督の充実
(1) 大阪府独自の医療監視及び精神病院実地指導
医療法に基づく医療監視及び精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導については、関係法令や厚生省の基準(告示、通知など)として明文化されていない事柄でも、法の趣旨を確実に実現するためには、大阪府が独自の基準を作成して、入院患者の人権尊重に資する行政指導を行うことは許容されるものと考えられるものであり、かつ必要なことである。
具体例としては、任意入院における告知文書(入院のお知らせ)と入院に関する同意書のコピーを診療録(カルテ)に添付することや保護室における清潔な寝具の基準、保護室入室患者への巡回と診察その他の入院患者のための安全性の確保に係る基準などを示すべきである考えられる。(2) 精神科医療の質の改善へのフィードバック
医療監視及び精神病院実地指導について、それぞれがそれだけで完結したものに留めることなく、また、監視・指導のための監視・指導とせず、精神科医療の質の改善に資するために、その結果をもう一度精神科医療の現状に当てはめて再考することができるような大阪府の更なる取り組みが求められている。具体的に必要な取り組みとしては、次のようなものが考えられる。
[1] 医療監視において、保健所と本庁の精神保健福祉課が同行して精神病院を訪問する。
[2] 医療監視と精神病院実地指導の連携体制を強固なものとする。
[3] 精神病院における適正な医療の確保のため、医療監視従事者の研修をより充実させる。
[4] 精神病院訪問時に、一定の基準のもとに、入院患者が本音を話しやすい環境を確保し、必ず聞き取りを行う。
[5] 精神病院職員への聞き取りを必ず行い、当該職員が関係法規や入院患者の人権擁護に関して、基本的知識・認識を有しているかどうかをチェックする。(3) 研修・情報公開・機動性を加味した医療監視及び精神病院実地指導
適正な精神科医療を確保するために、医療監視や精神病院実地指導を充実させるとともに、これらの指導監督を通じて、精神病院職員が入院患者の人権擁護に必要な法律知識や基本的姿勢を身につけるため、大阪府は基本となる研修プログラムやテキストを作成し、精神病院職員の研修や自己啓発に役立てていくことが必要であると考えられる。
また、医療に関する情報は、公益性が非常に高いものであり、入院患者などのプライバシーに係る情報を除き、極力、情報公開の対象とすべきものである。したがって、医療監視や精神病院実地指導の情報はできるだけ公開し、情報に基づく府民の適切な医療選択を通じた精神病院の医療の質の改善につながる仕組みを構築することが大切である。
さらに、医療監視及び病院実地指導を行う権限を持つ大阪府と第三者機関として或いは精神障害当事者団体として相談に当たっている機関との連携を密にし、第三者機関や精神障害当事者団体に持ち込まれた苦情内容が、円滑に医療監視や精神病院実地指導に反映される仕組みを構築する必要がある。そして、大阪府などに対し、医療従事職員、入院患者やその家族から、同一病院・関係施設について、人権侵害などの不祥事に関する複数の情報提供がある場合、それが匿名情報であっても、その情報自体が周辺の客観的事実から信憑性に足るものであるときは、適宜、機動的に医療監視や精神病院実地指導を行っていくという方針を打ち出すことも必要である。この際、当該不祥事を職業意識や職業倫理に則って内部告発した医療従事職員がいる場合には、その職員のプライバシーが保護されるとともに、地位や権利について不利益を被らないような社会的なシステムを整備できないか検討する必要がある。
そのためにも、必要なときに随時、第三者機関・精神障害当事者団体から行政へ直接連絡や情報提供することができる緊密な態勢を構築し、毎年定期的に大阪府の関係部局と人権擁護機関との連絡会議を開催することが必要である。(4) 精神医療審査会との連携
精神医療審査会が退院請求等の審査の過程において入院患者等から意見聴取などして得た情報の中で、特に、精神科医療や精神病院の質の向上に資すると考えられるものを随時、大阪府に報告させるとともに、精神病院実地指導の際に、医療委員つまり精神保健指定医である審査会委員を同行させ、診療録(カルテ)等をチェックさせることができるような審査会との連携システムを速やかに構築する必要がある。(5) 関係部署の連携
精神病院に対する指導監督権限を有している部署が複数にまたがっているが、府の行政において、個々に指導監督するのではなく、より効果的になるように、有機的に連携することが不可欠である。
そのために、精神病院への立ち入り検査・調査を共同で実施するほか、個々の関係部署で保有している精神病院関係の情報を可能な限り相互に照合し、指導監督に活かしていくことが、求められる。3 第三者機関としての人権擁護機関の機能強化とネットワークの構築
(1) 人権擁護機関に要請される基本的事項
第三者としての人権擁護機関は、精神病院内において入院患者を巻き込んで展開する人間関係の実態を把握するとともに、入院に至った人間関係の確執や軋轢がもたらす心理的負担を軽くするような調整能力が求められている。
そして、入院患者に対する人権侵害の内容が、暴力行為や生命の危険に該当する虐待であれば、すぐに別の空間に身柄を移すことができるよう調整することが必要であり、また、その人権侵害の内容が、入院患者に対する無視と放置であれば、入院患者のニーズにあったサービスをきちんと提供できるよう第三者として支援し、サービス計画が進展しているかを定期的に確認しながら、患者本人の様々な依頼事項の対応に当たることが必要である。本人の意思が不安定なときは、時間を保留し、本人の想いが整理されるのを見守るべきである。
それらの援助を行うに際し、精神病院の主治医や精神科ソーシャルワーカー、保健所、福祉事務所、大阪後見支援センター“あいあいねっと”、高齢者・障害者総合支援センター“ひまわり”、府立こころの健康総合センター、市民団体による第三者的権利擁護機関である大阪精神医療人権センター、そして、精神医療審査会などが個別事例ごとに必要に応じて連携・協議を尽くし、可能な限り早期の対応をとっていくことが要請される。(2) 人権擁護機関のネットワークの構築
精神科医療においては、人権擁護を進めていく上で、前述したように様々な課題を有しているので、まず、精神病院側の対応として、個別のきめ細かな問題解決能力を持つことが求められている。
さらに、保健所職員などのある一定の有資格者が予告なしに精神病院への立入権を特別に認められるようなシステムを制度化することに加えて、第三者機関が大阪精神病院協会などの協力を得て、精神病院を任意に事前予告なく、いわゆる“ぶらり訪問”ができる制度や精神科医療に関するオンブズマン制度の構築が検討されるべきであり、また、これらの制度を精神病院側が受け入れる姿勢を持つことが必要である。
入院患者の立場に立った権利擁護を主たる目的とする第三者機関が、保健所などの行政から独立して活動するシステムを構築しなければ、本来必要とされる迅速な行動をとることは困難であろう。
平成14年度(2002年度)以降、府立こころの健康総合センターに精神医療審査会の事務局が移行する。同センターは、精神保健福祉の社会資源に関する調査・研究の機関でもあり、また、府保健所の精神保健福祉相談員や鑑定業務に携わってきた職員等が配置されている。これらの点を考慮すると、同センターを軸として、実効性のある精神障害者の人権擁護システムの確立を図ることが適当であり、精神障害者のための各人権擁護機関のネットワークとオンブズマン制度の構築を検討する「権利擁護検討委員会」を立ち上げることが必要である。
この権利擁護検討委員会には、[1]軸となるべき、府立こころの健康総合センターの常勤スタッフ、[2]利用者の立場に立った窓口として入院患者からの情報に基づいた活動を行い、精神障害者と信頼関係を築いてきた大阪精神医療人権センター、[3]後述するセルフ・アドボカシーの担い手となるべく、毎週2回の電話相談事業を継続して行ってきている大阪精神障害者連絡会(ぼちぼちクラブ)、[4]大阪弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター“ひまわり”、[5]大阪後見支援センター“あいあいねっと”、[6]精神科医療の提供側として、大阪精神病院協会、大阪精神科診療所協会、日本精神科看護技術協会大阪府支部、大阪精神医学ソ−シャルワ−カ−協会(大阪精神保健福祉士協会)などの参加を求めることが不可欠である。これらの各団体・機関のネットワークの緊密化と強化なしには、公正かつ迅速な精神障害者の人権救済は不可能であると言ってよい。
このような役割を担う権利擁護検討委員会を立ち上げるには、その事務局の確保、人員の配置等が必要であり、そのための関連予算の確保も検討されるべきである。
大阪府は、過去においても、その独自条例として「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」を制定してきた実績がある。それと同様に、人命に関わる、決して見過ごすことのできない人権侵害の事態が発生している精神科医療の現状に対して、大阪府が積極的な対応策を打ち出していくことが求められている。
権利擁護検討委員会において議論された様々な活動や方策が実行に移されていく中で、外部の第三者による精神病院への任意の訪問や医療内容に関する質疑等に対して、オープンに対応できる雰囲気がつくり出されるであろう。そして、人権尊重の視点が浸透し、ひいては安心し、信頼して受けることのできる精神科医療の実現を通じて、精神障害者に対する社会一般の差別と偏見の除去につながることが期待されるのである。
その重要な役割の一翼を大阪府が担っていくという基本姿勢を表明することの意義は極めて大きい。(3) 精神障害当事者による権利擁護活動(セルフ・アドボカシー)
入院患者の人権を確保していくためには、人権擁護機関や精神病院の努力だけでなく、精神障害当事者自身が権利擁護能力を向上させていくこと、いわゆるセルフ・アドボカシー(self advocacy) が欠かせない。例えば、まだ件数は少ないが、同じ精神障害当事者として入院中の患者の相談や面会活動などを行うセルフ・ヘルプ活動が取り組まれている。また、精神病院は、セルフ・アドボカシーが可能となるように、病院内に入院患者の権利について記載したポスターなどを作成・掲示していくことが必要である。
このため、大阪府は、精神障害当事者の活動の重要性を認識して、各種情報の提供を行い、セルフ・アドボカシーを支援することが重要である。4 情報公開・実態調査の推進
(1) より開かれた情報公開制度
医療機関の情報は、法人自体のプライバシー保護の観点から非公開となるべきものではなく、府民の生命に直結するものであるから、原則公開にすべきである。
医療に関する情報は、非常に高度な公益性があり、府民にとって有用性と緊急性をもつものであることから、当然、情報公開の対象とすべきものである。精神科医療に関するものとして、医療監視の情報、精神病院実地指導の情報を可能な限り公開し、精神病院の医療の質の改善につながる仕組みを構築していく必要がある。
一方、精神医療審査会に持ち込まれる入院患者からの請求や苦情の内容そのものを情報公開することによって、精神科医療の現場で今何が問題になっているかを明らかにすることもできる。
大阪府においては、関係法令ごとに精神病院に関する指導監督部署が異なるため、それぞれの部署の連携と指導監督の一元化とともに、情報公開基準や内容の統一についても精査する必要がある。大阪府が所有している複数の情報を照らし合わせて、精神病院の施設基準が満たされているかをチェックできる体制の構築が必要である。さらに、精神病院における入院患者の人権尊重のために情報公開されるべき情報を収集するとともに、それを積極的に公開していくことが必要である。
府民の立場からは、情報公開請求に対して非公開となった精神病院に係る情報についても大阪府情報公開審査会を活用して、積極的に公開させるという実績を積み重ねていくことが必要であり、そのためにも、もっと不服を申し立てしやすい仕組みが工夫されるべきである。
また、府民からの情報公開請求を待つまでもなく、精神病院に関する重要な情報については、大阪府自らが進んで公表していくことが重要である。(2) 情報公開の範囲
府民が大阪府内の精神病院における精神科医療や処遇等について、一般的に把握するために参考とすることができる資料として、厚生省の指示により、大阪府が毎年6月30日時点で調査している「精神保健福祉資料」があることは、先にも触れたとおりである。この資料については、既に平成9年(1997年)度から全面公開されており、一定の手続きを踏めば手にすることができる。
したがって、現状では、厚生省の指導や指示によって原則非公開とされている医療監視や精神病院実地指導の情報について、その公開に向けて検討を継続していく一方、精神医療審査会の審査内容についても、その報告後には入院患者や関係者のプライバシーに配慮して積極的に情報公開していくよう改善すれば、ある程度、精神病院の全貌を把握していくことが可能となる。
そして、情報公開の現状と課題の項でも触れたとおり、[1]入院患者の転帰、[2]病床の回転率、3カ月未満の在院患者率、4年以上の在院患者率、死亡退院率、[3]常勤医療従事職員1人当たりの入院患者数、1病床当たりの月間外来数、[4]費用区分、[5]年齢区分を細分化した入院患者数、[6]院内感染の実態、[7]常勤医、非常勤医、看護婦の数及び氏名、1週間の勤務時間数などの情報も綿密に収集され、公開されるべきである。
なお、これらの情報の公開が困難である理由が、厚生省の指導や指示によるのであれば、適切な情報公開が可能となるように厚生省に働きかけることが必要である。
また、精神病院自身がその情報を自ら公開していく努力も必要であり、その姿勢が社会的に、あるいは行政による指導監督において評価されるシステムを構築することも重要であろう。これについては、精神病院によって公開された情報が真実か否かの確認の難しさや医療法により医療機関が自らの広告を制限されている点などの越えなければならないハードルがある。(3) 適切な医療及び保健福祉サービスの確保のための実態調査の実施
精神病院の医療の質を向上させ、人権に反した医療ケアを是正し、保健福祉サービスを充実させていくためには、その実態に関する調査も必要である。
現行の「ふれあい おおさか障害者計画(平成6年(1994年)3月策定)」は、その計画期間が平成14年度(2002年度)までとされており、平成15年度以降の精神障害者の施策に反映させるためにも、平成12年(2000年)ないし平成13年(2001年)中には少なくとも1回程度、精神障害者の方々のニーズとサービスの状況を把握するための実態調査が必要であろう。実態調査の手法としては、精神障害当事者の視点に立った実態調査であることが大切である。具体的には、長期在院の実態、病院における処遇の状況、退院後の地域の受け皿づくりをどうしていくのかということを明らかにする調査が必要であると考えられる。(4) 継続的な調査・把握の実施
実態調査のような大規模な調査の手法以外にも毎年継続的に頻回に行うべき調査や把握手法も用意されなければ、医療の質の改善や人権擁護は不十分なものとなってしまう。
そこで、例えば生活保護受給者の場合、福祉事務所が毎年1回、精神病院を訪問しているように、すべての精神障害者の入院患者に対して、毎年その状況が継続的に把握されうる手法について、今後、検討していく必要がある。また、その場合には、単なる入院継続の確認に留まることなく、基本的に退院促進、地域における総合的な支援に結びつけていくことが大切である。
また、大阪精神医療人権センターが精神病院を調査し、その結果を「扉よひらけ」という情報誌に取りまとめたように、精神障害当事者による精神病院訪問調査も有効であろう。精神病院における精神科医療サービスの質を向上させる動機づけとなるような調査が望ましいものであり、医療の質の改善、医療従事職員の研修に役立つような資料、あるいは人権侵害を未然に防ぐための仕組みづくりということを考慮しても、精神病院の実態を常時モニターしていくような活動を並行して行っていく必要がある。5 医療従事職員の意識啓発の強化
(1) 意識啓発の手法と考え方
精神科医療サービスの提供が行われる場において、サービスを受ける人々の人権が問題になる最大の理由は、サービス利用者が時には利用選択の自由を持たず、強制的に利用させられるという関係から生じている。さらに、サービス利用者が提供者の指示に従わないことなどからサービス提供者が利用者について「病識がない」と決め付け、人員不足という理由から個別処遇への配慮が欠如し、危険の「おそれ」から過剰防衛的対応をし、自由を束縛することが保護の名の下に正当化されてしまうことなどがそれを拡大し、精神病院の閉鎖性、密室性が市民感覚を麻痺させていることも、これに追い討ちをかけている。
このような状況は、過去の行政の指導監督、我が国の精神科医療体制への貧しい準備、精神科医療への人々の偏見なども関係している。
サービス利用者つまり入院患者の人権を守るためには、これらの多くの要因について精神科医療サービスを提供する人々が改めて認識し、入院患者の人権について医療従事職員以外の人々とともに自由に議論し、共通認識を持ち、しかも何度も見直しを行いつつ、人権に配慮した精神科医療サービスを提供しようとする意欲と高い見識を持つことが要求されている。しかしこのような立場に立とうとしても、入院患者の家族や地域の住民などの周囲の人々の人権や、医療や看護を提供する人々の人権にも配慮しなければならないというバランス感覚も要求されている。
歴史的に見れば、人権意識は常に変遷してきたものであり、市民感覚、他の障害者についての感覚、国際的な感覚を持ちあわせ、常に敏感であることを要求されている。
このような見識を精神科医療従事職員が持つには、以下のようなことが要求される。
[1] 精神科医療従事職員の意識改革、すなわち、まず、施設の長が自ら、あるいは職員全員が人権について見識を持つことが必要であるという意識を持つことである。
[2] 各種評価による医療の質の向上
[3] 施設内外の人権研修(2) 各種評価による医療の質の向上
[1]施設内評価、[2]施設間評価、[3]第三者による評価、[4]精神障害当事者による評価、などを積極的に行い、自らの医療や看護あるいは施設での処遇を点検し、改善していくことが必要である。
[1] 施設内評価……自動車運転免許の更新時に行われる自己チェックシートの人権版のようなもの、つまり、職員一人ひとりの人権意識を確認するといったものが考案されることも期待される。また、アメリカ合衆国では、「精神疾患患者の保護と権利擁護法」が昭和61年(1986年)に制定され、その中で、精神病院内に権利擁護者を置くことが規定されているが、大阪府内の精神病院においても同様な人権擁護者を置くことが期待される。さらに、社団法人日本精神病院協会が2回にわたって会員に勧めた「精神病院機能自己評価表」なども積極的に使用すべきである。これは他の病院と協力し、病院機能に係る全体の平均、最高値及び最低値を出し、その値と自己の施設を比較し、自らの位置を確かめるという意味では次の[2]に近いが、その比較の上で何年か後に再び評価し、自己の病院の変化を自ら評価することも大切である。
平成12年(2000年)の診療報酬改定で、人権擁護委員会を置くことが診療報酬上、評価されるという案が出ているが、このような裏付けが同委員会の設置を推進して人権意識が向上することは喜ばしい。ちなみに、人権擁護委員会の委員に理事長や病院長が参加することは大切であろうが、委員長にはなるべきでない。
[2] 施設間評価……現在、大阪精神病院協会で行われている同協会会員の病院相互訪問である「ピア・レビュー」及び日本精神科看護技術協会大阪府支部の病院訪問活動が今後も続けられ、医師・看護職員などの意識を深めるために、大阪府内の全病院、そして広く医療従事職員層にまで拡大されることが期待される。
[3] 第三者による評価……第三者による評価として最も重要な部分を占めるのは、医療法に基づく医療監視、精神保健福祉法に基づく精神病院実地指導であろうが、これらは、大和川病院事件が解決に時間がかかったことからも形式的、表面的な審査に留まらず、平成10年度(1998年度)から精神病院実地指導で行われるようになった病院職員や入院患者への聞き取り調査などは、精神病院に対する指導監督を形式的なものに終らせない一つの方法であろう。ちなみに、通商産業省は近時、「指導」の用語を「支援」に変えたが、厚生行政でも医療支援、実地支援などへの対応変化は必要かもしれない。また、医療監視や精神病院実地指導のような強制的なものではなく、自発的に評価を得ようとするものに、財団法人日本医療機能評価機構の病院機能評価が挙げられる。この機構が行う評価のための評価表は人権問題のみを扱うものではないが、自己の病院に対する第三者の評価を受けようという姿勢を持つという点で評価される。平成11年度(1999年度)、NPO法人である大阪精神医療人権センターが病院訪問調査についての報告書を情報誌「扉よひらけ」として出版したことについては前章でも触れたとおりであり、次の[4]に一部該当する部分もあるが注目される。このような評価を自主的に受け入れた大阪精神病院協会の姿勢も共に評価されるべきである。
更に簡単な第三者評価に当たるものはボランティアの導入であろう。入院患者のプライバシー保護がこのボランティア導入に対する反対論の根拠に挙げられるが、入院時の入院案内にボランティア導入を明示し、同意を得ることと、ボランティアの教育が徹底されれば問題になることは少ない。
[4] 精神障害当事者による評価……これは、いわゆる入院患者満足度調査の形でスケールを用いて調査されるものであるが、病院の外部からの評価によって自らの病院の施設やサービスの評価を確かめることは重要である。さらに、この中に人権に対する対応についての項目を入れることが望まれる。(3) 施設内外の人権研修
さらに、精神科医療機関では、[1]施設内、[2]施設外、で人権についての研修を行い、これに積極的に参加することが期待される。
[1] 施設内の人権研修……これは、2の[1]で述べたような「人権擁護委員会」が中心となって医療従事職員のための研修を行うことが望まれる。特に、近時の精神保健福祉法の改正、成年後見制度の改正に伴う民法等の改正に当たっては、医療従事職員にこれらの法改正を周知させるための研修会などが開催されることが必要である。従来から、同和問題研修が企業等において推進されてきたが、これと同様に精神病院の自己革新の1つのバロメータともなるであろう。このとき、精神科医療従事職員内部だけの研修ではなく、診療所、精神障害当事者、弁護士などの法律家、人権諸団体の意見も反映される研修が行われることは、次の[2]でも同様であるが必要である。
[2] 施設外の人権研修……この研修では、大阪府レベルの広域でオーソライズされた研修が企画され、医療従事職員が積極的に参加することが必要である。他のいくつかの府県で毎年自主的に行われている指定医研修会なども、強制参加か自主的参加かにかかわらず、大阪府が主催者となって行われることが必要なことである。
このような研修については、指定医に限らず、最も入院患者との接点の多い看護者に対する研修も企画されなければならない。これまでも行われてきた精神科医療機関社会福祉職員、心理職員研修などへの参加は、約半数の病院に留まっていることからも積極的参加が望まれる。研修プログラムやテキストの開発、講師の派遣については、府立こころの健康総合センターが中心となって行うべきである。
(社)大阪精神病院協会、(社)大阪精神科診療所協会、(社)日本精神科看護技術協会大阪府支部などが自主的に行っている研修会も更に充実されることが望まれる。今後は、各職種内の研修に留まらず、異なる職種間の横断的な研修会の実施も望まれる。(4) 意識啓発の方向性
研修とは、本来自主的に行うべきものであるが、出席を期待した病院からの参加が少ないことや、これまで、精神病院の不祥事が後を絶たなかったことなどから考えると、ある程度強制的に研修を義務づけたり、研修プログラムに参加していることが病院実地指導上の基準としたり、大阪府の実施する研修に参加しない病院名を公開したり、あるいは研修認定書を発行したりすることもやむを得ないかもしれない。
精神病院全体が人権への意識を昂揚するには何よりも当該医療機関の理事長、院長が熱意を持ち、全職員が意識を高めるための時間と費用を惜しまないという姿勢を持つことが大切である。
さらに、特に2の[3]、[4]で得た評価、注意点を詰所等に掲示するなどして医療従事職員に公表し、また、できれば入院患者にも精神保健福祉法、厚生省告示などをポスター等にして公表するとともに、他機関からの評価も公表することが求められる。
いずれにしても、人権意識の向上は、常に上記のことに目を向け、立案し、実行し、自ら評価し、あるいは他から評価され、再び立案するというマネージメントサイクルの中で実現されていくことが重要である。6 医療の質の改善
(1) 医療の質の改善のための方策
本意見具申ではこれまで、我が国の精神科医療の歩みや大阪府の精神科医療の現状をを踏まえて、大阪府における課題とその提言について述べてきたが、それらすべてを加味し、全体として医療の質を改善するためには何が必要であるかを最後にみていきたい。
精神科医療が「保護」の考え方に依拠すれば、治療なき収容に陥る危険性が絶えず存在する。入院患者の権利や主体的な快復が阻害されてしまいがちな精神病院の医療現場には改善が必要である。入院治療は継続的な支援過程の一エピソードに過ぎず、その人らしく生活する地域での援助につなげていくための支援であるという考え方を念頭に置いた治療が必要であろう。そのため、入院患者の側に立った精神科医療・処遇の指針を明確にする必要がある。指針は、入院患者に分かりやすく、理解されやすく、安心して治療を受けられる内容のものが望まれる。
それは、直接、精神科医療に関わる者は当然のこと、すべての医療従事職員に遵守する責任のあるものとすべきであろう。しかし、入院患者への管理責任を負わせられた精神病院がその実行に当たって生じる限界には、外部からの改善への助言を必要とする。
保健所の精神保健福祉相談員が今まで以上に、自由に精神病院の病棟に立ち入り、入院患者の人権擁護や治療・退院後の生活相談が行われ、精神病院側に助言を行うようなシステムが必要である。具体的には、保健所のスタッフが院内チーム医療に協力し、退院後の生活支援を確保していくことが望まれる。
このような日常活動が展開されれば、医療監視や精神病院実地指導の内容も自ずと変わっていくこととなるであろう。精神病院と行政機関の双方から具体的な課題を出し合い、検討することも起こり得ることである。医療監視や精神病院実地指導の情報公開も無理なく行われることになる。
また、医療上の処遇の指針とは別に、入院患者の保障されるべき権利の内容を「患者の権利宣言」として明確化する必要がある。治療を受ける精神障害当事者の権利の明確化は、個別の治療内容を一層豊かなものにしていく可能性がある。また、それは地域社会における障害者としての尊厳を醸成し、ノーマライゼーションを確たるものにしていくであろう。それを受けて、権利を実効あるものにするために人権擁護システムが機能することになる。
精神科医療の密室性は取り壊される必要がある。前提として開かれた医療があって初めて、医療サービス利用者の選択が可能となる。そのことは、精神科医療が社会的に認められるためにも必要なことである。(2) 指針(権利の明文化)の策定に向けて
本審議会としては、精神科医療全体の質の向上及び改善のために、次頁に「「入院中の精神障害者の権利に関する宣言」を掲げ、また「精神科病院における入院患者処遇の指針(資料編に記載)」を示し、大阪府が、これらを今後、入院患者の人権に関する指針として活用することを提案する。〜入院中の精神障害者の権利に関する宣言〜 入院中の精神障害者は、適切な医療を受け、安心して治療に専念することができるよう、次の権利を有しています。
これらの権利が、精神障害者本人及び医療従事職員、家族をはじめすべての人々に十分に理解され、それが保障されることこそ、精神障害者の人権を尊重した安心してかかれる医療を実現していく上で、欠かせない重要なことであることをここに明らかにします。1 常にどういうときでも、個人として、その人格を尊重される権利
暴力や虐待、無視、放置など非人間的な対応を受けない権利2 自分が受ける治療について、分かりやすい説明を理解できるまで受ける権利
自分が受けている治療について知る権利3 一人ひとりの状態に応じた適切な治療及び対応を受ける権利
不適切な治療及び対応を拒む権利4 退院して地域での生活に戻っていくことを見据えた治療計画が立てられ、
それに基づく治療や福祉サービスを受ける権利
5 自分の治療計画を立てる過程に参加し、自分の意見を表明し、
自己決定できるようにサポート(援助)を受ける権利
また、自分の意見を述べやすいように周りの雰囲気、対応が保障される権利6 公平で差別されない治療及び対応を受ける権利
必要な補助者“通訳、点字等”をつけて説明を受ける権利7 できる限り開放的な、明るい、清潔な、落ちつける環境で治療を受けることができる権利
8 自分の衣類等の私物を、自分の身の回りに安心して保管しておける権利
9 通信・面会を自由に行える権利
10 退院請求を行う権利及び治療・対応に対する不服申立てをする権利
これらの権利を行使できるようサポ−ト(援助)を受ける権利
また、これらの請求や申立てをしたことによって不利に扱われない権利大阪府精神保健福祉審議会(平成12年 (2000年) 5月19日)
「はじめに」にも記したように、精神障害者の『人権』について、日本国憲法や国際連合での決議など国際社会において一般化・普遍化している障害者を含む人権の意義と基本的な考え方を踏まえ、改めてその意味や内容を確認して、精神病院における入院患者の人権尊重を基本とした適正な医療の提供と処遇の向上を図るために、本審議会は大阪府に意見具申を行なうものである。
このため、本審議会では、審議にあたっては、府民に公開された場で、形式にとらわれず、大阪府の関係部局からの出席を求め、積極的な質疑を行なうとともに、立場の異なる委員間においても、活発な意見交換等を積み重ね、意見具申を取りまとめた。
国においては、従来の課題である人権に配慮した精神医療の確保及び社会復帰の促進に加え、地域生活に着目し、その支援のための「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律」の大幅な改正(平成11年(1999年))6月4日公布)を行なった。
また、大阪府においては、少子高齢化を背景に、ますます増大・多様化する府民のニーズに対応するため、保健医療分野と福祉分野が一体となった総合的なサービスの提供をめざし、保健衛生部と福祉部を統合して「健康福祉部」を設置するなどの大規模な組織改革が行なわれるとともに、来る21世紀を「人権の世紀」とするため「大阪府人権尊重の社会づくり条例」を制定し、障害者をはじめすべての人の人権が尊重される社会づくりに向けて積極的な取り組みを進めているところである。
大和川病院事件以降も、全国的にみると精神病院における人権侵害事案が散発している。
この意見具申が、精神病院の入院患者の人権の尊重を基本とした適正な医療の提供と処遇の向上に資する、大きな第一歩となることを願わずにはいられない。
本審議会は、大阪府が、この意見具申に託された精神障害者やその家族の願いを十二分に汲み取り、今なお差別や偏見を受けることが多い精神障害者のための医療の質の向上に最大限努力をすること、また、この意見具申の内容が入院患者の皆さんの手に容易に渡ることができるように努めること、また、そうすることをその病院が誇れるようになることを期待するものである。
資料編
1 精神科病院における入院患者処遇の指針
2 大阪府精神医療審査会及び精神病院入院者実地審査の実績
3 平成9年度(1997年度)及び平成10年度(1998年度)の精神保健福祉行政
関連の情報公開請求への対応実績
4 大阪府精神保健福祉審議会委員及び臨時(医療人権部会)委員名簿
5 「医療人権部会」審議経過
6 参考資料一覧表
他はこころのオアシス→資料→http://www.iph.pref.osaka.jp/kokoro/resource.html
● 大阪府における障害保健福祉圏域・市町村別精神障害者推計数
「大阪府における障害保健福祉圏域・市町村別精神障害者推計数と精神障害者施設設置状況・障害者プラン目標数」付属● 大阪府精神保健福祉審議会 答申
「大阪府障害保健福祉圏域における精神障害者の生活支援施策の方向とシステムづくりについて」大阪府は行政なんだから、Wなんて外字は使ってはいけませんね。 ネチケット違反です。Macでは文字化けして(協)で表示されます。 このページのTopへ 労働情報のページへ 精神医療ニュースへ
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