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■生活保護費削減:厚労省と地方の対立が深刻に
<2005年11月22日 毎日新聞>国と地方の税財政を見直す「三位一体の改革」で焦点となる補助金削減問題で生活保護費の国負担の削減を目指す厚生労働省と、反対する地方側の対立が深刻さを増し、抜き差しならない状態だ。仮に削減分が税源移譲されても地方への分権効果は乏しく、将来の負担増が予想されるためで、地方側は業務の返上も辞さない強硬姿勢をみせる。国と地方の役割分担の論議を後回しにしたままで補助金削減を先行させたことによる「ひずみ」が、混乱を拡大した面は否定できない。
◆地方
自治体の抵抗のさきがけとなったのは、国に対する保護世帯数など月別データの提供を停止する動きだ。政令指定都市が最初で、すでに首都圏や九州の自治体計5県152市10町村に広がった。
さらに、補助金が削減された場合の対抗措置の第2弾として、全国知事会(会長、麻生渡・福岡県知事)など地方6団体が18日、来年4月から新規の生活保護受給申請の受け付け事務を行わない方針を確認した。データ提供は停止してもすぐ業務に影響しないが、受け付け事務を返上すれば、混乱は避けられない。
中でも、14の政令指定都市の市長で構成する指定都市市長会(会長、松原武久・名古屋市長)は削減反対の急先ぽうに立つ。経済成長期に地方から移った労働者が高齢化したことなどを背景に、都市部ほど保護率が高く、国庫負担金が削減された場合の影響が大きいためだ。政令・中核市の中で04年度最も生活保護率が高かった大阪市(3.81%)は、受給者が約10万人。05年度の生活保護予算は2206億円で一般会計に占める割合は12.8%にも上る。「これ以上の負担増は認められない」と神経をとがらせる。
◆厚生労働省
一方、厚労省も「削減」の看板を簡単には下ろせない。官邸から5040億円の削減割り当てを課せられ「生活保護を入れないと(割当額に)足りない」(川崎二郎厚労相)と、同省所管の他の補助金に波及するためだ。
生活保護は憲法25条の「生存権」規定に基づき、1950年に始まった。(1)食費や光熱費などの生活扶助(2)アパート家賃などの住宅扶助(3)医療費にあたる医療扶助−−など8種類。事務は、地方が国の事務を代行する「法定受託事務」として都道府県や市が実施している。都道府県や市は福祉事務所を置き、保護申請を受けてからさまざまな調査を経たうえで最低生活費から収入を差し引いた額を支給。費用は国が4分の3、地方が4分の1の割合で負担している。
同省が地方に打診している案は、住宅扶助の全額削減に加え、生活、医療扶助の国庫負担率も2分の1に引き下げ、税源とともに給付基準の一部を設定する権限を地方に移譲する案だ。
1月時点の受給者は144万人で、05年度の総額(予算ベース)で2兆5245億円に上る。単身高齢世帯や失業者の増加で今後負担が増えることが予想されるだけに、溝は容易に埋まりそうもない。
■医療費抑制へ「目安指標」・諮問会議、導入で一致
<2005年11月23日 日本経済新聞>政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は22日、医療制度改革に関し5年後の医療給付費の見通しを「目安指標」として策定することで一致した。国内総生産(GDP)など経済規模を参照しながら給付費の見通しを策定。実際の給付費が目安を超えれば一段の抑制策を導入する。
医療費抑制のための中期目標の基本的な考え方が固まった。ただ目安を超えた場合にどこまで抑制策を打ち出せるかはあいまいで、今後の焦点となる。
■医療費、全面オンライン請求へ・厚労省、不正見抜きやすく
<2005年11月22日 日本経済新聞>
厚生労働省は21日、医療機関から健康保険への医療費請求について、2010年度をメドに現在の紙による明細書の送付から専用回線によるオンライン請求に全面移行させる方針を明らかにした。06年度から段階的に導入し、原則すべての病院や薬局に義務づける。請求内容を電子化することで健康保険の運営側は医療費の不正請求を見つけやすくなる。
厚労省はまず06年度から紙に加えてオンラインによる診療報酬明細書(レセプト)の送付を認める。その後、大病院、薬局から中小病院、診療所へと段階的にオンライン請求を義務づけ、10年度をメドにオンライン以外の請求を原則禁止する。
■世界のエイズ死者、累積で2500万人超える
<2005年11月21日 読売新聞>
世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画は21日、世界のエイズウイルス(HIV)感染者の推計が過去最悪の4030万人に達し、死者の累積数が2500万人を超えたとする報告書を公表した。
報告書によると、今年HIVに感染した人は490万人で、死者は310万人。感染者、新規感染者とも2年前に比べ7%増え、増加傾向に歯止めがかかっていない。
感染者数は、サハラ砂漠以南のアフリカで、2年前に比べ90万人増の2580万人となり、全体の6割を占めた。増加率が高いのは東欧と中央アジアの33%増。アジア・太平洋は109万人増の834万人と、サハラ以南アフリカの増加数を上回った。特にインドやインドネシアで薬物常習者と性労働者の感染が広がっている模様だ。
抗HIV薬による治療者数について、WHOは2年前に途上国で300万人との目標を掲げたが、今年末で100万人にとどまる見込み。ただ今年だけで25〜35万人の命が助かるなど、成果は上がりつつある。
報告書は日本にも言及。10年前に比べ新規感染者が倍増、男性同性愛者がその約6割を占め、感染者全体の3分の1が30歳未満の若者だと指摘している。
■医療費、GDP連動見送り 個別目標積み上げで抑制 政府与党、医療制度改革で
<2005年11月15日 共同通信社>政府、与党は14日、来年度の医療制度改革で、医療給付費を経済財政諮問会議の民間議員らが求めてきた国内総生産(GDP)などマクロ経済指標に連動した数値目標で総額管理する手法は導入せず、給付費は個別の抑制目標を積み上げて抑制していくことを決めた。
財務省や諮問会議の民間議員は、医療給付費を国民が負担できる範囲に収めるために経済指標と連動した管理を唱えてきたが、厚生労働省が「公的医療保険は総額管理にはなじまない」と反発。与党内でも財務省などの主張に理解は広がらず、財務省や民間議員側も導入を断念した形だ。
ただ、同日の諮問会議で、民間議員側は来年度から5年間を集中改革期間と位置付け、2010年度の医療給付費の抑制目標を策定するよう提案。小泉純一郎首相、与謝野馨経済財政担当相も同調した。実現のためには、診療報酬の大幅な引き下げや医療費の一部を公的医療保険の対象外とする保険免責制度導入などが課題となる。
また、財務省などは医療保険制度が持続可能となるよう医療給付費の伸びを財政が支えることができる範囲に抑制すべきだとし、国として5年程度の期間で抑制目標を設定。給付費の伸びを毎年度この目標に照らして検証し、膨張している場合には適宜政策の見直しを行うなどの厳しい手法の導入を要求していく構えだ。
■医療費抑制、給付総額に数値目標 政府・与党調整入り、経済指標と連動見送り
<2005年11月15日 読売新聞>
政府・与党は14日、医療制度改革の焦点となっている医療給付費抑制策について、医療給付費総額の数値目標を導入する方向で調整に入った。
経済指標と連動した数値目標設定を求めていた経済財政諮問会議の民間議員らが、必ずしも連動を求めない方針に転換したことから、一定の数値目標を掲げる案が浮上したものだ。国内総生産(GDP)比も盛り込んだ形で、数年程度の数値目標とすることなどを検討している。
14日の政府・与党医療改革協議会で、川崎厚生労働相は「医療給付費抑制は政策目標を積み上げて行うべきで、それと経済規模と照らし合わせるようなやり方を考えるべきだ」と発言し、異論は出なかった。与党内でも、自民党の中川政調会長らが「何らかの目標値はあり得る」と主張、給付費抑制の努力目標を示すべきだとの意見が強まっている。
厚労省が先に発表した改革試案では、生活習慣病や、平均在院日数などの抑制策に数値目標を設定し、その積み上げにより2025年度時点で7兆円抑制できると試算している。こうした手法を用い、努力目標を示すことになると見られる。
医療給付費抑制策を巡っては、経済財政諮問会議の民間議員が14日、従来の方針を転換、抑制策積み上げで国民の理解が得られる水準を5年程度の中期的目標として掲げるよう求める案を発表した。
一方、同日の政府・与党協議会では、70歳以上の高齢者窓口負担について、現役並み所得者は現行の2割から3割に引き上げる方針で大筋一致した。
■医師と看護師を書類送検 抗てんかん薬注射後死亡で
<2005年11月15日 共同通信社>東京都大田区の城南福祉医療協会大田病院(村岡威士(むらおか・たかし)院長)で2001年、抗てんかん薬の注射を受けた女性患者=当時(62)=が死亡した医療事故で、警視庁大森署は15日、業務上過失致死容疑で女性を診察した男性医師(41)と抗てんかん薬を注射した女性看護師(48)を書類送検した。
調べでは、女性は01年9月30日夕、てんかん発作の症状を訴えて救急外来を受診した。医師の指示で看護師が抗てんかん薬「アレビアチン」を注射。医師は帰宅、看護師は別の患者の応対をした。しばらくして女性が嘔吐(おうと)物をのどに詰まらせぐったりしているのに看護師が気付き、蘇生(そせい)処置を施したが、まもなく死亡した。
アレビアチンは劇薬で、呼吸停止や嘔吐などの副作用があり、大森署は注射後に患者の経過観察を怠ったのが原因とみて調べていた。
- この事故について大田病院は見解を公表していました「当院における窒息死事故についての見解」
■患者窒息死で医師に有罪 転院搬送で口にティッシュ
<2005年11月15日 共同通信社>女性患者=当時(31)=を千葉の病院に転院搬送中、口にティッシュペーパーなどを詰め窒息死させたとして、業務上過失致死罪に問われた東京都杉並区のクリニック院長、宝喜正身(ほうき・まさみ)被告(44)に千葉地裁の宮本孝文(みやもと・たかふみ)裁判長は15日、禁固10月、執行猶予3年(求刑禁固10月)の判決を言い渡した。
判決によると、宝喜被告は2001年1月、患者=杉並区=を自宅から千葉県の病院に車で搬送する際、暴れて舌をかまないようティッシュやタオルを口に詰め込んだ。女性は呼吸困難になり、搬送先病院で窒息死。搬送には職員が当たり、宝喜被告は同行しなかった。
弁護側は「自殺防止のためやむを得ない措置」と無罪を主張したが、判決は「自ら同行するなどの医師として果たすべき注意義務を怠った」と退けた。
■病院で職員ら3人刺す 1人重傷、殺人未遂で逮捕
<2005年11月15日 共同通信社>14日午後4時25分ごろ、大阪市西成区長橋1ノ2ノ7、大和中央病院(だいわちゅうおうびょういん)(田中一穂(たなか・かずほ)院長)の7階通路で男が包丁を振り回し、取り押さえようとした医事課職員阿閉誠一(あとじ・せいいち)さん(31)=大阪府堺市=と女性看護師2人を刺した。
阿閉さんは左脇腹を刺され重傷。看護師の大星喜美代(おおぼし・きみよ)さん(43)=大阪市西成区=と小西政子(こにし・まさこ)さん(41)=同市北区=が手などに軽いけが。
別の男性職員(31)が男を取り押さえ、110番で駆け付けた西成署員が殺人未遂の現行犯で逮捕した。
男は住所不定、無職鷲野健二(わしの・けんじ)容疑者(48)。調べに「入院中や退院時に、薬が欲しいと言ってもくれず、病院の対応に腹が立ってやった」と供述しているという。
調べなどでは、鷲野容疑者は西成区の簡易宿泊所を転々とし、8月から同病院に糖尿病などで入院。14日午後、退院したが、約2時間後に再び訪れ、7階のナースステーション前で「薬をくれ」などと言いながら、数日前に購入した包丁(刃渡り約20センチ)を振り回した。
阿閉さんは1階の医事課から駆け付け、近くにいた大星さんらと取り押さえようとして刺された。当時、周囲には患者ら数人がいたが、けがはなかった。
同病院は「9月に療養病棟に移ってからは退院を勧めていた。治療は適切で、トラブルがあったとは聞いていない」と話している。
病院は、市営地下鉄四つ橋線花園町駅の北約200メートルの住宅や商店が並ぶ一角にある。
■発達障害ネット、12月発足 団体や学会が連携し支援
<2005年11月15日 共同通信社>学習障害(LD)児の保護者でつくる「全国LD親の会」や「日本自閉症協会」など5団体は14日、各団体や学会が協力し発達障害のある人を支援する全国的組織「日本発達障害ネットワーク」を12月3日に発足させると発表した。
これまでは各団体が別々に活動していたが、障害の症状が同じだったり行政への要望が一致する部分もあったりするため連携することにした。乳幼児期から学校卒業後の成人まで生涯を通して支援し、対象者は数百万人に上ると推計している。
当初は5団体を含め約20の組織が参加しスタート。都道府県レベルの連携も進める。活動内容は(1)自治体の支援の状況調査(2)国への要望や情報交換(3)発達障害者支援法の見直しに向けた研究や提言-など。
12月3日は東京都武蔵野市の成蹊大で設立総会を開き、全国LD親の会の山岡修(やまおか・しゅう)会長を代表に選出する予定。講演やシンポジウムもある。
■入院日数、日本はOECD加盟国で突出した長さ
<2005年11月9日 日本経済新聞>
病院での入院日数の長さは日本が20.7日と加盟30カ国で断トツ――。経済協力開発機構(OECD)が8日公表した「図表で見る医療」(2005年版、隔年刊)でこんな結果が明らかになった。政府が取り組む医療構造改革でも長期入院の是正が大きな課題となりそうだ。同統計は結核や精神病など必然的に入院期間が長くなる病床を除いた「急性期病床」で各国を比較した点が特色。日本はOECD平均の6.7日の3倍強、2位の韓国の10.6日の2倍弱だった。最短はデンマークの3.6日だった。ちなみに全病床を対象とした日本の厚生労働省の調査では、日本は平均36.3日(04年)となっている。
OECDによると平均在院日数は医療の効率性の指標。日本は在宅医療や介護施設の受け皿不足で一般の病床に入院する「社会的入院」が多い。厚労省の医療構造改革試案の参考資料によると、平均在院日数が長いほど1人当たり老人医療費も高いという相関関係があり、国民医療費膨張の一因になっている。(パリ=奥村茂三郎)
■内部告発者が逆転敗訴 日本医科大の患者死亡事件
<2005年11月9日 朝日新聞>
手術で第1助手を務めた男性医師(47)が死亡した患者の遺族や報道機関に「手術でミスがあった」と内部告発したために名誉を傷つけられたとして、日本医科大学(東京都文京区)と執刀医が、この医師を相手に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9日、東京高裁であった。江見弘武裁判長は、請求を棄却した一審判決を変更。名誉棄損を認め、医師に計550万円の支払いを命じた。医師側は上告する方針。
判決によると、同大付属病院で97年、あごの骨折を修復する手術を受けた女性(当時20)が2日後に急死。医師が、遺族や報道機関に「手術中にあごの骨を固定するワイヤがミスで脳に刺さった」などと証言。マスコミに大きく報じられた。
江見裁判長は「報道で大学や執刀医の社会的評価は低下した」と認定。その上で、医師が根拠とした手術中のレントゲン写真について「画像が不鮮明で、ワイヤが刺さっていると積極的に裏付けるものとは評価できない」と述べた。
■障害者支援費170億補正 06年からは義務経費化
<共同通信社 2004年12月21日>
厚生労働省は20日、障害者福祉サービスの支援費制度のうち、2004年度に250億円超の不足が見込まれる在宅サービス費について、約170億円を補正予算で補てんし、残りは他部署の予算流用で対応すると発表した。
05年度は、04年度を300億円余上回る約930億円が確保される。来年の通常国会に提出する障害者福祉サービス一元化のための「障害者自立支援給付法案」などが成立すれば、省庁の判断で増減できる裁量的経費だった在宅サービス費は06年1月からは義務的経費化される予定。
在宅サービス費は利用者増で、制度創設の03年度から2年連続で予算が不足。利用者の応益負担導入など制度改革と抱き合わせた義務経費化で当面は財源が安定化することになるが、厚労省の試算では、需要拡大が続けば08年度までに再び財政は悪化。このため来年以降、介護保険制度の利用拡大による財源確保などが検討課題になる。
■医療刑務所の体制不十分 アムネスティ日本が指摘
<共同通信社 2004年12月2日>
受刑者の処遇改善を訴えている人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル日本」は1日、岡崎医療刑務所(愛知県岡崎市)を見学し、休日、医師の配置が「不十分」などとする見解を示した。
同刑務所の受刑者は、定員269人に対し243人。60歳以上が33人で、最高齢は86歳という。これに対し、常勤医師は精神科医が3人、内科医が2人だが、夜間や休日は医師が不在となるという。
また昨年は、自殺を図ろうとした受刑者が3人、約1カ月拒食を続けた受刑者が1人おり、処遇の難しさをうかがわせた。名古屋刑務所事件を受けて導入された新型の手錠の使用はなかった。
医療刑務所は主に精神に病気がある受刑者を収容する施設で全国で3カ所。アムネスティ日本は各地の刑務所を見学しているが、医療刑務所は今回が初めて。
■了承得ず主治医と面会 校長が職員の精神疾患で
<共同通信社 2004年11月16日>大阪市立高校の校長が、精神疾患の男性職員から了承を得ないまま主治医と面会、大阪法務局から人権上の配慮を欠いたなどと指摘を受けていたことが15日分かった。面会には市教育委員会の男性係長も無断で同席。市教委教職員課は「本人から了承の言葉をもらうべきだった」として校長と係長を指導した。
校長は取材に対し「病状を心配し、医師に面会したいと職員に申し出たが、何も答えなかった。これまでの経緯や話の流れで、同意を得たと解釈した」と説明。職員は「そもそも申し出を受けておらず、同意した覚えはない。校長から主治医と面会したと聞かされ驚いた」と話している。
市教委によると、校長と職員は5月6日、校長室で約4時間にわたって面談。校長は「主治医に会い、専門家の立場から治療について助言を得たい」と申し出たが、職員は無言だったという。校長と係長は同月17日に「本人の同意を得ている」と説明して精神科医を訪ね、勤務中の様子などを話して治療を求めた。
職員は7月、「プライバシーを侵害された」として同法務局に調査を申請。法務局は校長から事情を聴くなどした結果、今月2日に校長に対し問題点を指摘したという。職員は大阪弁護士会にも人権侵害の救済を申し立てている。
大阪法務局人権擁護部は「守秘義務があり何も話せない」としている。
民間非営利団体(NPO)・大阪精神医療人権センター代表理事の里見和夫(さとみ・かずお)弁護士の話 校長は本人の明確な了承を取り付けるべきだった。原則として、本人の同意なしに第三者が主治医に面会するなど治療に関与する行為は人権侵害といえる。
■精神科の拘束で4人突然死…エコノミークラス症候群
<2004年11月17日 読売新聞>
精神科に入院中、身体を縛られた患者が突然死するケースが、東京都内で過去5年間に4件あったことが17日、都監察医務院の調べで明らかになった。
死因はエコノミークラス症候群とも呼ばれる肺塞栓(そくせん)症で、長時間の「身体拘束」によって血流が滞り、血栓が肺動脈に詰まったことが原因とみられる。精神科医療では、こうした身体拘束は広く行われているが、安全面の対策が問われそうだ。
4人は30―40歳代の男女で、いずれも統合失調症のため、都内の別々の病院に入院していた1999年から昨年までの間に死亡、病院からの届け出で行政解剖が行われた。
このうち49歳の男性は、ベッドに縛られる拘束を7日間にわたって受け、拘束が解かれた10分後、歩いて別の部屋に移動する際に心停止を起こした。
39歳の男性は同様に6日間、43歳の女性は1日半にわたり、それぞれ身体拘束されている間に突然死した。また、31歳の男性は4日間にわたる拘束を解かれた数時間後に入浴、直後に心停止した。
これらのケースを今月、専門医で作る肺塞栓症研究会で報告した呂彩子・非常勤監察医(慶応大法医学教室)によると、解剖の結果、いずれも肺動脈や足の静脈に血栓があり、身体拘束が引き金である可能性が高いとみられる。
精神科医療では、統合失調症、そう病、アルコール中毒などで患者が他者や自らを傷つける恐れがある場合、「抑制帯」と呼ばれる布製バンドなどで胴体や手足をベッドに縛る「身体拘束」が行われている。
肺塞栓症は、身体を長時間動かさないと起きやすく、手術後に多いほか、マイカーで避難生活をしていた新潟県中越地震の被災者にも続出した。肺塞栓症研究会など関連学会は今年、手術時には血流を良くする医療用ストッキングや足を圧迫するポンプを使用するなどの予防指針を定めたが、精神疾患は対象になっておらず、精神科では普及していない。
身体拘束に関する厚生労働省研究班長を務めた浅井邦彦・浅井病院(千葉県)理事長の話「これまで身体拘束中の突然死の報告がほとんどなく、予防策がとられてこなかった。今後、対策を講じる必要がある」
■障害者差別、条例で禁止 千葉県、全国で初<2004.7.8読売新聞>
千葉県の堂本暁子知事は、障害者差別を禁止する全国初の条例を制定する意向を固めた。10月には、「中核地域生活支援センター」を新設し、24時間態勢で相談を受けて権利侵害を救済する態勢を整える。障害者や、その家族も交えて1年間協議したうえで、県議会に条例案を提案する見通しだ。
罰則などは設けない方向だが、実効性を担保するのが、「支援センター」での相談受け付け。民間に委託する形で県内14カ所に設ける。
1カ所に数人が配置され、福祉サービスの利用や権利侵害について、障害者からの相談を電話などで24時間受け付ける。トラブルの現場に出かけて、解決にあたるという。
条例制定の背景には、後を絶たない差別事例がある。同県や障害者団体は、知的障害者がスイミングクラブの会員になろうとして断られたり、ホテルの利用を拒否されたりした例を把握している。堂本知事は「条例のほか、入所施設から知的障害者を地域に戻す施策も考えている」と話している。
障害者への差別を禁止する法律は、世界40カ国以上が整備している。日本では、
前国会で障害者基本法が改正され、差別禁止条項が盛り込まれたが、「理念法であり
実効性に限界がある」との批判がある。国連は01年、日本に「障害者に関するあら
ゆる差別を禁止する法律を制定すること」を勧告。国内の障害者団体などは差別禁止
法制定を求めている。
◇
〈日本障害者協議会の藤井克徳常務理事の話〉 障害者差別禁止法への道を開くも
のとして画期的だ。罰則や具体的な救済・監視規定などの論議を見守りたい。
◇
〈厚生労働省の塩田幸雄障害保健福祉部長の話〉 今後も差別禁止法について検討
したいが、他の法律との整合性など難しい点がある。千葉県の進め方に期待し、注目
している。 (07/08 06:14)
■退院促進、雇用義務化も 精神障害者支援で政府
<共同通信社 2004年6月23日>
長く国の障害者福祉の枠外に置かれてきた精神障害者への支援に、政府がようやく取り組み始めた。約7万人とされる社会的入院の患者を10年以内になくすことを目標に、厚生労働省に対策本部を設置したのが2002年。病院への退院促進支援員の派遣、日常生活の支援などに力を入れる一方、企業に義務付けられている障害者雇用に精神障害者も含める就労支援策も検討中だ。
▽退院促進支援員
「長い入院生活で退院する気もなくしていたが、今は満足」?。埼玉県内の精神病院に8年間入院していた高橋礼子さん(60)は退院促進支援員の助けで今年2月退院した。就寝や食事の時間が決められている病院とは異なり、グループホームに住み、通院しながら、仲間と一緒に料理をしたり、花を育てたりするマイペースの毎日だ。
埼玉県は02年、精神病院に支援員を派遣する事業を始めた。入院中の患者を連れ出して病院の外の施設での作業などに慣れてもらい、住居の確保から退院後の相談まで幅広い支援でこれまでに13人が退院した。
入退院を繰り返してきた渡辺清崇さん(26)は「退院しても孤独でまた悪くなることもあったが、今は何でも相談できる」と支援員に信頼を寄せる。国も同様の支援事業を03年度から始めた。
▽ヘルパー派遣も
一方、国は02年度からホームヘルパー派遣を開始。東京都世田谷区では91人を対象に、通院介助や買い物の付き添い、食事や掃除を一緒にしながら方法を教え、生活全体を支援する。長い入院生活で基本的な生活習慣が身に付いていない人が多いためだ。
同区のヘルパーは「症状の安定した人が対象で、不安を感じるようなことはない。高齢者と違い、だんだん状態が良くなっていくのでやりがいがある」と話す。
ただ、「退院希望者は多いのに、受け入れる所が少なすぎる」(支援員)上、精神障害者からは「退院促進事業に充てられる国の予算は04年度で7000万円足らず。国は本気で社会的入院の解消に取り組んでいるのか」という不満の声もある。
また、精神障害者の雇用を企業に義務付けても、入社後に発病した社員を法定雇用率に組み入れる懸念や、病気を公表したくない人のプライバシーをどう守っていくかなどの課題も残されている。
■上野原の三生会病院を男性の遺族が提訴 慰謝料など4000万円求め /山梨< 2004年 6月3日 毎日新聞>
上野原町の精神科病院、財団法人・三生会病院(山崎達二院長)で治療中の男性(当時51歳)が電気けいれん療法を受けた直後に死亡した問題で、東京都内に住む男性の遺族は2日、同法人を相手取り、慰謝料など約4000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、男性は統合失調症のため同病院で治療を受けていた。03年4月24日、男性が通院したところ、担当医ではなく、別の医師がこの日初めて男性を診察。同医師は担当医とは全く異なった「電気けいれん療法」を唐突に選択し、心電図など必要な術前検査を行わずに実施した。その後、男性は心肺停止状態となり、心臓マッサージと人工呼吸を30分続けたが、急性心筋こうそくで死亡した。男性は心筋こうそくの持病があり、病院側も知っていたという。遺族は「医師は術前の検査・診断義務を怠った」と主張。「電気療法の危険性など十分な説明もなかった」と訴えている。
同法人は「詳細を把握していないため、コメントすることが出来ない」としている。【鷲頭彰子】
■介護保険・障害者支援費:統合容認の中間報告書案を提案−−厚労省部会 本格的議論始まる<毎日新聞】2004年6月5日 東京朝刊>
介護保険と障害者支援費の両制度の統合問題について、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会で4日、障害者施策のうち介護保険の範囲に収まらない分を別建てで対策を取ることを条件に、統合を容認する中間報告書案が提案され、本格的な議論が始まった。安定財源の確保から賛成意見が出る一方、介護保険の適用外部分が不明として慎重な意見もあった。今月中に中間報告書をまとめる方針だが、一部の障害者団体は強く反対しており、統合を明確に打ち出せるかは不透明だ。【玉木達也】
報告書案は部会長から委嘱を受けた3委員が作成。支援費制度を巡る状況の変化として、ホームヘルプサービスなどの急速な利用の伸びや三位一体改革の流れによる補助金の大幅な削減で、財源不足の深刻化を指摘。さらに課題として、精神障害者が支援費の対象になっていないことや、障害の程度などに応じて適切なサービス利用を促進するケアマネジメントが制度化されていないことなどを挙げた。
その上で、これらを解決するためには、サービス提供体制の整備などが必要として、「介護のサービスを介護保険制度に組み入れる方向」が有力な選択肢としている。
介護保険制度は05年度の改定作業に向け、介護保険料の徴収年齢を40歳以上から引き下げる一方で、年齢や障害の種別を超えて、障害者福祉との統合を検討している。
支援費制度は障害者が必要な居宅サービスなどを直接事業者と契約するもので、03年4月開始。しかし、利用量が予想以上に多く初年度だけで約100億円が不足。税財源による支援は困難との意見が出ている。○解説;新たな認定基準必要
4日示された中間報告書案は、介護保険と支援費制度の統合を結論としながらも、介護保険の適用外部分は税財源で別に対策を取ることを条件にした。適用外部分を設けることで障害者施策の質を落とさない考えだ。しかし、税財源不足が支援費制度の継続を難しくした現状で、どこまで税でカバーできるか疑問の声があり、サービスを精査する議論も出てきそうだ。
また、障害者の場合、介護だけでなく、自立や社会参加を促すためのケアがより求められる。知的障害者などは現行の要介護認定基準を適用すると、要介護度が低く、サービスが減る恐れがあり、新たな基準が必要だ。
利用者負担も介護保険は原則1割で、低所得者の多い障害者の救済措置がいる。加えて介護保険の保険者側から統合に反対する声も出ており、課題は山積といえそうだ。
■「障害者、地域で生活促進」施設新設の補助中止 新年度
<2004年3月4日 朝日新聞>
厚生労働省は身体・知的障害者が地域で暮らす脱施設を進めるため、04年度から入所施設の新設や定員増を伴う増改築に対して原則として国の補助を出さない方針を決めた。近く都道府県に通知する。国は02年12月に「入所施設は真に必要なものに限定する」との方針を打ち出したが、その後も申請が多いことから、より厳しい姿勢で臨む必要があると判断した。入所施設の建設費は国が2分の1を、都道府県が4分の1を補助している。建設する社会福祉法人や市町村の支出は全体の4分の1ですむため、これまでほとんどの入所施設は補助を受けてきた。国が支援しなくなれば、都道府県が補助を上乗せするのは財政的にも厳しく、新増設は難しくなるとみられる。
厚労省は、地域交流やサービスの拠点になる、施設でないと対応できない重い行動障害がある重度心身障害児がいるなど特に必要がある場合に限り、例外的に補助を認める。その場合も有識者や保護者らから意見を聞いて厳密に判断、6月に都道府県に内示する。
戦後、障害者福祉は入所施設を中心に進められ、それに伴って施設も増え続けてきた。国は障害がある人も、ない人と同じように地域で暮らすノーマライゼーションを掲げ、02年12月発表の新障害者基本計画(03〜12年度)では入所施設の新増設を抑制する方針を打ち出した。
しかし、自治体や社会福祉法人からの要望は多く、03年度は新設だけで81カ所に85億円を補助した。04年度の申請は例年の半分程度に減ったものの、新設が52件(補助額は1件1億〜3億円)、定員増を伴う増改築が11件出ている。新設の内訳は知的障害者入所更生施設が18件、身体障害者療護施設が11件、重度心身障害児施設が4件など。
厚労省は、障害者が地域で生活するための支援態勢を充実させるため、新増設の補助をデイサービスや通所授産施設の整備などに充てるほか、知的障害者や精神障害者が単身でも公営住宅に入居できるようにしたり、グループホームとして利用できたりするよう国土交通省と協議するなど、受け皿作りに力を入れていくとしている。
■長女窒息死 はいかい防ぐため、母親が首に鎖 埼玉・熊谷市
<2003年3月4日 毎日新聞>
3日午後4時ごろ、埼玉県熊谷市久保島の県営団地に住む女性(70)から「娘が死んでいる」と119番通報があった。熊谷署員が駆け付けたところ、無職の長女(39)が自室の布団の上であおむけになって死んでいるのを発見した。長女は統合失調症の通院歴があり、はいかいを防ぐため、母親は外出する際などに、長さ5メートルの鎖を首に巻き、たんすの取っ手につないでいた。長女は鎖が首に巻き付き窒息死したとみられ、同署は事故か自殺の可能性が高いとみて捜査している。調べでは、同日午後3時ごろ、母親が長女の部屋に様子を見にいくと、布団の上に、鎖を付けた状態であおむけになっていたが、寝ていると思い、買い物に出かけた。約1時間後に帰宅したところ、同じ姿勢でいたので不審に思い確かめたとこと、死亡していることに気づいたという。鎖は金属製で、片方を長女の首に巻いてシリンダー錠で施錠、もう片方はたんすの取っ手に固定していた。母親と長女は2人暮らしだった。【松本信太郎、高橋真志】
■知的障害者、地域で生活を 宮城県知事「脱施設」宣言へ
<2004.2.20朝日新聞>宮城県は、県内にあるすべての知的障害者の入所施設の「解体」を宣言する。04年度から入所者が地域で生活できるように支援する予算を充実させることなどで、民間の施設を含めて地域移行を促す。20日から大津市で開かれるシンポジウムで浅野史郎知事が公表する。障害がある人もない人もともに地域で暮らす「ノーマライゼーション」の理念を都道府県単位で実践する全国初の試み。
宣言は「入所施設を解体して、知的障害者が地域の中で生活できる条件を整備する」としている。目標とする時期などは示していない。県内には社会福祉法人が運営するものも含めて28カ所の入所施設があり、現在約1800人が生活している。宣言には施設数で8割以上を占める民間施設への強制力はない。
県は脱施設に誘導していくため、地域移行を進める予算を04年度は前年度より1.5倍にして約2億円にするが、知的障害者関連予算(約40億円)の中ではまだ一部だ。障害が重い人を支援するため、グループホームの世話人やデイサービスの職員を増員した場合に経費を補助する制度を新設する。このほか、現在127あるグループホームは1年間で31増やす計画だ。その他の支援策や解体の具体的な手順については、障害者施策推進協議会などで検討していく。
同県の福祉事業団が02年11月に、重い知的障害者が入所する「船形コロニー」の解体を表明。10年までに500人近い入所者全員を地域のグループホームなどに移行させる方針を示した。入所者や家族に「親元には戻さない」「施設より安心で豊かな生活を保障する」などの条件を示して理解を求め、03年度には目標を上回る68人が退所する。解体宣言はこの取り組みを県全体に広げるものだ。
浅野知事は「障害者の幸福を実現するという原点に戻って考えたい。地域の中にこそ普通の生活がある。適切な支援さえあれば、重度の人も地域で生活できる」と話す。
厚生労働省の高原弘海障害福祉課長は「脱施設の方向は国と同じだが、入所施設がまったくなくていいかどうかは議論が必要だろう。宣言は問題提起で、幅広い議論のきっかけになる」と話す。
浅野知事は20日から3日間の日程で開かれる「アメニティーフォーラムinしが」のシンポジウムで表明する。
《キーワード》知的障害者
全国で約46万人。このうち3割の約13万人が入所施設で暮らす。10年以上の
長期入所が半数を占める。地域に出て生活する人は、年間で入所者の1%に過ぎな
い。施設の知的障害者を対象にした大阪府の調査では回答できた人のうち、75%が
施設を出たいと答えた。自分の意思で入所したと回答したのは9%だった。《解説》地域の理解や予算、課題
入所施設から在宅へという政策は先進国ではすでに主流になっている。スウェーデンは86年に法律に全入所施設の閉鎖を明記。期限を99年と定めて解体計画を進め、脱施設をほぼ実現した。宮城県の解体宣言はこうした流れに沿ったものだ。
入所施設中心の政策を反省して目指す方向を明確にすることで、脱施設を掲げながら施設偏重の予算構造を変えずに入所施設を増やし続けている政府に対応を迫る意味もある。
知的障害者の親たちでつくる全日本手をつなぐ育成会の藤原治理事長は「解体宣言には賛成だ。親が入所施設を求めてきたといわれるが、子どもの幸せを願ってのこと。当時はその手段として施設しかなかった。いまは通所施設やグループホームも利用でき、親の意識も変わってきている。ただ、長期に入所している人や家族の不安は大きい。地域の受け皿作りが前提条件になる」と話す。
在宅サービスが乏しい中で入所施設がなくなることに不安を抱く家族もいる。地域住民の理解をどう得ていくのか、障害者の働く場をどう確保するのかなども課題だ。自傷行為がある場合や常時医療的なケアが必要なケースには特別な配慮が必要だ。
船形コロニーの解体表明でも当初、不安の声が上がった。入所者や家族にグループホームを体験してもらったり、地域移行がうまく行かない場合は施設に戻すことを約束したりして、脱施設は進み始めた。
県の知的障害者関連予算の9割近くは入所施設関連だ。地域移行で浮いた経費を在宅支援に回すなどして予算の構造を変えていくとしているが、時間がかかる。04年度で増えるグループホームの定員は約120人分。すべての入所者を地域に戻すのは予算面でも容易ではない。
そのため、浅野知事は障害者が介護保険を利用できるよう、介護保険と障害者福祉の統合を提案している。解体実現には宮城県だけでは完結しない様々な要素が絡み合っている。(編集委員・生井久美子、清川卓史)
<2004.2.20 日本経済新聞>
■宮城県、知的障害者支援へ「脱施設」を促進
宮城県の浅野史郎知事は20日までに、知的障害者の入所施設を運営する社会福祉法人に対し、施設の解体を促す方針を固めた。21日に、大津市で開催中の「アメニティフォーラムイン滋賀」で表明する。宮城県は2002年、県福祉事業団が運営する船形コロニー(大和町)の解体を宣言しており、民間にも「脱施設」を呼びかける。宣言には「知的障害者が普通の生活を送れる条件を整備すれば入所施設は不要」との趣旨を盛り込む。浅野知事は20日記者会見し、「県も可能な限り支援するので、民間も脱施設を進めてほしい」と述べた。現在、知的障害者の多くは数十人規模の入所施設を利用している。今後、4―7人で共同生活するグループホームの整備を進め、より地域に開かれた形で生活できるようにする。宮城県内の知的障害者施設は28カ所で、現在約1800人が入所している。施設のほとんどは民間が経営している。県は世話人の配置や建物のバリアフリー化などへの補助を2004年度に拡充し、入所施設なしでの知的障害者の生活を支援する方針だ。
■知的障害者の入所施設 宮城県すべて解体へ
<2004.2.20産経新聞>
宮城県の浅野史郎知事は20日、県内にある知的障害者の入所施設をすべて解体し、地域の中で生活できるための条件を整備していく「みやぎ知的障害者施設解体宣言」を発表することを決めた。宣言は県施策の方向性を示すもので、具体的目標時期などは定めていない。欧米では「入所」から「在宅」への移行が進んでいるが、国内で自治体として解体を宣言するのは全国初。宣言は「脱施設」を目指す浅野知事の方針に沿って策定された。県内には県福祉事業団が運営する「船形コロニー」(同県大和町)と民間の計28の知的障害者入所施設があり、計約1800人の入所者が生活している。
宣言は、こうした知的障害者を一生にわたって施設に入所させるのではなく、グループホームなどを通して地域に根付かせていく体制を整えていくというもの。県はそのための準備として、平成16年度の予算案で、障害者の地域生活移行事業費として2億円を計上している。
県は平成14年11月、船形コロニーを22年までに解体し、入所者全員を地域生活に移行させる方針をすでに示している。今回の宣言では権限や強制力のない、民間施設にも「一定の方向性を投げかけるもの」(浅野知事)。
浅野知事は「宣言はあくまでも解体が目的ではなく、地域生活移行の条件を整備すること。整備や理解が進むと、民間もこうした流れに乗っていくはず」と話している。
宣言は21日、滋賀県大津市で行われている「アメニティーフォーラムinしが」で発表される。
厚生労働省によると、知的障害者は全国に約46万人。このうち入所施設で生活しているのは3割近い約12万人に上る。同省の高原弘海・障害福祉課長は「国の障害者基本計画でも、知的障害者を入所施設からできるだけ地域で生活できるようにする方針を打ち出しており、浅野知事の発言と方向性は同じだ。知事の『宣言』は、入所施設のあり方に関する一つの問題提起と受け止めている」としている。
坂口力厚生労働相は20日、閣議後会見で、「地域地域で小さな対策を立てていく
ということはひとつの方法。しかし、障害者の中には入所施設が必要な方もいるは
ず。そういう方をどうするかという問題もある」と述べた。
■精神薬の一部、過剰投与 ほとんどの患者に副作用
<2003年12月30日 共同通信>
精神障害の治療薬の一部で標準的な使い方とされている量は、脳内で効くのに必要な量の十倍に上る過剰投与となっていることが、放射線医学総合研究所の須原哲也室長らの研究で三十日までに分かった。ほとんどの患者に副作用が出る投与量だという。
須原室長は「科学的証拠からではなく経験的に使用量が決められている薬があり、見直しが必要だ」と指摘している。
同室長らは、神経伝達物質のドーパミンを受け取る受容体タンパク質に結合し、脳内でのドーパミンの作用を遮断する薬をボランティアの医師らに投与した。この薬は鎮静作用がある半面、体が硬直したり、じっと座っていられなくなったりする副作用がある。
陽電子断層撮影装置(PET)を使い、大脳皮質で薬が受容体をふさぐ割合(占有率)を調べた。70―80%だと、ちょうどよい効き目が得られるが、標準的な使用量とされる量の十分の一を投与しただけで、それ以上使うと副作用が出やすいとされる80%を超える占有率に達した。
実際にボランティアに副作用が出て、患者に使った場合もほぼ全員に副作用が出ることが予想されるという。
須原室長は「PETなどで、生体内での薬の評価ができるようになってきた。しかし、製薬会社などの認識が遅れ、一部の薬は過剰投与が続いている」と話している。<参考 最高裁判所の判決(平14・11・8) 提供 八尋光秀弁護士>
精神病院に入院中に治療のため複数の向精神薬(フェノバ−ル、テグレト−ル)の投与を受けた患者がこれらの薬剤の副作用によってスチィ−ブンス・ジョンソン症候群を発症し失明した事例について賠償請求を認めた。いわく、「精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合において、その使用する向精神薬の副作用については、常にこれを念頭において治療に当たるべきであり、向精神薬の副作用についての医療上の知見については、その最新の添付文書を確認し、必要に応じて文献を参照するなど、当該医師の置かれた状況の下で可能な限りの最新情報を収集する義務がある。本件薬剤を治療に用いる精神科医は、本件薬剤が本件添付文書に記載された本件症候群の副作用を有することや、本件症候群の症状、原因等を認識していなければならなかったものというべきである。」
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