10.全国精労協結成宣言
11.全国精労協運営要綱
12.加盟労組一覧
労働組合を作りたいとの相談を受けた時に、うまく説明できなかった経験は誰にでもあるでしょう。そんな時に役立つようにと、このハンドブックを作りました。思いは広がり、「組合員オルグに使いたい」「新入組合員の教育に使いたい」などの要望も満たせればもっといいとの欲張った気持ちも出てき、勢いに乗って出来たのがこのハンドブックです。
このハンドブックの目的を述べると、次のようになります。
(1) 組合員への啓蒙
(2) 新入組合員や非組合員への案内
(3) 未加入組合に加入要請
(4) 組合のない職場に組合結成を訴える
どうぞ、いろいろな用途に役立てて下さい。
上記の言葉から始まるハンドブックを作成してから6年になります。
全国精労協も結成してから10年を迎え、この間、社会も、また精神医療も大きく様代わりしてきました。その内容には進展しているものもありますが、いっこうに改善されなかったり、むしろ後退といえるような状況も起こって来ています。
このような厳しい状況に立ち向かうためには、一人の力だけでは非常に弱いものです。一労働者であり、また精神医療に携わる労働者である私たち一人一人がより良い労働、より良い医療のために連帯して闘う労働組合の存在が重要となってきています。
今回、全国精労協結成10周年を記念してハンドブックの改訂を行いました。皆さんに利用していただき、尚且つ、全国精労協に対する意見、感想を頂ければ幸いです。
2000年9月
過去、精神病院は「患者を入院させておけば儲かる」と揶揄されていました。経営者には、精神病院を医療施設というよりも、隔離収容施設として運営していたものも多くおり、その結果、経営者の懐は豊になりましたが、一方で労働者は低賃金や劣悪な労働条件下で働かされていました。
現在では、一転、精神医療の流れが入院から地域に転換していることや、国の医療費抑制政策等により、病院運営に厳しい波が押し寄せてきています。国の政策の流れに乗れなければ、病院倒産も珍しくない状況です。そうなると経営者は経営の安定、存続のため、賃金や労働条件等、労働者への締め付けを厳しくしてきています。医療に従事する労働者にとって、医療の質の向上を目指そうと日夜悪戦苦闘しているにもかかわらず、自分たちの仕事や生活が守られない状況にあって、安心して働くことが出来ません。状況は変わろうとも、労働者を取り巻く環境が以前と比べて好転しているとはいえません。
労働組合がなければ、辛抱するか、それとも嫌ならやめるしか手はありません。
一概には言えませんが、閉ざされた病院ほど労働者の待遇が悪いと言われています。労働組合の存在が、病院を開かれたものにし、職場を明るくし、労働条件をよくし、働きやすくし、患者さんの待遇もよくしていくことは確実です。閉ざされた病院で労働組合をつくるには、勇気も必要ですが、あなたも労働組合をつくってみませんか。全国精労協は組合づくりのお手伝いをします。
全国精労協は(全国精神医療労働組合協議会)、精神医療の現場で働く労働者がつくっている労働組合の全国組織です。情報交換や共同行動、学習を通して、労働条件や医療の改善をめざしています。1990年1月に生まれた、まだまだ小さい全国組織ですが、発足当時の16組合から20組合(2000年9月現在)へと広がっています。
精神医療をとりまく状況は、極めて厳しいものです。病院の存亡が問われています。同時に、世界から取り残され、遅れをとっている医療の中身も問われています。
こうした状況下で、労働条件もまた大きな変貌を迫られています。
労働組合の役割が、今ほど重大味をおびている時はないといえます。
個別の病院内での労働組合の頑張りの必要はいうまでもありません。
労働条件にしても、医療の在り方にしても、ひとつの病院の閉ざされた場では困難な問題が、開かれた状態で、例えば、他の病院の労働条件との比較・検討によって解決されることがしばしばあります。
また、個別病院内では解決できない問題もあります。広く社会の在り方や精神医療行政の在り方が問われ、その追求から、新たな解決の道が導き出されることもあります。
大きな視野にたって問題を見据え、全国精労協は、個別病院内での解決には支援を、個別病院を越える解決には共同行動を、絶えず、呼びかけてきました。
病院の内に閉じこもって悩むよりも、全国精労協に加入して、新たな飛躍を。
精神医療をとりまく状況はたいへん厳しいと書きました。精神医療の現場で働く皆さんには肌で感じられることです。
開放化や地域に開かれた病院づくりが、多くの病院で取り組まれてきました。しかしこのことは、まだまだ個別の病院での努力の範囲にとどまり、
国の施策としても、全体的な状況としても、すすんでいません。
閉鎖的で、管理・抑圧的な病院がたくさんあります。
厚生省は、地域で精神障害者が安心して暮らせる施策や、看護婦不足を解消する施策を持ち合わせぬまま、病床削減や、給食の外注化を推し進めようとしています。それぞれの病院で矛盾が激化し、病院の在り方が厳しく問われています。
では、それぞれの個別の病院の経営者が、こうした大きな流れの中で、
きちんとした対応ができているのかといえば、残念ながら、NOといわざるをえません。右往左往しているのが現状です。
ややもすれば、病院経営者は、犠牲を労働者に強いて、混乱や矛盾を回避しようとします。賃上げの制限、外注化、残業、夜勤の増大、アルバイト・パートの大量導入などなど。
そこで労働組合が、労働者の生活や権利を守るために、どうしても必要になります。労働組合が社会にひらかれており、情報や闘い方を熟知していれば、経営者を追及することも、経営者に方針を提示することもできます。
医療労働者は、歴史的に、劣悪な労働条件を甘受してきました。夜勤等を含めて、労働の内容の厳しさとはうらはらに、賃金は低く押さえられてきました。世間相場と比べて、はるかに低いのです。
たぶんこの低賃金構造は、医療経営者の無理解や、女性が圧倒的に多い職場で、男女差別の世間の風潮をもろにうけたものと考えられます。同時に、労働組合の数が少なく、影響力が小さいために、労働条件の改善がなかなか進まないこともあります。
精神病院の経営者の多くは、ワンマンで、もうけ主義で、労働者を縁故などでしばりつけ、労働者が団結し組合をつくろうとする動きがあると、露骨に介入してきます。労働組合のある病院と労働組合のない病院では、労働条件がまるきり違っています。労働組合があり大きな影響力を持つと、労働条件は確実によくなります。全国精労協の各組合は、全国精労協に参加してから、労働条件の改善を大幅にかちとってきました。
労働組合は、労使は対等であるとの前提で存在します。つまり、使用者と労働者との関係は、本来対等ではなく、圧倒的な使用者の権限のもとで、労働組合の存在によって、やっと対等な関係が結ばれる、ということです。
労働者と使用者との関係は、基本的には「対抗的」関係であり、それゆえに、労働者には団結権が、労働組合には交渉権、罷業件が法律によって認められています。
しかし、対立だけを強調しているわけではありません。
特に中小企業(精神医療の職場のほとんどは、中小企業です)では、労使がタイアップしなければならない場面にしばしばぶつかります。使用者が、労働者の権利を踏みにじったり、組合の力を弱めようと、故意に攻撃をかけてくるときには、組合は断固とした闘いを組まなければなりません。
使用者が、組合にパートナーとしての役割を求めてくるときには、組合は、それが組合弱体化の「アメ」であるかどうかを見極めたうえで、柔軟な対応を迫られる場面も出てきます。
日本の労働組合のほとんどは企業内組合です。企業内組合では、労働者の権利を使用者に譲り渡してしまうような傾向があります。権利を主張できないような労使協調は、組合のとるべき態度ではありません。企業内組合を克服するためには、横断的な、地域・全国に連なった組織の必要性が、強調されます。
1)春闘
全国精労協の活動の柱の一つは春闘です。全国精労協に参加するほとんどの組合で共同行動を組み、助け合い、励ましあって、労働条件の改善をめざしてきました。
春闘はここ数年で大きく様代わりしています。長引く経済不況や、国医療費抑制政策等により病院の経営が危ぶまれる事態になっています。これまでの国政のまずさのつけを国民及び我々医療労働者に押し付けるかのようです。その中で経営者は、医療の質をすみに追いやり、経営の安定の名の元に、賃上げストップ、賃金体系の変更、最低人員での労働、身分保証の低いパート労働者の大量導入、外注化等様々な形での人件費削減とそれに伴う労働条件の劣悪化が行われています。医療の質を維持し高めるのに必要なマンパワーを発揮することが困難な状況です。
昔のように右肩上がりの経済成長は望めず、労働組合離れも進んでいる今、全国的に春闘の取り組み方事態が問われています。労働者に対する風当たりが確実に強くなっているからこそ、生活賃金の確保、労働条件の改善のために、全国の労働者仲間と連帯した闘いが必要です。各労働組合とも事情は異なりますが、全国精労協では「安心して働きつづけられる職場」の確保のため、情報を交換し合い、互いに支援しあいながら春闘に臨んでいます。
2)医療の点検と改善をめざす諸活動
精神疾患を有していても、地域で、差別されず、安心して暮らせることをめざして、精神医療及び福祉は遅々とした歩みではあれ、日々変わってきています。
労働組合がこの流れに鈍感であっていいはずはありません。
困難が伴う課題であり、全社会的な問題です。個別の病院だけで解決できる問題ではありません。しかし、それぞれの病院では、日々努力が重ねられ、地域にひらかれた病院もたくさんあります。こうした努力には、組合も協力しており、日常活動の点検のなかで、医療の改善をめざす活動が続けられています。隔離収容的な病院では、患者さんの人権が守られておらず、法のらち外におかれ、虐待されているケースもあります。こうした病院には、まず間違いなく組合が存在していません。組合の存在そのものが、閉ざされた病院に歯止めをかけているのです。
全国精労協は労働条件と医療の改善をめざす活動として、
次に掲げる二つの大きな行事を主催しています。
・精神医療研究懇談会
毎年夏、全国精労協主催で、「精神医療研究懇談会」が開かれています。この研究懇談会は、91年までは、京都精労協の主催でおこなわれていましたが、内容が全国性を帯びていること、全国精労協が結成されたことから、京都精労協の好意で、全国精労協が引き継いだものです。
精神医療研究懇談会は「精神医療及び福祉の現場で、今、何が起こっているのか」「労働者の権利と医療の向上のために我々は何をすればいいのか」を議論する場であり、課題に向けて現場で提起して働いて行くための扉となる場でもあります。
99年には第28回研究懇談会が開かれました。この時の内容を簡単に紹介しておきます。
記念講演 : 『 現時点での職場と労働 ゆとり、仲間、決定権』
熊沢誠氏(甲南大学教授)
分科会
§「あなたの職場は働きやすいですか。あなたは働きつづけられますか」
; パート問題
§「このままでいいの?今の組合」
; 今の組合活動における問題点と今後への課題
§「ホテルの味を病院へ」
; 藤田観光京都国際ホテル調理師による調理実習
§「長期入院者にどんなケアを提供するのか」現場のジレンマ
; 精神療養病棟におけるチーム医療
§「さらに問う、入院患者の人権」急性期病棟の現状と今後の課題
; 任意入院者と開放処遇、閉鎖処遇
・厚生省(厚生労働省)交渉
全国精労協では、結成以来、毎年、厚生省との交渉を行ってきています。
私達の労働条件や医療の中身は、厚生省が打ち出す様々な施策に左右され
ています。一方で厚生省は現場の状況をほとんど知りません。精神医療現
場での事故や事件などとしてマスコミが大きく問題として取り上げないと、
改善のために重い腰を上げようとはせず、本当に医療の質を上げようとし
ているのか疑問に思ってしまうほどです。われわれは、そのような厚生省
に対して個別病院での諸矛盾、諸問題の解決のために、現場からの意見を
ぶつけることも必要で、また、厚生省がなにを考え、次にどんな手を打っ
てくるかを充分に考えたうえで、それぞれの病院での労使交渉の場に生か
すこともできます。
これまで全国精労協では、厚生省交渉で、精神医療及び福祉の在り方、入院患者の処遇と権利の保障、地域で精神障害者が安心して暮らせるための施策、精神医療スタッフの要員確保、栄養科の外部委託、悪徳病院の摘発など、様々な問題を取り上げてきました。問題をぶつけ、改善案を提案したからといってすぐに、現場での医療内容が改善されるわけではありませんが、精神医療の質の向上にあくまでもこだわり、継続して交渉していくことで、今回の改正精神保健福祉法の内容に影響を及ぼしてきました。また、個別病院の職場に、大きな変化のうねりをつくりだしたところもあります。
3)権利は譲らない、解雇は許さない。
労働争議はおおむね、経営者側が、組合の要求にたいして不誠実な態度を崩さないときとか、はじめから、組合を攻撃し、あわよくば、組合を潰してしまおうとして、権利侵害を続けるときに起こります。
この権利侵害にたいして闘う組合にたいしては、全国精労協は、全力で支援します。「権利は譲らない、解雇は許さない」は私達の闘いの原点であり、合言葉です。いくつかのしんどい局面もありましたが、全国精労協が支援した組合の闘いは、ストライキを構えたり、労働委員会や裁判所に提訴したりして、勝利的に終結しています。
労働組合をつくることは、憲法に保障された労働者の権利です。にもかかわらず、経営者の多くは、組合を嫌い、組合をつくらせないために、様々な妨害をしてきます。妨害を許さず、組合をつくるためには、いろいろな手順・準備が必要です。
(1)まず、仲間をつくろう。
一人でも組合はできます(全国精労協は、個人組合員を認めていま
す。一人でもはいれます)。でも、組合員は多いに越したことはあり
ません。一人でも多くの仲間を集める、これが鉄則です。
(2)初めは、ばれぬよう。
経営者の妨害が予測されますから、初めのうちは、経営者にばれな
いよう仲間を集めることが必要です。いつオープンにするかの判断が
大事です。経営者に結成通告するまで伏せておくのも、ごく普通のこ
とです。
(3)こんな準備はしておいたほうがよい。
(4)全国精労協は、いつでも相談窓口を開いています。
準備段階から、全国精労協がお手伝いできることは、たくさんあります。_の準備で書いた内容についていえば、職場の労働条件にしても、病院の実情にしても、他の病院との比較で、実態が浮き彫りにされてきます。
組合づくりの経験も豊富です。
組合づくりに、予行演習はありません。
いろんな経験を全国精労協から学びとってください。
組合が結成され、大会で規約や運動方針、役員が決まり、結成通知・要求書・団体交渉申し入れ書を経営者に提出するところから、労使関係が始まります。
労使対等の立場で団体交渉ができるかどうか、組合のイニシアティブが発揮できるかどうかが、決め手になります。何事も最初が肝心です。最初の団体交渉で組合が要求する内容は次の三点です。
(1)賃金、労働条件の改善(具体的に)
(2)労働条件の変更に関する事前同意約款の締結
(3)組合に対する便宜供与(組合事務所、掲示板など)
この内容をかちとるためには、
(1)団体交渉はできるだけ多くの組合員が参加すること
(2)団体交渉を、粘り強く何度も行うこと
(3)成果は必ず、労使間の合意文書として確認すること
などが、必要です。経営者がのらりくらりと回答を出し渋ったり、威嚇したりしたときに、組合がどれだけ毅然とした態度が取れるかが勝負の分れ目です。準備段階での中身がここで問われてきます。
経営者によっては、初めから、組合に敵意を抱き、組合を潰そうとして組合員にたいする切り崩し工作や、団体交渉を開かない、意識的に遅らせるなどの、攻撃・干渉をしてくる場合があります。これらの工作・攻撃・干渉は、いずれも不当労働行為といって、労働組合法で禁止された違法行為です。耳慣れない言葉ですが、これを知っているかどうかは、労使対等・組合の権利をまもれるかどうかに決定的に影響します。
労働組合法第7条で経営者に禁止されている不当労働行為の内容は、
(1) 不 利 益 扱 い … 労働組合員であること、組合活動をしたこと、など
を理由に不利益な扱いをすること。
(2) 黄 犬 契 約 … 労働組合に加入しないことを条件に雇用すること。
組合加入しない旨の契約書は無効。
(3) 団体交渉の拒否 … 正当な理由なく、団体交渉を拒否すること。
(4) 支 配 介 入 … 労働組合の活動・運営に介入すること。
こうした不当労働行為にたいしては、組合結成の正しさに確信をもって
断固とした態度で経営者に抗議しましょう。不当労働行為をやめない場合は、都道府県の地方労働委員会に訴えることができます。
不当労働行為を許さない闘いに勝つことで、
組合の基盤はしっかりします。