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「心身喪失者医療観察法案」 国会審議等


2003年6月13日

心神喪失等医療観察法案の強行採決に対する抗議声明

光愛病院統一労働組合 組合大会決議

1.医療観察法の強行採決は許せない

 6月3日、参議院法務委員会は自民党議員の動議により、突如審議が打ち切られ、野党四党が抗議するなか、与党により強行採決された。審議は尽くされず、大きな疑惑を残したまま、6月6日の参議院本会議で「心神喪失者等医療観察法案」は成立し、手続きのため衆議院に回された。
 今国会の審議では、木村義雄・厚労副大臣ら法案推進派の与党議員に対し、私立精神病院の経営者らでつくる「日本精神科病院協会」(日精協)の政治団体が多額の献金をしていたことが発覚し、「法案が金で動いている」と野党は批判していた。4年間に日精協から自民党への政治献金やパーティー券購入などで1億5千万円の金が流れている。この法案の成立や昨年の衆議院強行採決の経過でも、元大臣や法案作成者に多大な献金がされていた。法務委員会にはその疑惑の解明のため日精協の仙波会長の出席が、くり返し求められていた時であった。福祉関連法案では例のない強行採決により、「心神喪失者等医療観察法案」が金にまみれた法案であるという疑惑が深まっている。

2.心神喪失者等医療観察法案は精神障害者への差別である

 心神喪失者等医療観察法案とは殺人、傷害致死、放火などの重大事件を起こして心神喪失を理由に不起訴処分や無罪となった精神障害者に対し、裁判官と精神科医の合議で入院や通院を命じる法案である。通常の裁判と違い、弁護士の活動が制限され、えん罪の温床になるおそれがある。入院先は全国数ヶ所の国公立病院内に新設する専門病棟で、半年ごとの再審査で退院の可否を決める。精神科医からは「再犯のおそれ」の判定は困難であること、再犯しないのに拘禁される人の方が多くなると批判されていた。入院期間に上限はなく、有罪となって受刑するよりも長期化したり、無期限の拘束の可能性がある。精神障害者が犯罪を疑われた場合、市民としての平等な権利が奪われる差別的な法案であり、認めることができない。精神障害者当事者は、「この国では、私たちを人間でないと宣言するもの。病気の苦しさよりもっと苦しいのは、私たちが人として扱われないこと。この国の精神医療政策は誰のためにあるのでしょうか」と訴えていた。弁護士会、精神神経学会、日本看護協会、PSW協会、家族会、精神障害者当事者、精神保健従事者懇談会など、精神医療にかかわるほとんどの団体が反対し慎重審議を求めてきた。病院経営者団体の日精協と日本医師会のみが、「やっかいな患者」と決めつけて国に押しつけるためか、積極的に要望し推進してきた。

3.私たちの仕事は患者さんへの医療と看護の提供であり、治安のための隔離ではない

 光愛病院統一労働組合が加盟している全国精労協も、2年近く反対運動に取り組んできた。5月25日の毎日新聞では全面で意見広告では、メッセージを寄せている。5月26日、全国精労協70名でデモの後、廃案を求め厚生労働省と交渉してきた。
 国際的に、精神科は地域医療に転換している。ところが日本は例を見ない、隔離収容政策で、世界最大の精神科ベッド数と、10万人と言われる社会的入院をかかえ、国際的な批判を受けている。医療法は精神科特例があり、医師は1/3、看護師は1/2でも病院と認められ、精神障害者が適切な医療を受ける権利を奪われている。少ない人員配置は虐待と人権侵害の温床となっていて、精神科の不祥事は絶えない。隔離収容政策から地域医療への転換と精神科特例の撤廃が求められている最優先の課題である。この精神医療政策の矛盾の解決は日本政府の責任である。それに逆行して、精神障害者は危険だから特別施設に隔離すると言う法律で差別を煽ることではない。
 政府はこの法案で「手厚い医療のもと、社会復帰を促進する」という。しかし、精神科特例のために、他科と同じ水準の、手厚い医療が保障されないという現状がまず問題である。いいかえれば、日本では心神喪失となって罪に問われる事態に追い込まれなければ、「手厚い医療」が保障されないことになる。しかも無期限の拘禁の可能性が引き換えである。審議過程で、与党議員は心神喪失以外にも拡大適応を求めており、坂口厚生労働大臣は、病状の再燃をもって再犯のおそれと見なす内容の発言をしている。この法案はまさしく保安処分である。
 医療観察法は精神科医療を医療を必要とする個人の利益でなく、治安の道具に歪める。私たちは隔離のための「監護者」では決してない。医療従事者の誇りをかけて、諦めることなく医療観察法の廃止を求め続ける。

以上


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