「心身喪失者医療観察法案」 国会審議等 第156回国会参議院審議 参議院法務委員会 : 6月2日議事録(未定稿)
平成十五年六月二日(月曜日)(未定稿)
午後三時開会
〔法務委員長魚住裕一郎君委員長席に着く〕
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会、厚生労働委員会連合審査会を開会いたします。
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
前回に引き続き、前回はようやくほんの入口しかできませんでしたので、そろそろ本論に向けて入りたいと思いますが、本題に入ります前に、実は私、是非、日本精神科病院協会の会長においでいただいて、参考人として御出席いただきたいと、こういうお願いを申し上げました。理事会の方ではその方向で御検討をいただいたと伺っておりますが、残念ながら今日御出席をいただいておりません。極めて残念であります。私としては、この場でちょうちょうはっし、いろいろとお尋ねをしたい点がありましたし、提出していただきたい資料もありましたんですが、そのことをこの場でやることができなくなったことについて極めて残念と申し上げるしかないというふうに思います。むしろ、何となく曇っているかなという雲行きがもっとダーティーになってきたなという感じをぬぐえてなりません。そのことを冒頭申し上げて、具体的な課題に入りたいと思います。
まず最初の課題は、今皆さんのお手元にも若干の資料配付をさせていただきました。大きく分けて二種類ございます。その一つは、最初の三枚で、前回でしたか、私も取り上げました毎日新聞の報道に関して、それぞれ警察庁及び厚生労働省から、一体この報道の中身についてどうなのかということで調べてほしいというお願いをいたしました。それに関する資料が最初の一枚半載っております。それから、後半については、私がこの委員会でも引用をさせていただきました平成十四年度の厚生労働科学研究、分担研究の報告書、これについてようやく公表できるということで資料としていただきましたので、早速に皆さんにもお目通しいただきたいということで用意をさせていただきました。ちなみに、私が委員会で引用させていただいた部分は、一番最初の「研究要旨」の四角のところに囲ってある部分から引用をさせていただきました。改めて御確認をいただければというふうに思います。
そこで、毎日新聞の五月二十二日の報道を受けて若干のやり取りをさせていただいた後、押し問答をしていても始まらないので、厚生労働省と警察庁の方で一体どういうことになっているのか、平成十三年度についてそれぞれ資料を出してほしいというお願いをしました。そこで出てきたのが二枚目、三枚目の資料であります。実は今日この資料についていろいろとやり取りをしてもよかったんですが、そもそも毎日新聞の方からのアンケートにお答えいただいたところは四十件ほどということで、必ずしも全数調査になっていないということですので、この細かい数字の一つ一つの突き合わせというのは今日はこの場では行いません。ただ、一つの材料として出てきたということで、まずはこの基本的な点だけごらんいただきたいと思います。
まず、これは現在の精神保健福祉法の第二十四条に警察官通報という制度があって、警察官通報が行われた場合には措置入院すべきかどうかという判断をすると、こういう制度になっているんです。すべての警察官通報をここに取り上げたのではなくて、その中でも殺人とか放火とか強盗とか、いわゆる今回の法案の中で対象行為に指定されているような言わば重大な他害行為、こういうことについてそういう事案があって、措置入院の通報があって入院になったかどうかと、こういう調査であります。
そこで、私は三点ほどどうしても指摘しておかざるを得ないと思います。
まず第一は、厚生労働省の方の措置通報を受けた件数というのが三百三件になっています。一方、警察庁の方の通報数は百七十八件となっています。同じ年度で同じ概念で同じ通報をした制度がこれだけ違うというのは一体どうなっているのかとお尋ねをしました。そうしたら、極めてそれは理由があることでして、事件の言わば事件性をきちっと厳格にとらえたのが警察庁の方の数字だと。一方、厚生労働省の方は、必ずしも警察のように事件性を厳密に、例えば放火はかくかくしかじかという定義に合わせて数を挙げていないものですから、例えばごらんいただくと、放火のところは厚生労働省の数字は百二十八となっているのに警察庁の方は四十一と、随分数字が違います。そういう意味では、事実確認というか、事実をどう認識するかというところがこの二つの資料を比べてみても大変違いがあると。したがって、ある意味では事実確認というのはよっぽどきちっとしなきゃいけないなというのがこの表からまず読み取れることだというふうに一つ思います。
それから二つ目は、警察庁の方の資料は、ずっと読んでいきますと、通報されて送致されて捜査あるいは送致しなかったという、言わば警察及び刑事手続の方はきちんとフォローしてあります。きちんとフォローしてありますが、通報されて入院になったかどうかとか、入院してその後退院したかどうかとかということは全然フォローできておりません。これは、ある意味では仕方がないですね。今の制度がそれをずっと追い掛けるようにできていないものですから。警察庁の方は、通報された、そして送致された件数が何件、現在捜査中が何件、これ平成十三年度中ですから随分長いこと捜査しているなと思うんですが、捜査中が何件、それから送致しなかった件数が何件と、こうなっている。そういう意味では、警察庁の方は通報まではするけれども後はフォローできていない。ちょっときつい言い方をすれば、後は知らないよと、こういうこと。
戻っていただいて、今度、厚生労働省の方の数字をずっと見ていただくと、通報を受けた数、そのうち入院をした数、医療保護入院になった数、その他というふうに医療に関してはフォローしてある。追い掛けている。ところが、通報を受けたけれども、そして措置入院になったけれども、その後送検されたかとかいう刑事手続上のことは全然取っていないんですよ。これは、ある意味では今の制度上当たり前といえば当たり前。
だから、そこのところで結局、こういう事例があったんじゃないか、あんな事例があったんじゃないかというふうに言われると、両方とも確かめようがないから、いや、そうであったかもしれないというふうにどうしてもならざるを得ない。そこのところを毎日新聞の記事は突いたんだというふうに私は思います。
そこで、こういう現行制度上やむを得ざる統計数字が出てきて、今ここでこれ以上ああしろこうしろと言っても、この数字そのものが出てくるという仕組みにはなっていないので、さてそこでお尋ねしたいのは、両大臣にお尋ねしたいんですが、今のように、一方で警察そして刑事手続の流れがあって、一方で通報されて措置入院、医療の流れがある。こっちからこっちに来るわけですね。ある意味では、逆に入院したのにこっちからこっちに行く場合もあるわけですよ、送検されて。
今議論をしている法律は、正しく司法と医療の間についてどう整理したらいいかという法律なわけですよ。そうでしょう。医療だけの法律でもない、一方、司法だけの法律でもない。とすれば、警察から刑事手続にのっとって裁判というふうに行く司法の流れと、それから通報されて医療の方に来る流れとを突き合わせてみることによって初めてどういう制度が必要なのかということが検証できると思うんです。逆に、そういうことを検証した上でどういう制度設計をしたらいいかということがあってしかるべきです。
ところが、残念ながら、残念ながら、今の仕組みから得られるデータはそういうものを検証するに十分なデータにはなっていない。私は、今からでも遅くはないので、例えば特別研究班でも作って、実際どういう事例がどう動いて、その結果としてどんなふうに社会復帰につながったのかとか、あるいは逆にそううまくいかなかったのかとか、途中で自殺した例はあるんではないかとかいうようなことを研究班でも作って調べたらいいと思うんですよね。少なくとも私は、今回の新しい法律を作るに当たって、これまでのこうした両分野にまたがる、あるいは行ったり来たりするような問題をきちんと実態を検証して、その上で制度設計をして新しい法律制度を作るという作業が抜け落ちていたというふうに言わざるを得ません。
この点について、両大臣の御所見、お考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 警察庁と厚生労働省が取りまとめられましたデータの内容につきましては私からお答えする立場にはございませんけれども、まず最初に、この制度、本制度は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、継続的で適切な医療を行うこと等により、その社会復帰を促進することを目的とするというものでございまして、刑罰に代わる制裁を科すことを目的とするものではないという点を御理解いただきたいと思います。
このように、この制度は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者について、刑事手続が終了した後にその者の社会復帰を促進するため本制度による医療が必要であるかどうかを決定し、必要な者には国の責任において手厚い専門的な医療を統一的に行うための制度を定めたものでございます。そもそも、その者に医療が必要であるか否かということと、その者に刑罰が必要であるか否かということは本来別個のものでございまして、刑罰が必要であるから医療が不要であるとか、反対に医療が必要であるから刑罰が不要であるという関係にあるわけではございません。
御指摘の精神保健福祉法第二十四条により警察官から都道府県知事に通報された者につきましても、医療が必要であると判断された場合には措置入院等の措置が取られることになりまして、これとは別に、警察から送致を受けた検察官におきましては刑罰を科すことが可能であります。かつ必要と考える場合にはその者を起訴しているという状態でございまして、これらのことが可能なものでございます。
したがいまして、この法案の立案に当たって、御指摘のような調査研究を改めて行わなければならないというふうには考えておりません。
○国務大臣(坂口力君) 重要な御指摘でございますので、法務省とよく相談をさせていただきまして、善処したいと存じます。
○朝日俊弘君 森山法務大臣の答弁は、全然ちょっと的を得ていないというか、とんちんかんですよ。
私は、医療と刑罰と両方もうちょっと、どっちかどっちかにせいというようなことを言っているつもりはない。今、新しく作ろうとしている法律は、精神障害者が不幸にしてある事件のいわゆる他害行為を起こしたとして、しかもそのときの状態が心神喪失状態であった人について、検察官の段階から、つまり送検された段階から、不起訴になった場合、裁判所で無罪になった場合について対象者としてこういう手続に乗ってやっていきましょうと、こういう制度ですよね。だから、警察官段階ではこの制度に乗っかってこないわけですよ。送検されて初めて乗っかってくるわけですよ。
その警察官の段階で、二十四条通報で通報された結果、ここの中にもあるように、平成十三年度中に二十二件が捜査中で十六件が不送致で、だからまだ新聞報道ほど多い数字ではないかもしれませんが、一定の対象者になるであろうと思われるような事例のうち相当数が捜査中であり不送致であると。そうすると、警察官の段階で本来ならばこの制度にきっちりと乗っかっていただくべき人がそうではないルートに行ってしまって、二重の道ができちゃうと。これは問題ではないか。だから、そういう点は実態をちゃんと把握しておいた上で制度設計すべきではないですか、その辺は抜かっていたんじゃないですかということを聞いているんです。もう一遍。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の趣旨がちょっと、私も取り違えたようで大変失礼いたしましたが、この精神保健福祉法第二十四条による警察官の通報義務というのが精神障害者に対して必要な医療を確保するためのものであるというふうに私承知しておりまして、その者の責任能力の有無、程度とは関係がございませんで、また検察官送致の代替措置でもございません。
また、刑事訴訟法第二百四十六条は、司法警察官に対し、犯罪の捜査をしたときは原則として速やかに事件を検察官に送致しなければならない旨定めておりまして、警察においてはこれに従って捜査の処理が行われているというふうに思います。
その結果、現在のところ、今までのそれぞれの措置の間にすき間なりあるいは食い違いができて、先生御指摘のような問題が起こっているではないかという御指摘じゃないかと思うんでございますが、そのようなことがないようにできるだけしなければいけないという問題意識から、この新しい法律もそこを何とかカバーしていって、全体として他害行為を、重大な他害行為を行った人が二度とそのようなことが起こらないようにということを考えて、この法案を提案しているわけでございます。
○朝日俊弘君 全然ちょっとまだ的を得ていないんですよ。
それで、私が言いたいのは、これは平成十三年度の数字を挙げてもらっていますから、ずっと後を追い掛けてみないとどうなるか分からないという問題はありますよ。ありますけれども、ありますけれども、この一時点で切ってみても、通報数が百七十八あったとして二十二がまだ捜査中で、これ十三年度ですよ、何回も言いますけれども、十六件が不送致なんですよ。
だから、こういう人たちは、もしかすると検察官のルートに乗っからないで、乗っからないですね、これだと。送検されてからしか乗っからない。そうすると、この制度には乗っからないということになっちゃうわけですよ。これは追い掛けてみないと分からないけれども、このままだとすれば、そういう同じようなことをやって、同じような状態であったと思われる人が実は全然違う流れの上に乗っかっちゃうということになりません。これは問題じゃないですか。せめて、そういうことを数字としてちゃんとつかまえて、新しい制度を作るときは制度設計をするのが当たり前じゃないですかと。もしそれぞれの省庁で取りにくいんだったら、特別研究班でも作って調査してフォローしたらどうですか。そういうことを今言っているわけですよ。お分かりになる。
○国務大臣(森山眞弓君) 非常に難しい問題かと思いますけれども、おっしゃろうとしていらっしゃることは分かるような気がいたします。
そのような問題があるから何とかしなければいけないということを考えた結果でございますが、それでもなお不十分であるというお気持ちでいらっしゃるんでしょうか。そうだとしますと、大変残念ながら、お分かりいただけ、私自身が分からないのかも分かりませんが、そのような、ちょっと御趣旨がよく分かりませんで申し訳ございません。
○委員長(魚住裕一郎君) じゃ、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(魚住裕一郎君) 速記を起こしてください。
先ほど、刑事局長、手を挙げましたので、法務省樋渡刑事局長。
○政府参考人(樋渡利秋君) 少し法律の建前を説明させていただきたいのでありますが、この内容でございますが、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づきまして通報される場合は、二十四条、二十五条、いろいろございます。二十五条では検察官の通報となっておりまして、二十四条、二十五条、それからその二十六条もすべて精神障害者の治療を受けやすいようにするためにこれを通報するという建前といいますか、その内容、目的は変わりございませんが、二十五条の検察官の送致は、「精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、」というふうになっておりまして、これは司法に乗っかってきた者に対して検察官が通報することになっておるのでありますが、二十四条は、警察官は、職務を遂行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷付け又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに通報するというふうになっておりまして、警察官としては通報を直ちにすることが義務でございまして、それを捜査するかどうかより以前に通報する義務が課せられているのでございます。
そこで、警察官は通報した上で捜査に入るわけでありますけれども、その捜査の結果、捜査に入ればこれは刑訴法二百四十六条によりすべて検察官に送致をするということになっておりますので、警察官は、犯罪の捜査をした以上、すべて検察官に送致されまして、それは既にすべて司法に乗っかるということになっております。
○朝日俊弘君 今の答弁、本当ですかね。すべてといったら全数ということですね。
こういうふうに考えていいんですか。じゃ、その警察庁の方から出していただいた平成十三年度中のやつは、通報数が百七十八あって、送致されたのが百四十で、捜査中が二十二、不送致十六とありますが、こういうことはないということですか。全数とおっしゃるけれども。
○政府参考人(樋渡利秋君) この警察が作られました内容について、具体的にはどうか分かりませんけれども、とにかく、その不送致となっているものは捜査に及ばなかったということであれば何ら矛盾はないと思います。
○朝日俊弘君 今の一番最後の言葉をもう一遍言って。聞こえない。
○政府参考人(樋渡利秋君) 先ほど二十四条の内容を説明しましたように、警察官は、その職務を遂行するに当たって、自傷他害のおそれがある精神障害者を発見したときは通報することが義務付けられております。したがいまして、通報したのでありますけれども犯罪として捜査しなかったという者がいても何ら不思議ではないというふうに思うわけであります。
○朝日俊弘君 そうすると、この数字は、平成十三年度中に殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害、傷害致死事件について、精神保健福祉法に基づく警察官が通報した件数というふうにあるけれども、それにのっとって、通報したけれども犯罪として成立しなかったというふうに警察の段階で判断をしたと、こういう数字が十六ということですか。これは裁判になっていないんだからね。
○政府参考人(樋渡利秋君) この警察の数値がどのようにして取られたのか、私がお答えする立場にありませんが、要は警察としてはこれは犯罪として立件しなかった数字であろうというふうに思うわけであります。
○朝日俊弘君 警察庁と法務省のけんかにくみするつもりはないんですけれども、私が言いたかったのは、こういう数字をきちんと事前に特別調査会、委員会でも作って調査をして、本当にある事件で精神障害者がかかわっていた場合に、どこで通報されたらどういう流れになるのか、どこで、どういう判断を受けて、どういう処遇を受けて、その結果どうなったのかということをこの新しい制度を作る前に事前にちゃんとデータとして調べておくことが当然必要だったんじゃないですか。それでないと新しい制度の制度設計というのは緻密なものができませんし、また新しい制度ができた場合に、その新しい制度と従来の制度との整合性をどこでどう図るかということができないんじゃないですか。そういうことをきちんとやらずに拙速にこの法案を作ったんじゃないですかということを聞いておるわけです。だから、この点は大臣に聞きます。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるようなケーススタディーのような勉強をもっとするべきであったという御指摘は私もよく理解できるのでございますけれども、この法案の立案に関しましては、かなりもう何年も前からいろいろと検討してまいりまして、その検討が十分でなかったとおっしゃるのであれば、それは甘んじて私としては受けますけれども、この法案を立案いたしますのには、それなりにいろいろと過去の様々なデータを調べまして、その結果このように立案、提案させていただいているわけでございますので、そこのところは御理解をいただきたい。
更にもっと、この法案を実際に動かしていくのにもっと内容的に十分なものにするべきであるということでありましたら、ケーススタディーを幾つか、あるいはもう既にあるかも分かりませんが、そういうものに新しいものも加えて勉強していくことは必要かもしれないというふうに思います。
○朝日俊弘君 確かに、私が思うには、極めて立案過程の検討は不十分だったと言わざるを得ない。
例えば、例の大阪の池田小学校の事件を起こした某被告にしても、以前に措置入院の経験があるんですよね。そのときの経緯などを、そして今回のあの悲惨な事件に至った経緯などを丁寧にケーススタディーしておけばこんな法律出てこないんですよ、どう考えても。ところが、あのときに、何と小泉総理がミスリーディングしたんですよ。新聞報道をぱっと取り上げて、それで刑法改正も含めて検討しろと、こうやったんですよ。そこから事の間違いが起こっているんですよ。もう一遍、私は、あの事例の丁寧なケース検討から始めてみたら違う結論が出ていると。そこのところがどうも最初の取っ掛かりのところから納得がいかないものですから、今の御説明で納得するわけにはいきませんが、この問題については更に問題点として残して、次の質問に移ります。
なお、念のため申し上げておきますが、このお手元にある資料は、厚生労働省の方は毎日新聞のデータに突き合わせるために四十件しか出していません。だから、本当ならば、全件調べてどうなっていたかというスタディーが必要だというふうに思いますし、それと、警察庁の方のデータとがどこでどう食い違うのかというのもひとつきちっと調べておいてください。
私は、かなり事実確認に、通報に基づく鑑定書に書いてある項目があるんですよ、あれ、チェックするだけで、問題行動、何たらかんたらと例が書いてあって、ちょっちょっちょっとチェックを入れるだけで、そういう書類になっているんですけれども、かなり事実確認が厚生労働省サイドは甘いというか、かなり十分に調査した上で項目にチェックをしていない。それは恐らく、自傷他害のおそれという極めてあいまいな概念なるがゆえに、そこまで厳密さを求めていないというところの気持ちがあるのかもしれませんが、警察庁の方の数字と随分と開きがある。ここは開いたままでいいのかという問題はある、今後の問題として。なぜならば、現行措置入院制度はちゃんと引き続き残るわけですから、ここはひとつ今後の課題としても検討しておいてください。
その上で、ちょっとまだ大事な問題が残っていますから、次の課題に移ります。
再犯のおそれの問題について、これは衆議院では去年の六月、七月段階では随分と議論になりました。例のオックスフォードの教科書まで出てきて、えらい具体的な議論やっているなというふうにはたから思っていました。具体的な割には表面的な議論に終わったというふうに思いますが。
さてそこで、前回修正案の提出者にこういうお尋ねをしました。法律の第一条の「目的」のところ、病状の改善及び同様の行為の再発の防止というところは、そのまま政府案のとおり残してある。ただ、入院等の要件を判断する場合の文言としては、再び同様の行為を行うおそれという表現を変えて、同様の行為を行うことなく社会復帰することを促進というふうに修正されました。これは一体どういうことか。両方併せて読むと、結局は、再び同様の行為、同様の対象行為を行うおそれがあるかないかということがやっぱり入院等の判断の重要な要件になるんじゃないか、変わらないんじゃないかということをお尋ねしました。そしたら、修正案提出者は、こういうふうにおっしゃっていました。「これに伴って同様の行為を行うことなく、」との要件を加えた趣旨は、本案の第一条の精神障害の「改善」、「これに伴う同様の行為の再発の防止を図り、」というのも同様の趣旨だということだというふうにお答えになりました。
ということは、やっぱり再犯予測の問題は修正案にもかかわらず厳然として保たれている、要件として、というふうに私は解釈をしていますが、この点について、法務大臣はどう解釈されていますか。変わったですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 心神喪失等の状態で殺人、放火等の重大な他害行為を行った者は、精神障害を有しているということに加えて重大な他害行為を行ったという、言わば二重のハンディキャップを背負っているものでございます。そして、仮にそのような精神障害が改善されないまま同様の行為が行われることとなれば、そのような事実は本人の社会復帰の大きな障害となることは明らかでございます。
そこで、このような事態にならないようにすることが対象者の社会復帰という目的を達成するために極めて重要であるというふうに思われますことから、第一条の「目的」の中に、病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図るという言葉を入れたものでございます。
衆議院におきまして修正された要件につきましては、これまで修正案を御提案なさった委員がお答えなさっていらっしゃるとおり、政府案に対する様々な御批判や御懸念等を踏まえまして、これを解消するためにその要件を明確化するとともに、対象者の社会復帰を促進するという本制度の目的に即した限定的なものとされたものだと理解しております。
○朝日俊弘君 分からないんですよ。
もう一遍聞きます。私は、修正案によってかえって概念は不明確化されたと思っているんですよ。だからしつこく伺っているんです。
別に私は政府案がよろしいというふうに言っているわけじゃ全然ないんだけれども、法律の組立て方としては、目的の表現とそれから入院等の判断の要件等がきちっと整合性の取れたというか表現になっているので理解しやすいわけです。
ところが、修正案提出者は、「目的」のところは変えなかった。変えたとすれば、二段目に社会復帰をもっと強調した。だけれども、「目的」の第一項は変えなかったんですね。第一項のところは変えないままに入院等の判断の要件のところを変えられたものだから、だから法律の構成としては物すごく分かりにくい法律になっちゃった。これ、ちょっと法律を勉強した皆さんに聞くと、ひどい法律だと、こうおっしゃる。
そういう意味で、この修正案の提案者の意図は分からないではないにしても、法律の作り方とその表現ぶりは極めて不明確になったし、しかし、なったにもかかわらず、従来の再犯のおそれを防止するというところは再び罪を犯すおそれ、再犯のおそれというのは生きているというふうに私は思う。
だから、もう一遍、再犯の予測は可能かどうかというところの議論をもう一遍きちんとやらなきゃいかぬと思う。何か、参議院に来てややそこのところの議論がもううまくくりっと回避されちゃったような雰囲気なんだけれども、それはおかしいと思っているというふうに私は思うんですが、もう一遍答えてください。
○国務大臣(森山眞弓君) 政府原案では、心神喪失等の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認められることが処遇の要件と規定しておりましたが、これまで修正案を御提案なさった委員の方々がお答えなさっておりますとおり、政府原案に対する様々な御批判がございまして、これらを踏まえまして、その問題を解消するためにその要件を修正されたんだというふうに理解しております。
すなわち、本制度による処遇の対象となる者は、対象行為を行った際の精神障害を改善するためにこの法律による医療が必要と認められる者に限られること、このような医療の必要性が認められる者の中でも精神障害の改善に伴って同様の行為を行うことなく社会に復帰できるよう配慮することが必要な者だけが対象となることを明確にされたと、これらによりまして、この制度による処遇の要件を制度の目的に即した限定的なものにしたというふうに理解しております。
○朝日俊弘君 押し問答になっちゃいますから、大事ですから、ちょっと坂口大臣の答弁も求めておきたいと思います。
ただ、一つ指摘しておかなければいけないのは、確かに修正案は様々な批判に一つの形でおこたえになったことは事実だと、それは認めます。だけれども、目的は変えずに表現だけうまく変えて回避した、体をかわしただけというふうに私は思えてなりません。それが私の評価です。
その上で、坂口大臣、去年の、もう古い話で恐縮ですが、六月二十八日、もうかれこれ一年前ですね、衆議院の法務委員会で我が同僚の平岡委員とのやり取りの中で、そもそもこういう仕組みを作ることは非常に疑問だというふうに平岡委員が尋ねられて、そのときに坂口大臣が、この法律という、この場合には再犯を予防する、重大な犯罪を繰り返さないというのが大前提だと、こういうふうにお答えになって、ある意味では非常にはっきりお答えになった。
その後ですよね、十一月ですからその後に修正案が提出されて、修正議決されてきた。修正を受けた以降もいわゆる重大な犯罪を繰り返さないというのがこの法律の大前提だという答弁は変わりないですか。
○国務大臣(坂口力君) 確かに平岡議員の御質問に対しましてそのように答えたかというふうに思いますが、その意味は、心神喪失の状態で重大な他害行為を行った者の精神障害が改善されないままで再びそのために同様の行為が行われるということになれば、この本制度の最終目的であります本人の社会復帰にとって重大な障害になるということを申し上げたわけでありまして、再犯のこれは予防というふうにそのときに私は申し上げたそうでございますけれども、何を見てみますとそういうふうになっておりますので、それは再犯を防止をするという趣旨でございまして、先ほど申しましたように、本人の社会復帰にとって重大なそれは障害になるということを私は言いたかったということでございます。
○朝日俊弘君 いや、ちょっと納得いかないですね。おっしゃるように、再犯の防止というよりも再犯を予防するということが大前提だという言葉を使っておられます。
そうすると、どういうふうに私は理解したらいいんでしょうか。もう一遍お尋ねしたいんですが、その六月時点の答弁と、それから修正されて今ある法律案の下での理解と答弁と同じだと考えていいんですか。そうすると、法律の趣旨というか、本来のねらいは変わっていないという受け止め方だと思うんですけれども、変わったと受け止めておられますか。
○国務大臣(坂口力君) この修正案によりまして医療の必要性が中心的な要件になったというふうに私は理解をいたしております。最初の文言は四十二条第一項のところは、入院をさせて医療を行わなければ心神喪失等の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合と、こういうふうになっていたわけでございますが、これは、今度は、「対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」と、こういうふうに変わったわけでありまして、これは、先ほど申しましたように、医療の必要性が中心的な要件になったというふうに私は理解をいたしております。
○朝日俊弘君 もう時間ですから、もう一遍だけ。大事な点なんでもう一遍。
確かに医療を中心的にというふうにおっしゃるのは分かるんだけれども、にもかかわらず、再び同様の行為を行うおそれという要件の一項目は変わっていないと私は思っているんです、にもかかわらず。だから、医療に重点を置いたような、重きを置いたような、そしてその先、目的も社会復帰に重点を置いたような表現になっていることは認めます。だから、力点が変わったんじゃないかという御指摘は私も理解できます。
ただし、入院等の判断の要件として、再び同様の行為を行うおそれあるいは再び同様の行為を行うことなく社会復帰できるという、これ、言い方を変えただけで、要件としては同じ要件が残っていると私は理解しているんですが、そこはどうですか。
○国務大臣(坂口力君) だんだん難しくなってまいりましたが、先生が御指摘になっているのは、それならば、どんなときに指定病院に入れるのか、どういう条件のときに入れるのかということをお聞きになっていることではないかという気がします。
対象行為を行ったときと同様な症状が再発する具体的あるいは現実性が認められると。対象行為を行ったときと同じような症状が認められる、そういうときには指定入院医療機関に入って社会復帰を促進させるということだと思うんです。ですから、この修正されたところはかなり限定されてきているというふうに私は理解をいたしております。
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですが。
○朝日俊弘君 ちょっと今の坂口大臣の理解と全然違う理解もありまして、ある弁護士さんは、これでかえって対象は広がったじゃないかという御意見もありますから、ここは一つ問題として残しておきます。
あえて私、最後に一言言いたいことは、今日幾つかやった質問のやり取りだけでも随分と実態の検証というのが十分なされていないという気がしてならない。本来ならば、もっと弁護士さんたちや精神科の先生たちや現場からの意見を吸い上げた形で制度設計をしたらもう少し違っていたのではないかといまだに思えてならない。
是非私は、この法律はまだまだ疑問点が解明されていない点が多々ありますし、例え話で言えば、山に登ってまだ三合目か四合目ぐらいの印象ですから、是非引き続きの連合審査を求めて、私の質問を終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今、朝日委員から、二十四条通報に関連して冒頭質問がありました。この警察庁の資料を見せていただきますと、百七十八の通報数のうち、全件送致のはずが十六件が不送致になっていると。これはおかしなことではないんだという答弁でありましたけれども、約一割が不送致だと。私どものところにはいろんな医療関係者から、実際には現場で警察官の様々な判断でこれが不適当に不送致になっているんじゃないかという意見をよくお聞きをいたします。そういう点でここでまず一割近い人がこぼれている。
さらに、じゃ、送致をされた以降に検察官が二十五条通報をした場合にどうなっているかという問題があります。
法務省の資料によりますと、平成十二年の場合に検察官通報された千七十五件のうち、措置入院となったのは五百九十人、約五割強ですけれども、診察もされない、通報されても、これが千四十一件の中で三百六件、約三割、診察すらしないということがあります。通報を受けても診察もしないと。こういう判断はだれがどういう基準でしているんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 精神保健福祉法第二十五条に基づきまして、検察官から都道府県知事あるいは指定都市の首長に通報がなされた場合は、保健所や精神保健福祉主管課等の職員が通報された者の症状の程度、治療歴等を調査しまして、その結果に基づき都道府県知事等が措置診察の必要性について判断していると承知しております。
○井上哲士君 今、症状の程度も判断をするということがありますが、私、これ厚生労働省が作っておられる逐条解説を見ますと、指定医に診察させることは都道府県知事に付与される権限であるとともに都道府県知事の義務であると、こういうふうに書かれております。そして、ここで言う調査には、精神障害の有無に関する医学的診断に関する事項は含まれないと、こう書いているわけですね。特に一般からの通報の場合はいろんなことがあると。しかし、検察、警察官等の職務にある者からの通報については、少なくとも症状の程度を調査すれば足りるものと考えられると、こういうことを書いておるわけですね。
こういうことからいいますと、やはり基本的に通報があった者についてはやっぱり診察のルートに乗せるということが必要なんじゃないでしょうか、いかがでしょう。
○政府参考人(上田茂君) 先ほども申し上げましたように、保健所等を通じて行う事前調査の上、都道府県知事等において判断するわけでございますが、その幾つかの例を御紹介させていただきますと、例えば検察官通報は精神障害者又はその疑いのある被疑者あるいは被告人について行われるものでありまして、その中には、自傷他害の恐れがあると認められない者も含まれているというふうに考えられること、あるいは現在、医療機関に入院あるいは通院し、又は家族の協力が得られるために継続的な医療を受けられる状況にあること、こういう理由によりまして措置診察に至らない場合もございます。
この点につきましては、今申し上げましたように通院治療中、入院治療中あるいは家族の援助、措置症状がない例ということで、こういった状況についての調査研究の結果、今申し上げましたような事例、例がございます。
○井上哲士君 自傷他害のおそれがない場合、それから現に医療機関に掛かっている場合など例を挙げられましたけれども、この診察すら受けない三百六件がどういう内訳になっているかというのは統計を取っていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 今私申し上げましたのは、あくまでも事例的な研究と申しましょうか、至らなかった事例について御説明申し上げているところでございます。すなわち、先ほど申し上げましたが、現に治療を受けておられるケースについて、そして家族の援助もあって、あえて措置入院に至らずもこういった治療を行われているというような例などが一つの例というふうに御理解いただきたいと思っております。
○井上哲士君 二十五条通報をされても診察すら行わないということになりますと、結局司法からも医療からも抜けて落ちていくということになるわけですね。大体ちゃんとやっているはずだというような幾つか例を挙げられましたけれども、しかし、例えば先ほどの二十四条通報の件でも、全件送致すると言っていたけれども、実際には十六件不送致がある。この場合も、この三百六件の通報を受けても診察していないという中にどんな例があるかというのは、全く問題が見えてこないんです。
法務委員会の参考人の質疑の中で蟻塚先生が、今の体制というのは穴の空いたバケツのようなものだと、そこからいろんな人がこぼれ落ちていく、それをまた穴の空いたバケツで受けるのが今回の法案だという表現をされました。
現状でもこうやって医療と司法の間からこぼれ落ちていく人がいる、結局適切な医療も受けられない人がいる。こういうものをしっかり押さえていくということなしに、入院の仕組みだけが、その手続だけが決められていくというやり方は、これは問題の解決にならないということを指摘をしておきます。
その上で、いわゆる指定医療機関における医療の問題についてお聞きをいたします。
最初に、この間の法務委員会で修正案提出者の塩崎衆議院議員が、この指定入院医療機関にこの法律による処遇対象者以外に重い症状の患者なども入れることも可能だ、こういう答弁がありましたけれども、一体どういう患者をだれが判断をしてどういう手続で入院をさせるということをお考えなんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 本制度における指定入院医療機関につきましては、まず本制度の対象者に対して継続的かつ適切な医療を行うために計画的に整備することが重要でありまして、原則として対象者以外の者を入院させることは考えておりません。急性期や重度の精神障害者に対して必要かつ適切な医療を提供するということにつきましては、まずは修正案の附則第三条第二項に規定されていますように、病床の機能分化、具体的にはこういった方々に対応した病床整備を検討するなど、こういったことで対応を図ることとしたいと考えております。
しかしながら、本法案による医療の実施状況を踏まえた上で、将来、指定入院医療機関に仮に空床が生じた場合に何らかの有効な活用方策がないかにつきましては、検討してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 まるで具体的なことは分からないわけでありますが、いずれにしても、これは手続を透明にしてしっかりした人権保障の下に行われることが必要だということを指摘をしておきます。
この指定入院医療機関では、医師や看護師等の手厚い配置を前提に重厚な医療を行うということが繰り返し言われておりますが、この手厚い専門的な医療に見合う人員配置、診療内容がどういうものかというのがいまだに見えてきません。昨年の審議でも検討中ということでありますが、人員基準というのは、他の国立精神病院等と比べまして具体的にどの程度の水準をするのか、具体化が進んでいるんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 指定入院医療機関における具体的な人員配置基準につきましては現在検討を行っているところでございますが、司法精神医学が確立し手厚い医療を実施しております諸外国の例も参考としつつ、平成十五年中には適切な配置基準を定めることとしております。
なお、外国の例といたしまして、例えばイギリスの地域保安病棟におきましては、入院患者二十五名に対し医師が四名、看護職員については日勤、準夜勤、それぞれ八名、深夜勤六名、精神保健福祉士二名、臨床心理技術者二名、作業療法士二名が配置されているというふうに聞いております。こういった例を参考にしつつ、今後これから検討してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 じゃ、現在の精神科病棟の法的な基準というのはどういうふうになっているでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 失礼いたしました。
現在の基準につきましては、大学病院、総合病院を除くにつきましては、医師が四十八対一、看護師については六対一でございます。それから、大学等いわゆる総合病院につきましては、医師が十六対一、看護師が四対一、これが現在の基準でございます。
○井上哲士君 ですから、法案に基づくこの新たな指定入院医療機関が諸外国の水準を目指すならば、現在と比べますとかなりの水準が必要だということになります。
しかも、この重厚な医療を本当に行うということなりますと、熟練した多数のスタッフも必要になります。
そこで、この我が国精神科医療のセンター病院である国立精神・神経センター武蔵についてお聞きをいたします。現状の常勤の医師の数は何人になっているでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) お尋ねの武蔵病院の精神科の医師の数は、本年六月一日現在におきまして二十一名でございます。医師全体では四十一名でございます。なお、このほかに研修医十一名、それからレジデント三十四名、専門修練医五名がおります。
○井上哲士君 厚生労働省からお聞きをしますと、昨年の十月一日現在では常勤医師は二十五人だったということなんですね。六月一日では二十一と言われましたけれども、五月末時点では二十人ですから非常に激減をしております。三月末に六人退職したというお話も聞くわけですけれども、こういうことの補充ができていないんではないかと思うんです。
こういう退職が大量にあったというのは事実でしょうか。そうであれば、その理由は何でしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) お答えいたします。
今年の三月におきまして三名退職したというふうに私ども報告を受けておりますが、その理由は定年一名、それから自己都合による転身と申しましょうか、転職が二名と、そのように聞いております。
○井上哲士君 いずれにしても、昨年の十月と比べて非常に医師が減っております。
私、この平成十三年の武蔵病院の年報の組織図というのを今持っておるんですけれども、外来からリハビリなどずっと各体制が出ておりますが、例えば外来で見ますと、内科医長、精神科医長、神経科医長、小児科医長、外科医長、全部欠員マークになっております。それから、病棟を見ますと、第一病棟、第十精神科医長、第十一精神科医長、第二病棟の外科医長、脳神経科医長も欠員。それから、リハビリテーション部は作業療法医長、理学療法主任、第一作業療法主任等々軒並み欠員マークということになっているわけですね。
こういう現状は今も同様でしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) お尋ねの組織図についての点でございますが、この武蔵病院が作っております年報の組織図によりますと、例えば内科医長欠といったふうに出ておりますが、実は組織定員上の話で申しますと、ここで欠となっておるようでございますが、これ併任の医長をもって充てるということになっておるものでございます。
ただいま御指摘の点につきまして、そのかなりの人につきまして併任でもってその職を充てるということになっておりまして、医長の数、ちなみに十六現在ございますが、現員十三ということで欠になっているのは三でございます。この点につきましては、現在公募といったことで鋭意武蔵病院におきまして努力いたしておるところでございます。やはり、こういった病院の、専門の病院の医長といったことになりますとそれなりの技量と見識のあるお医者さんが必要でございますものですから、そういった手続を踏んでいるところでございます。
それからもう一点、作業療法主任といった方についても言及がございましたが、こういった方につきましては、やはりその主任という職務を全うするためには経歴、そういったことが必要でございまして、たまたまそういう人がいないものですからその発令をしていないと、そういったこともございまして、ここに欠になっているからといってそういった者を、業務を担当する者がいないということでは必ずしもございません。
以上でございます。
○井上哲士君 この組織図を見ますと、しかし、例えば脳神経外科医長のところは併任の併という字が入っておりますし、何人かそういうことがあります。先ほどの説明のように、併任であるということであればこういう印が付くということになるんじゃないですか。
○政府参考人(冨岡悟君) この先生御指摘の組織図は、組織定員法上の組織ではないようでございまして、現場におきまして作成した資料のようでございまして、その意味では必ずしもそういった点で適正さを欠いている部分もあるようでございます。
○井上哲士君 やはり必要な体制が、さっき医長のうち十六のうち十三しか満たしていないというお話がありましたけれども、この国立のセンター病院としてこういうことでいいのかどうかということが問われていると思うんですね。
これは医師の体制だけじゃありませんで、例えば看護職員の夜勤体制がどうなっているのか。いただきました資料でいいますと、十の病棟のうち三つの病棟では配置人員の十六人のうち十人以上が月九日以内の夜勤ということになっていますね。なぜこんな状況になっているんでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) 御指摘の看護職員についてでございますが、私ども看護職員の充実、こういったものにつきましては最近の大変定員事情が厳しい中で、その増員につきましては最優先の課題として取り組んできたところでございます。そうでございますが、全国的には夜勤回数が月に八回を超えないといった状況になってまいりましたが、この武蔵病院につきましては、御指摘のように必ずしもまだその実現に至っておりませんものですから、看護職員の充実につきましては、この病院の性格、そういったことを十分勘案しまして、今後とも重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
○井上哲士君 複数で月八日以内の夜勤という人事院の判定が出て四十年近いわけですが、にもかかわらずこの国立のセンター病院でこういう事態というのは本当に驚くべき実態だと思います。
当該の全医労、労働組合のニュースをいただきましたけれども、こういうふうに書いています。あちこちの病棟で精神科医師が欠員です。外科と病棟の掛け持ちはもちろんのこと、病棟に一人しか医師がいない、複数の病棟を掛け持っている、いたとしても指定医がいない、こんな状態をセンター病院と言うのでしょうか、一日も早く精神科医師の確保を急いでくださいと、こういう悲痛な訴えが載せられておりました。
こういう下で、一体どんなことになっているかと。女子急性期閉鎖病棟、男子急性期閉鎖病棟は研修医はいるけれども常勤医師は掛け持ち、社会復帰病棟は常勤医一名で四十五人から四十八名を診ていると。これは以前は二人医師がいたそうでありますけれども、こういう状態であります。
我が国の精神医療のセンター病院と言われる国立武蔵病院がこういう状況でいいんだろうか。これ、厚生労働大臣、その認識、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 現場はどういうふうになっているのかということを私存じませんが、もし先生がおっしゃるようなことが仮にそれが現実であるという前提でいえば、それは憂うべき事態だと思います。もう少し医師の確保等を早く積極的にやらないといけないというふうに思います。
○井上哲士君 国立のセンター病院は恐らく指定入院医療機関の有力候補の一つだと言われておりますが、そこでさえスタッフの現状はこの程度なわけですね。退職した医師の補充もままならないという状況がありますし、指定医の補充も研修医だというような状況も聞いております。
私、今日、朝ちょうど手紙をいただきまして、このことの訴えもありましたし、ここだけじゃないと、国公立の精神科病院で医師の欠員が生じて、それがなかなか埋まりにくい傾向がここ数年顕著だという訴えの手紙でありました。
こういうような状況のままで、本当にこの指定入院医療機関というのを作って重厚な医療を行うということができるんだろうかと、こういう不安の声も上げておられましたけれども、この点大臣、もう一度所見いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 精神科医療だけではなくて、公的な病院全体を見ましても、なかなかお勤めをいただく先生が少ないというのは現実問題としてあるわけですね。それで、それには様々な理由があると思うんです。ある年齢に達しました場合に開業されるということもございましょう。あるいはまた、他の病院からのいろいろのお誘いもあったりすることもございましょう。
しかし、公的な病院というのはそれなりの社会的な責任を持ってやっているわけでありますし、やはりそれだけの誇りを持ってやっていただかなければなりません。したがいまして、そうした病院が誇りを持ってやっていただけるような状況になっているかどうかということが非常に大きな要素だと私は思います。それは、ただ単に人数だけの問題ではないというふうに思っております。その中で働いていただいている先生方全体のことも含めて、やはりよく考えなきゃならないときに来ているというふうに私は思っている次第でございます。
精神科医療の場合には、今おっしゃいましたように、どういたしましても全体として非常に精神科の先生が少ないという、そういうことも私は影響しているというふうに思っております。最近とみにまたそういう傾向があって、ある特定の科目に集中をして、そして少ないところはだんだんと少なくなっていくというような傾向もあるものですから、大変我々も心配をしているわけでございますが、できる限り多くの医師がそれぞれの分野において積極的に働いていただけるような体制をどう作るかということも非常に大事でございまして、研修医制度の問題のときにも、精神科もやはり是非これは勉強をしていただいて、そしてその研修のときに、やはりそうしたことは、この精神科というものはいかに大事かということをよく分かっていただくようにしないといけないというふうに思っている次第でございます。
○井上哲士君 指定入院医療機関の医療の具体的な中身というのは質疑の中でも明確に示されておりませんし、今明らかになりましたように、そのスタッフの体制も、その確保のめども十分に付いていないという状況があります。
そういう中で、果たして本当に重厚な医療が行われるのか、結局は閉じ込めだけの安上がり医療になるんではないか、逆に、そこに少ないスタッフが集められることによって他の様々な医療機関にしわ寄せが来るんではないか、こんないろんな懸念と不安が巻き起こっているわけでありまして、やはりこういう問題をしっかり示すことなしにこの法案を通すわけにいかないということを改めて申し上げておきます。
その上、さらに、地域に帰った場合の救急医療ということが私は大変重要だと思います。この間、救急医療システムが作られてまいりましたけれども、警察に保護をされないと始動しないような、いわゆるハード救急と言われるものが作られてまいりましたけれども、実際には初期の治療が非常に大事なわけで、気軽に掛かれる一般の救急医療と同じようなソフト救急と呼ばれる初期救急が非常に大事だと思いますが、この辺が大変後れています。これはどういうふうに強化をするようにお考えでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 精神科全体についてでございますけれども、とりわけ地域における精神科医療体制というのは非常に手薄と申しますか、とりわけ精神科の患者の皆さん方が地域に帰られる、いわゆる地域で受け入れるといったようなことにつきましても非常に現在手薄になっております。ここはこれから急を要する話でありますので、積極的に対応していきたいというふうに思っております。
〔委員長退席、法務委員会理事荒木清寛君着席〕
それぞれの地域でそういう皆さん方を受け入れるということになりますと、時には悪化することもあるわけでございますし、そういたしますと地域における救急医療というのも大切になってまいります。救急医療につきましては昨年、平成十四年ぐらいからぼつぼつと整備を始めておりまして、二十四時間体制のところも作り上げているわけでございますが、まだ全地域それが行き渡っているというほどでき上がっていないというふうに思っております。しかし、このところは早く体制を整えなければならないというふうに思っておりますので、各それぞれの地域の病院にも御協力をいただいていきながら、救急医療体制の確立をしていきたいと思っているところでございます。
○井上哲士君 この間、一定の前進はしてきたかとは思うんですが、しかし、診療報酬が少なくて当直体制を維持するのが非常に難しいであるとか、それから新しい体制ができても非常に医師や看護婦の配置基準が厳しくて、適合する病院がどれだけあるかという疑問の声も上がっておりますけれども、この点の支援という点ではいかがでしょうか。
○政府参考人(真野章君) 精神科救急医療に対します診療報酬上の評価でございますが、平成八年に精神科急性期治療病棟入院料を創設をいたしました。また、平成十四年の、昨年の診療報酬改定におきましても、精神科救急に対する評価といたしまして、今の精神科急性期治療病棟入院料につきまして、精神科救急医療システムへの参加を要件といたしまして、手術や麻酔の点数を新たに別途加算が可能といたしましたし、重症の精神科の救急患者を数多く受け入れ、精神科救急医療システムにおきます基幹的役割を果たしている医療機関を対象に精神科救急入院料を新設をいたしまして、手厚い評価を行っているところでございます。
先生御指摘のような点も含めまして、現場の御意見も伺いつつ、精神科救急医療に対する適正な評価に努めてまいりたいというふうに思っております。
○井上哲士君 地域に本当に戻っていけるかどうかという決め手を担うようなこういう地域ケア、その中でのこの救急医療体制の強化というのは本当に緒に就いたばかりでありまして、正にこういう分野の整備こそ一刻を争って進めるべきだと、入院の手続だけを決めるような今度の法案ではなく、こうしたやり方こそ進めるべきだということを改めて指摘をいたしまして、質問を終わります。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案につきまして伺います。
まず、冒頭、坂口厚生労働大臣、今日はお元気だということをほかの委員からお聞きしましたので、ちょっと通告してなかったんですけれども、確かめたいことがあるんですが、本日のこの連合審査の開催に当たりましては、日精協の献金問題について、その日精協、日本精神科病院協会から参考人として御出席いただくということが前提になっていたと思うんですね。ところが、ファクスが一枚、たった一枚でございますが、社団法人日本精神科病院協会事務局長森さんからはこのような返事が来ております。厚生、法務厚生労働連合審査会出席の件は、公務、括弧、精神保健指定医研修会等のため応じられませんので御連絡いたします。これ一枚だけなんですよ。この公務って一体何でしょうか。精神保健指定医研修会、これ厚生労働省が主催のものなんでしょうか。
先日の厚生労働委員会におきましても、この献金問題につきましては大臣といろいろお話しいたしました。献金については、それぞれ個々の議員が自分の自己責任において受け取る。しかし、それは政策決定において著しく公正ではない、そういうことをしないという、それが前提であると。公正中立な立場でやるということが前提であるというふうなお話があったわけですが、やはりこの法案、この日精協の献金問題をきちんと整理するということが必要だと思うんです。ということで、厚生労働大臣、やはりこの日本精神科病院協会からきちんと出席してもらうべきだったと考えますが、コメントをお願いいたします。主務大臣だと思いますので。
○国務大臣(坂口力君) その先生がお忙しいのか、どういうことなのかということは私には全く分かりません。それは、御本人にお聞きしていただかないと私には分からない話でございます。
また、委員会の運営につきましては、皆さん方、理事の皆さん方といろいろと御検討をいただいているわけでございますから、私がそれに対してどうこう申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
〔委員長代理荒木清寛君退席、委員長着席〕
○森ゆうこ君 そうおっしゃいますけれども、この社団法人日本精神科病院協会、主務大臣は坂口厚生労働大臣ではないでしょうか。そして、この構成メンバーにつきましては、先日のこの法務委員会でもいろいろ御報告がございました。厚生労働省の方から、後ほど伺いますけれども、大変大きな補助金が行っている、そして一年間でこの日精協の方から厚生関係の議員に対して約一億五千万円の献金があるということで、その件についてきちんと整理する必要があると重ねて申し上げたいと思います。
通告しておきました問題に移りたいと思います。
まず、法務大臣に伺います。
先日も伺いましたが、新たな処遇制度では、最初の審判に限って被害者等の傍聴や審判結果の通知を認めておりますが、被害者等の知る権利に配慮し、その後の審判や治療状況に関する情報、対象者の退院に関する情報を含むそういうことに関しまして被害者に伝えるべきではないか、そのことについてのきちんとしたルール作りが必要ではないかと考えますが、明快な御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 対象者の社会復帰に与える影響を考えますと、その処遇等の事実を他人に知らせるということは本来慎重でなければならないと思いますが、その強い関心に、重大な他害行為の被害者につきましては、その強い関心にこたえるために、当該対象者の処遇に関する最初の審判の傍聴を許し、また対象者の氏名や決定の主文、理由等を通知できることとなっております。
また、その後の治療状況や退院に関する情報等の取扱いにつきましては一層の慎重さが必要とされますが、法務、保護観察所において対象者の生活環境の調整を行うに当たって、被害者等の心情を確認するなどの必要があると認められる場合には、退院させることとなる事情等を含め、必要な事項を被害者等に説明することもあり得るところでございまして、被害者に対しては誠実に対応することにしたいと考えております。
○森ゆうこ君 そのように誠実に是非対応をお願いしたいと思います。
そこで、この犯罪被害者の問題につきまして、警察庁の方、来ていただいておりますでしょうか。現在、犯罪被害者給付制度というものがあるんですけれども、最近の状況というのはどのようになっていますでしょうか。御説明をお願いします。
○政府参考人(安藤隆春君) いわゆる犯罪被害給付制度と申しますのは、これは昭和五十六年一月一日から運用されておりまして、人の生命又は身体を害する犯罪行為によりまして亡くなられた方の御遺族又は重傷病を負い若しくは障害が残った方に対しまして、社会の連帯共助の精神に基づきまして国が犯罪被害者等給付金を給付し、支給し、その精神的、経済的打撃の緩和を図ろうと、こういう目的で作られたものでありますが、本制度につきましては三種類給付金がございまして、死亡した被害者の遺族に対しまして支給される遺族給付金、それと重大な負傷又は疾病を受けました方に対して支給されます重傷病給付金、さらには身体に障害が残った方に対しまして支給されます障害給付金の三種類がありまして、いずれも国から一時金として支給されることになっております。
この支給状況でありますが、過去三年間の給付につきまして年ごとに申しますと、平成十二年は約六億九千六百万円、翌年の十三年は約十二億四千三百万円、昨年の平成十四年は約十一億六千八百万円ということで、過去三年間の給付額の総計というのは約三十一億七百万円となっております。
以上でございます。
○森ゆうこ君 引き続き少しこれに関連して伺いたいんですけれども、例えば、今御説明のありました三つの給付金の中で、重傷病給付金については加療一か月以上、入院期間十四日以上の被害者に三月を限度として保険診療による医療費の自己負担相当額が支給されるというふうになっておりますが、そうしますと、場合によっては被害を受けた患者さんが自分の自己負担分を払わなければならないという場合もあると考えられますが、いろいろな雑誌等で、例えば加害者は国の税金で、例えば加害行為に及んだときにけがした者については治療されると、一方で被害者については保険の普通の医療保険の範囲で一部負担をしなければならない部分もあると、非常に不公平じゃないかと、被害者なのにというふうな指摘もあるわけですけれども、これについて一言お願いしたいと思います。
○政府参考人(安藤隆春君) 実は平成十三年に法改正を行いまして、それ以前につきましては、先生、残念ながら重傷病の給付金についてそういう制度はございませんでしたんですが、先生御指摘のようないろんな諸情勢も踏まえまして、十三年の法改正によりまして、加療一か月以上、入院期間十四日以上の被害者に三か月を限度といたしまして、保険医療による医療費の自己負担額が支給されるという新しい制度で今施行して実施している状況でございます。
○森ゆうこ君 ちょっと肝心なところ答えていただいていないと思うんですけれども。
いずれにせよ、被害者については自己負担もある場合があるということだと思うんですけれども、法務大臣に伺いたいんですが、我が国では、これまで加害者の人権がどちらかといえば重視され、被害者の人権は軽視されていたのではないかというふうに言われておりますが、今後、法務省としてどのように犯罪被害者対策に取り組んでいこうとお考えなのか、御見解をお願い申し上げます。
○国務大臣(森山眞弓君) 犯罪の被害者や御遺族等の心情を真摯に受け止めることは刑事司法の重要な責務であると考えております。このような観点から、検察におきましては、現行法によって与えられた権限を適切に行使しまして、事案の真相を解明する中で、被害者や御遺族等の苦痛、悲嘆や怒りに十分耳を傾けて適正な事件処理を行うとともに、公判においても被害感情を含む事案の全貌について効果的な立証活動を行うことに努めてきたと承知しております。また、被害者や御遺族の心情に配意し、配慮し、被害者等が刑事裁判で直接その心情等を陳述する制度を設けたり、損害賠償請求を容易にするために被害者等が公判記録を閲覧、謄写する制度を設けるなど、犯罪被害者保護のための法整備を行ってまいりました。
犯罪被害者の保護、配慮の在り方は多岐にわたるものでございまして、法務省といたしましても、更に様々な角度から検討を行い、今後とも制度及び運用の充実を図ってまいりたいと考えております。
○森ゆうこ君 その方向で更に充実していただきたいと思います。
次の質問に移りたいんですけれども、次の質問につきましては、先ほど井上委員のところで詳しく述べられました。つまり、もし仮にこの本制度が施行された場合の指定入院医療機関等の環境の改善ということについて議論がございましたので、これは省略させていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
諸外国に比べても、他の障害に比べましても貧困だと言われております精神障害者全体に対する施策の向上につきましては、我が国において長年の懸案とされてきた課題であり、かつ早急に取り組むべき課題と考えます。そして、先般、精神保健福祉対策本部の中間報告として精神保健福祉の改革に向けた今後の対策の方向という資料が公表されたことは、政府が本腰を入れて精神障害者全体に対する施策の向上を図っていく上でその第一歩となるものであり、この点については与野党を問わず共通の認識を持てるのではないかと考えております。
もちろん、第一歩であることは強調しておきたいと思いますが、この中間報告の概要を御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(上田茂君) 精神保健福祉対策本部は、我が国の精神保健福祉をめぐる諸課題についての検討を行いまして、省を挙げてその解決に向けて計画的かつ着実な推進に取り組むため、昨年末、厚生労働大臣を本部長として設置されて以降、関係課長会議の開催、専門家を招いての勉強会、精神病院や社会復帰サービスの視察等を行ってまいりました。
本年五月十五日に取りまとめられた中間報告には、これまでの検討結果としまして、精神保健福祉に関する普及啓発の推進、病床機能の強化、地域ケア体制の整備など精神医療の改革、住居や雇用、相談支援機能など地域生活の支援、それからいわゆる社会的入院者の対策、こういった柱を立てまして、今後進めるべき精神保健福祉対策の大きな方向を示したものであります。
ここで示しました方向に沿いまして、直ちに着手できる事項から順次実施していくこととしております。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
今ほど御説明のありました中で、いわゆる社会的入院の解決ということで、受入れ条件が整えば退院可能な七万二千人の対策ということが柱の一つとして掲げられているわけでございますが、一般社会とは隔絶されている一種の閉鎖空間である病院において長年生活してきた入院患者の多くは、自活能力も著しく減退していることがあるため、今すぐ退院させることは不可能ではあると思いますが、政府がこうした部分を補完しながら対策を講じていかなければならないということは言うまでもありません。
社会的入院を解消するためにどのような対策を講じていかれるのか、伺います。
○政府参考人(上田茂君) 議員御指摘のように、いわゆる社会的入院者については、長く社会生活から遠ざかっているために、退院して地域生活を行おうとする際に、近隣の方との対人関係、あるいは家事などの日常生活を送る上で困難があることなどが指摘されているところでございます。
こうした者に対しては、本人の生活能力を高めるため、日常生活に適応することができるように必要な訓練あるいは指導、こういったことを行う生活訓練施設の整備ですとか、あるいは本人の生活能力を補うため、日常生活を営むに支障のある精神障害者に対し食事、身体の清潔の保持等の介助、その他必要な便宜を図るホームヘルプサービス、こういうものを充実していくこととしております。
さらに、今年度から、いわゆる社会的入院を解消することを目的としまして、こうした者に対し作業所等の活動の場を確保し、医療機関と協力して退院訓練を行うことにより精神障害者の自立を促進する退院促進支援事業を新たに行うこととしております。
こういった事業を通じながら、その退院促進を今後進めてまいりたいというふうに考えております。
○森ゆうこ君 そこで、次の質問に移らせていただきたいんですが、まず、民間精神科病院に対して支出した公的補助金につきまして、直近の一年間、そして及び過去五年間の金額をそれぞれまずお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
厚生労働省から民間の精神病院に対して行う国庫補助としまして、老人性痴呆疾患治療やアルコール、児童・思春期等特殊病棟の施設整備事業に対する保健衛生施設等施設整備費補助金、それから患者の療養環境や患者サービスの向上等のために、老朽化した病棟の建て替えなどを行う医療施設近代化施設整備事業として、都道府県が補助する場合に当該都道府県に対して国庫補助を行います医療施設等施設整備費補助金、こういう大きく二つの補助金がございます。
そして、この二つの補助金を合わせた交付実績につきましては、直近の一年間、これは平成十四年度でございますが、合計七十八億九千二百二十四万円、百六件でございます。また、過去五年間、これは平成十年から十四年度でございますが、合計四百五十六億二千百六万三千円、六百九十九件となっております。
○森ゆうこ君 最初の質問に戻るつもりはありませんが、入院医療中心、今ほどお示しいただきましたように、大変高額な補助金が出ているわけです。
私は、この入院医療中心から地域保健福祉中心へと、この流れからしますと、これらの補助金は病院側が開放処遇や地域精神保健福祉の充実に協力するようしむけるための施策に回すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) ただいま申し上げました補助金につきましては、児童・思春期病棟などの専門病棟の整備ですとか、あるいは病棟の出入口を自動ドアに変えるなど、開放処遇の促進を図るなど精神病院における療養環境の改善にも使われるなど、必要な施設整備に使われているところでございます。
確かに、もう一方で、地域社会を中心とする流れを促進するための各種の受皿を整備することも重要というふうに考えておりまして、先ほど申し上げました精神保健福祉対策本部の中間報告で示した方向に沿って必要な施策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○森ゆうこ君 今の部分も含めまして坂口厚生労働大臣に最後に伺いたいんですけれども、精神障害者の社会復帰、重大な他害行為を犯したとしても、再犯を防止するとともに、社会復帰ということが本来、この今審議しております法律の目的でございます。
他国に比べて二十年は後れているという様々な指摘がございますが、精神障害者の社会復帰の促進を阻むものとして精神障害者に対する差別と偏見が挙げられます。精神障害者に対する差別や偏見は精神障害に対する無理解や誤解に基づく場合が多いため、精神障害に関する正しい知識の普及に努め、社会の差別や偏見の是非を図っていくことが重要であると考えております。
厚生労働省の中間報告においても、この問題が柱の一つとして取り上げられておりますが、精神障害者に対する差別、偏見の是正に向けてどのように取り組んでいくおつもりなのか。そしてあわせて、先ほど政府参考人からお答えいただきましたが、厚生労働省の予算、補助金の使い方としてもそれを誘導するような形で使っていくべきではないかと考えておりますが、その点についても併せてお答えいただきたいと思います。
私は、イタリアの例がこの委員会でも披露されたと思いますが、精神病院の廃止宣言というもののように一つの数値目標的なスローガンをやはり掲げて、この問題の解決を国全体で取り組んでいくんだというふうなスローガンというものを掲げる必要もあるのではないかと思いますが、この点につきましても坂口厚生労働大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) やはり、患者の皆さん方をそれぞれの地域で受け入れる、そのためにはやはり人材が必要だと思うんですね。いろいろの様々な、保健師さんも必要でしょう、あるいはもうもちろん地域の医師もそうですが、民生委員の方、あるいはその他様々な皆さん方が連携を密にして、そしてこの社会復帰をしようとされる皆さん方をバックアップをしなきゃいけない。その体制が組めることがまず私は大事だというふうに思っています。だから、この人材はそう一朝一夕でできるわけではありませんから、一番早くスタートさせなければならないのはこの人材の養成、そしてそういう人たちにどういう連係プレーをしてもらうかということだろうというふうに思っております。この皆さん方が連係プレーを取っていただくようになれば、私はそれぞれの地域における偏見等につきましても段々と見直されていくのではないかというふうに思います。
現在、退院をされましても一人ぼっちで生活をしておみえになる、それがだれもそこに訪れもしないというような状況が続いておりますと、またこの方も病気を再発するというようなことになりかねない。したがいまして、常に多くの皆さん方が手を差し伸べている、そして連携して皆さん方がその人々をバックアップをしているということになってくれば、やはり地域の皆さんもやはり自分たちもバックアップをしなきゃいけないんだというようなお気持ちに私はなられるのではないかというふうに思っています。
七万二千という数字が挙げられまして、これが本当に正しいのかどうかという話もございますけれども、その皆さん方を完全に受け入れていくのには私はやっぱり十年掛かるということを衆議院でも申し上げましたら、それは掛かり過ぎじゃないか、もっと早くしろという御意見をちょうだいしたわけでございますが、できるだけ早くやらなければならないというふうに思っておりますが、それは人材次第というふうに思っている次第でございます。
○森ゆうこ君 時間ですので終わりますが、やはり、去年ですか、統合失調症につきまして全面、全国紙ほぼ全紙にわたって全面広告が出されました。だれも分裂してはいないからという大きな宣伝、広告があったわけですけれども、やはりスローガン的に、例えば今のお話でもいいんです、十年後にはこの七万二千人の社会的入院は完全にゼロにするというような国民に分かりやすい目標を掲げて、それについてすべての皆さんの御協力を得るということも必要だと思いますので、併せて申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
治療処分を解除するときに精神医学的に、あっ、ごめんなさい。治療処分を、言い直します。済みません。治療処分を解除するときに、精神医学的には判断困難な精神障害者の再犯予測を精神科医は要請されることはないのでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 本法案では、退院の可否の審判におきましては、精神科医による鑑定を必要的なものとはしておりませんが、裁判所が必要があると認める場合には鑑定を命ずることができることとしております。この場合に、裁判所が精神科医に求める鑑定の内容につきましては、衆議院において、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があるか否かであると修正されておりまして、このような鑑定が命じられることになると理解しております。
○福島瑞穂君 再犯予測、再犯を予測というか、同種の行為を行うか、同種の行為を行うかどうかの判断を精神科医がやるのか司法がやるのか、これはどうでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 精神科医である精神保健審判員と裁判官との合議で、合議して決めるわけでございます。
○福島瑞穂君 精神科医の人たちからも様々な手紙やあるいは話を聞くことがあります。精神医学的には治療処分を解除するとき同種の行為をするかどうか判断することは困難であると。
じゃ、逆にはっきり聞きます。同種の行為を行うかどうかについて、では精神科医は判断を求められる。これでよろしいですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 先ほども申し上げましたように、精神科医が鑑定人であるとすれば、鑑定人は、政府原案においては、第五十二条に規定する鑑定内容について、継続的な医療を行わなければ心神喪失の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について鑑定を命じることとされておりましたが、これまで修正案を御提案された委員がお答えなされているとおり、政府原案に対する様々な批判を踏まえまして、その問題を解消するために処遇の要件が修正され、これに伴って鑑定の内容についても修正されたものと理解しております。その修正の内容は政府提案後された説明の中において説明されているとおりだと理解しております。
○福島瑞穂君 私は、再犯予測ということと同種の行為を行うかどうかというのは結局同義語ではないかというふうに思います。
では、逆にお聞きします。同種の行為を行う可能性があるかどうかについて、精神科医は鑑定人となれば判断を求められるのですね。
○政府参考人(樋渡利秋君) 何度もお答えしているとおりでございますが、政府原案に対する修正案によりましたら、同様の行為を行うことなく社会に復帰させることが要件でございまして、これはワンフレーズになっておりますから、その全体を判断されることになるんだろうと思います。
○福島瑞穂君 同種の行為を行うことなく社会復帰ができる、社会復帰も重要な要件かもしれませんが、同種の行為を行うことがあるかどうか。
じゃ、逆にお聞きします。もうイエスかノーかで結構です。同種の行為を行うかどうかについて、じゃ、同種の行為を行うかどうかについて精神科医は判断を求められる。それでよろしいですね。
○政府参考人(樋渡利秋君) 同様の行為を行うことなく社会に復帰することを促進するため入院させて、この法律の医療を受けさせる必要があるか否かの要件の判断を求められるということであります。
○福島瑞穂君 私は、再犯予測ということとこの同種の行為を行うかどうかについて、社会復帰ができるかどうかについてというのは、結局は言い直しているだけであるというふうに思います。結局、精神科医の人たちは、その長いフレーズでも結構です、そのことが、社会復帰できるかどうかの判断はもっと難しいと思いますが、治療を解除する際にそのことを要求されるということは、精神科医の人たちは大変難しいと言っていることを今日改めてまた強調したいと思います。
映画で「マイノリティ・リポート」というトム・クルーズ主演の映画があります。未来はだれにも分からない、それがこの映画のテーマであると思います。その人間が同種の行為を行うか、社会復帰ができるかどうかは、未来のこと、だれにもそれはできないことです。
じゃ逆にお聞きしますが、この入院の処分は不利益処分でしょうか、不利益処分ではないのでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 本制度による処遇は、本人の精神障害の特性に応じその円滑な社会復帰を促進するために必要な医療を行うことを内容とする意味では、本人にとりまして利益な面を有しますが、他方、人身の自由に対する何らかの制約や干渉を伴うものであるという点で、本人にとって不利益な面をも有するものであると考えられます。そこで、本法案におきましては、本制度による処遇はこのような本人にとって不利益な面をも有するものであるとの認識の下、その処遇の要否、内容の決定に当たり、裁判官が関与をする慎重な手続を定める等の配慮をしておるところでございます。
○福島瑞穂君 入院をされた人間が、自分が同種行為を行って社会復帰できるかどうかの判断が誤っていたと、では国家賠償請求訴訟は可能なのでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 国家賠償請求をすることは国家賠償の要件が備わっているかどうかでございまして、公務員の故意又は過失によることが明らかである必要があるだろうというふうに思います。
○福島瑞穂君 同種行為を行う人もいるかもしれない、同種行為を行わない人は大部分だろうと思います。そうすると、同種行為を行わない、結果的にですね、人にとっては、自分は他害行為を行ったという理由でとにかく入院をさせられる、強制隔離をされる、こんなひどい人権侵害あるいは保安処分はないだろうというふうに思います。
ところで、具体的にどんな設備になるのかということについては、ちょっと答弁が衆議院と参議院で少し違うところもあるのですが、別棟を建てる、塀の内側に別の塀を立てて、敷地面積は三千から四千平方メートル、そこで急性も慢性期も社会復帰病棟も含めて四十床で個室である、こういうことの理解でよろしいのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
現在、私ども考えておりますのは一病棟三十床程度ということで、これはあくまでも国立あるいは都道府県立等の医療機関においての一ユニットで、こういった指定入院医療を行うものでございます。
○福島瑞穂君 別棟で塀の中に、塀を立てるのでしょうか。セキュリティーはどうするのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 基準の詳細についてはまだ決めておりません。今後具体的に詰めていきたいというふうに考えています。
○福島瑞穂君 具体的に決まってなくて、どういう施設になるか分からないことを国会で審議することはできないですよ。
個室ということであれば、これ一歩間違えると独居房、刑務所と精神病院は全く違うものですが、独居房となってしまう、それはどうですか。
○政府参考人(上田茂君) 基本的に全室個室という考えでございますし、あるいは、こういった治療を行うに当たっては、やはり療養環境、ストレスの少ない環境ですとか、そういう意味での開放処遇というような視点を私ども考えてまいりたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 そうすると、病院の敷地内に別の病棟を建てて、そこはまた別に塀で囲うというふうな言われ方がすることもありますが、これはでは間違いで、そうではないと、開放病棟になるということでしょうか、監視する人はいないんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 病棟につきましては閉鎖病棟を考えております。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、治療の処遇については安全の面、それから先ほど申し上げました開放的な処遇、こういった点のバランスも考えながら、これから具体的に詰めてまいりたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 閉鎖病棟における開放的処遇とはいかがなものでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答え申し上げます。
当初、入院される状況というのはかなり急性期で非常に病状も悪いような状況、そういう場合にはどうしてもそういった点、閉鎖病棟といいますか、その中での保護室と申しましょうか、どうしてもそういう点をならざるを得ない。しかし、そういう場合でもできるだけ、先ほどこれまで申し上げておりますが、スタッフを厚くしておりますので、できるだけそういった患者さんに対する治療というものは積極的に行います。そして、だんだんだんだん病状が改善されますと、作業療法ですとかリハビリ療法ですとか、集団精神療法ですとか、できるだけ、先ほど言いましたように開放的な処遇を進めながらできるだけ早く社会復帰を進めるような治療を積極的に進めるものでございます。
○福島瑞穂君 個室で手厚くやりながら開放的処遇というのは自己矛盾じゃないですか。今は厳しく隔離するぞということしかお答えになっていないと思いますが。
○政府参考人(上田茂君) ですから、先ほど申し上げましたが、病室から更には社会復帰訓練ですとか、作業療法ですとか、レクリエーション療法、いわゆるそういった社会復帰に向けてのプログラムを用意いたしております。ですから、そういった治療を積極的に進めるということで、そういった配慮のある病棟なり構造を考え、そしてその点については、運営については、安全の面も併せながらもう一方では開放的、社会復帰を進めるということで考えております。
○福島瑞穂君 じゃ、なぜ個室にするのかとか、なぜ個室にして一人ずつにするのか、これは今言ったのはちっとも社会復帰にならないじゃないですか。グループホームをやるとか地域に開放するとかいうなら少しは分かります。しかし、今のままではちっとも開放的処遇というふうには理解ができません。
運動場その他はどうするんですか。
○政府参考人(上田茂君) 失礼いたしました。
私、先ほど治療を中心に御説明申し上げましたが、もう一方、こういう点を補足したいと思っております。
入院患者と来院者との面会は、家族、地域社会との接触を保つ点で、医療上も患者の人権の観点からも重要でありますので、原則として自由に行うことが、行われることが必要でございます。こういった点について十分対応していきたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 先日、精神病床入院患者の入院期間別人数について厚生労働省から教えていただきました。
平成十三年六月三十日現在、合計で三十三万二千七百十四人のうち、二十年以上の人が四万九千七百七十七人、つまり五万人が二十年以上、精神病院の病床におります。二十年以上が五万人なわけですが、最も長期、二十年以上の分布はどうなっているんでしょうか。
つまり、何を言いたいかといいますと、民間の今、精神病院で二十年以上という人が五万人いると。現在、それとは別に国立病院等で他害行為を行った人間を、私の考えからすれば、強制隔離するのを作ろうとしている。両方とも、現在の精神病院も実は非常に長期であると。だって、刑法だって累犯加重で二十年以下ですから、二十年以上が五万人いると。一方で五万人もいて、一方で民間でよりも手厚くやって、別にこの法律で作ろうとしていると。両方とも物すごく長期の入院ということになるのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(上田茂君) ここで言う指定入院医療機関における医療におきましては、これまで申し上げておりますように、職員、医師、看護師あるいはPSW等々のスタッフを厚くし、そして、より積極的に先ほど来申し上げておりましたような治療を進め、できるだけ早い社会復帰を目指して医療を進めていきたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 大臣、二十年以上、入院している人が五万人いるわけです。もちろん退院できない人もいらっしゃると思うのですが、二十年以上、もちろん十年以上二十年未満も約五万人なんですが、二十年以上いる人が五万人いると、こういう実態についてどう思われますか。
○国務大臣(坂口力君) その五万人の人がすべて社会的入院というわけではないと思うんですね。やはり、精神医学上どうしても帰す、帰ることのできない人たちもおみえになるんだろうと思うんです。しかし、そうではなくて、本当は帰れるんだけれども、あるいは家庭的にそれを見てもらう人がいないとか、あるいはまた、地域に帰ることができないというようなことでずっといるという人たちも中にはいる。だから、そこは区別をしなければならないわけで、帰れる方につきましては、その復帰をするための、例えばグループホームを作りますとか様々な制度を作って、そして受け入れていく。しかし、病気としてやはりどうしても帰ることのできない皆さん方は、それは病気の、この病院の中で様々な形の治療をお受けをいただくということにこれはなるんだろうというふうに理解いたしております。
○福島瑞穂君 ちょっと初歩的な質問かもしれないんですが、民間、特に精神病院の中で二十年以上いる人が五万人いると。例えばその中で、長期が特にそうですが、人権侵害などが起きているんではないか。先日、電気ショックですぐ亡くなった人の例を挙げさせていただきましたが、中でひもでつながれているとか、いろんな例も言われています。
厚生労働省としては、長期入院の人たち、あるいは強制隔離をされている人たちの中での人権侵害についてはどのような調査、対策を講じていらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 都道府県におきまして、年、原則として年一回、医療機関、医療施設へ調査を入り、そこで指導を行っているところでございます。調査及び指導を行っているところでございます。
○福島瑞穂君 じゃ、その中身とどんな事例が救済されたかついては、また後日教えてください。
ところで、電話の問題なんですが、病院内の公衆電話設置率が最近著しく低くなっていると。閉鎖病棟において公衆電話がないところが六%。ごめんなさい、閉鎖病棟の入院者の八・七%の人が電話で処遇改善の訴えができない病棟にいると。二〇〇三年の厚生労働省資料でも、六・二%が未設置であると。先ほど面会についてありましたけれども、むしろ、閉鎖病棟でも自由に電話ができる、このような環境は必要ではないのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
通信の自由については、患者の個人としての尊厳を尊重し人権に配慮する観点から、精神病院入院患者の処遇に関する基準において、電話機は自由に利用できるような場所に設置される必要があり、閉鎖病棟内にも公衆電話等を設置することとしております。
精神病院の閉鎖病棟における公衆電話の設置状況は、平成十三年度末現在におきまして、三千二百九十一病棟のうち二百七病棟、約六%において未設置となっております。
国といたしましては、いつでも電話を使用できるように公衆電話の設置を推進しており、各都道府県及び指定都市が各病院において、先ほど申し上げましたが、年一回実施しております実地指導においてその設置を促しているところであり、また、NTT東日本及びNTT西日本に対し特段の配慮をお願いしており、今後引き続き関係者に御理解、御協力をいただくよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 是非、その六%をゼロにすべくよろしくお願いします。
人材育成のため、海外派遣活動を行っていると聞きますが、実際にはどのような研修派遣活動をしているのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 司法精神医学の向上を図るために医師等を海外へ派遣する事業につきましては、国立及び都道府県立医療機関の精神科において将来的に指導的な役割が期待される医療従事者に対し、司法精神医療を含む最先端の精神科医療等を習得させ、もって我が国における精神科医療の向上に資することを目的としまして平成十四年度より実施しております。
十四年度におきましては、イギリスのロンドン大学精神医学研究所の司法精神医学部門及びその関連医療施設に対し、医師及び看護師をそれぞれ二名、六か月、また看護師一名を四か月、また看護師一名を二か月、精神保健福祉士二名を三か月、派遣したところでございます。合計八名を派遣しております。
なお、十五年度の派遣先及び派遣者につきましては現在検討を進めているところでありまして、今後速やかに選定し、派遣を進めてまいりたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 本法案についての予算をかつてお聞きをいたしました。ハード、箱物の予算はあってもソフト面での予算がないじゃないかという質問をいたしました。今、派遣の研修について教えていただいたんですが、ようやく平成十四年から八名、短期間、数か月出すということだけなわけですね。
今回、この法案を作るに当たって、本当に手厚くきちっと治療をし、社会復帰というためには余りに研修やマンパワーが不足していると考えますが、いかがですか。
○政府参考人(上田茂君) 先ほど申し上げましたように、十五年度もこのように海外に派遣する研修を行うわけでありますが、これと併せまして、このような研修から帰国された方あるいは我が国の専門家が中心となりまして、国内の医療関係者に対し研修をこれから積極的に実施することによりまして、その人材確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 平成十四年から派遣をし始めたということで、十分、派遣をし、研修してからこの法案のような中身を検討するので十分ではないかと。まだ、ようやく去年から派遣するようになって人材もいないし、この法案をとにかく前提する要件はないというふうに思っております。
大臣が来られて、特例やいろんなことについてもお聞きしたかったんですが、ちょっと時間もなくなりました。また、別の機会にでも質問させていただきたいと思います。
この法案が、先ほど「マイノリティ・リポート」と言いましたが、同種の行為を行うかどうかという全く訳の分からないことで拘束する人を出してしまうということについて、極めて問題があるということを申し上げて、私の質問を終わります。
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
連合審査、二回目ということでございまして、日ごろ私は厚生労働委員会に所属をさせていただいております。そういった立場から御質問をさせていただきたいと思います。
いろいろな施設へ私ももう四十年近くお邪魔をいたしておりますが、あるところでは、なかなか現場、いろんなところでお伺いするんですが、諸先生方がお越しいただいても、本当に細部まできっちりと御視察をいただいて、時間を何時間も掛けてというようなことはなかなか西川さん珍しいですと、そういった方はなかなかいらっしゃらない。現場と、そして本当に国会でこうして御質問をさせていただく、なかなか難しゅうございます、実感です。なるべく現場の皆さん方がお仕事がしやすいように、そしてまた関係者や家族の方々が本当に心配なさらないような、より良い方向の法律ができればというふうにいつも願っておりますが、私の方からは、素人ですのでどうぞ分かりやすくよろしくお願いをいたします。
まず、衆議院で修正をされた修正内容でございますが、その趣旨についてお伺いしたいんですけれども、目的の明確化あるいは退院許可、退院許可の申立てなどの期間制限の撤廃、政府の提案に対して数項目の修正が行われたわけですけれども、その修正の目的、どういったことであったのか、また、その点で衆議院ではどういう議論がなされたのか、塩崎先生、よろしくお願いいたします。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 今回の修正案は大きく分けて三つの柱があったかと思います。ただいま御指摘のとおりでありますけれども、入院等の要件の明確化と限定をするということ、それから社会復帰のための制度であるということをより明確化しようということ、そしてまた一般の精神医療等の水準の向上を図るという実務の明確化ということで、この三本柱であったわけでありますが、先生も御案内のように、特に、俗に言う触法精神障害者の扱いというものについては長い歴史があったことはもう御案内のとおりであります。
しかし、いわゆる触法精神障害者だけではなくて、一般の、今までのあります措置入院の問題についても随分医療と司法との間でせめぎ合いがあって、今までは、どちらかというと医療に全部、言ってみれば押し付けてきたような格好で、そしてまた、特にこの触法精神障害者の問題については、言わば開かずの間のような形でタブー視して余り議論がされてこなかった。いろんな形で国会の中でも議論が始まりつつあったわけでありますけれども。
そういった一方で、やはり一般の精神医療に対しても非常に、何というか医療界でも理解が不十分だし、そして我々の国政の場でも行政の場でも十分ではない。そして、恐らく一般の精神科医療が底上げすることによってこういった問題も本当は避けられる可能性が高くなるにもかかわらず、そこにも十分な思いが致されてこなくて、措置制度の不備であるとか、そういうものがずっと放置され、そして結果として隔離をされるような形で社会的入院というものがずっと行われてきたということで。
そこで、我々考えたのは、やっぱりこういった法律を作ることによって、言わば一つの起爆剤にして、一般の精神科医療についての底上げもそうですし、それからいわゆる司法精神医学というものについても、これをしっかりと今まで十分やっていなかったわけでありますからやっていかなきゃいけないということで、もちろんいろいろな、結果として、先ほど来お話があったとおり、隔離をするんじゃないか、再犯のおそれを見て結局隔離をするんじゃないかという疑問がたくさん出て、いやそうじゃないと、やっぱり社会復帰だと。
そういうことで、実は最終的には五年後の見直しということで、我々も実は本当にこれが思い切りいくかどうかということをずっとウオッチしていかなきゃいけない。もしうまくいかないんだったら、やっぱり五年後にみんなで、やっぱりこれ立法府の責任において変えていかなきゃいけないんじゃないかと、そんな思いで修正案を議論していただいて今日に至っているというふうに思っております。
○西川きよし君 ありがとうございます。
修正項目の一つに、附則の第三条、精神医療の向上と、新たな規定がございますんですが、その内容と趣旨、引き続きよろしくお願いいたします。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 第一条ですね。
○西川きよし君 いや、三条。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 三条の第一項。
○西川きよし君 附則の第三条。
○衆議院議員(塩崎恭久君) ごめんなさい。附則の第三条の第一項につきましては、いわゆる司法精神医学というもので、先ほどちょっと申し上げましたように、今までのいわゆる触法精神障害者に対する医療というものについては、十分な知見も蓄積されていない中で従来型の精神科医療が適用されることは間々あったわけであって、先ほど政府側から答弁もありましたように、今鋭意、急ぎこの司法精神医学、つまり司法と精神医療の両方にかかわる患者とそれを取り巻く諸問題に、扱うこの医療の分野である精神、司法精神医学というものを深めていってそれを今回のいわゆる手厚い医療の中で生かしていこうということだろうと。
今まではどうしても責任能力というものが一番の主眼でありましたが、今度は積極的に治療するということを主眼にこの司法精神医学というものを考えていかなければならないということだろうということで、一番進んでいると言われているイギリスであるとか、そういうところに行って今研修を積んでいるということだと思っております。
○西川きよし君 次に、この附則についてですけれども、衆議院における厚生労働省の答弁ではこのようにございます。例えば、今出ましたが、欧米諸国の司法精神医療機関で広く実施されている精神療法を導入するなど、高度かつ専門的な精神医療を行うものと、こういうふうに説明がございます。
この高度かつ専門的な精神医療という分野、この分野におきまして我が国ではどういった現状に今あるのか、今後具体的にはどういった手法によって水準を向上させて努めていくのか、そこら辺りを厚生労働省、政府参考人にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(上田茂君) 指定入院医療機関には一般の精神障害者よりも過敏かつ衝動的で被害者意識が高まりやすく攻撃的な行動によって問題解決を図ろうとする者も少なからず入院することが予想されることから、指定入院医療機関には高度かつ専門的な医療が求められますが、その内容を具体的に申し上げますと、まず治療環境としまして、このような患者を適切に治療するために一般の精神障害者以上にストレスの少ない環境が必要であり、このため、指定入院医療機関の病棟は原則として全室個室とし、十分なスペースを取った明るく開放的な療養環境とする必要があります。
次に、医療スタッフについては、患者の病状悪化に伴う攻撃的な行動が生じた際に迅速かつ適切に介入できるよう一般の精神科病棟よりも医療スタッフを手厚く配置し、個々のスタッフにはその前兆となる行動を事前に察知し適切に評価する技術を身に付けさせ、また患者が興奮した場合においても説得によってそれを鎮める技術を身に付けさせ、さらには医療スタッフがストレスによって疲労しないようにスタッフへのカウンセリング等の体制も整備する必要があると、このようなことを考えております。
さらに、退院後も視野に入れた患者に対する専門治療プログラムとしまして、他害行為の問題を認識させ、自分でそれを防止する力を高め、様々な問題を前向きに解決することを促し、被害者に対する共感性を養い、多大な他害行為を行ってしまったことによる患者のトラウマを和らげる、こういった精神療法をそれぞれ実施する必要があるというふうに考えております。
このほか、一般の精神病院と同様に、スポーツですとかレクリエーション、音楽等の病棟プログラムを提供し、患者同士の交流を深めたり、病棟内の緊張感を和らげるとともに、各種の作業療法や生活技能訓練を実施することによって患者ができるだけ速やかに社会復帰できるよう、指定入院医療機関における医療の内容を充実させてまいりたいというふうに考えております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
今御答弁をいただきまして、御答弁の内容どおりにいけば本当にこんな幸せなことはないわけですけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思うんですけれども、勉強すればするほど本当に難しい法律でございまして、引き続き第二十条、社会復帰調整官について僕なりにお伺いをしたいと思いますが、この修正の趣旨について、引き続き先生、よろしくお願いいたします。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 当初、精神保健観察官という名前になっておりました。これを社会復帰調整官という名前に変えたわけでありますが、まず一番最初に、我々、この精神保健観察官、我々でも何だかおっかない感じだなと。もう一つは、保護司の皆さん方なんかが、おれたちにこういうことをやらすのかというようなことを言われました。実は、我々、元々そんなことを考えているわけじゃなくて、PSWであるとか、やはりこの精神医療に、そして社会復帰に知見のある方々、専門家の方々にやってもらおうと思っていたわけでありますけれども、この観察官という言葉からいろんな誤解を招いてまいりました。そこで、やっぱり社会復帰調整官と。
つまり、我々が期待している役割というのは、やっぱり円滑な社会復帰をする、そしてその前提は、医療を引き続き受ける必要がある人は医療を受けていただかなきゃいけないわけですから、それをコーディネート、地域の社会の中でできるということが、やっていただく方の一番大事な要件であるわけであります。生活環境の、いわゆる精神保健だけじゃなくて、生活環境であるとか処遇の実施計画であるとか、それからもっと大事なのは、やっぱりいろんな関係機関との連係プレーの中で医療のまだまだ必要な障害者の方を社会復帰するためのコーディネートをどうやってしていくのかという。今まで措置入院だと、ぽんと出されて、お医者さんに来なさいねと言われても来なくなってしまって、結局またいろいろな問題に落ち込んでいってしまうということがございました。そういうことをやるために、よりその目的に合った名称ということで社会復帰調整官という名称に変えたということでございます。
○西川きよし君 この新たな社会復帰調整官、これについては精神保健福祉士などから採用されることになるわけですけれども、やはり当然ながら、これは、一般の精神保健についての知識であるとか経験だけでは十分な対応を取るのは非常にやっぱり難しいというふうに思うわけですね。こうした方々の人材の確保、物すごくそういうことが、我々はやっぱり現場を回らせていただいて、そう思います。
それから、そうした養成ですね、具体的には一体どういうふうにおやりになるのかなと、どういった方策なのかなというようなことを大変心配するわけですけれども、これは法務省の政府参考人から御答弁をいただけたらと思います。
○政府参考人(津田賛平君) 社会復帰調整官につきましては、精神保健福祉士の有資格者等の精神保健や精神障害者福祉等に関する専門的な知識や経験を有する適切な人材を充てることが必要であると考えております。
保護観察所におきましては、地方自治体や関係機関、団体にこの制度の趣旨や社会復帰調整官の役割などにつきまして十分に御説明いたしまして、人材情報の提供などを含めた様々な協力を得まして社会復帰調整官の適任者を確保できるよう努めることといたしております。
また、採用後におきましては、本制度の趣旨や各種手続の要件等を始め司法精神医学など、本制度における処遇に必要とされる知識や精神保健観察等の実務に即した技術を習得させるため、相当期間の研修を実施することといたしております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
なかなか難しい問題でございます。本当に、世界で二番目か三番目かと言われるようなすごい国になって、なかなか思うようにいかないという本当に難しい問題。お金があればすぐに、そしてまた、すぐにそういった人材を確保するというようなことの努力をできるなというふうに思うわけですけれども、してもらいたいなというふうに思うわけですけれども、それがなかなか遅々として進まない。その中にはいろんなことがあるわけですけれども、どうぞ、やっぱりより良い方向によろしくお願いをしたいと思うわけですが。
衆議院の参考人の質疑の中で、精神保健福祉士であります大塚参考人の方から次のような発言がございました。読ませていただきます。お聞きいただきたいと思いますが、「今、地域の精神保健福祉のマンパワーも圧倒的に足りません。」、そのとおりだと思います。「足りません。こういう中にあって、なぜ新たな法案では、現行の精神保健福祉領域の機関の中にマンパワーを充足することをしないで、いきなり保護観察所といったようなところに名前だけを変えた社会復帰調整官を置こうとしているのか。社会復帰調整というのは言葉を唱えればできるものではありません。」、このように大塚参考人は発言をなさっているわけですけれども、この法律成立後の精神保健福祉士の役割について最後に坂口厚生労働大臣に御答弁をいただいて、僕の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(坂口力君) お話のございました精神保健福祉士というのは、御承知のとおり、平成九年に制定されました。精神保健福祉法というのができまして、いわゆる国家資格になったわけでございます。平成十年以降、平成十四年までの間に約一万九千人の方が合格をされております。特に平成十四年におきましては、前年に比べて一・七倍の五千六百七十人もの方が合格、出ているわけでございます。
さて、この専門的な皆さん方でございますが、それじゃ、この皆さん方が特別に働いていただく場所がうまく提供できているかということになりますと、必ずしもそうはいっていないことは御指摘のとおりでございます。これはどこに大きな原因があるかといいますと、一つは、これは診療報酬制度の中にちゃんと裏打ちされていないというところに大きな私は原因があるというふうに思っております。
こうしたこともこれから整理をしていかなければならないというふうに思いますし、社会復帰ということをこれから進めていくということになりますと、最も精神医療領域の中で大変よくその内容も御存じであって活躍をしていただけるのはこのPSWの皆さんではないかというふうに思う次第でございます。そういうことになってまいりますと、この皆さん方にもっと働いていただくのに、どういう立場で働いていただくかということを明確にして、そして諸制度の中にもそれをやはり裏付けるようにしていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
大変そうした面がまだ充実をいたしておりませんけれども、これからそれらの点を充実をさせまして、せっかく作りまして勉強をしていただきましたこの皆さん方が活躍をしていただけるように是非したいと、お願いをしたいと、むしろお願いをしたいというふうに思っている次第でございます。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時二十八分散会
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