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「心神喪失者医療観察法案」国会情勢緊迫! 法案は廃案しかない!


人権救済申し立て書

本文 人権救済申し立て書

添付資料1 池田小事件以降の差別の実態について

添付資料2 犯罪精神障害者対策について


人権救済申し立て書


法務省人権擁護局長 吉戒修一様

2002年11月29日

NPO法人こらーるたいとう      

                      全国「精神病」者集団        

申立ての趣旨
私たち精神障害者への差別をあおる「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行ったものの医療及び観察等に関する法案」を上程した、小泉純一郎首相、坂口力厚生労働大臣、森山真弓法務大臣に対して、以下を勧告することを求めます。
1.法案上程が精神障害者差別をあおるものであり人権侵犯であるので、撤回されるべきものであること
2.精神障害者の犯罪率、再犯率が、一般に比べ高くないこと、精神障害者が将来再び同じ犯罪行為を行なうことを科学的な証拠に基づいて正確に予測することは困難であることを明言するべきであること。
3.精神障害者差別をあおる政策、法案等が作られるという誤りを二度と犯さないよう政府が私たち精神障害者に継続的に学ぶ体制を作り、その学習に基づき差別・偏見をなくす広報活動を行うこと

申立ての理由
1.昨年6月の池田小事件以降厳しさを増した精神障害者差別について
 私たち精神障害者は症状の苦痛に加え、常に私たちに向けられる差別や偏見に苦しんできました。その差別の中心にあるのは「精神障害者は危険、恐ろしい、何をするかわからない、だから閉じ込めろ、街を歩かせるな」というものです。退院してもアパートが見つけられないとか、仕事に就けない、あるいは精神障害者であることが分かったら、アパートの退去を迫られる、解雇される、地域の作業所や支援センターの建築に地域住民の反対運動がおきる等などが各地で毎日のように起きています。
これらの差別は池田小事件以降急激に厳しくなり、とりわけ大阪では通院中の仲間が隣人に取り囲まれ精神病院に入院しろと迫られるなどの事件もあり、周囲の目に耐えかねて精神病院に逃げ込まざるを得ない仲間が多く、大阪の精神病院は満床状態となっています。
また私たち精神障害者団体のところにはたとえば「お前たちの活動のおかげで池田小の子供たちが殺された。お前は池田小に行って切腹してわびろ(山本真理宛にきたメール)」などといったメールや脅迫電話などが集中しました。
そしてマスコミ報道とそれにあおられた地域の人々の差別によって、もう生きられない、という仲間の悲鳴が私たちのもとに集中し、自殺という最悪の事態さえ起きています。
(詳しくは添付資料1参照)

2.「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行ったものの医療及び観察等に関する法案」提出があおった精神障害者差別
上述したような池田小事件以降の精神障害者差別の中で苦しみ続ける私たちの命を守るために、政府とりわけ法務省と厚生労働省は即座に精神障害者に対する偏見を是正し、精神障害者差別をなくすための広報活動に入るべきでした。
ところが小泉首相がしたことはむしろ精神障害者差別をあおる行為でした。
事件直後に小泉首相は「精神的に問題のある人が逮捕されても、社会に戻ってひどい事件を起こすことがかなり出ている。医療、刑法の点でまだまだ対応しなければならない」と発言、「法の不備」を指摘しました。
逮捕された人が精神障害者かどうか、そしてその行為が精神障害によるものであるかどうか、そうした事実が一切明らかにされていない事件直後の発言であり、精神障害者の事件がかなり出ている、というのは明らかに誤った認識です。にもかかわらず、この発言は撤回されることなく、新たな法整備作業がはじめられました。
そして法務省・厚生労働省により「心神喪失者等医療観察法案」が国会に提出され、その後法案は継続審議となり今国会で審議されようとしています。
 この法案は、殺人、放火、強盗、強姦・強制わいせつ、およびそれらの未遂または傷害にあたる行為を行い、心神喪失又は心神耗弱であるとして不起訴処分、無罪判決ないし執行猶予判決を受けた人に対し、「再犯のおそれ」を理由に特別な施設へ強制的に入所させ、隔離収容しながら強制的に治療を受けさせるものです。
 法案は、既に犯してしまった罪に対する刑罰でもなく、また本人の利益のための医療保障でもなく、「再犯防止」を目的に、「再犯予測」すなわちこいつは悪いことをまたするに違いないと決め付けて拘禁していく精神障害者に対する予防拘禁法です。
 精神障害者以外の人はこうした理由で拘禁されることはありません。無罪や執行猶予になろうとも不起訴になろうとも精神障害者以外は拘禁されないのに、精神障害者だけが予防拘禁されるのは差別そのものです。
なぜこの法律が必要なのか、政府は全く説明していません。むしろ法務省自身が、精神障害者の犯罪や再犯がとりわけ多いわけではないこと、そしてその犯罪が増加しているわけでもないこと、さらに「再犯予測」が困難であること明らかにしています。
たとえば、2000年12月の法務省・厚生省の「重大な事件を起こした精神障害者の処遇について」の合同検討会発足に向けた記者会見資料でも、精神障害者の犯罪が近年増加している事実も、一般に比べ発生率が高い事実もないことを述べられています。
また今回の法案作成のための資料として、法務省法制局が作成した「犯罪精神障害者対策について」(試案、手持メモ)にはこう書かれています。
「精神障害者」の犯罪は、「最近、特に増加しているわけではない」し、「法務省において、犯罪を犯した精神障害者とそれ以外の者との再犯率を比較検討しているが、精神障害を持たない者と比較して、精神障害者の再犯率が高いとの調査結果は得られていない」のであるから、「精神障害者を危険な存在(犯罪予備軍)と見ることは社会情勢からみて困難」「『危険性の予測』について誰が,どのようにして行うのか,また,どの程度の確実性をもって可能なのか等これまで指摘されていた理論的・実際的に困難な課題がある。」(添付資料2参照)。
 それにもかかわらず法案が上程されたということは「精神障害者は精神障害ゆえに犯罪を起こしやすく、危険だ。だから特別な法によって再犯防止のために予防拘禁して強制医療を施さなければならない」という精神障害者差別を政府自身が宣言し、国民全体に精神障害者差別意識を植え付けるものです。
 この法案における「再犯予測」については日本精神神経学会をはじめほとんどすべての精神医療保健福祉関係団体が不可能であることを明らかにし、また国際的にも精神障害者の犯罪率、再犯率が一般と比べ高くないことそして「再犯予測」は不可能であることが学界の常識となっています。
 そうした批判に対して先の国会審議においては森山法務大臣と坂口厚生労働大臣は、この法案による「再犯予測」は可能であると繰り返し答弁し、さらに再犯予測は100%確実にできるわけではないが、仮に予測を誤って対象者となったとしても、医療を提供し社会復帰を促進するのだから、対象者となってもなんら被害を受けることはない、とまで答弁しています(7月5日衆議院法務・厚労連合審査)。
 いやしくも人を拘禁するにあたって「誤って拘禁したとしても被害はない」と強弁するこの両大臣答弁は「精神障害者は危険だからとにかく拘禁を」という差別そのものです。
 
 私たちはこの1年余り、ある者は入退院を繰り返しながら、ある者は自らの診察時間すら犠牲にし、ある者は睡眠時間を削って、この法案を廃案にするために闘いつづけてきました。私たちはみな病人としての本来の養生を投げ捨てて闘ってきました。私たち一人一人の消耗は今限界まできています。さらに私たち患者会本来の仕事である、お互いの助け合い活動も仲間の人権を守る活動も一定は犠牲にしつつ法廃案のために闘ってきました。
 厚生労働省および法務省は精神障害者に医療保障し、人権を擁護し社会復帰を促進するどころか、私たちの人権擁護活動、助け合い活動を妨害し、病人としての医療の権利、養生の権利まで奪ってきたのです。
 政府は私たちの最低限の生きる権利、生存権まで侵害しているのです。
 私たちは人権擁護局に対して、法案提出、大臣答弁の誤りを指摘し、なされた人権侵害の事実を確認し、よって生じた人権被害を回復するために、適当な措置を取られるよう申し立てます。


本文 人権救済申し立て書

添付資料1 池田小事件以降の差別の実態について

添付資料2 犯罪精神障害者対策について


「心身喪失者医療観察法案」 国会審議等

自民党塩崎議員修正案(衆院法務委員会)

池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)


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