全国精労協Home>資料庫>国会審議等

「心神喪失者医療観察法案」国会情勢緊迫! 法案は廃案しかない!


修正案の実質は原案となんら変りがない。参院審議は以下の事実を認識しなければならない。

「再犯のおそれは本当に消えたのか」「社会復帰を強調する修正案の本音と建前」
「措置入院制度との二重構造について」「医療内容」に関する問題の所在。

京都大学医学部精神医学教室
吉岡隆一

第一に予測について、人身の自由への干渉制約が強いものとなることにかんがみて、必ず行なわれないと法的に正当化されえないものと古田参考人は答弁したのである。人身の自由への干渉制約を現行法制よりも強く行なう(したがって司法関与も必要な)修正案も原案もおそれ評価は必ず行なわれねばならず、修正案でも消失はしえない。

第二に、修正案は「医療と社会復帰」を強調したので、修正案者のいう「医療と社会復帰」の内容を明らかにすれば修正案の性格は明確になる。ところが、国会審議のうちでは修正案の医療内容は、原案と特に異なったものとしては示されなかった。一般に治療法は評価とあいまって初めて意味を持つ。評価の上で必要があるとされたものに対して初めて治療法が適用される。怒りのマネージメントやその他の治療法は、植田議員の質問書に対して、政府自らが述べたように、「暴力の自制能力向上のための個人精神療法」など一般の精神障害者には適用されないものとされていたのであり、矯正的な治療であり、ここでは危険性の評価はやはりなされている。しかも修正案者が答弁したように、同様の行為が、重大犯6罪種に限られているとすれば、当然危険性の評価は、この6罪種(という暴力的行動)のおそれの評価であり、再犯のおそれは消えていない。

こうして、再犯のおそれに関する修正案の修正は文字面だけのことであることは明白なものとなった。

第三に、措置入院制度で行なわれているから再犯のおそれ予測は可能であるという一部の主張に対して。再犯のおそれに関する国会審議の政府答弁は、ぶざまな修正に告ぐ修正の連続であったが、高原参考人や坂口大臣の初期の答弁、すなわち長期的なおそれの判断という時間的な枠組みをとっぱらって、もはや経験科学上の予測ではない、単なるレッテルに過ぎない性格のものとされたあげた。さらにおそるべきことに、措置入院でも予測をしているから予測は可能という珍答弁が飛び出し、これが政府の統一見解のような外見を呈している。しかし、はっきり言っておくが、措置入院の予測は、時間軸が短いことのほかに、予測すべき結果においても「再犯予測」とは異なるのである。措置における結果は重大犯罪に限られておらず、軽微な犯罪やそれにとどまらない暴力行為一般を含むはるかに広いものであることは政府自らが何度も答弁した。重大犯の予測はベースレートが低い予測であって、措置入院と比べて飛躍的に偽陽性者が多くなることは数学的事実で反論の余地はない。さらに日本の措置入院判断の現状は政府によれば、診断名さえ一致しない、都道府県で異なる運用のなされている、政府自らが適正に行なうべくこれから改善に乗り出さなければならないとするものであり、20年以上の措置入院が全体の1/4を占める諸外国に比べて圧倒的に拘禁に傾いたものである。よって、措置入院でなされているから再犯予測は可能という論拠が、政府自ら成り立たないことを表明しているとしか言いようがない。

参院審議にあたって国会は賛成反対を問わず、この論点を無視することなく、真摯な討論を行なわねばならない。修正案条文の棒読みが質問への回答であるような155国会の審議は審議の名に値しない。言論の府は自らを貶めることをやめねばならない。


「心身喪失者医療観察法案」 国会審議等

自民党塩崎議員修正案(衆院法務委員会)

池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)


精神医療ニュースへ

全国精神医療労働組合協議会

事務局 : 〒604-8854 京都市中京区壬生仙念町30-2

ラボール京都4F 京都民間医労連気付

Tel/Fax: 075-811-5672

E-mail zenkoku@seirokyo.com

全国精労協ホームページ