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5月28日の衆議院本会議速記録より

民主党の中村哲次衆議院議員の質問について

森山眞弓法務大臣の回答  および 坂口力厚生労働大臣の回答

関連:Oxford教科書に関する政府答弁の欺瞞 2002年6月2日 高木俊介(精神科医療懇話会

政府案における「再犯予測可能の根拠」についての検討〜New Oxford Textbook of Psychiatry 2000 〜 抄訳


森山眞弓法務大臣の回答

<政府案の立案経緯と、池田小学校事件との関連>

「法務省および厚生労働省におきましては、この事件が起こる前から。精神障害により重大な他害行為をしたものに対して、適切な医療を確保するための方策や処遇のあり方等について検討を行っておりましたところ、この事件をきっかけとして、心神喪失者等の状態で重大な他害行為をした者の処遇について、精神医療回を含む国民各層から、適切な施策が必要であるとの意見が高まったものでございまして、このような意見の高まりや与党プロジェクトチームでの調査検討結果等をも踏まえ、今回、このような者に対する適切な処遇を確保するため、本法律案により新たな処遇制度を創設する事としたものであります」

<政府案により、池田小学校事件の様な事件の再発が予防できるのか>

「この法律案は、心神喪失等の状態で殺人、放火等の重大な他害行為が行われた場合に、これを行ったものに対し、継続的に適切な治療を行い、また医療を確保するために必要な観察と指導を行うことによりまして、その病状の改善とこれに伴う同様の行為の再発の防止をはかり、本人の社会復帰を促進することを目的とするものであり、その様な者が精神障害に起因して再び重大な他害行為を行うことを防止する効果があると考えております」

<再び対象行為を行うおそれの要件について>

「現代の精神医学によれば、精神科医が、その者の精神障害の類型、過去の病歴、現在および重大な他害行為を行った当時の病状、治療状況、病状および治療状況から予測される症状、他害行為の内容、過去の他害行為の有無および内容などを考慮して慎重に鑑定を行うことにより、その精神障害のために再び対象行為に該当する重大な他害行為を行うおそれの有無を予測することは可能であると考えています。
 この点については、精神保健福祉法による措置入院に際しましても、精神保健指定医が、その者の自傷他害のおそれの有無を診断しておりますが、この他害行為とは、同法第28条の2第1項にもとづく厚生労働大臣の告示にも示されておりますように、殺人、傷害、窃盗等の他人の生命、身体、財産などに害を及ぼす行為を指すものとされています。
 また諸外国においても、医師により、その精神障害にもとづき、再び他人に危害を及ぼす行為を行うおそれの有無が判断されていると承知しております」

<再び対象行為を行うおそれ有無の判断基準について>

「政府案におきましては、継続的な医療を行わなければ心神喪失等の状態の原因となった精神障害のために、再び殺人などの人の生命、身体に重大な害を及ぼす行為や放火などの重大な他害行為を行うおそれがあると認められた場合に、初めて本制度による処遇を行う事としております。
 ご指摘のように、再びこのような他害行為を行なう可能性が全くないと確信できなければ本制度による処遇を行なうことになるというものではありません。
 また、このようなおそれがあると認められるか否かにていては、鑑定を命ぜられた精神科医が、その者の精神障害の類型、過去の病歴、現在および重大な他害行為を行った当時の病状、治療状況、病状および治療状況から予測される症状、他害行為の内容、過去の他害行為の有無および内容等を考慮して判断した後、職業裁判官と医師により構成される裁判所が、この鑑定結果を起訴として、その者の生活環境をも考慮したうえで最終的に判断する事となります」

<対象者の入院機関について>

「本制度による処遇は、本人の社会復帰を促進することを最終的な目的としております。このような目的に照らしますと、入院させて継続的な医療を行なわなければ再び殺人などの人の生命、身体に重大な害を及ぼす行為や放火などの重大な他害行為を行なうおそれがあると認められる場合には、その入院を継続させ、手厚い専門的な治療を行なうことにより、その社会復帰を促進する必要があると考えられます。
 しかし、このようなおそれの有無は、その病状や治療状況などにより左右されますので、あらかじめ入院期間の上限を定めることは適当ではないと考えられますことから、これを定めないことにしているものでございます。
 そして、本制度においては、入院期間が不当に長期にわたることがないようにするため、原則として6ヶ月ごとに裁判所が入院継続の必要性の要否を確認することなど、必要な措置を講じております。
 また、本制度による処遇は、刑罰に代わる制裁を科するものではなく、また、いわゆる保安処分とも異なります。したがって、実質的な終身刑になるとか形を変えた保安処分になるということはございません」

<起訴前の鑑定のあり方について>

「検事当局においては、精神障害の疑いのある被疑者による事件の処置にあたり、犯行に至る経緯、犯行態様や犯行後の状況などについて、刑事事件として処理するために必要な捜査を尽くし、事件の真相を解明したうえで、犯罪の軽重や被疑者の責任能力に関する専門家の意見などの諸事情を総合的に勘案し、適切な処分を行なうように努めているものと承知しております。
 その際には、事案の内容や、被疑者の状況に応じて、行なわれるべき精神鑑定の手段、方法についても適切に選択しているものと承知しており、現在の鑑定のあり方に重大な問題点があるとは考えておりません。
 なお、ご指摘の事件の被告人が過去に起こした事件についても、事案の内容および軽重、被害者の処罰感情等を考慮したうえで、精神診断の結果も考慮して、起訴、不起訴の処分がなされたものと承知しており、安易な簡易鑑定により起訴しなかったとのご指摘は当たらないと考えております」

坂口力厚生労働大臣の回答

<政府案の提案のきっかけになったのは何か>
 
「法務省と厚生労働省におきましては、平成11年の精神保健福祉法改正の際の、『重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇のあり方については、幅広い観点から検討を早急に進める』べきとの付帯決議を受けまして、合同検討会を設けて、精神障害により重大な他害行為をした者に対しまして、適切な医療を確保するための方策やその処分のありかたにつきまして検討してきたところでございます。その後、大阪の池田法学校事件が起こりましたことはご指摘のとおりでありまして、そのことが影響を与えたことも事実であると言うふうに思っております。」

<再犯予測について>

「現代の精神医学、例えば、国際的に標準的と言われているオックスフォード精神医学教科書、2000年版によると、精神科医が予測をおこなうことは当然とされており、その者の精神障害の類型、過去の病歴、現在および重大な他害行為を行った当時の病状、治療情況、病状、および治療情況から予測される将来の症状、重大な他害行為の有無および内容等を考慮して慎重に鑑定を行うとにより、再び重大な他害行為を行うおそれの有無を予測することが可能であると考えておるところでございます」

<再犯のおそれがないと判断する基準について>

「本制度では『継続的な医療を行わなければ再び対象行為を行うおそれ』が全く無いと確信できなければ必ず本制度の処遇を行うというものではありません。
 逆に、本制度では、こうしたおそれがあると認められる場合に初めて処遇を行うことといたしております。
 現代の医学においては、重大な他害行為を行うおそれがあることを判断することは可能であり、したがって、このおそれがあるとは認められないと判断することも可能であることから、ご指摘のようなことは生じないと考えております」


<2002年5月29日朝日新聞>

「保安処分と異なる」 説明法相 心神喪失者法案を審議

 重大な犯罪行為をしたが刑事責任能力がないとされた人に対し、裁判所が専門施設での治療を命じる心神喪失者処遇法案の趣旨説明と質議が26日衆院本会議であった。法案を巡って「社会的な色合いが濃く、入院の長期化を招く」との懸念があるのに対し、森山真弓法相「患者本人の社会復帰が最終的な目的であり、いわゆる保安処分とは異なる」と述べ、理解を求めた。
 法案に反対する民主党は、対案としての現行の措置入院体制の適正化と精神医療の充実を目的とする裁判所法政案などを提出。その趣旨説明と質議もあわせて行われた。両案はいずれも法務委員会に付託された。
 政府案は、「再犯のおそれ」の有無によって入通院の必要性を判断する仕組みとなっている。複数の精神科医の団体が「予測は不可能」とする声明を出している事を踏まえ、中村哲治(民主)が政府案の根拠をただしていましたが、
 森山法相は「病状や治療状況などの慎重な鑑定によって予測は可能」と述べるにとどまった。
 民主党は刑事責任をどうか決める起訴前の精神鑑定の不備を指摘。地域による格差が出ないよう、最高裁や最高検に「司法精神鑑定センター」を設置する事を対策に盛り込んでいる。

情報は→asahi.com


<2002年5月29日毎日新聞>

民主党 「人権侵害招く」と追求
心神喪失者医療観察法案 政府案との対立必至

 重大事件での心神喪失などを理由に不起訴や無罪になった人の処遇を定める「心神喪失者医療観察法案」の審議が衆院本会議で始まった。対案として精神保健福祉法などの改正案を提出した民主党は「政府案は精神障害者への偏見に基づき、人権侵害をまねく」と追求した。今後の審議では、政府案と民主党案の2案を軸にした対立が必至だ。
 中村哲治議員(民主)が「入院や通院を決定する際、再犯のおそれを判断するとあるが、予測は不可能」と迫った。
 この点は精神医療の現場からの批判も根強いが、森山真弓法相は「症状の類型や過去の病歴、治療状況から予測される将来の病状、過去の他害行為の有無や内容などを総合的に考慮すれば予測は可能」と答えた。
 政府案は入院期間に上限がない。中村議員が「形を変えた保安処分ではないのか」と追求。森山法相は「入院期間は病状等に左右されるので上限を定めるのは適当でない6ヶ月ごとのチェックが入り、実質的な終身刑になったり保安処分になる事はない」と反論した。
 民主党案は、精神保健福祉法や検察庁法など現行政の改正で措置入院や精神鑑定の問題点を改善し、精神医療全体を底上げを図るのが狙いだ。

情報は→毎日新聞


池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧

「心身喪失者医療観察法案」 国会審議等

「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会

重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向

隔離新法」 国会上程反対 速報! 国会議事堂前抗議行動!

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)(更新020324)


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