社団法人 日本精神神経学会
                       理事長  佐 藤 光 源

  2001年6月25日

朝日新聞2001年6月25日夕刊>

 重大な事件を起こした精神障害者の処遇について、政府が入退院の際の司法の介入、収容する専門病棟の新設などを柱とする新法制定を検討していることに対し、精神科医や精神医学者らでつくる日本精神神経学会は25日、「現行法のもとでの司法、精神医療の改善を優先するべきだ」と新法に反対する理事会見解をまとめた。同日午後、佐藤光源理事長(東北福祉大大学院教授)らが厚生労働、法務両省を訪れ申し入れる。
 見解は、重大事件を起こした精神障害者については、起訴前の簡易鑑定のみで検察官が安易に責任能力を判断する傾向にあることを指摘。起訴したうえで公判で正式に精神鑑定して責任の有無を明確にすることが、精神障害と事件の関係を明らかにし、社会の偏見をなくすことにもつながるとしている。
 また、不起訴や執行猶予となった精神障害者は、十分なマンパワーがある国公立を中心とした精神科病棟で治療が受けられるよう公費を投入すべきだとし、精神病院を退院したり刑務所を出所したりした精神障害者の在宅治療を継続できるように、司法と医療が連携する機関を設置することなどを提言している。
 さらに、大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件にともなう一部のマスコミ報道や事実に基づかない精神科医の不用意な発言で、すべての精神障害者に対する司法措置が検討されているかのような誤解、偏見が広がり、患者や家族に深刻な不安と動揺を与えていることを懸念。
 精神障害に関する正しい知識を市民に普及する啓発運動を早急に展開するとしている。



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