精神科七者懇談会の声明 2001年6月29日
重大な犯罪を犯した精神障害者の施策に関する緊急声明
精神科七者懇談会
国立精神療養所院長協議会 会長 白倉克之
精神医学講座担当者会議 代表世話人 山内俊雄
全国自治体病院協議会 会長 小山田惠
日本精神神経科診療所協会 会長 三浦勇夫日本精神神経学会 理事長 佐藤光源
日本精神病院協会 会長 仙波恒雄
日本総合病院精神医学会 理事長 黒澤 尚1. 基本的な考え方
本年6月8日、大阪府池田市で発生した児童殺傷事件は、精神科医療への不信を招くとともに、精神障害者への偏見を増幅し、精神障害者の生活に多大な影響を与えた。また同時に、司法と医療の関係のあり方について大きな課題を投げかけた。
精神科医療に従事する者として、犠牲となられた方々や偏見にさらされた精神 障害者に報いるためには、この事件に象徴される制度的・構造的な問題点を明らかにし抜本的な改善を図る必要があると考える。
今回の事件を契機に、いわゆる「重大な犯罪を犯した精神障害者」の処遇に関して、制度の見直し論議が盛んになされているが、真に有効な医療や処遇の制度を創設するためには、現行制度の問題点を実証的なデータに基づいて検討することが急がれる。
その上で、以下のような課題について取り組む必要がある。2. 具体的な検討事項
(ア) 現行制度の見直し
a) 重大な犯罪を犯した精神障害者の刑事責任能力評価のあり方を見直すこと。
b) 起訴前鑑定の実態を調査し、そのあり方を見直すこと。
c) 矯正施設内での精神科医療の実態を調査し、その改善を図ること。
d) 重大な犯罪を犯した精神障害者の医療を適正に行うための条件を整備すること。
e) 再発や生活破綻を来たしやすい精神障害者のために、保健・医療・福祉が緊密な連携を保ちながら継続医療、生活支援ができる体制を整えること。あわせて、精神科医療全体の質の向上も図られなければならない。
(イ) 今後の課題
a) 重大な犯罪を犯した精神障害者の入院・退院の評価および退院後の医療継続に司法が関わる新たな制度について、実証的な検討を開始すること。
b) 重大な犯罪を犯した精神障害者のための特別施設の新設論には慎重であるべきこと。国公立病院等に専用病棟を設置し、地域医療の観点を失わずに治療が可能となるシステムを検討すべきこと。
c) 精神障害者の裁判を受ける権利を保証するために、医療を提供しつつ刑事責任能力を評価する制度を新設すること。今後、本懇談会の「法とシステムに関する委員会」で、継続して検討を行うものである。
以上
池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧 最新医療ニュースへ 全国精労協ホームページへ