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2001年11月22日


民主党「司法と精神医療の連携に関するPT」中間報告
〜 主要な論点整理と基本的な考え方について 〜
(朝日座長試案)

      

◎ 投げかけられている課題は何か?
重大な触法行為を行った精神障害者であって、心神喪失とされた者に対する対応は、現状のままでは問題があるのではないか?

1)起訴前鑑定の結果、不起訴と判断された場合に、検察官通報によりその後の処遇は事実上、精神保健指定医の判断に任されているが、結果として入院措置非該当となる事例もある等、その判断に疑問が呈されている。
2)現行の措置入院制度の運用の実態については、必ずしも法の趣旨を踏まえた的確な運用がなされていないのではないか。また、措置入院率や措置入院期間について地域的な偏りも指摘されており、適正な運用がなされていないのではないかという指摘がある。
3) 一方、いったん起訴され裁判を受けるルートに乗せられた場合には、たとえ精神障害あるいはその疑いのある状態になっても、現実には精神医学的ケア・治療を受けられる体制は極めて不充分である。
4)現状では、司法と精神医療の間の連携・協力は必ずしも充分とは言えず、こうした現状は何よりもまず触法あるいは犯罪行為を行った当事者自身、及びそのような行為によって被害を受けた本人自身とその家族にとって不幸なことである。
5)そのため、司法と精神医療のあり方に国民が少なからぬ不信感を抱き、それが現行制度への疑問や精神障害者への差別・偏見につながるおそれがある。
6)司法および精神医療の両分野の関係者はもとより、可能な限り多くの市民の理解と同意を得て、新たな体制づくりに取り組む必要がある。問題はその方法論である。

以下、課題解決に向けたアプローチの仕方によって、おおまかに三つに別けて考えることとし、今後、さらにそれぞれの問題点を整理しつつ、民主党としての考え方を取りまとめていきたい。
 なお、新たな制度化あるいは立法化に当たっては、そのことにより精神障害者に対する差別・偏見がさらに助長されることのないよう、充分なる配慮が必要である。

(1案)
現行制度の基本的枠組みが本来の目的通りに機能するように改善を行う。そのために、 刑事司法と精神医療の両分野における改善方策を相互に提示し合い、それらの着実な実 施が徹底される具体的措置を講じることが本筋である。

1)逮捕・拘留時、捜査・取調べの段階、そして起訴するかどうかの段階を通じて、必要により精神医学的な診察とケアが受けられるような態勢を確保すること。
2)特に、問題が指摘されている起訴前の簡易鑑定のあり方を見直し、精神鑑定にあたる精神保健指定医の確保および鑑定留置のための施設の充実等の条件整備を進めることにより、起訴前鑑定の適正化と厳格化を図ること。
3) 精神障害者による触法・犯罪行為は、不幸にして精神科の治療ルートに乗せられなかった初犯の事例、あるいは治療中断により再発・再燃状態となった事例が多いことから、地域精神医療体制の拡充、とりわけ、精神科救急体制の充実が必要である。
4)現行の措置入院制度の適正な運用とより充実した治療体制の確立に向けて、精神保健指定医の確保および教育・研修体制の強化に努めるとともに、措置入院にかかわる指定病院のスタッフ配置および施設等の基準の改善を図る。

(2案)
現行の精神保健福祉法における措置入院制度の一部改正により、検察官通報の対象となった者の行った触法行為が重大な犯罪行為にあたる行為である場合、新たに設置される「審査会」において入退院の決定を行うようにする。

1)自治体病院協議会 精神病院特別部会 提言
○ 「精神医療評価委員会」(仮称)の設置

;司法関係者、医療関係者、有識者、市民代表等で構成される。事務局は厚生労働省地方部局に置く

○ 鑑定機能、入院治療機能および研究教育機能を有する

「精神科司法鑑定・治療センター」(仮称)構想の設置
2)日弁連 精神医療問題小委員会 素案
○ 都道府県知事の下に「措置入院審査会」(仮称)を置き、精神保健福祉法第25条に基づく検察官通報を審査する。
;精神保健指定医2名、看護士、PSW、保健婦等の保健医療関係者、検事および弁護士

(3案)
新たな立法により地方裁判所に判定・審判機関を設置し当該精神障害者はその決定に基づき治療措置(治療処分)を受けるものとする。

与党政策責任者会議
心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告書

○ 地方裁判所(全国50か所)に判定機関を設置

☆判定機関:裁判官、精神科医、精神保健福祉士等により処遇を決定。
「処遇は、より確実な治療効果・病状の判断の下で入退院や通院の要否が決定されるべきであるという視点から精神科治療を受けさせるものとする」
☆専門治療施設:国公立病院の中に設ける。
☆保護観察所:継続的な治療等を確保するための指導監督等。

 
 
(補1)共通する事項
 いずれの案でも当然のことながら精神保健医療福祉諸施策拡充のための計画策定と、その着実な推進を図ることが必要条件として掲げられている。

☆これらの中身については表現の違いや力点の置き方に若干の差があるものの、基本的には精神医療分野における全体的な水準のレベルアップと、平成14年度の「障害者プラン」の終了を踏まえて、それに続く精神障害者のための保健福祉施策の拡充を求めている点ではほぼ一致している。

(補2)共通する事項
 いずれの案でも当然のことながら精神保健医療福祉諸施策拡充のための計画策定と、その着実な推進を図ることが必要条件として掲げられている。

1)いわゆる人格障害者に関しては、基本的に責任能力ありとの判断に基づき、刑法上の手続きに従う場合が多いが、人格障害者に対する治療可能性及びその治療・ケアのあり方については今後検討する必要がある。
2)いわゆる薬物中毒者、とりわけ麻薬および覚醒剤中毒者に対しては、現行法上それぞれ別個の取締法があるので、それらとの関係を含めて別途検討する必要がある。

(文責:朝日)


司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム(経過)

【第1回会合】 6月28日(木) 16:00〜 参議院議員会館 第5会議室
<協議事項>
1) PTの構成:座長:朝日俊弘、座長代行:江田五月、事務局長:水島広子、事務局長代行:平岡秀夫
2) 検討事項:

○司法及び精神医療の現状の検証と問題点の整理
○重大な犯罪行為を行った精神障害者の司法及び精神医療における処遇・治療のあり方について

・「責任能力なし」とされた患者の治療継続をどのように確保するか、司法の関与のあり方
・ 特別病棟・特別病院の設置の必要性の有無
・起訴・不起訴をどうするか
・ 薬物や飲酒に対する対応

3)今後の進め方: 大阪の池田小学校の事件は現在捜査中であり、事実関係も不明瞭であることからこれと切り離し、慎重に議論を進めていく。
<ヒアリング>○法 務 省
○厚生労働省

【第2回会合】 7月5日(木) 12:30〜 衆議院第2議員会館 第4会議室
<ヒアリング>○山上 皓・東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
○池原毅和・弁護士

【第3回会合】 8月9日(木) 15:00〜 参議院議員会館 特別会議室
<ヒアリング>○日本弁護士連合会
○日本精神神経学会

【第4回会合】9月11日(火) 15:30〜 衆議院第2議員会館 第4特別会議室
<ヒアリング 1>
○法務省・厚生省の平成14年度予算概算要求について
○法務省・厚生労働省合同検討会の検討状況について
<ヒアリング 2>
 ○中谷陽二・筑波大学社会医学系精神衛生学教授

【第5回会合】 10月25日(木) 8:00〜 参議院議員会館 第4会議室

<ヒアリング>
○全国自治体病院協議会
○日本弁護士連合会

 


                  

《関係諸団体の声明・見解等の一覧》
(注)当プロジェクトチーム事務局調べ

○全国精神障害者団体連合会
「大阪児童殺傷事件」に関する全精連役員会の見解(2001年7月7日)
触法精神障害者の処遇に関する全精連役員会の見解(2001年10月)
○大阪精神障害者連絡会
「大阪教育大付属池田小学校事件報道による二次被害を受けている精神障害者の訴えたいこと」(2001年6月16日 )
「司法精神病棟」建設をはじめ精神障害者に対する隔離・収容施設の強化に反対する声明(2001年7月1日)
○山本深雪・大阪精神医療人権センター
池田小学校事件をきっかけに(2001年6月28日)
○ 日本障害者協議会
大阪・小学校児童殺傷事件とこれにまつわる一連の動きを憂慮する声明(2001年7月4日)
  精神障害者政策に関する緊急要望書(与党プロジェクトチーム議員宛て)(2001年8月2日)
○全国精神障害者地域生活支援協議会
児童殺傷事件に関する理事会声明(2001年7月10日)
○きょうされん(共同作業所連絡会)
大阪での児童殺傷事件に関する声明 「わが国に生まれたる不幸」に決別する新たなきっかけに(2001年7月6日)
○全国精神障害者家族会連合会
小学校児童殺傷事件報道について(2001年6月18日)
児童多数殺傷事件の報道における精神科医の関わりについての要望(平成13年6月29日 )
与党プロジェクトチーム議員宛ての要望書(2001年8月2日)
○精神科七者懇談会
重大な犯罪を犯した精神障害者の施策に関する緊急声明(2001年6月29日)
重大な犯罪を起こした精神障害者の新たな施策に関する声明書(2001年8月17日、ただし日精協を除く6団体)
○日本精神神経学会
「大阪児童殺傷事件」に関する理事会見解(2001年6月25日)
大阪児童殺傷事件に関連して、重大な犯罪を犯した精神障害者対策に関する見解(2001年6月24日 精神医療と法に関する委員会)
○日本精神病院協会
重大犯罪を犯した精神障害者の処遇のあり方についての提言(2001年3月23日)
池田小学校児童殺傷事件に対する声明(2001年6月21日)
重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇に関する新たな法制度について(2001年8月2日)
○全国自治体病院協議会
重大犯罪を犯した精神障害者施策に関する緊急声明(2001年6月29日)
「殺人・傷害致死の犯罪歴を持つ精神障害者」に関する自治体病院アンケート調査(2001年8月30日・総会報告)
二つの提言:精神保健・医療・福祉施策の推進と不幸な事件の防止のために(2001年10月23日)
○日本総合病院精神医学会
「大阪児童殺傷事件」に関する緊急声明(2001年6月29日)
○日本精神保健政策研究会
重大犯罪を繰り返す触法精神障害者の処遇等に関する見解と要望(2001年7月23日)
○日本精神保健福祉士協会
校内児童殺傷事件に関する見解(2001年6月18日)
重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解(2001年9月20日)
○日本精神科看護技術協会・理事会
大阪児童殺傷事件について(2001年6月16日)
○精神科医療懇話会
池田小学校事件および特別立法に対する緊急声明(2001年6月27日)
2001年6月25日「大阪児童殺傷事件」に関する理事会見解に対する声明 −批判的検討と対話−(2001年7月20日)
特別立法に関連した諸試案の批判・評価と懇話会提案精神科医療懇話会声明(第3弾)- 修正版 -(2001年9月18日)
○日本弁護士連合会
精神医療実態調査を踏まえた精神医療の改善方策と刑事司法の課題・日弁連の提言(刑事法制委員会精神医療問題小委員会素案) (2001年10月12日 民主党PTヒアリング・資料)



池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧

「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会

重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向

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