全国精労協Home>資料庫>声明一覧

触法精神障害者―与党案は練り直しを

<2001年11月21日朝日新聞>


 重い罪を犯しながら、責任能力がないなどの理由で不起訴や無罪とされた精神障害者処遇の仕組みについて、与党プロジェクトチームの報告書がまとまった。
 それによると、全国の地裁に判定機関が置かれ、そこで専門医療施設への入院や通院などの処遇を決める。裁判官、精神科医、精神保健福祉士らがメンバーとなる。
 現在の精神障害者の刑事処分の運用や措置入院の制度には、多くの問題がある。改善が必要だという点で異論はない。
 「責任能力の判定が厳密でなく、安易に措置入院にされる。逆に、本来は病院で治療を受けるべき人が起訴されている」。医療機関側には、検察の起訴、不起訴の判断に対する不信感が強い。
 一方、医師だけに入退院の判断が任される現状に「責任を負いきれない」という声が医療現場から出ている。「手のかかる精神障害者をやっかい払いして、治療が必要なのに退院させたり、退院できる人でも劣悪な環境下で長期間閉じ込めたりしている」という精神病院への批判も根強い。
 与党案はこうした問題の解消をめざす。そこには評価できる中身も含まれている。
 処遇決定の審判には、精神障害者が弁護士をつけ、決定に不服申し立てをできるようにした。適正手続きを保障したものだ。被害者や遺族の傍聴も認めた。かやの外に置かれ、疎外感を感じてきた犯罪被害者保護の流れに沿うものである。
 退院後のケアシステムの確立と、精神医療の底上げにも触れている。現場には「リップサービスではないか」という懸念も強い。それをぬぐうためにも、それらの実施を法律に明記すべきだろう。
 他方、大きな疑問もある。検察官の起訴、不起訴の判断に向けられた疑念に、十分に答えていない。不起訴となり、後に判定機関が責任能力ありと判断した場合、検察官に通知されることになる。不起訴の判断を事後に検証できる意味は小さくないが、これだけでは問題のある起訴への対策にはならない。
 治療を継続しつつ、適切な鑑定で責任能力を丁寧に判断できるような仕組みは作れないか。工夫の余地があるだろう。
 判定機関はどんな資料に基づき、何を手がかりに入院の可否や期間を判断するのか。肝心なこの点が先送りされた。判断の要件次第では、治療よりも隔離自体が優先される実質的な保安処分に通じかねない。
 与党案は練り直すべきである。
 衝撃的で痛ましい事件が続き、漠とした不安感が広がる中で検討は進んだ。
 しかし、精神障害者の犯罪の実態はどうだろうか。ごく一部に重大犯罪を繰り返す人もいるが、7割余は初犯である。再犯率は一般の犯罪者の方が高い。
 正確な情報をきちんと伝えていくことが大切である。決して、差別や偏見を助長することがあってはならない。

情報は→asahi.com



池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧

「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会

重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向

精神医療ニュースへ

全国精神医療労働組合協議会

事務局 : 〒604-8854 京都市中京区壬生仙念町30-2

ラボール京都4F 京都民間医労連気付

Tel/Fax: 075-811-5672

E-mail mailto:zenkoku@seirokyo.com

全国精労協ホームページ

2002/07/10 06:01:26;51460;f6876db868v;RETR;ok;/htdocs/archive/folder1/shokuhou/seimei/011121asahi.html