全国精労協HOME>精神医療ニュース>第5回「法務省・厚生労働省合同検討会」(議事メモ)
池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧 「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会 重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向
重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムの在り方などについて
法務省・厚生労働省合同検討会
関連資料
2002/1/18 重大な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案(仮称)の概要)New!
- 2001/11/12 与党3党心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告書)New!
- 2001/11/1 公明党プロジェクトチーム新たな精神障害者の触法行為に対する処遇システムについて)New!
- 2001/10/30 自民党心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告(案))New!
- 司法精神医療プロジェクト(日精協)
- 「処遇困難」試論I (立花光雄氏)
- 「重大犯罪を犯した精神障害者」問題を巡つて(岡江 晃氏)
- 刑事司法における精神障害者の現状 「生きてシャバにでたい」(塚本正治)
と き:2001年7月18日(水) 10:00_12:10
ところ:厚生労働省共用第7会議室(本館5階)
議 題:重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及びシステムの在り方などについて
出 席:法務省 三浦課長、白木・加藤局付、梶木・大橋課長、島倉企画官
厚生労働省 松本課長、坂本室長、泉・岩田・井上・護摩所補佐
オブザーバー:長尾院長、山上教授、町野教授、神弁護士、池原弁護士
(1) 意見陳述:埼玉県立精神保健総合センター 吉川和男医長
(3) 【資料】:「刑事司法と精神医療をむすぶ新たなシステムの提案」
(埼玉県立精神保健総合センター 吉川和男)
意見陳述: 吉川医長、中島院長
松本課長:もう少し早く開催する予定であったが、いろいろ演者の先生方の日程もあり今週となった次第である。
今後ともこの検討会については、できるだけ議論の加速ということで、日程を詰めて検討を進めていきたいのでご理解とご協力をお願いしたい。
ではまず、埼玉県精神保健福祉総合センターの吉川医長から、ロンドン大学において司法精神医学研究を受講された経験をご紹介いただき、あわせて先生のご見解を伺いたいと思う。
私は、昨年の今頃までイギリスのロンドンにおりまして、2年間ロンドン大学における司法精神医学研究所の司法精神医学部門に所属しまして、そこには世界から司法精神医学者を養成するコースがある。普通、外国人枠は1年だが、とくに私はもう少しゆっくり勉強したいと特別に2年、イギリス国内の人といっしょに勉強した。
そこで、どんなことをやっているかというと、各イギリス国内の司法精神医療施設、スペシャル・ホスピタルとか保安ユニットあるいは普通の一般の精神病院、さらに地域のコミィニティケアの現場に行って研修を受ける、そして交流とかを通して、司法精神医療の患者さんの治療の側面、あるいはどうやって社会復帰させていくかという特別なトレーニングを受けてきた。
イギリスの司法精神医療というのは世界的にも注目されていて、私がいたときにも世界から、マレーシア、シンガポール、フランス、北欧、ドイツからも来ていた。ヨーロッパだけではなく各国からイギリスの司法精神医療が注目されて学びに来る、そして外国人のためにもコースを設けて、できるだけイギリスの考え方を世界に広めていくとともに、患者さんであり、かつ犯罪者である難しい立場におかれた人に対する治療を提供し、社会の安全をどのように確保するのか、これは世界共通の大きな問題であり難しい課題であるが、イギリスでは積極的に取り組み、そのシステムも世界各国からかなり注目されている。
ヨーロッパではイギリスがひとつリーダーシップをとっているが、ほかにイギリスも時々参考にしているオランダの治療施設というのもかなり注目されていて、とくに人格障害者の治療に関してはイギリスもオランダの制度から学んでいる。今回もイギリスで精神保健法の法改正があるが、かなりオランダの制度から学んで人格障害者に対する治療に関する取り決めを新しくつくっている。
私が勉強してきたときには法改正のことはなかったが、日本と比べて格段と患者さんの人権の守り方、逆に社会に対する人権や安全の守り方というのはかなり違うと感じた。こういうシステムをつくるに当たって、どういったことが求められるかというと、基本的には精神医療だけでやるというのほとんど不可能であって、イギリスをはじめドイツもそうだが、こういう学問に携わっている人がよく言うのは、我々もとくに司法精神医療というのをわざわざ好きで持ち出してきたのではない、できれば精神医療の枠でやりたかったけれども、結果的に向精神薬だけで対応しきれない、どうしても司法と精神医療の狭間におかれてしまう人が問題を起こしてしまう。ですから、司法精神医療という新たな枠組みを作って治療施設を作って対応していかないといけない必要性がでてきたのだと、こことくに20_30年の間に司法精神医学が急速に発展して、とくにイギリスを中心にヨーロッパで進んでいるが、そういった必然性がやはりあったということを我々は謙虚にみていかなければならない。
やはり、司法精神医療が進んでいる国は、精神医療も非常に進んでいる。イギリスにおいても精神医療では世界でもリーダー的な存在になっている。おそらく彼らは司法精神医学がない精神医療というのは考えられないと思う。
今日の話は、イギリスの話もできるだけしたいが、最初に日本のいまの問題点というのをペーパーで整理しているので、まず問題点を整理して、そしていくつか最近案が出ているので、この案がこれで本当によいのか、とくにイギリスの制度も参考にして私が考えた案を出しながら説明していきたい。
そしてイギリスの施設について、スライドで簡単に紹介できればと思っている。
私のペーパーだが、最初に1番として、現行のシステムの間題点を整理した。日本のシステムがどうなっているかというと、検察において被疑者に精神障害が疑われた場合、精神鑑定、ほとんどが簡易鑑定が多いが、その結果に基づいて不起訴処分として、精神医療システムヘ誘導し、その後で2名の指定医によって治療の必要性が判定され、入院の要否が決定される、こういう流れになっている。
このシステムの問題点はいくつかあげられると思うが、1_1から1_6まであると思う。ひとつは、治療が早急に望まれる事例でも、いったん不起訴処分という判断、司法的な処分をしないと精神医療システムヘは移送できないということがある。最も判断が困難な刑事責任能力の問題を短期間のうちにやらなければならない、ということで簡易鑑定をやるが、簡易鑑定というのが非常に問題がある。逆に、ゆっくり鑑定すればいいとなれば、逆に治療の導入が遅れるというジレンマがある。
2番目としては、いったん不起訴処分とされて精神医療システムのほうに送られて、治療の経過中に診断の誤り、あるいは病状がまったく変わったり、あるいはやはり責任能力がありそうだということが判明する、精神症状というのは非常に流動的なので、たとえば精神分裂病の診断についても国際分類で6ヶ月の期間をおいて判定しなければいけないが、いったん不起訴処分がすでに下されているため、判断の誤りに気づいた場合でも刑事司法システムに戻せないということがある。こういったケースは覚せい剤などの急性薬物中毒で不起訴処分とされた場合に顕著にある。治療が必要ということで不起訴になっても、治療によって精神状態が改善してきて、覚せい剤所持とかの違法行為で訴追したいと思っても非常に難しくなる。
そういった結果、精神障害者は裁判を受けられないということになる、そういった問題も指摘されている。
一番の問題、私が病院に勤めて思うのが、こういった刑事事件を起こす患者さん、暴力的な患者さんというのは非常に治療が難しいということで、一般の医療で対処できないときに早目に退院させてしまうことがあるということが問題になっている。
あと退院の決定、措置入院というのが原則として医師のみに任せられている。ほかに司法的関与が必要ではないかと指摘されているところである。
もう一点は、イギリスの英文の資料でも指摘されているが、日本の医療刑務所内の実態というのは人権上問題があるという指摘がなされている。とくに、精神保健福祉法に基づいた精神医療が行われていないとか、監獄法に基づいて行われているが、治療の拒否が認められていないとか、身体拘束は医師以外の者が可能、処遇改善や退院の請求を当然、精神医療審査会に提出できない、懲罰が存在している、という問題が指摘されている。
今後、どうしていくのか、最近いろいろ案が出されているが、この第1案というのが新聞報道で出ているが、考えられている。これはどういう案かというと、基本的には刑事司法システムには一切手を加えず、精神医療システムの変更で基本的に対処しようとするものである。
とくに退院の決定を医師のみでは問題であるという反省のうえに立って問題の解決を図るために、既に、患者からの退院請求を処理する第三者機関として各都道府県内に設置されている精神医療審査会に、重大犯罪を行った精神障害者の入退院の決定も行わせようとする意見がある。ただし、この案は次のような問題がある。
この案では刑事司法システム内での間題である、1_1、1_2、1_3、1_6の間題は全く手つかずに残される。さらに、この案をとることによって二度と刑事司法システムに戻せないという問題がさらに深刻になる。
精神障害といったん診断されて、精神医療へ送られてきた者は、不起訴処分となっているために、その後、診断の誤りなどが判明しても二度と刑事司法へ戻せない。精神医療審査会に責任が一気にかかってくる。たとえば、難しい患者さん、とくに犯罪の危険性が高い患者さん、このような患者さんが退院させるのに精神医療審査会が消極的になると、精神病院内にそういった難しい患者さんが蓄積されていくことになる。本当は刑事司法で対応したほうがふさわしい患者さん、ないし被告人、被疑者が精神病院で治療を継続的に受けていかなければならなくなる。
もうひとつは、精神医療審査会は本来、患者さんからの退院請求を処理する機関であるが、その機関が患者さんの入退院の決定を行うことで、第三者機関つまりセーフガードとしての本来の性格が失われてしまうということがある。
精神医療審査会は、現在でもけして十分な機関ではなくて、都道府県ごとに退院請求の数がまちまちで、十分に機能しているとは言えない状況にある。そういった機関に重大犯罪を行った精神障害者の入退院の決定を行う、そして都道府県の機関に任せてしまうのは法の下での平等に反する危険性がある。
そして、鑑定の問題を解決するために、全ての事例で鑑定留置を行って十分な時間をかけて正式な精神鑑定を行うべきであるという意見もあるが、刑事司法内で精神障害の疑われる者を長期問勾留しておくことは治療への導入が遅れるという倫理的な問題が生じる。
そこで、いまあげたような問題を克服するためどうしたらよいか、それをイギリスの制度をもとに考えた制度になる。8ページの図が私の考えた案。
イギリスでは、重大な事件がある場合には基本的に送検する。そして積極的に起訴する。これは日本と違う。重大性があれば、精神障害があってもなくても起訴する。そして基本的には裁判所が精神障害者の処遇を決定していく。精神障害が疑われる場合に病院命令とか制限命令とかあるが、基本的にはこの命令は有罪判決が確定した人に対して行う。そしてもうひとつ大事な制度として内部大臣が行う、未決拘留者に対して、まだ裁定が決まっていない状態の人、被疑者、被告人に対して、治療を優先する場合に病院に送るという制度がある。またもうひとつ治療が必要となった受刑者に対して病院に送る制度があるが、これも内部大臣が命令していく。
そして、治療施設は患者さんの状態に応じて地域保安病院、最高保安病院、これは患者さんの暴力とか治療の難しさに応じて振り分けが行われる。各病院の審査会が振り分けを行い、貴方には最高保安施設が必要だとか、もうちょっと低いレベルの治療施設が適当だとか、精神病院で大丈夫だろうとか、区分けがなされていく。そういう形で医療のほうにくる。そして原則的に司法が絡んだ患者さんは司法がずっとかかわる。とくに入院命令、制限命令の場合は患者さんの動向を見ていくし、とくに退院の判定は医者の判断だけではダメで内務大臣の判断が必要になる。つまり司法の判断が入ってくる。もちろん医者が勧告をして内務大臣が判定するが、内務大臣は素人なので諮問機関に相談する。
たとえば条件付の退院の場合には、一定の場所に住居が決められたり、あるいは通院の義務付けが行われたりする。義務付けが守られないと内部大臣がまた命令して再入院になる。制限命令が付かずに病院命令だけの場合には日本の措置と同じに医者の判断だけで退院することも出来る。そして退院した場合には原則として、地域の精神科看護士、PSW、あるいは保護監察官がフォローしていく。そして地域には司法精神医療専門のグループホームなどがある。犯罪の面と精神医療の2つの問題を抱えた患者さんは、専門の地域医療サービスが必要。大事な点は、司法がかなり絡んだ治療なので、セーフガードを設けている。大きく分けると2つ有り、ひとつは精神医療審査会が司法機関として、出張裁判所のような形で、退院請求に対して患者さんの入院が適当であるかを判定する。精神医療審査会が各病院で開かれて第三者機関として調べていく。イギリスの場合は強制入院の場合に必ず弁護士が付くということもセーフガードのひとつ。もうひとつ重要なセーフガードとして、精神保健法委員会が精神病院を視察したりして報告書を発表している。精神病院の治療行為が精神保健法に基づいてきちんと運営されているかを監視している。とくに最高保安病院とか地域保安ユニットとか、非常に患者さんの自由が拘束される病院については厳重に監視をしている。ひどい病院に対しては抜き打ちで視察をしている。報告書に病院名を明らかにして報告されている。
こうやって患者さんの人権を守り、一方で司法が入退院にかかわりながら、犯罪については司法がきちんとガードしていく、こういうことでバランスをとりながらやっている。
精神障害者であっても犯罪行為を行っているというのは事実であるので、責任無能力ということはあるが、犯罪行為に司法が何らかのかかわりというのを持ち続けるということは非常に重要なことだとイギリスでは考えられている。私もイギリスの触法患者に会って感じることは、自分の行った行為に対して非常に責任を感じている。司法が自分を見ているということを意識している。日本の場合は、埼玉でみているが、本当に犯罪を行ったかどうか自覚している人は少ない。犯罪の自覚はかなり違う。反省も求められないし、そういった意味で、イギリスのほうが、自分の責任をもって、緊張感を持っている。患者さんなのか、犯罪者なのかあいまいなまま残されている。もちろん責任能力がない、耗弱しているというのは事実だが、治療の上で司法が絡むのは重要と私は思う。患者さんのノーマライゼーションという意味でも重要だと思う。
私は、被疑者(被告人)に精神障害が疑われた場合、検察や裁判所は不起訴処分等の司法的処分は保留したまま治療と精神鑑定のために病院へ移送させる。その際の病院は、被疑者(被告人)の精神状態や逃亡のおそれ等を考慮して、一般の精神病院か高密度精神医療ユニットのいずれかを選択するということを考えるのが一番よいと思う。
そして病院では、治療の必要性があるかどうかの判定をまず優先し、刑事責任能力の精神鑑定については時間をかけて慎重に行うことが大事だろう。
そして被疑者あるいは被告人に精神科治療の必要性がないと判定された事例については刑事司法システムヘ戻せるようにすべき。急性薬物中毒のように、治療によって精神状態が改善され、薬物所持の違法行為に対する訴追の必要性が生じた場合にも刑事司法システムヘ戻せるようにする。双方向性が求められる。
治療の必要性がある場合は、病院は治療を継続する。病院は刑事責任能力についての鑑定結果を裁判所へ提出して、基本的には裁判所がその後の処遇を決定する。
次に、裁判所と司法精神医療諮問機関の役割について、裁判所は患者さんの現在の治療状況、犯行当時の責任能力等を総合的に考慮して、被疑者あるいは被告人にふさわしい処遇(入院、通院、受刑、保護観察処分等)を決定する。その際に、裁判所は専門ではないので司法精神医療諮問機関に諮問することができる。
司法精神医療諮問機関は、精神科医、法律実務家、精神保健福祉士(PSW)、あるいは有識者から構成される第三者機関が適当である。刑事司法の手続きの途上にある精神障害者に対する入院や通院の必要性、あるいは精神病院に入院している患者の退院の決定について、精神鑑定書や通院中の患者に対する病状報告書などを参考にし、あるいは直接、病院の患者を診察するなどして、裁判所に助言を与えることができる。
そして、裁判所は、精神病院で治療を受けている被疑者、被告人の病状が出廷可能な状態まで改善した時点で、出廷させ、処遇の決定を行うようにして、精神障害者に裁判を受ける権利を保障することが大事だと思う。
裁判所は、病院の医師から患者の退院の勧告を受けた場合は、司法精神医療諮問機関に諮問して、患者を退院させることができるようにする。そして裁判所は、必要に応じて、退院後の通院を義務付ける通院命令を付与することができるようにする。
通院命令の患者の場合、裁判所は、外来医師、訪問看護士、PSW、保護監察官から定期的に患者の病状報告書を提出させる。もし、患者の通院状況に間題があるとの報告を受け取った場合には、裁判所は必要に応じて患者に再入院を命ずることができる。その際にも、裁判所は司法精神医療諮問機関に諮問することが可能である。
司法が触法行為を行った精神障害者の入院や退院の決定を行うことは、障害の有無にかかわらず違法な行為を行った者には司法が絶えず関与していくというメツセージを送ることができる。
もうひとつ重要な問題として、日本に医療刑務所があるが、受刑者に精神障害が明らかになった場合、これまでは、重症な場合やベッドが空いている場合に限り、受刑者は医療刑務所へ移送されていたが、医療刑務所は人権上の間題を抱え、精神医療を行う場としては不適切である。
このため、受刑者に早期に適切な精神医療を提供し、受刑能力が回復した時点で、刑務所へ戻せるような双方向性のシステムが必要である。受刑能力の回復の目処がたたない場合には、精神医療システム内での治療が優先されるべきである。
手続きは、刑務所長が裁判所に申請し、裁判所が司法精神医療諮間機関に諮問した上で、移送の可否を決定する方法があるのではないか。
もうひとつ精神医療側の問題であるが、現在の精神医療審査会は都道府県ごとの審査状況にばらつきがあったり、地域における利害関係に影響されたりするなど、法の下での平等を欠いている。このようなことを克服するために、イギリスのように精神医療審査会を全国統一の第三者機関としで独立性のあるものとし、全国からの審査を一手に引き受けられる機関とする必要があると考える。
そして精神医療審査会による退院の決定権は、裁判所による決定よりも強いものとすることが、患者の人権保護の面で重要である。ただし、審査会による退院決定に際し、裁判所は通院命令を付与することができるものとする。この通院命令の解除については、精神医療審査会は患者からの審査請求に応じて新たに審査を行わなければならない。
全ての入院患者は弁護士から一定金額まで無償で退院請求に関する扶助サービスを受けられるようにする必要がある。いま、福岡の弁護士会が熱心に取り組んでいるが、全国的にやっていくことが重要である。
現在、都道府県や国が精神病院に行っている実地指導を、第三者機関である精神医療監視機関(精神科医、法律実務家、PSW、有識者から構成)に行わせる。病院内での患者の処遇や治療の正当性、精神保健福祉法の遵守状況、衛生状態などについて綿密な調査を行い、指導を行う。その際の報告書は全て公開性とする。
実地指導も精神医療審査会と同様都道府県ごとに指導状況がまちまちであったり、全国統一の機関として、全国の精神病院の監査を受け持つようにする。現在、大阪府や東京都にはNPOを中心とする精神病院の監査も行われているが、これらの活動をより公的、全国的なものとする。
各地域の国公立病院の敷地内に、地域の二一ズに応じた病床数の地域高密度精神医療ユニットを設置する。あくまでも精神医療を行う厚生労働省管轄の治療施設であり、法務省管轄の矯正施設であってはならない。予算は診療報酬ではなくて別枠の公費でまかなう。
刑事手続きの途上にある被疑者や被告人の精神医療を受けるために、逃亡等に備えた、必要最小限のセキューリティ・システムは必要。重大な暴力犯罪を行った精神障害者の治療に備え、医師、臨床心理士、看護者、PSW、作業療法士等の人員を強化したものとする。そしてスタッフは突発的な患者の暴力に安全に対処できるように十分なトレー二ングを受ける。
閉塞的な空間によって患者の衝動性が高まることのないような病棟の建築構造の工夫と濃厚な治療プログラムを提供できるようにする。全ては個室性として、患者のプラパシーを保護し、患者間のトラブルを回避するようにする。
一般の病院では治療が困難な、犯罪は行っていないが暴力的な患者の受け入れも行うものとする。
国立精神神経センター内に司法精神医療の研究と全国各地の高密度精神医療ユニットのスタッフに対する研修を行う機能を兼ね備えた高密度精神医療中央ユニットを設置し、そこで定期的な研修を義務付ける(医師の精神鑑定、看護者の暴力ヘの対処方法、リスク・アセスメントとリスク・マネージメントの学習、アンガー・マネージメントなどの各種治療ブログラムの研修等)。中央ユニットでは、各地域のユニットで治療が難しくなった患者の治療の受け入れも行う。
地域精神医療支援プログラムだが、精神障害者の治療で、最も重要なことは、退院後の治療を継続させることにある。また、入院前のストレスの高い生活環境に援助を受けることなく戻ることは再発の原因となる。このため、地域における精神医療の支援プログラムを充実させ、患者の身近なところに介護者が常にいるようにすることが、精神障害者の再発防止に重要となる。
このため、訪間看護専門の精神科看護士を育成し、訪間看護センターや保健所内に待機させる。訪問精神科看護士は10名から20名くらいの患者を担当し、地域で継続的にそれらの患者をフォローする。訪間精神科看護士、保健所内の精神保健福祉士、保護観寮所の保護監察官は、高密度精神医療ユニットの外来医師と地域精神医療支援チームを編成し、互いに連携しながら、地域の患者をフォローする。裁判所からの通院命令は、これらの支援の法的な後ろ盾となる。訪間看護士に医師の指示の下でデポ剤等の注射を行える等、一定の治療の権限をもたせる。自傷他害のおそれが強い場合や裁判所から再入院が命令された際には警察が協力する。
(スライドの説明・省略、質疑応答部分は録音不良のため省略)
吉川先生の話が緻密になされたので、私の話はまったく漫談ということになると思う。この依頼を受けたのは6月8日以前だった。今回のような状況の中で話をすることは夢夢思ってもいなかったので、引き受けたこと自体が誤りだったと思い、ここ2週間ぐらい寝覚めが悪かった。
しかしながら、第2回のこの検討会で町野教授から、当時、保安処分に対して精神医療側の反対が強かったのに最近では医療側がつくれつくれといっているが納得できないと、1回総括してくれと発言があり、担当からおまえ出てきて、総括して自己批判してくれと話があった。
当時、私は日本精神神経学会の平会員であって、一時会費を納めないで除名になっていたと思う。当時のことをつぶさに存じていないが、しかし現在理事をしているということで、一言申しあげる必要があろうと思った。
私は司法精神医学の専門ではないし、もともと不勉強で怠惰な人間なので、さっきの話を聞いていても、医療は医療の仕事をちゃんとよくやっているし、司法は司法の仕事をきちんとやっているし、しかもそのシステム自体がずいぶん違う。医療は地域における支援システムが完備している中で可能な方法なのではないかと思う。
今日は一人の精神科医として発言したい。まずは、前々回、熊本の花輪院長から話があったが、自治体病院での取り組みはだいたい岡山においても基本的な流れは同じである。ぜひ、田舎の地方都市における取り組みがどれくらいのスタッフによってどの程度行われているか、ということを知って欲しいと思い、平成12年度版の年報を資料にした。
私は、平成10年に赴任したが、外来の初診患者も年々うなぎのぼりになっているが、わずか8人の医者、うち1人は内科医であり、7人でやっているというのが現状である。紹介患者が多いが、そのうち警察や保健所等からの紹介が年間100名を超えている。24時間365日稼動している。救急対応が政策的ニーズである中で休日夜間の受診者数が、平成10年以降どんどん伸び続けている。その辺は、あとで資料を読んで欲しい。
平成10年から新たに退院促進プロジェクトを立ち上げて退院を進めているところである。平均在院日数は平成12年度でちょうど100日になっている。99.9日と書きたかったが端数が切りあがって100日となった。短ければいいというわけでもないので、この辺りがいま長期在院者がいる中では限界と思う。措置入院は平成12年度急増して23名。新規に入院した人が1ヶ月以内に退院した人が58%、2ヶ月以内で77%、3ヶ月で約84%が退院され、半年以内で90%以上が退院している状況がある。在院期間1年を超えると退院する人が減ってくる。10年以上の方が8名退院したが、とくに努力をしてやった。
いわゆる触法精神障害者と呼ばれる方々は、田舎であればもはや地域に帰れないという人もいる。むしろ長期在院の方々とともに、そのなかに混じって、昼間はデイケアに通って、もしデイケアに来られないときは電話を入れてみる、電話に出られないときは職員がアパートまで行ってみる。そこまでのケアをしないと充分な手当てが出来ない。しかしデイケアの職員にとっては過重な負担に現在なっている。
資料A‐2を見てほしい。6月8日以降どうなっているのか、平成13年の6月8日_7月7日までの間、平成12年と比べて入院形態別で措置入院が、平成12年が0、平成13年が3と増えている。医療保護入院は増えているがほぼ同じ、応急入院が1から5と非自発入院の比率が高まっている。新患の夜間の入院も増えているのも特徴。これは、不謹慎かもしれないが、ある種、国民的な過敏状態、集団ヒステリーとまでは言わないが、過敏状態が現在ある。笑い話のようなことだが、包丁を持った男がうろついていると、急遽、警察がヘリコプターまで出したが、実はすし屋の店員が包丁を持ったままで水をまきに出たという、笑い話があるというぐらい過敏な状況になっている中で、患者さんたちは非常にしんどい思いをしていることをまず押さえておいてほしい。
触法という言葉は、現場にいる者として抵抗感がある言葉である。もともとは触法少年という言葉があったが、裁判官でも触法の裁判官がいるが触法裁判官と呼べばいいが、そういう使われ方はしない。触法医師とか、みんな使うのだったら、これも認めようかと思うが。
それでは、本論に入るが、検討課題は、検討会の当初の主意書を読むと、その目的として「精神障害に起因する犯罪の被害者を可能な限り減らし」という前段の部分があるが、しかしいまこの課題はどこかに飛んでいる。実際には、規範性が希薄になっている今の社会をどう考えるかとか、薬物乱用の防止対策はどうか、またいわゆる「軽度発達障害」の子供たちへの適切な支援や教育体制の整備がなければ、将来の人格障害との関連の中で、予防的な観点はまったく欠落してしまう。
しかし、今回はやむを得ず、重大な犯罪を犯した精神障害者が精神障害に起因する犯罪を繰り返さないようにするための対策の間題に絞る。
「日本精神神経学会と保安処分反対闘争」、これは粉砕闘争と呼んでいたようだが、私自身が語る立場にないが、また学会の公式見解にはならないが、当時、私なりに保安処分は恐い、反対しなければいけないと思っていたものなので、いまどう考えているか、あるいは振り返ってみてどうか、ということを話したいと思う。
ひとつ当事と何ら変わっていない点は、犯罪の予測不能性という点においては、差し迫った危険は予測出来ても、将来にわたっての予測は出来ないという点においては当事も今も変わっていない。一方で、当事劣悪な医療環境といわれていたが、それはわずかに改善しつつある。地域保健福祉の資源もやっと増加する端緒に着いたということは言えると思う。一方で民間病院の資本蓄積、何か懐かしい言葉ですが、長尾先生から怒られるかもしれないが、シンドイ医療からの撤退傾向が出てきたのではないか。シンドイ医療をやっている民間医療機関はあるが、逆に自治体病院の存在意義と攻策医療への特化することが求められている。
他方、全体状況としては当事、東西冷戦構造があったが、保安処分というとソ連邦において政治犯の状況、あそこでの精神医療を連想してしまった、ということで、冷戦構造の崩壊とともに、保安処分というものが仮に出来たとしても私が入院させられることはないだろうと思うが、しかし当事は自分が入院させられてしまうのではないかとの不安を持った。もうひとつ重要な点は、治療なき拘禁への危惧が非常に強かった。しかし、林コウジさんたちがやっている「司法精神医療研究」の6月に出たものを読むと現在の医療刑務所という限定された条件の中でよくがんばっているということを感じる。そうすると新しい人格障害や薬物依存に対する治療法の開発が進んでくればまた法改正全体の再検討が可能となると思う。
一方で、当事から犯罪予防は医者がすべきではないという原則論があるがそれは今も変わっていないと思う。
それから、もうひとつの動きとして、ここに山上教授がいるが、犯罪被害者の支援をやるようになって全国に広がりをみせている。私自身も岡山県の犯罪被害者相談支援ネットワークの代表をしているが、そういう流れが被害者感情というものをどうするのかということに火をつけたということがある。どうも総括にはならないが、医療そして刑事司法体系総体を見直すならば構わないと私は考えている。こんなことを言ったら後で殴られそうな気もするが。
「現行法制下で出来ることのいくつか」ということ。これは、県立岡山病院でことあるごとに私が医者どもにやかましくいっていることだが、ひとつは、簡易鑑定では、少しでも迷いのあるときは本鑑定ヘ回せと、あるいは迷いがあるときは医局でディスカッションして1人で勝手な判断するなと言っている。現在岡山では、岡山地検と県立岡山病院と民間3病院とで覚書を交わして、だいたい現在9割以上を県立病院でやっている。今年の4月からすでに20件の簡易鑑定を行っている。激増している。簡易鑑定の扱いは慎重にするようにといっている。安易な鑑定を避けようということである。
覚醒剤精神病では、精神病状態の治療の後は司法の手へ渡すということ。警察から連れられてくれば、精神病状態であれば引き受けて治療を行うが、そのときにはもちろん令状をとっての採尿をやって覚せい剤の検出をやってもらい、必ず病状が落ち着いてからは刑事手続きに乗せてもらう、この点について最近では警察ともめることは一切ない。うまく行っている。これはひとつのモデルと思う。責任能力がある人についての医療と司法との関係のあり方のひとつのモデルとして行われている。全国的にはやっているところ、やっていないところがあるが、モデルになるのではないかと思っている。
それから、病院を「代用監獄」にしないように、不断の注意を怠らぬこと。頼まれたから入れるということはしない、治療可能性ということを常に念頭に置きながら入院を受ける。とくに、非自発入院については厳重にしなさいということを言っている。一部の口の悪い人は、精神病院をゴミ溜めにするなとか最終処分場にされているとか、言う人もいるが、常日頃の注意することによってかなり防げると思う。
とくに、精神病状態にない人格障害と薬物依存については、非自発入院の対象にしないという原則にしている。これは法律には書かれていないが運用上行っている。もしそこに犯罪行為が介在すれば司法手続きに乗ってもらうということを厳重にやる。
監獄法43条に基づく移送については、これは厭わずに受けなさいと言っている。もちろん執行停止までの間はあくまで監獄に置くということで、刑務官というのか何というのかわからないが3人ほど病室の前に付くので病院がなんとなくざわついた感じになるが、現在ちょうど病院が建替えのための基本設計をやっているので、そういうケースがあっても対応できるような構造にしたいと思っている。ただ問題は明治41年に出来た法律ということが引っかかる、うちの親父と同じような年齢なので、これは後で述べたい。
措置診察について、警察官通報(精神保健福祉法24条)においては、医療か司法かに疑義あるときにはとことん、よく話し合うべきと言っている。検察官通報(同、25条)では、医療的立場から判断する他なきこと、と監獄法をめくって、語調が途中で明治の語調になってしまった(大笑い)。
問題は資料のB、各都道府県別に、5年間の人口当たりの通報件数に10倍もの開きがあるのは説明がつかない。29条の措置該当率の開き、ばらつきもある。
刑務所長の通報(同、26条)においては、呆気にとられる事も時にあり、と心得おくことと医者に申し伝えている。実は、出所された時点ですでにアルツハイマー病で呆けがかなり来ている。到底これは服役していた意味があったのかなあ、と思われるケースがあった。
次に「大阪児童殺傷事件」を契機とした「重大な犯罪を犯した精神障害者の施策」に関する各団体の声明・見解について、これは出た日にち順に並べてあるが、後で資料で使ってほしい。
ただ、精神科医療と刑事司法の関連が、これほど注目されたのも珍しいと思う。この狂騒状態の中で、自分らしい理性を保つのはまた難しいことだと自分自身のこととして思う。それから各団体の声明や見解には、微妙な温度差がある。とくに精神障害の当事者に近いほど、この事態の中で何かが決められることへの危機感、あるいは不信感というものが強い。このような状況に我々も敏感であるべきではないかと思う。何をやるにしても、根拠と方法、目的というものを明らかにしないといけないと思う。個人的には、白治体病院協議会精神病院特別部会の緊急声明が、身びいきといわれようと、最もスッキリしていると思う(G‐1)。
入退院に司法がかかわること、現実的にうまく機能するのかどうか危惧を覚える。その理由のひとつは、成年後見制度が出来て以来、家庭裁判所はメチャクチャ忙しくなっている。もちろん、家裁でやるのかどうか知らないが、本当に実質的なかかわりが出来るのかということが非常に疑問に思う。
「今求められていること」、重大犯罪を犯した精神障害者に限ったとしても、裁判を受ける権利と治療を受ける権利の両立が強く求められていると思う。鑑定留置のときに治療を行わない、治療を行う場合には必ず裁判官なり検察官の了解を得てやるわけだが、私が以前鑑定したときには、精神状態がよくなると訴訟能力が回復してしまう、回復すると無罪が勝ち取れないと、むしろ弁護士から治療しないほうがよいと言われたことがあった。これは特殊なことかもしれないが、精神障害者も一市民として裁判を受ける権利を保障してほしいと言う意見のほうが強くなっていることは事実だと思う。そういう前提で今回の問題を考える必要がある。
医療の側では医療法における「精神科特例」の撤廃と地域医療の格段の充実が前提になる。司法の側では矯正施設における精神科医療の抜本的充実と出所時の福祉的援助の拡充がなければ再犯は防ぎにくいと思う。30年来、25年かもしれないが、叫ばれてきたノーマライゼーション、インテグレーションの運動、思想を、今こそ監獄法にも取り込み、医療刑務所における先進的取り組みを加速し、かつ一般刑務所においても十分な精神科医療の提供がされなければならない。「司法精神医学研究」の本では、92ページ、「現在の医療刑務所は精神障害の治療施設ではなく、あくまで基本的には健康人や身体疾患を対象とした法令や規則に基づき運営されており、精神障害の概念を念頭に置いた制度はほとんどない。わずかに、「精神障害被収容者の取り扱いについて」(通達)において、「精神障害被収容者の特質を充分に理解した上で、慎重な対応を心がけるとともに、随時専門医の診察を受けさせ取り扱いについて助言を求めること」とある限りである。現行法の範囲で何とか工夫しながら現場の職員が職人芸的な対応に負っているのが現実である。またそのような状況下では、治療の成否は職員個人の資質に大きく左右されがちである」と。ここに集約されていると思うが、やはり明治41年に出来た法律は、いくら通達を出してもその根幹にある思想というのを変えられなければ、その中で行われる医療も本当の意味で変わることが出来ないと思う。
それでは、最後に具体的提案をあえて出してみた。
(1)早急に、世界に誇れる目本版Reed報告書を作成する。1992年、ジョン・リード。山上先生に先ほど聞いたら、1974年のバトラー報告書と書くほうがよろしいと叱られた。まあ何でもいい。こういう司法、医療、精神医療の法制度を整備するために膨大な報告書、研究報告書が出ている。そういうのは日本にはない。
刑事司法および精神科医療体系総体を対象とすること、つまり小手先ではない、かつ重大なものに限らない、全体を視野に入れた報告書を出す必要がある。
裁判を受ける権利の保障と治療を受ける権利の保障を両立させることを根幹に据える必要がある。
流行り言葉であるが、聖域なき徹底した調査に基づき実証的報告がなされること。この聖域なきというのは、現在簡易鑑定にしても、矯正施設内のさまざまな出来事に対しても、我々は知ることが出来ない。司法側にも医療側にもメスを入れる必要がある。
調査研究チームは、司法・医療・行政の各領域から選抜されることが必要。
またチームには、必ず臨床疫学の専門家を複数名入れること。これをあえて入れたのは、水俣病の政府の対応についての教訓である。
調査期間は、最初の報告を1年、最終報告書は3年を目途とすること。あまりゆっくり出来ないということである。
報告書は、中間報告も含め、国民に公開し批判を受けること。これがなければ小手先のものを形だけつくって終わるのでは困るということである。
(2)医療を提供しつつ刑事責任能力を評価する制度を新設する。これは全国自治体協議会の案の書き方。千葉の精神医療センターの計見先生は、これをセンターと施設として考えている。その辺りが私としては若干考えがまとまらない。
重罪を犯した精神障害者の、司法と医療への専門的振り分けの入り口に焦点を絞ること。これがまず大切である。つまり現時点で充分な調査研究の報告書が出ていない、明らかにされていない時点で、矯正施設内の処遇や出てからのことなどまで決めてしまうのではなくて、まず入り口のところだけをきちっとやってみる。そのうえで、実証的にデータを積み重ねてどうするのか、再度報告書を出して検討するということのほうが現実的なのではないかと思う。
制度あるいは必然的に施設がついてくるかと思うが、それは(1)の調査研究に、全面的に資するものであること、随時、第三者による実質的査察と評価を受け、その結果が公開されることと思っている。
これで終わりだが、リード報告書の表紙と目次、それにかかわったメンバーの名前を資料でつけている。
その次は、昨年私が書いたもので、全自病協雑誌に書いたもので、アホみたいな、これは漫談なので、後で読んでいただければ結構だが、警察と精神病院と毎年話し合いの場を持っている。
(質疑応答、録音状況不良のため省略)
以上(ただし、未定稿)
※なお、次回は未定。8月上旬に予定している。
【資料】
刑事司法と精神医療をむすぶ新たなシステムの提案
埼玉県立精神保健総合センター 吉川和男
1.現行のシステムの間題点
現行法では、図1に示すように、検察において、被疑者に精神障害が疑われた場合、精神鑑定を行い、その結果に基づいて、不起訴処分として、精神医療システムヘ誘導し、その後で、2名の指定医によって治療の必要性が判定され、入院の要否が決定される。
このシステムの問題点は以下の通りである。
1_1 治療が早急に望まれる事例でも、不起訴処分としない限り、精神医療システムヘ移送できないため、最も判断が困難な刑事責任能力の問題を短期間のうちに鑑定しなければならない(簡易鑑定)。逆に、刑事司法内で鑑定留置をして時間をかけて精神鑑定を行った場合には治療の導入が遅れる。
1_2 治療の経過中に診断の誤りが判明しても、不起訴処分がすでに下されているため、二度と刑事司法システムに戻せない。あるいは、急性薬物中毒で不起訴処分とされた場合、治療によって精神状態が改善しても、薬物所持の違法行為に対する訴追が困難。
1_3 精神障害者の犯罪の9割が不起訴処分とされるなど精神障害者の裁判を受ける権利が保障されていない。
1_4 一般の精神病院では、暴力的な患者を処遇しきれず、早期に退院させてしまうことがある。
1_5 退院の決定が医師のみに任せられている。
1_6 医療刑務所内では精神保健福祉法に基づいた精神医療が行われていない(治療の拒否ができない。身体拘束は医師以外の者が可能。処遇改善や退院の請求を精神医療審査会に提出できない。懲罰の存在)
2.第1案
図2の案は、基本的には刑事司法システムには一切手を加えず、精神医療システムの変更で対処しようとするものである。
主に上記1_5の問題の解決を図るため、既に、患者からの退院請求を処理する第3者機関として各都道府県内に設置されている精神医療審査会に、重大犯罪を行った精神障害者の入退院の決定を行わせようとするのがその特徴である。しかし、この案は以下のような問題を抱えている。
2_1 この案では刑事司法システム内での間題である上記1_1、1_2、1_3、1_6の間題は全く手つかずに残されるばかりか、この案を採ると1_2から生じる問題がさらに深刻になる。
すなわち、一度、精神障害と診断されて、精神医療へ送られてきた者は、不起訴処分とされているために、その後、診断の誤りなどが判明しても二度と刑事司法へ戻すことができなくなる。さらに、精神医療審査会がこのような患者の退院に消極的になると、精神病院内に精神障害を疑われた犯罪者が蓄積されていくことになりかねない。
2_2 精神医療審査会が患者の入退院の決定を行うことで、患者からの退院請求を処理する第3者機関(セーフガード)としての本来の性格が失われてしまう。
2_3 精神医療審査会は、現在でも、都道府県ごとに退院請求の数がまちまちで、十分に機能しているとは言えない状況にある。まして、重大犯罪を行った精神障害者の入退院の決定をこのような都道府県の機関に任せてしまうのは法の下での平等に反する危険性がある。
2_4 1_1の間題を解決するために、短時間で行われる簡易鑑定を廃止して、全ての事例で鑑定留置を行って十分な時間をかけて正式な精神鑑定を行うべきであるという意見もある。しかし、刑事司法内で精神障害の疑われる者を長期問勾留しておくことは治療への導入が遅れ倫理的に問題である。
3.第2案
上記の欠点を克服するため、刑事司法と精神医療を結ぶ法律を図3のように整備することを提案する。
3_1 治療と精神鑑定のための被疑者(被告人)の病院移送
3_2 裁判所と司法精神医療諮問機関の役割
3_3 治療のための受刑者の病院移送
3_4 精神医療審査会の強化
3_5 精神医療監視機関の設置
3_6 高密度精神医療ユニットの設置
3_7地域精神医療支援プログラム
2001年7月18目
岡山県立岡山病院 中島豊爾
l.はじめに
・あくまで、一精神科医として
・県立岡山病院の紹介
・6月8日以降のこと
・触法精神障害者という呼び方
2.検討課題は、限定されているのか
検討会の主意書には、その目的として「・・精神障害に起因する犯罪の被害者を可能な限り減らし、また、重大な犯罪を犯した精神障害者が精神障害に起因する犯罪を繰り返さないようにするための対策を検討することが必要である。」とある。
・前段の検討はどこへいったのか
・本来は、規範性が希薄になっている今の社会をどう考えるか
薬物乱用の防止対策は
いわゆる「軽度発達障害」の子供たちへの適切な支援や教育体制の整備
そのためにも児童精神科医の育成をいそぐこと(人格障害などとの関連も)
微罪で逮捕あるいは保護された精神障害者は一
など、広範な検討が必要。
・しかし、本目はやむを得ず後段の間題に絞る。
3.日本精神神経学会と保安処分反対闘争
私は語る立場にないが、現理事として一言
・犯罪の予測不能性は変わらない
・劣悪な医療環境はわずかに改善
・地域保健福祉の資源も増加の端緒に着いた
・民間精神病院の資本蓄積とシンドイ医療からの撤退傾向
・自治体病院の存在意義と攻策医療への特化傾向
・東西冷戦構造の崩壊
・治療なき拘禁への危惧
・犯罪予防は医療の責務にあらず
4.現行法制下で出来ることのいくつか
・いわゆる簡易鑑定では、少しでも迷いのあるときは本鑑定ヘ
・覚醒剤精神病では、精神病状態の治療の後は司法の手へ
・病院を「代用監獄」にしないように、不断の注意を怠らぬこと
・そのためにも、非自発入院の対象を限定すること
とくに、精神病状態にない人格障害と薬物依存
・監獄法(明治41年)43条に基づく移送は、厭わず受けること
5.措置診察について
・警察官通報(精神保健福祉法24条)においては、医療か司法かに疑義あるときにはよく話し合うべきこと
・検察官通報(同、25条)においては、医療的立場から判断する他なきことそれにしても、各都道府県において、人目当たりの通報件数に10倍もの開きがあるのは、説明がつかない。(措置該当率の開きは、医療側の問題か)
・刑務所長の通報(同、26条)においては、呆気にとられる事も時にあり、と心得おくこと
6.「大阪児童殺傷事件」を契機とした「重大な犯罪を犯した精神障害者の施策」に関する各団体の声明・見解について
・精神科医療と刑事司法の関連が、これほど注目されたのも珍しい。
・この狂騒状態の中で、自分らしい理性を保つのは難しい。
・各団体の声明や見解には、微妙な温度差がある。
・精神障害の当事者に近いほど、この事態の中で何かが決められることへの危機感、不信感が強い。このような状況に敏感であるべき。
・個人的には、白治体病院協議会精神病院特別部会の緊急声明が、身びいきといわれようと、最もスッキリしていると思う。
7.今求められていること
・重大犯罪を犯した精神障害者に限ったとしても、裁判を受ける権利と治療を受ける権利の両立が強く求められている。
・そのための前提となるのが、医療の側では医療法における「精神科特例」の撤廃と地域医療の格段の充実であり、司法の側では矯正施設における精神科医療の抜本的充実と出所時の福祉的援助の拡充である。
・30年来叫ばれてきたノーマライゼーション、インテグレーションの思想を、今こそ監獄法に取り込み、医療刑務所における先進的取り組みを加速し、かつ一般刑務所においても十分な精神科医療の提供が図られなければならない。
8.具体的提案
(1)早急に、世界に誇れる目本版Reed報告書を作成する。
・刑事司法および精神科医療体系総体を対象とすること
・裁判を受ける権利の保障と治療を受ける権利の保障を両立させること
・聖域なき徹底した調査に基づき実証的報告がなされること
・調査研究チームは、司法・医療・行政の各領域から選抜されること
・またチームには、必ず臨床疫学の専門家を複数名入れること
・調査期間は、最初の報告を1年、最終報告書は3年を目途とすること
・報告書は、中間報告も含め、国民に公開し批判を受けること
(2)医療を提供しつつ刑事責任能力を評価する制度を新設する
・重罪を犯した精神障害者の、司法と医療への専門的振り分けの入り口に焦点を絞ること
・(1)の調査研究に、全面的に資するものであること
・随時、第三者による実質的査察と評価を受け、その結果が公開されること
資料1(岡山県立岡山病院 院長中島豊爾)
平成12年度病院(岡山県立岡山病院)年報 抜枠
目次
頁
3 職員構成・・・・・・・・・6
5 業務の概要
(1)外来医療
_外来患者数の推移・・・・・・11
_外来初診患者の病名別来院経路・・・・・13
_外来初診患者の二次医療圏別居住地数・・・・・,・・・・・・13
_精神科救急医療(休日夜間)対応状況・・・・・・・・・・・・14
i受診者数の年次別推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
i受診時の状態(初診患者)・・・・・・・・・・・・・14
(2)入院医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
_一1病床利用率・平均在院日数・病床回転率・外来入院比率の推移21
_一2病床利用率,平均在院日数・病床回転率・外来入院比率の推移22
_応急入院患者数の年度別推移・・・・・・・・30
_新規入院患者の退院までの期間比率・・・・・・・・・・30
_平成12年度中の退院患者の在院期間別患者数・比率・・・・31
_隔離室の利用状況・・・31
(3)精神科リハビリテーションと地域活動
_単身退院患者のアパートの現状・・・・36
資料2(岡山県立岡山病院 院長中島豊爾)
頁
・鑑定書A
・月間入院患者数の入院形態別数と比率 A
・体目・夜問入院対応記録A
・都道府県別人目100万人当たり5年間の検察官通報件数とその結果B
・声明((社)日本精神病院協会)C
・声明((社)目本精神神経学会精神医療と法に関する委員会)D
・声明((社)日本精神神経学会)E
・声明(NP0大阪精神医療人権センター)F
・声明(全国自治体病院協議会)G
・声明(精神科七者懇談会)H
・声明(日本障害者協議会)I
・声明(きょうされん)J
・FlNALSUMMlARYREP0RTK
・ESSAY.L
第5回「法務省・厚生労働省合同検討会」(議事メモ)topへ
重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムの在り方などについて 法務省・厚生労働省合同検討会
関連資料
2002/1/18 重大な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案(仮称)の概要)New!
- 2001/11/12 与党3党心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告書)New!
- 2001/11/1 公明党プロジェクトチーム新たな精神障害者の触法行為に対する処遇システムについて)New!
- 2001/10/30 自民党心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告(案))New!
- 司法精神医療プロジェクト(日精協)
- 「処遇困難」試論I (立花光雄氏)
- 「重大犯罪を犯した精神障害者」問題を巡つて(岡江 晃氏)
- 刑事司法における精神障害者の現状 「生きてシャバにでたい」(塚本正治)
池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧 「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会 重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向 精神医療ニュースへ
全国精労協ホームページ