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池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧 「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会 重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向
重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムの在り方などについて
法務省・厚生労働省合同検討会
関連資料
2002/1/18 重大な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案(仮称)の概要)New!
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- 2001/11/1 公明党プロジェクトチーム新たな精神障害者の触法行為に対する処遇システムについて)New!
- 2001/10/30 自民党心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告(案))New!
- 司法精神医療プロジェクト(日精協)
- 「処遇困難」試論I (立花光雄氏)
- 「重大犯罪を犯した精神障害者」問題を巡つて(岡江 晃氏)
- 刑事司法における精神障害者の現状 「生きてシャバにでたい」(塚本正治)
と き:2001年4月19日(木) 10:00〜12:00
ところ:厚生労働省専用第17会議室(本館16階)
議 題:重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及びシステムの在り方などについて
出 席:法務省 三浦課長、杉山参事官、八澤・山田局付、梶木・大橋課長、島倉企画官
厚生労働省:精神保健福祉課 松本課長、護摩所・泉・田中・井上補佐
オブザーバー:神弁護士、池原弁護士、山上教授、町野教授
意見陳述:日精協長尾卓夫理事、熊本県立こころの医療センターの花輪昭太郎院長
【長尾院長・意見陳述】
日精協の司法精神医療プロジェクトでまとめ、総会でも見解として決議が得られたので説明したい。精神障害者のノーマライゼーションを進めるために、精神障害者に対する誤解・偏見をなくすことが必要である。そのためには国民の精神障害者に対する不安除去が必要となる。精神症状のために、不幸にして時として重大な犯罪を犯して報道され、精神障害者は何をするのかわからないというイメージを持たれる。精神障害者が全て犯罪を犯すわけでもないし危険でもない。一部の不幸な事件が報道され、そういうことが誤解や偏見になっている。重大な犯罪を犯した精神障害者がどのような処遇や治療がされているのか情報がないことが不安を助長している。精神障害者が犯罪を犯しても匿名報道がされ、情報がないまま進められていることがそういうことを助長するきらいがある。
また、殺人を犯しても刑にも問われず、入院治療もしない例があることに国民のコンセンサスは得られない。表3では、殺人を犯して治療すらしない例がある。被害者・その家族にも不十分な情報とやりきれない不全感を残している。
裁判を受けることなく不起訴になる。当事者にも裁判を受けたいという意見もある。現行司法制度の問題点として、検察で不起訴処分とされる精神障害者は89.4%、殺人の場合83.8%、強盗85.2%は不起訴。不起訴の根拠とされる鑑定は簡易鑑定が多いが、簡易鑑定さえないことも多い。簡易鑑定は各都道府県により異なるが、ごく短時間の診察によって診断される傾向で、不起訴とされた犯罪を犯した精神障害者は、措置診察されるが、精神保健指定医2名の診察で、自傷他害のおそれがあるかどうか、2名の意見が違う場合に措置入院にならず、医療保護入院、任意入院とか、入院不要となれば通院治療、ある意味で無罪放免になる。犯罪時の精神症状と診察を行ったときの精神症状とタイムラグがあり、そういう結果になっている可能性がある。入院不要の場合はもう一度司法の手にということにはならない。その時点でたとえ殺人を犯したとしても無罪放免になる。
現行の精神医療における限界について、重大犯罪を犯しても措置症状がなくなれば1週間でも退院可能である。措置入院の場合は2名の診察が必要だが、指定医1名が措置症状がなくなった、入院不要と判断すれば、措置解除、退院となる。極端な話、1週間でも退院可能となる。
全てではないが一部に治療抵抗性で対応困難な例があり、他の患者や看護者の安全が守られない場合がある。一人入院しただけでも大変で病棟は混乱する。現在の医療制度上での入員配置では対応困難である。国公立病院ですら対応は困難な状況にある。そのために過剰な長期隔離や早すぎる退院もある。重大犯罪を犯した入院者に対する精神科医師及び病院の責務は過大である。また退院後の再発・再犯を防ぐフォローシステムの欠如がある。通院するかどうかは本人に任されている。服薬を強制する手段はない。最後に、重大犯罪を犯した精神障害者処遇についての提言である。司法制度と精神医療の相互補完が必要である。お父さんを撲殺した人が最初の鑑定で責任能力ありとなって、その後の鑑定・裁判で無罪となり措置入院となったが、2〜3年は未治療。そういう場合ある程度治療ができることが必要。司法と精神医療が分離しているがもう少し交流できるようにすべき。
重大犯罪を犯した精神障害者は裁判にかけられるべき、精神障害者も裁判を受ける権利がある。軽犯罪まで含めると問題があると思うが殺人などは裁判を受けてしかるべき。
重大犯罪を犯した精神障害者の入退院には裁判所の判断を入れることが必要。刑が難しい場合は、治療処分という形で裁判所の判断を行うべき。
退院後の司法による保護観察的なフォローシステムが必要。一般でも保護司というシステムがある。ある程度の年限、再発防止のためのシステムが必要である。バンクーバーでは地域ケアが発展しているが、犯罪を犯した人には別のシステムでフォローしている。
重大犯罪を犯した精神障害者の人権に配慮した治療施設の創設。治療抵抗性のある場合、対応困難な場合、長期隔離ではなく、先進諸外国のように、外にはセキュリティーはきついが中は人権に配慮した施設が必要。
司法精神医学教育の確立。山上先生も述べられたが、司法精神医学がほとんどない。大学にもない。トレーニングする場がない。
《質疑応答》
八澤:現場では、措置症状の有無についてどういう考慮をされているのか? 診察時の症状で
判断するのか、病識の有無や介護者がいるかどうかなども考慮して判断するのか?長尾:ご指摘の通り、精神科医の判断には個人差がある。司法精神医学のトレーニングを
する場がない。それぞれ個人に任されている。池原:@治療抵抗性のある患者と触法は一致しないのか、それとも9割方は一致するのかどうか。
A裁判所の判断について、何を判断するのか? 入院が必要かどうかは医療の判断であれば
二重に判断することになるが。長尾:@触法が全て対応困難ではない。しかし一部にはある。触法の対応困難ははるかに難しい。
A裁判所の判断はあくまでも精神医療の判断が求められる。治療者であるということと、
行政処分をとるという2つがあるが、これを第三者が治療処分をする。精神医療の責任を
全てなくすことはできないが、軽減も必要である。山上:過剰な隔離や早期の退院に対してどのような対応が考えられるのか?
長尾:あまり触れなかったが、措置制度は保険優先などおかしな制度。長期になれば点数が
減っていく。政策医療的に人員を厚くする。出来れば公立病院で、対応困難な人には、
人員を配置して処遇していく必要がある。現状では非常に難しい。町野:ノーマライゼーションと保安処分がどうして結びつくのか?
長尾:保安処分とは言っていない。諸外国ではシステムが確立している。イギリスでもそういう
システムと地域ケアが両立している。犯罪を犯している人をきちんと処遇されていることが、
偏見などを除去する。治療がきちんとされているなど情報が明らかになることで誤解は
解けていく。現状では社会復帰施設建設の反対が起こる。重大な犯罪が一部あるけれども、
再発・再犯にこうしていくということが社会の理解を得る方法のひとつと思う。大橋:施設には何人ぐらい収容が必要か?
長尾:少ない方がよい。患者2人対1人でも夜勤があり2:1は実行できない。マンツーマンで
やるためには逆に患者1人に2人必要。神:裁判を受ける権利。現行刑法では責任能力のない人は問えない。
長尾:司法側で考えて欲しい。責任能力がないが治療が必要というシステムが必要。
神:裁判所では犯罪事実の認定と治療が出来るかどうかの認定が必要だが、しかしこれは
司法だけでは出来ないのではないか。長尾:いまは縦割りになっている。両方に行き来できるシステムが必要。
【花輪院長・意見陳述要旨】
熊本県立こころの医療センターの概要は、昭和29年精神衛生法に基づき、県立小川再生院設立。昭和50年県立富合病院新築。平成9年4月に県立こころの医療センターとして新築(200床。うち10床は結核合併症の単科精神科病院)。下益城郡に所在するが熊本市のほぼ南端に位置する。
精神科作業療法、デイケア、適時適温給食、臨床研修病院。
応急入院指定病院、精神科救急医療システム:精神科後方病院担当。
本院の医療:患者の人権に配慮した模範的な医療は当然のこととして、県民のために開かれた医療を行い、一方で民間病院等他機関で治療の困難な患者や、いわゆる「難しい患者」にも継続した医療を実践している。至適入院(林宗義)を重視し、思いやりと心遣いに満ちた「精神科らしい病院」が目標である。
至違入院は、入院治療が必要な患者だけに厳選し、必要とならば速やかに入院させる。早期から有効な治療を行い、患者にとって適切な社会復帰システムを構築し、不必要な長期入院を避ける。平成11年度の概要は、医師7人(指定医6)。3:1、看護比竿70%以上。15:1看護補助。ソーシャルワーカー3人(精神保健福祉士1)。作業療法士3人。臨床心理士2人。
(中略)
1日平均外来数105.1人(土曜日を含む)。依頼による受診、入院は、新患51%、入院36.1%。76.7%が3ケ月以内に退院。平均在院日数110.7日(老人性痴呆疾患、肺結核合併症を含む)。11年度末の5年以上在院者は全入院の12.1%。新規措置入院は県全体の23.4%(県総数47人)。
熊本県の精神科医療の概要は、県人ロl,864,808人。熊本市661,619人。精神科病院数46(大学1、国立2、県立1、民間42)、診療所30。
精神病床数9044、人口万対病床数48.5(全国28.4)、在院患者数8565、人口万対在院患者数45.9(26.3)、措置入院者数75、人口万対措置入院者数0.40(0.27)、病床利用率98.2%(92.8%)、措置率0.9(1.0)。
在宅患者約20,000人(1,830,000人)
平均在院日数425日(平成11年)、全国406.4(平成10年)。精神科病院(200床前後の病院が多い)、病床、万対入院患者、万対措置患者が多く、平均在院日数は全国平均よりも長い。民間病院の看護基準は全般的に高い。診療所が少ない。民問病院の平均在院日数は、121.1日から3398日の病院まで様々で、末だ入院中心の医療といえる県ではあるが、回復者杜会適応施設として、わが国で初めて昭和56年に、熊本県あかね荘を発足させた(国と県が事業費、熊精協が運営、公設民営の形、現精神障害者生活訓練施設)、精神医療審査会が機能を果たしている、精神科救急医療や移送事業の実施、重度でない新規措置患者は地域の艮間病院(22病院)が引き受けている、大学,国公立を含んだ熊本精神病院協会(45病院)のまとまりと県精神保健係や本院との協力関係、熊精協の理事に県立病院長が就任など、他県とやや事情の異なっている県である。この土壌のお陰で、気がねなしに県立病院が運営できているとも言える。
本院の触法精神障害者冶療、治療に関連した報告は、花輪昭太郎、中毒(依存症)をめぐって 一処返困難例の対応について一 ・・・・・・ (中略)
「難しい患者」、本院の定義であるが、国・公立病院には、一般の精神障害者と同様に「難しい患者」の入院治療、社会復帰、外来・再発防止医療など継続した医療を行う役目があると考え、実践している。
重大犯罪(殺人、放火、強盗、傷害致死、強姦、強制猥褻および障害、営利誘拐など)を犯した、あるいは繰り返す精神障害者の中には、「難しい患者」とか「処遇困難患者」とされる例も多い。
両方とも明白な定義はなく、「難しい患者」は、欧米で、violent、dangerous、ploblem、aggressive、unrewardingといった意味で用いられ「処遇困難患者」は、重大な犯罪歴を持つ患者、病院内で暴力行為や規則違反を反復して治療開係を損なう患者などを指すことが多いという。
かつて、松沢で私と働いたことがあるが、中谷(陽二)は、「処遇困難患者」とは、
ウ)症状の治療への抵抗性、
エ)病院環境における間題行動、
オ)杜会的逸脱としての間題行動、
カ)自傷他害の恐れと将来のその危険性、
キ)治療手段との不適合などが種々に組み合わされて生じることを指摘している。
われわれは、経験上、中谷のいう「処遇困難性」に加え、生育歴に問題を抱え、生活様式として示威的な行動、脅し、暴カ等を交渉の手段としてきた患者で、易刺激性、易興奮性を示す状態の者を「難しい患者」としてとらえており、とくに治療スタッフとの関係上の障害を問題としている。
根気強い治療を続けると、このような状態は、治療可能あるいは回復可能となる場合が少なくないが、患者それぞれに種々の問題点を有していて、治療の現場では苦労が多い。最近、「難しい患者」とされた1例と本院の対応。
30才台の男性。精神分裂病、情緒不安定性人格障害の診断。
父親は分裂病で入院中。姉は境界型人格障害、本人とは不仲。高卒。運転手など職を転々。措置入院や自殺未遂歴あり。医師や患者に対する暴行、傷害、脅迫などのため、艮間精神病院を強制退院後に、最終的に本院に治療を依頼された。本院においても、主治医に暴行を繰り返したが、主治医は治療を中断しなかった。また、小さなミスを利用して看護職員に無理難題を要求し、脅迫して土下座させたり、患者にも脅迫や暴行がみられた。
看護職員には、陰性感情として恐怖感や敵意が生じていたと思われるが、頻回のミーティングを行って情報を共有し、それに基づく統一的応対と、暴力があれば、約束した一定期間の保護室使用とハロペリドールの静脈注射という限界設定を定め、約4年間、抗精神病薬なども用いて治療を継続した。
患者には、スタッフの取り組みに信頼感も増し、次第に情動面の安定がみられ、作業療法にも加わり、開放病棟を経て軽快退院した。キーパーソンがおらず、家族調整や福祉事務所との交渉、アパート探しなど、医師、看護職員、ソーシャルワーカーなどが、生活環境の調整を行った。退院後2年6ケ月が経過したが、アパートへの訪間(医療)看護、夜間の電話相談などを行いつつ、現在も、原付2輪車で通院、デイケアが続いている。自覚症状で自ら静注を希望するなど、治療法を自分なりに理解できるようになっている。
また、問題が生じると、ソーシャルセンター(社会復帰科)が主催するリハビリテーションカンファレンス(婦長、外来や病棟の看護職員・保健婦、ソーシャルワーカー、作業療法士、放射線技師、医師などの多職種による協力作業)で検討し、病院全体で治療や社会生活支援に取り組んでいる。
このような問題のある患者への継続した細やかな対応は、決して採算の取れる仕事ではなく評価もされにくいが、県立病院こその役割と考え、実践している。この2−3年の間、触法例のなかで治療が難しいとされた(されている)患者・・・・(略)
治療の実際(略=項目のみ)
ウ)急性期病棟内でのレクリエーション療法
エ)覚醒剤精神病の治療
オ)リハビリテーションカンファランス
カ)訪問医療看護
v)外来のコンピューターによる通院中断者チェック本院が、重大犯罪を犯した患者や「難しい患者」の治療を不十分ながら行い得ている理由・実感は、先ずは、患者や職員から医師が信頼されていることである。また、あるべき精神科医療への認識の保持と実行、熱意、指導性、県立病院の医師としての役割の実行、看護職員・ソーシャルワーカー・心理士・作業療法士との協力体制の良さ。医療環境が良好であることも重要条件である。ハード面を含めて、病院が明るく、活気があり、自由に意見が言え、各部門の職員の協力関係が比較的良い。至適入院や開放的処過に心がけている。直接患者に接しない部門の職員も社会復帰や生活支援体制などに理解があり、多職種による共同作業が多い。職員団体の医療への協力もよい。これらは平均在院日数の短さ、長期入院の少なさなどからも理解されよう。県立病院の役割を認識。県立病院として、前病院時代から、重大犯罪を含む触法患者、民間病院で対応できない措置患者など依頼された患者の治療を行ってきたこと。入退院や病棟の患者の入れ替わりが著しく、殺人などの措置入院者も職員、他患者から特別視されないこと。民間精神科病院の協力。比較的問題の少ない措置入院は、地域の民間病院が引き受けてくれており、重大犯罪の措置入院が多いにしても本院への入院は、毎年10〜15人内に留まっていること(全部来たら、うちはやれません)。病棟構造面の工夫。全面改築時に、触法患者の長期入院を見越して、鉄格子などは使用せず保護室の居住性を良くしたこと。保護室の前の廊下を広くし(幅3.2m)、デイルーム(ホール)として使用できること。急性期病棟の一般棟とは看護室やドアを隔てて接しており、入院初期や状態が不良な時は保護室棟で治療し、漸次一般棟へと開放化できること。などがあげられる。
暴力行為など攻撃性の強い患者は、一般的に「難しい患者」とされ、このような患者が入院すると「開放的治療が困難になる」という意見をよく開くが、これは必ずしも正しくない。むしろ開放的な治療を行っていないと「難しい患者」の治療は困難であろう。悪化時には症状に適した治療を的確に行い、軽快すれば開放的処遇というパターンは、閉鎖的でマンパワーの乏しい医療環境では行い得ず、大量の薬物使用と保護室収容が続くことになりかねない。閉鎖的な医療環境でみられる不活発さ、過密状態、過度な騒音などは攻撃的行為を招くことも知られている。また、慢性分裂病などの治療において、職員・患者比が高いことが退院率を高めることも報告されている。
「難しい患者」の適正な治療を行うためには、国・公立病院のマンパワーの増強など治療環境の整備が必要であるが、同時に民間精神科病院でも医療レベル、治療的環境の整備を図り、精神科医療全体を質的に向上させねばならない。さもないと、中核病院から退院しても地域の病院では治療が困難で、未治療となり、結局再発あるいは再犯となりかねない。重装備か開放かの二者択一は危険ではなかろうか。
国や自治体がマンパワーなどの十分な整備を行うまでは、「難しい患者」や重大犯罪を犯した患者を少数の病院に集中させることは避け、一応のレベルにある病院に分散して治療すべきである。「難しい患者」の治療に取り組むことは、非常に勉強になり、医師、看護者、コメディカル、ひいては病院全体の医療レベルを上げることができる。まさに本院がその1例である。本院の意見・要望であるが、本院では、治療を希望する患者と「難しい患者」の両者に、医療努力を続けてきた。しかし、とくに「難しい患者」に対しては十分な治療を行い得ているとは到底思えず、実際のところ「何とかならないものか」といった気持ちが本音である。重大犯罪を犯した、あるいは累犯性の高い精神障害者にみられる「難しい患者」の治療に関して、本院の意見・要望を述べてみたい。
i)専門治療、専門職員の養成が必要不可欠である。
エ)精神医療と司法の連携・協力体制の実現。
オ)措置症伏が消退して、退院を決定した後の通院を義務づける「通院義務つき保護観察処分」
というような制度をつくる。起こした事件の平均的な量刑をもとに年限を考慮などして、
たとえ病状が寛解しても通院を続ける最低の年限を決定する。
カ)措置患者の退院決定は、第三者機関が行い、精神科医師の責任の限度を明白にする。
v)精神疾患だけの治療は比較的容易であるが、反杜会性人格障害など非精神病圏の治療方法
(治療の対象になるかを含めて)をどうするか。薬物依存の治療プログラムの設立など
医療刑務所等の機能強化は可能か。
ク)医師、看護職員、ソーシャルワーカー、心理士、作業療法士など必要職種を増員して、
少しでも十分な治療に近づける。
ケ)本院の報告からも理解されるように、治療にはソフト面ばかりでなくハード面の整備が
必要である。
コ)熊本県のような財政難の県では、県立病院には人員削減ばかりが要求され、十分な治療を
行うことは困難である。たとえば「財政再建と関連して知事が言及している職員削減計画に
ついて」では、本院看護職員5名の削減案が告げられ、また、県の包括外部監査では、
県立病院としての医療の意義を理解しえず、正職員配置の見直しや嘱託職員の活用などが
公表されている。国は、政策や予算措置などを含め、一層の指導性を発揮してほしい。
サ)大学病院精神科、精神科有床国公立病院も治療を担当すべきである。民間精神科病院も可能な
限り治療に協力してほしい。
シ)これらの患者に対する専門治療は、極めて重要である。わが国の国民性かもしれないが、
重大な事件が生じても、一時期騒がれるだけで事件の要因は解明されず、教訓としても全く
活かされていない。国は、その治療に十分なマンパワーや設備、教育予算の措置を講じて、
わが国の事情に適した専門治療を行うべきである。そのためにも全国的な正確な調査が
必要である。
シウ)さらに、この治療分野がこれからの若い精神科医師にとって興味があるものとし、
従事する医師を増加させねばならない。この分野は苦労ばかりで、治療しても割りが合わない
ことなどから、逃避的な医師が多いのが事実である。司法清神医学の確立など、整備が
必要である。
xエ)犯罪を犯した精神障害者の治療について、これまで欧米の病院をかなりの方が視察されている
が、いずれも内容紹介ばかりで、わが国の今後の治療に反映する意見、感想などは述べて
おられない。本院にいたM医師は、Haar精神病院を昭和63年に見学しているが、
その報告記に、重装備の同病院からさらに、バイエルン州のシュトラービング病院に移す粗暴な
患者がいるということに驚き」、「こんな大変な病院に勤める精神科医師はいるのかと尋ねたら、
その点は間違いない、現在西ドイツにはl万人の医師が失業しており、なかにはタクシーの
運転手をしているものもいるということであった」と記している。西ドイツの現状は
知らないが、実情を彷彿させるような報告が望まれる。
シオ)治療努力にもかかわらず、何かと経営効率の低さ、人件費の高さばかりを問題にされるのは
真に残念である。医療費においても、行った仕事に対する適切な評価がなされるべきである。
病気以外は殆んど休みもとれず、例えは悪いが、こまねずみのように働く本院医師の姿を
見るとき、まさに「骨折り損のくたびれ儲け」という諺が実感として浮かぶ。
最後に、被害者にとってはお気の毒であり、犯罪を犯した者の生い立ちも悲惨なものである。合同検討会などありがたいが、多少の法律改正ではなく抜本的な対応をお願いしたい。(別資料)熊本県立こころの医療センター急性期病棟の構造3部)
《質疑応答》
神:マンパワーについて花輪:急性期病棟は、医師2名、看護職員21名。熊本では減らせ減らせと大変。女性の知事が
誕生したから大丈夫と思ったが・・・。泉補佐:長期間の保護室使用、民間との協力について
花輪:構造面の工夫。1日中保護室にというのではなく、昼は3時間デイルームに。協力関係は、
満床で患者さんのトレードをするとか。
洛南の岡江さんが言っていたが、大阪や兵庫など大都会に集中していると。松沢は40棟が
専門病棟。全部男性の職員。山上先生、専門治療はあるのか?山上:マンパワーは30人ぐらいの患者に30人以上の看護スタッフ、心理やソーシャルワーカーなど、
個別のニーズにそって対応できる。暴力的なことでの対応はあるが、一般の精神科治療と
変わりない。田中:通院について
花輪:信頼関係がある。病院がきれいになったこともあるかもしれない。分裂病は退院できていない。
山上:松沢での経験から、どう改革したのか?
花輪:松沢で苦労した。田舎では、スタッフは満床でも入院させるのをやな顔はしない。
都会と田舎は違う。病棟の構造面で松沢の経験を・・・。大橋:覚醒剤の場合、もう通院しなくてよいということがあるのか?
花輪:ない。いろいろな愁訴が残る。むしろ自分から来る。
池原:退院義務付け制度について、訪問医療看護とか、外来のコンピューターで通院中断を防ぐとか、
こういうものがあって義務付けがあるのなら効果があるが、そういうものがなくて制度上
義務だけがあっても効果的か。むしろ前段の制度が必要。花輪:大げさにやっているわけではない。細々と。
池原:訪問する場合、義務付けがあるほうが行きやすいのか?
花輪:・・・地方と都会では違う。
池原:単に義務だけ課すのでは効果はない。守らなければ再入院だよとなる。
花輪:強気に出られるという、いいこともある。
松本:本日はこれで閉会する。(次回の日時は未定)
以上(ただし、未定稿。)
重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムの在り方などについて
法務省・厚生労働省合同検討会
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2002/1/18 重大な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案(仮称)の概要)New!
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- 2001/11/1 公明党プロジェクトチーム新たな精神障害者の触法行為に対する処遇システムについて)New!
- 2001/10/30 自民党心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告(案))New!
- 司法精神医療プロジェクト(日精協)
- 「処遇困難」試論I (立花光雄氏)
- 「重大犯罪を犯した精神障害者」問題を巡つて(岡江 晃氏)
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