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2002年5月9日

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療および観察等に関する法律案」に対する意見

社団法人 日本看護協会     

社団法人 日本精神科看護技術協会

 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者」の処遇に関して、法整備することは必要である。しかし今国会に上程された「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療および観察等に関する法律案」は、以下に問題点を指摘するように、保安目的が極めて強いものであり、精神障害者への偏見をかえって高めかねない。
 看護職は、精神障害者の健康を守り社会復帰をめざす役割を担う立場から、法律案がこのまま成立する事に反対する。

<現法律案の主な問題点>

1、法律案における「再犯のおそれ」を根拠とした処遇決定は、保安処分的な目的な側面を強くもっており、医療が担えるものではない。

2、地域精神医療体制の充実こそが必要であるが、その視点が法律案に欠落している。

<問題点を指摘する理由>

1、法律案における「再犯のおそれ」を根拠とした処遇決定は、保安処分的な目的な側面を強くもっており、医療が担えるものではない。

 措置入院の行動を制限する処遇については、厳密な手続きと言えるだけ早期の解除が求められている。しかし、実際は「一部の臨床現場で、運用の不備があるのではないか」と指摘されており、行政当局より厳密な運用を求めているところである。
 このような状況を見る限り、「再び対象行為を行うおそれ(再犯のおそれ)」という、予測が極めて困難な根拠により処遇を決定し、しかもその処遇期間に上限さえもうけないという法案のしくみは、安易な長期間行動制限につながる恐れを禁じえない。
 行動制限を伴う処遇については、措置入院等を含め厳密な運用を行うことができるよう、医療と司法の役割分担を根本的に見直すことが先決と考える。

2、地域精神医療体制の充実こそが必要であるが、その視点が法律案に欠落している。

 精神障害者に対する、地域の受け皿整備は、進んでいるとは言い難い。訪問介看護をはじめとする在宅医療サービスはまだ少なく、退院しようにも状態悪化の懸念に対応できず、長期入院を余儀なくされている人も多い。また、精神障害者のための作業所や施設を作ろうとしても、地域住民の反発が大きくなり断念せざるを得なかったという事例は、今でもある。
 このように一般の精神障害者でさえ、退院できる状態になっても退院できない状況があるのに、心神喪失等により重大な他害行為を行った者の通院処遇が簡単に行えるとは考えにくい。
 また、通院処遇が保護観察所の監督を主としていることも問題である。病院を通院した患者は、地域にある様々な資源や人材を活用して支援される必要があり、それこそが有効な再発防止策である。
 一方、精神障害者の初犯は家族に対する暴力等として現れる事が多いが、これは日常から訪問介護を利用したり、気楽に悩みを相談できる窓口を活用することで、未然に防ぐことができる。しかしこのような体制はほとんど整備されていない。
 地域での受け皿が不十分なまま、心神喪失等の状態による他害行為や自傷行為を減らすことはできないし、重大な他害行為を行った者の通所処遇はできない。保護観察所の機能を増やすという対応でなく、精神障害者が受け入れられる地域精神医療体制を整備することが先決である。


池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧

「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会

重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向

隔離新法」 国会上程反対 速報! 国会議事堂前抗議行動!

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)(更新020324)


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