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2002年3月29日
去る3月15日、政府は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律(案)」を閣議決定し、今通常国会での成立を企図しています。
当連合会は、精神障害と犯罪の問題に関し、精神医療と司法の現状と問題点、ヨーロッパの保安処分の実情やイタリアのトリエステにおける徹底した地域精神医療の成果などの研究調査を踏まえて、本年2月15日理事会において、「精神医療の改善方策と司法の課題」と題する日弁連意見書を採択し公表しました。日弁連意見書は、精神障害によって時として起こる不幸な事件の発生を防ぐには、入院中心主義、民間依存体質といった世界的に遅れている日本の精神医療の現状を地域精神医療充実の方向に大きく転換することが急務であることを指摘し、あわせて事件を起こした精神障害者に対する早期、適切な医療が提供できる刑事司法の改革の方向を提示しました。
これに対し、政府案は「再び対象行為を犯すおそれ」を要件として期限の定めのない強制入院、3〜5年にわたる強制通院といった処遇制度を創設し、地方裁判所に設置する裁判官及び精神保健審判員からなる合議体にその処遇を決定させようとしています。「再び対象行為を犯すおそれ」は、「再犯のおそれ」にほかならないものであります。
再犯の危険性予測は、医学的にも困難なものとされていて、その予測の信頼性はきわめて乏しいものであるのに、政府案は、こうしたあいまいな再犯のおそれを理由として無期限の入院が可能としています。不確実な再犯予測を前提に無期限の身柄拘束を行なうことは許容しがたい人権侵害であります。また、政府案は、事実の取調、責任能力の有無の認定に際し、憲法31条以下の適正手続の保障を認めていないなど憲法上も重大な問題をはらんでいます。
重大な他害行為を行なった精神障害者と他の精神障害者では、治療内容が異なることが全くないといわれているのに、政府案は、重大な他害行為を行なった精神障害者を他の精神障害者から明確に分離して特別施設に入院させ、あるいは強制通院させて処遇しようとしています。こうした分離施策 は、治療上問題があるだけでなく、強制通院を刑事政策の一翼を担う保護観察所の観察の下におくこととあいまって、精神医療を歪め、精神障害者の人権を踏みにじり、精神障害者に対する差別と偏見を助長するものとなりかねません。
さらに、政府案からは、地域における精神医療と福祉が社会と連帯し、人権に配慮した地域精神医療体制を確立するという最も緊急かつ重要な施策 については、そのリップサービスとしてのお題目だけで、具体的なイメージが全く見えてこないのであります。
当連合会では、こうした問題を抱える政府案には強い懸念と憂慮を禁じ得ず、あるべき精神医療に逆行するような立法には強い批判が加えられるべきであると考えています。
こうした事態を憂う立場から、将来に禍根を残すことのないような道を模索すべく、政府案に懸念や不安を抱きながら、日本の精神医療の現状の改善に真摯に取り組み、奮闘している各種団体との間で、立場の違いを超えた意見交換を実施して、この問題に対する情報を共有する機会を得たく、下記の要領で、意見交換会を企画いたしました。
ご参加いただければ望外の喜びであります。
なお、今後の連携を強めていきたく、ネットワークを立ち上げる場合に備えて、貴団体のメールアドレス、ご連絡先やファクシミリ番号等を下記アドレスまで送信いただければ幸いです。
併せて、当日のご参加の有無につき、別紙にてファクシミリでご回報いただきたく、よろしくお願い申し上げます。
記
1.日時 2002年4月10日(水)午後6時〜8時
2.場所 弁護士会館 17階
3.テーマ (1) 新処遇法案に関する意見交換
(2) 精神医療の改革を具体的にすすめるために
(3) 今後の連絡・調整の具体化
同封資料 (1) 「精神医療の改善方策と刑事司法の課題」 日弁連意見書
(2) 「精神障害と犯罪の問題に対する政府案に反対する」日弁連会長声明※ 問い合わせ先 日弁連・法制第2課 担当;矢島
TEL 03−3580−9841
FAX 03−3580−2866
E-MAIL yajimas@nichibenren.or.jp
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