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心神喪失者等に対する新たな処遇制度の創設と精神科医療の充実について 平成14年3月14日
財団法人全国精神障害者家族会連合会
理事長 古屋 治男心神喪失者等に対する新たな処遇制度の創設と、精神障害者の保健医療福祉の総合計画策定に関し、本会の見解と要望を表明いたします。
I 新たな処遇制度について
本会では、'80〈昭55〉年10月に「『保安処分問題』に関する全家連理事会決議」を発表し、精神医療の充実強化、社会復帰対策の整備、措置入院制度の改正、啓発活動等の必要性などを訴え、保安処分制度の導入に反対してきた経緯がある。この間、こうした提言が充分に実現することなく、今回の新法制定に至ったことは遺憾である。 1. 精神障害者は、社会の構成員の一人であり、その多くは社会的に責任をとれる人たちである。重大な他害行為を行った場合においても、責任能力がないのは例外的な場合であるので、責任能力の判定は厳正に行うことが必要である。新たな処遇制度を創設するにしても、これは避けられない問題である。本会では、責任能力判定機関の設置こそ必要であると考えるが、今回の法案では、この点についての改善策が示されていない。 2. 偏見是正のためにも、精神障害者全体に不必要な脅威を及ぼさないためにも、本会では、不起訴処分となった心神喪失者等と責任能力を有する精神障害者との区別を明確にすべきであると主張してきた。今回の法案名から精神障害者という文言をなくし、区別を明確化しようとしている点は、評価できるところである。 3. 法律の目的に再発防止が入っていることは、もっとも危惧するところである。予測可能性について問題が指摘されており、予防拘禁施設となる可能性を秘めているといわざるを得ない。再発防止は、精神科医療の改革と地域サポートシステムの整備がはかられることによってのみ可能である。なぜなら、医療とサポートシステムの基盤的整備がなされなければ、新たに専門施設を設置しても、退院後の問題を再生産するだけで、有効に機能しないことは明らかである。 II 精神障害者の保健医療福祉の総合計画について
精神科医療自体にいま必要なことは、精神科医療のノーマライゼーションを押し進めることであり、一般医療との格差是正は喫緊の課題である。 また、精神障害者を福祉施策の対象として位置づける障害者基本法が成立して9年が経過しつつあるにもかかわらず、障害者施策における格差は、今なお随所に見受けられる。 これまでの精神保健福祉施策の総括的反省を行い、今後の方向性と到達目標および達成時期を明確にした総合計画の策定は急務であり、計画策定にあたっては、下記項目を盛り込むよう強く要望する。 1. 精神保健福祉法に記載されている社会防衛的な条項を廃止し、精神保健福祉法を精神障害者の権利を定めた法律へと高めること。そのためには、保護者制度を廃止し家族に過重な負担をかけないようにするとともに、措置入院や医療保護入院、移送制度などの強制医療の手続きについても、第三者機関を関与させるなど、人権に配慮した制度として整理すること。 2. いわゆる社会的入院の解消について、精神病院等の将来像、障害者プランとの関連性を考慮しながら実効性のある計画をつくること。 3. 精神医療全般について医師・看護数を他科の医療と同一の水準にすること。さらに一般病院における精神科の設置を推進する方策を盛り込むこと。 4. 診療所を含む精神科医療機関による救急相談・救急診療体制が他科と遜色なく行われるよう精神科救急体制に抜本的な改善を行うこと。 5. 市町村障害者計画の義務化など社会復帰施設等の設置や地域生活支援体制整備の促進ための対策を講じるとともに、財政負担を軽減する措置を実施するなど、市町村に精神保健福祉行政が定着するよう格段の対策を講じること。 6. 障害種別の手帳制度を統一するなど、精神保健福祉手帳のサービスを拡大すること。 7. 精神障害者も障害者雇用率の対象とするための条件を明確化し、対策を講じること。 8. 精神障害者の社会参加の障壁となる欠格条項を撤廃すること。 9. 偏見是正の啓発活動を実施し、精神疾患に関する正しい知識の普及とともに、犯罪との因果関係が証明されていないことを周知すること。 10. 精神保健福祉に関する学校教育を実施すること。
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