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道路交通法パブリックコメント

道交法交通法の改正が行われ、その施行を目前にして、政令や施行規則の改訂作業が進められています。
その中で、精神分裂病やそううつ病を持つ人々の免許取得が実質上厳しくなる可能性があります。

障害者協議会や障害者インターナショナル日本会議、欠格条項をなくす会などが活発な活動を行っています。
精神科医療を提供する団体で構成されている
精神科7者懇談会が見解と要望を警察庁に提出しています。



2002/01/17?

氏名:日本精神障害者リハビリテーション学会 会長江畑敬介
学会事務局住所:112-0012 東京都文京区大塚3-29-1筑波大
学教育研究科カウンセリング専攻リハビリテーションコース内
電話:03-3942-6830


意 見

 日本精神障害リハビリテーション学会は,精神障害をもつ人のリハビリテーションを通して,その社会参加の促進にむけて研究活動を行っている学会です。
 そうした研究団体として「道路交通法施行令の一部を改正する政令試案」の「第2 病気等に係る免許の拒否や取消しの基準等の整備について」,当学会の見解を表明いたします。
 第一に,「1 免許の拒否や取消し等の基準」については,試案のように「精神分裂病」「そううつ病」「てんかん」などの疾患名を挙げての基準を定めないこと。
 特定の疾患を挙げて免許の拒否等を行う基準を定めることは、これらの疾患患者においては、当該疾患を有するすべての人々への偏見を助長し、その移動に関する生活のみならず、生活全般に影響を及ぼす可能性があります。
 試案では「精神分裂病」「そううつ病」「てんかん」を挙げて運用基準を定めることとしていますが、自動車運転に支障をもたらすのはそれらの疾患のごく例外的で一時的な症状にすぎません。

また、治療やリハビリテーションの進歩等により、精神疾患は従来よりも比較的短期に回復し、社会参加が可能となりました。
このようなことから、回復を前提とした保留・停止にとどめるべきと考えます。
 なお、精神分裂病関係、そううつ病の項目を削除し場合については、あらたに「急性精神病状態」という項目を立て、以下のような規定とすることを提言します。

「急性精神病状態」
(1) 急性精神病状態にある人が、その症状により交通事故を起こした場合は、主治医または公安委員会が指定する医師が、その症状が消失し、運転に支障がない状態までに回復したと認めるまで運転免許を停止する。6月以内に回復しない場合は、6月ごとに停止期間の延長ができるものとする。
(2) (1)以外であっても、明らかに急性精神病状態にあり、主治医または公安委員会が指定する医師が運転に支障があると認めた場合は、最大6月間の運転免許の保留または停止を行う。主治医また
は公安委員会の医師が運転に支障がない程度に回復したと認めた場合には停止期間を短縮できるものとするが、6月を経過してもなお病状が回復しない場合には停止期間の延長を行うことができる。

 第二に,「1 免許の拒否や取消し等の基準」については,試案の「…おそれがないと認められる場合には免許の拒否等を行わないこととします。」ではなく,「…おそれが認められる場合に免許の保留・停止等を行うことができます」と変更することを要望いたします。
 「試験で確認することが困難な、幻覚の症状を伴う精神病であって政令で定めるもの、発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの、その他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものにかかっている場合等には、公安委員会は、政令で定める基準に従って、免許の拒否や取消し等ができること」という規定は,当該疾患の有無にかかわらず試験に合格したものの内「拒否や取消し等」にあう者が例外であると解すべきと考えます。なぜならば,障害者施策推進本部の見直しの方針では,障害にかかわる欠格条項は原則廃止であり,「真に必要」なものについても,極力制限を限定化する旨の趣旨が謳われています。この試案は、運転に支障を来す可能性がある疾患や障害を列挙し、それらを有する人々の運転免許取得を制限することを前提として、例外的に障害や疾患が軽微な場合だけ免許の取得や更新を認めるという考え方に基づいていると解せられます。しかし、運転に支障があるのは、疾患や障害を持つ人の一部の人にすぎず、しかも疾患によっては一時的な現象にすぎません。よって制限が例外であることを明示するために,運用にあたっては「以下の諸基準は障害や疾患を持っている人も一市民として自動車を運転し移動する権利を有するものであるという基本的な認識に立って定められたものである。その適用にあたっては、免許の拒否・取消し等にのみ着目するのではなく、障害や疾患を持つ人が安全に運転でき移動できる諸条件を整えることに努めなければならない。」旨の趣旨が各公安委員会等に周知徹底されるようお願いいたします。

第三に,再発予測診断に基づいた処分や命令は行わないこと。
 試案では、「免許証の有効期間中」あるいは「6月以内」に、「症状が再発するおそれがないこと」を医師に診断させ、その診断に基づいて免許の保留・停止・拒否・取消処分の決定、あるいは臨時適性検査(又は主治医診断書の提出)命令を行うこととしている。しかし、次のような理由から、将来の再発予測を処分の条件とすることは行うことは適切ではないと考えます。
(1) 一般に精神疾患の再発の可能性、とくにその時期を確実に予測することは不可能である。
(2) 再発すると予測して再発しなかった場合には当事者の生活権の著しい侵害をもたらす。
(3) 主治医が、自動車免許取得制限のために再発可能性を記した診断書を発行することは、主治医と患者の信頼関係を損ない治療継続を困難にする可能性がある。

第四に,病気などを原因としてやむを得ず運転免許の停止処分等を行う場合には、一律にすべての運転を禁止するのではなく、障害の質と程度に応じて停止処分の内容を弾力的に決められるようにすること。そのためには「運転制限に関する諮問委員会(仮称)」の設置が必要である。
 病気などを原因としてやむを得ず運転免許の停止処分等を行う場合には、一律にすべての運転を禁止するのではなく、運転目的(自家用、人員輸送業務、運送業務など)、運転道路種と運転距離、運転時間帯、服薬遵守など、その運転に支障を来す障害の質と程度に応じて停止処分の内容を弾力的に決められるようにすべきと考えます。そのためには、障害者団体代表や精神科リハビリテーションの専門家が加わった「障害にかかわる運転制限に関する諮問委員会(仮称)」を設置し、公安委員会の決定を保佐するシ
ステムが必要です。
 このような配慮を行うことによって、日頃から制限されがちな障害者の移動制限の拡大を最小限にくい止めることができます。

第五に,免許申請時や免許更新時の病状等申告制度の導入にあたっては,まず申告対象となる病状出現期間を限定化すると同時に,病状等を申告した者が,必要以上の権利制限が行われないように配慮すること。
 試案では、免許申請書又は更新申請書に、具体的な病名等の記載は求めないが、「病気等ごとの具体的な運用基準」に該当する症状等を有しているかどうかを把握するために4項目の設問に回答しなければならないとしています。この申請書に精神疾患に関する回答欄がないことはご配慮いただいたものと考えます。
 しかし4項目目(医師から助言を受けている場合)のみ「現在」という限定がなされているものの,他の項目については,期間の限定がなく数十年前にあった病状でも素直に読めば該当者として申告を促すものとなっています。改正案の趣旨からいえば,当然一定期間内に限定されるべきであると考えます。
 さらに,必要以上に申告者の免許取得の制限を回避し,また適切な医療サービス等に結びつけるためにも,相談機関で適切な相談が受けられるように配慮することを求めます。


関連→「道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等」に対する意見 障害者欠格条項をなくす会

「道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等」に関する見解と要望 精神科七者懇談会


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