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精神医療ニュース 過去記事 12月分



入院女性“不審死”届けず 山口の県立精神病院 根拠なく死因「窒息」と診断
<2001年12月31日大阪読売朝刊2社面>

 山口県宇部市の県立精神病院「静和荘」で昨年五月、入院中の女性(当時二十七歳)が個室内で急死し、主治医の副院長が明確な根拠がないのに死因を「窒息」としたうえ、医師法に基づく警察への届け出を怠っていたことがわかった。副院長は「死因の診断に自信はなく、(解剖は)しのびなかった。今考えれば届けるべきで、反省している」などと言っている。


 病院の説明によると、女性は一九九九年十月、家族の同意で強制入院。最初の一か月余りは保護室に隔離され、その後は同じ閉鎖病棟内の個室にいた。
 亡くなった日は午後四時半すぎ、心肺停止状態でベッドにうつぶせに倒れているのを看護婦が発見。蘇生(そせい)を試みたが回復せず、五時二十分に死亡と判断した。
 女性の両親は五時前に駆けつけたが入室を拒まれ、会えたのは死後処置を終えた後の七時すぎだった。副院長は死亡診断書に直接死因を「窒息」と記載。その原因は「精神分裂病による昏迷(こんめい)状態」で「水のような吐物を吸引」とした。死因の分類欄は「不慮の外因死」にマルをつけた。
 読売新聞の取材に副院長は、窒息の根拠を「(皮膚が青くなる)チアノーゼがみられた」、吐物吸引の根拠は「人工呼吸の時、肺でゴボゴボと音がしたから」と説明したが、口内にも吐いた跡はなかったという。
 医師法は、異状死体を診た医師に二十四時間以内の届け出を義務づけ、怠ると罰金刑の対象。厚生労働省は「外因死やその疑いがあれば届け出対象。死因が不明確なら幅広く考えるべきだ」としている。
 日本法医学会理事長の塩野寛・旭川医大教授の話「当然届けるべき異状死だ。若い人が水を飲んで死ぬとは思えないし、溺死(できし)でも肺で音はしない。死因は不可解と言うほかない」

情報は→Yomiuri-On-Line


付属池田小 「生命で償いたい」と宅間被告 起訴事実認める

<毎日新聞2001年12月27日>

 大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で児童、教師23人が殺傷された事件で、殺人、殺人未遂罪などに問われた無職、宅間守被告(38)の初公判が27日、大阪地裁(川合(かわあい)昌幸裁判長)で始まった。宅間被告は「間違いありません」と起訴事実を全面的に認め、「生命をもって償いたい」と述べた。弁護側は、宅間被告が事件当時、一時的に心神喪失か心神耗弱だった可能性を主張。今後、再鑑定を求める方針で、宅間被告の刑事責任能力の有無が最大の争点となった。 

 検察側は冒頭陳述で、事件の動機を、私生活の破たんで自暴自棄に陥った宅間被告が「絶望的な苦しみを、できるだけ多くの家族に味あわせてやろうと思った」と指摘した。

 大阪地裁は、昨年11月施行の犯罪被害者保護法にのっとり、傍聴席の3分の1を占める約30席を遺族、被害者用に確保した。また、被告席の両脇に2人、背後に3人の拘置所職員がつく異例の配置をした。

 起訴事実の認否で弁護側は、「弁護人として心からの謝罪と哀悼の意を表明したい」と謝罪。そのうえで「被告は生来の精神病質のため、極度に追い詰められた心境にあり、理非の弁別能力を一時的に喪失したか、著しく減退していた疑いがある。裁判所が責任能力を慎重に判断することを期待したい」と述べた。

 冒頭陳述によると、宅間被告は社会的に高い地位に就くことにあこがれ、小学生の時に大教大付属池田中への進学を望んだが断念した。その後、離婚した3番目の妻への恨みや劣等感、借金などが、攻撃的な性格とあいまって社会に向かった。

 自殺も考えたが、「あほらしい。大量殺人を起こせば、離婚した妻や(不仲の)父親を後悔させることもできる」と考えるようになり、ねたましく思っていた付属池田小の児童を無差別に殺害することを決意した。

 冒頭陳述に続いて検察側が調書類などの証拠調べを請求。弁護側は宅間被告の親族の供述調書などを不同意にした。精神鑑定書に対しては、態度を保留した。

 午後からの法廷では、弁護側が同意した調書類などの要旨を、検察側が朗読する。傍聴する被害者への配慮などから、地裁は検察側に対し、詳しい朗読を求めていた。

 宅間被告は過去に「精神分裂病」「不安神経症」などさまざまな診断を受けており、「責任能力に疑いがある」として、別の刑事事件で起訴猶予処分になったことがある。しかし、今回の事件後の検察側の精神鑑定は「妄想性、非社会性、情緒不安定性の各人格障害があるものの、善悪を判断する能力はあった」と結論付けた。 【森野茂生】

情報は→Yahoo! News


宅間被告が起訴事実認める

<読売新聞2001年12月27日>

 大阪教育大学付属池田小学校(大阪府池田市)の児童殺傷事件で、児童8人を殺害、児童と教師計15人に重軽傷を負わせたとして、殺人、殺人未遂などの罪に問われた住所不定、無職宅間守被告(38)の初公判が27日午前10時から、大阪地裁(川合昌幸裁判長)で開かれた。宅間被告は起訴事実を認めたうえで「生命をもって償いたい」と述べた。

 弁護側は事件当時、宅間被告は心神喪失か心神耗弱状態だった疑いがあるとして、刑事責任能力について争う姿勢を明らかにした。一方、検察側は冒頭陳述で、犯行の動機を「元妻や父親に対する恨みや学歴コンプレックスから、社会や世間に仕返ししようと考えた」などとし、「小学生なら逃げ足が遅く、簡単に殺害できると考え、かつてあこがれ、ねたましく思っていた付属池田小の児童の無差別殺害を決意した」などと述べた。

 罪状認否で宅間被告は「池田小学校に入って殺害したことに間違いありません」と述べた。弁護側は意見陳述で被害者に「弁護人として心から謝罪と哀悼の意を表明したい」と語った。

 被告の刑事責任能力に関しては「生来的な精神病質に起因し、極度に追い詰められた心境下にあって、理非の弁別能力を一時的に喪失したか、著しく減退した状況での犯行の疑いがある」と主張、裁判所に慎重な判断を求めた。

 検察側は冒頭陳述で、宅間被告の性格を「都合の悪いことは他人のせいにする傾向を有していた」などと指摘した。

 宅間被告は兵庫県伊丹市の小学校技能員だった1999年3月、教諭4人に精神安定剤入りのお茶を飲ませたとして傷害容疑で逮捕され、結局不起訴処分になったが、周囲には「何かが聞こえるように演技したんや」と病気を装っていたことを告白。その後、復縁を拒絶した元妻への恨みを募らせ、99年12月に離婚無効訴訟を起こすとともに金を無心したが、訴訟は思うように進まず、自暴自棄になっていった。

 児童殺傷事件の前夜には「公務員の職を失ったのも元妻のせい」などと考え、消費者金融に300万円以上の借金があったことから、絶望感にかられた。「自殺では元妻が喜ぶだけ。死ぬくらいなら自分自身の絶望的な苦しみをできるだけ多くの被害者とその家族に味わわせてやろう」と、付属池田小襲撃を決めたという。

 宅間被告の事件当時の精神状態について、検察側は、鑑定結果などから「妄想性、非社会性、情緒不安定性の人格障害で、社会や個人との摩擦が絶えなかったが、責任能力に影響を及ぼすような精神障害には罹患(りかん)していなかった」と述べた。

情報は→Yahoo! News


付属池田小事件の宅間被告、きょう初公判

<読売新聞2001年12月27日>

 大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件で、殺人、殺人未遂罪などに問われた宅間守被告(38)の初公判が27日午前、大阪地裁(川合昌幸裁判長)で始まる。弁護側は、起訴事実は大筋で認めるが、事件当時の精神状態が「心神喪失か心神耗弱だった疑いがある」として刑事責任能力については争う方針。

 検察側は、起訴前の精神鑑定で「人格障害」とされたことなどから「完全な責任能力があった」としている。これに対し、弁護側は〈1〉過去に「精神分裂病」と診断されたことがある〈2〉「元妻への仕返し」とされる犯行動機と事件の結果が釣り合わない――などを根拠に「責任能力には疑問がある」としており、今後、再鑑定の申請も行う構え。

 初公判では、被告と弁護側が起訴事実について意見を述べた後、検察側が冒頭陳述で犯行状況などを詳述。午後からは、被害者調書など採用された証拠についての説明が行われる。

情報は→Yahoo! News


<2002年12月25日朝日新聞>

首にベルト、患者が死亡 三鷹の精神病院(12/25) 警視庁、管理態勢を捜査

 東京都三鷹市上連雀4丁目の精神科病院「井之頭病院」(斎藤昌治理事長)で、入院していた男性患者(57)の首に抑制帯と呼ばれるベルトが引っかかって死亡していたことが25日、わかった。警視庁は管理態勢に不備がなかったかどうか調べている。

 三鷹署と同病院によると、23日午前2時半ごろ、見回りに来た看護婦が男性の首に抑制帯が引っかかっているのを見つけた。医師らが心臓マッサージなどをしたが、約30分後に窒息死した。男性はベッドからずり落ちるような格好で見つかったという。

 首に引っかかっていた抑制帯は布製。男性が暴れるため、胴体部分や足をベッドに固定させるために使っていた。同病院では、30分ごとに見回りをしていたといい、午前2時の時点で異状はなかったとしている。

 男性は73年から入退院を繰り返し、94年3月から再び入院していた。

情報は→asahi.com


<2001年12月25日読売新聞>

首に抑制ベルトかかり男性患者死亡…東京の精神病院

 東京都三鷹市上連雀の「井之頭病院」(片山義郎院長、病床数659)で、入院中の男性患者(57)の首に身体の動きを抑制するベルトが引っかかり、この男性が窒息死していたことが25日、わかった。警視庁三鷹署で、病院側から事情を聞いている。

 病院によると、23日午前2時半ごろ、同病院保護室で男性がベッドの下に転落しているのを見回りの職員が発見した。首には、体の動きを抑えるためのベルト(布製、幅約30センチ)が引っかかっており、蘇生(そせい)措置をしたが間もなく死亡が確認された。ベルトは腹部などを固定するために取り付けられていたが、苦痛を和らげるために緩められていたという。男性が激しく体を動かした際、転落して首が絞まったらしい。

 同病院は精神内科が専門で、男性は幻覚症状があることなどから、保護室で治療を受けていたという。

 同病院は「再発防止に努力したい」と話している。

情報は→Yomiuri-On-Line


「非入所者の被害が明確に」=ハンセン病訴訟原告団が会見−熊本

<時事通信2001年12月26日>

 ハンセン病訴訟の原告、弁護団は26日、国側の和解受け入れ正式表明を受け、熊本市内で記者会見。「非入所者も入所者と同様、隔離政策の被害者であることが司法上明確になった」と評価した。また、国側の受け入れ条件は「まったく問題ない」と述べた。 

情報は→Yahoo! News



小学校殺傷事件 心神耗弱の可能性主張、再鑑定請求へ 弁護団

<毎日新聞2001年12月22日 >

 27日に開かれる大阪教育大学付属池田小学校(大阪府池田市)の乱入殺傷事件の初公判で、殺人罪などに問われている宅間守被告(38)の弁護団は22日までに、宅間被告が事件当時、心神耗弱だった可能性を主張する方針を固めた。宅間被告は起訴前の精神鑑定で「完全な刑事責任能力がある」とされたが、この鑑定についても不同意か同意を保留し、公判で再鑑定を求める予定だ。

 弁護側は事実関係は争わず、初公判でも起訴事実は認めるという。しかし、宅間被告の刑事責任能力の有無が裁判の焦点になることから、初公判の弁護人の意見陳述で、心神耗弱・喪失を規定している刑法39条に該当する可能性があることを盛り込む方向となった。

 事件を起こしたことについて宅間被告の認識は、ある程度明確なため、弁護団は善悪を判断する能力のない心神喪失を適用するのは難しいとの考えを示しており、心神耗弱を主張する模様だ。「裁判官に慎重な審理をお願いする」という。

 心神耗弱は、犯行時に加害者が善悪を判断する能力が著しく減退していた状態で、刑を減軽することが定められている。

 宅間被告は、過去、「精神分裂病」「不安神経症」「抑うつ状態」「精神安定剤依存症」「妄想性人格障害」などさまざまな診断を受けていた。起訴前の精神鑑定では「妄想性人格障害」など複数の特異な精神症状を併せ持っていると診断されたが、深刻な精神障害には至っていない、という結論が出されていた。 【宝満志郎】

情報はこちら→Mainichi INTERACTIVE


精障者犯罪防止で提言 沖縄県精保医療福祉協

<琉球新報2001年12月22日>

 県精神保健医療福祉連絡協議会(小椋力会長)は21日、精神障害者による事件・事故の防止などを目指した「精神保健・医療・福祉を推進するための提言」を発表した。精神科救急医療システムの充実や精神障害者が安心して生活できるよう地域の生活支援を提起したほか、司法にも責任能力について慎重な判断を求めた。提言を基に、精神障害者による重大犯罪防止のための対策マニュアルを作成する。
 県内で7、8の両月、精神障害者による殺傷事件が相次いだことから、同協会は8月7日、「重大犯罪の防止に関する実行委員会」を設置した。法制度の見直しなど国レベルの取り組みとは別に、県内で何ができるか検討を重ね、委員長の石垣一彦国立療養所琉球病院院長が中心となって提言をまとめた。
 提言は

(1)精神保健、医療、福祉の連携
(2)相談窓口の増設
(3)県立精神保健福祉センターなどでつくる連絡調整会議の充実強化
(4)保健所などへの精神科常勤医師の配置-なども盛り込んだ。

今後、検討を要する重要な問題として、治療中断者への対策や措置入院者の措置解除の判断、医療機関の危機管理などを挙げている。
 提言をまとめた石垣委員長は県庁で会見し、精神障害者が事件を起こした場合の安易な簡易精神鑑定を批判し、「1、2時間で責任能力や病状について十分な診断はできない。司法当局にもっと慎重な判断をお願いしたい」と述べた。
 小椋会長(琉大医学部教授)は「家族だけでなく地域が障害者の生活を支えていくことが必要。精神保健と医療福祉を充実させていくことが、事件の防止につながる」と強調した。


情報は→Yahoo! News


「心のケア」 産後うつ病からお母さんを守れ

<河北新報 2001年12月22日>

 産後間もない母親への心のケアが今、重要視されている。心身ともに不安定な産後の母親は、特有のうつ病に陥りやすく、ほうっておくと育児放棄や虐待の原因にもなりかねないからだ。夫など周囲の人と育児の悩みを分かち合う環境づくりが処方箋(せん)とされ、厚生労働省は本年度、この病の実態調査に乗り出している。家事や育児の不安解消に向け「産後ヘルプサービス」を始める自治体も増えており、支援の動きが広がってきた。(報道部・太田小百合)

<気付かぬ間に悪化>

 産後間もない母親は出産による体力低下に加え、数時間ごとの授乳で、体への負担が大きく体調を崩しやすい。精神的にも不安定で「産後うつ病」を発症しやすい時期とされる。

 厚労省の厚生科学研究(主任研究者・中野仁雄九州大大学院医学研究院教授)の調査では、発症率は約15%。産後一時的に涙もろくなる「マタニティーブルー」と間違われやすく、周囲が気付かないうちに悪化するケースも少なくない。

 厚労省は母子保健政策「健やか親子21」で、産後うつ病の発症率減少を目標に掲げており、本年度、厚生科学研究が全国実態調査に入っている。

 地域の乳幼児検診で心理相談を担当する東北大大学院教育学研究科の加藤道代講師は「妊娠・出産は病院、産後は地域の保健所―と、母子のケアがつながりにくい。プライバシー保護の関係で、病院の情報を保健所側が共有できないのも問題」と、産後うつ病を発症しやすい時期のフォローが難しい実態を指摘する。

 その上で「治療すれば必ず治る。家族の協力があるか、仕事をしているかなど女性の置かれた状況を把握し、それぞれのケースに応じた心のケアが必要」と強調。マタニティーブルーが1カ月以上続く場合、産後うつ病に移行している可能性が高く、すぐに専門医や保健所に相談し治療を受けるよう、勧めている。

<ヘルプサービスも>

 一方、産後間もない母親にホームヘルパーを派遣する「産後ヘルプサービス」を導入する自治体も増えている。仙台市は7月にサービスを開始。産後の心身の負担を軽減するだけでなく、子育てに戸惑う母親を支援し、育児不安の芽を早期に摘み取りたい考えだ。

 仙台市泉区の主婦村上江美子さん(34)は7月下旬に二男を出産。実家が遠い上、小学1年の長男(7つ)がいるため里帰り出産はせず、市と生協の産後ヘルプサービスを利用した。

 「ヘルパーさんは子育ての先輩。家事支援にとどまらず、もく浴など育児のノウハウを教えてもらった。1人で悩みを抱え、育児ノイローゼに陥る人は多い。甘え上手になることも大切ではないか」と村上さん。

<父親の協力不可欠>

 旧労働省の調査(1999年)によると、男性の育児休業取得率は1%にも満たない。最近は積極的に育児にかかわる父親も増えているが、母親1人で育児不安を抱えてしまうケースは依然多い。

 国は7月に閣議決定した「仕事と子育ての両立支援策」で、男性の育休取得の奨励と出産休暇の全員取得を緊急の課題に掲げた。宮城労働局の佐藤央子地方育児・介護休業指導官は「妻が専業主婦でも、働いていて育休を取る場合でも、母体保護の期間とされる産後8週間は夫の育休取得が認められている。産後の心身のケアのためにも、父親の育休取得が広がってほしい」と呼び掛けている。

<産後うつ病>産後数カ月以内に発症。「赤ちゃんがかわいいと思えない」「母親失格」といった抑うつ感や自責感、食欲減退、不眠などが主な症状。軽症は数カ月で治るが、重症になると家事や育児に支障が出る。母子心中の動機に及ぶケースもあり投薬や入院が必要。産後の家事・育児は夫を中心に家族の支援で疲れをためないことがポイント。不安や不満を打ち明けコミュニケーションを図ることが予防につながる。

情報は→Yahoo! News東北ニュース


[記者が行く]21歳女性、インターネットで向精神薬販売 チェック体制強化を

<毎日新聞2001年12月22日>

 大阪府茨木市の無職女性(21)がインターネットを使って向精神薬を販売したとして今月12日、麻薬特例法違反などの容疑で書類送検された事件が、精神医療の現場や関係機関に波紋を投げかけている。精神科で処方された向精神薬を販売し、架空口座に代金を振り込ませるという女性の手口が、法規制や監視のすき間をすり抜けていたからだ。ネットワーク犯罪が増える中、薬の違法販売や架空口座がからんだ事件は後を絶たない。自治体や医療機関、金融機関のチェック体制が改めて問われている。 【坂口佳代】 
 大阪府警保安2課などの調べでは、女性は97年から12の精神科に通院。解離性同一性障害(多重人格)やうつ病などの診断を受け、昨年、大阪市から精神障害者保健福祉手帳1級を交付された。 
 女性は、処方された向精神薬を市価の20〜180倍で売る広告を自分のホームページ(HP)に掲載。今年2〜8月、全国約60人に約30万円分を販売し、このうち3人が自殺未遂を起こしたという。 
 また、女性は健康保険証を偽造して7銀行・支店に計20の架空口座を開設。薬代金を振り込ませていたほか、HPに架空口座を3〜10万円で販売する広告を出していた。 
 女性は容疑を否認しているが、手口が巧妙なことや、複数の病院が「詐病の疑いがある」としたことから、大阪府警は立件に踏み切った。容疑事実は、麻薬特例法や薬事法違反、有印公文書偽造・同行使など7つに上る。女性の“暴走”を食い止めることはできなかったのか。 
 福島章・上智大名誉教授(犯罪精神医学)は「多重人格は詐病かどうか見分けにくく、医師は患者の訴えがあれば薬を処方せざるを得ない」と話す。他の医療機関に通院していても、患者が医師に伝えない限りチェックは不可能だ。女性は障害年金と生活保護を受給しており、同時期に4カ所に通院していたこともあるが、医療費を負担する自治体側でもチェックできなかった。
 
 一方、架空口座については、郵送で口座が開設できる「メールオーダーサービス」が使われていた。健康保険証などのコピーを郵送すればすむため、大阪府警が昨年摘発したネットオークション詐欺事件でも悪用されている。全国銀行協会は「個別の銀行で本人確認を徹底している」と言うが、依然として犯罪の温床になっていることは明らかだ。大阪府警は近く同協会に防止策の徹底を申し入れる。 
 今回の事件について、女性が通院していた病院の医師は「社会のシステムを逆手に取っている。そんなケースは想定していない」と言って絶句した。医師が患者を疑ってかかれば医療行為は成立しない。悪質なケースを発見できるようチェック体制の強化を求めたい。 

情報は→Yahoo! News阪神


[相談室の子供たち]四国・心のケアの現場から 食べられない (下)

<毎日新聞2001年12月22日>

 ◇向き合う夫婦、娘見守る 
 食事がとれないと訴えるみき(中3・仮名)の母親から相談を受けた。母親は「頼りにならない」と父親のことをなじったが、ある時、父親も相談にきた。みきの父親は優しそうな人だったが、父親として娘にどのように接したらよいのか分からず、自信を失っていた。 
 みきの母親が久しぶりに相談にきた。「最近は、学校をずっと休んでいます。でも、少しずつですが、食事をとるようになりました。以前よりは、頑張って食べようとしているようです」と言った。 
 前回の面接から時間があいたのは、みきの調子が良かったからである。「先生に言われたように、できるだけ、みきとの距離をおいて、そっとするようにしています。少し距離をおくと、私も楽ですし、みきも楽そうに見えます」 
 母と娘はともすれば心理的距離が近くなりすぎて、互いに束縛しあう関係に陥りやすい。母親はあたかも娘を自分の延長と感じてしまう。また、娘もその母親の視線の中で身動きがとれなくなる。食事をとらないのは、ある意味で、母親を拒否しているとも言える。食べ物という母なるものを受け入れない。女性としての成熟の拒否も意味する。 
 父親について尋ねると、母親は「お父さんは、みきのことを心配して落ち込んでいました。でも、前回のご相談のときに、『父親の役割も大きい』と聞いて、できるだけ、みきとかかわるように努力をしているようです」と話した。父親は、早めに帰宅するようになったという。 
 みきは時々、不安なったり衝動的になったりした。しかし、情緒が不安定な状態は少しずつ改善された。友達と一緒に遊びに行く時もあった。以前は、外出する時には、髪を丁寧に洗って化粧をしていたが、最近はそれほどこだわらなくなったという。
 
 「化粧とはある種の防衛ですから」と私は説明した。化粧とは、自分を守るすべなのである。化粧をすれば自分を変えることができる。今のみきは、そのような防衛をしなくても良くなったのだろう。みきは、自分のありのままを受け入れることができるようになりつつあった。 
 母親は「みきと向かい合うことで、自分がみきに頼ってきたことに気が付きました」と語った。みきは小さいころからしっかりした子どもだった。母親にとって、よくできた子どもだったのだ。母親の期待に応えてしっかりとした子どもを演じてきた。
 
 そして、母親は、しっかりとしたみきに知らぬ間に頼っていた。いわゆる、幼いみきに、カウンセラー役を強いていた。母親は「今は夫婦で、みきを見守るように心掛けています」と言った。 
 「食事をとれない」という症状は、すぐに解消されるわけではない。しかし、父母が互いに支えあい、みきを見守る関係ができたことは重要である。夫婦が互いに向かい合うことを、みきは望んでいたのかもしれない。 (おわり) 
【竹森元彦さん=愛媛大教育学部助教授、臨床心理士】 

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障害者の雇用促進、6割が望む=ボランティア経験は15%−内閣府調査

<時事通信2001年12月22日>

 企業や民間団体に「障害者の雇用促進」を望む人が6割近くに達することが、22日に発表された内閣府の「障害者に関する世論調査」結果で明らかになった。また、障害者が地域の中で普通に生活できるようにするのは当然と考える人が約8割に達したものの、障害者に対するボランティア活動などの経験者は約15%にとどまった。 

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今日の視角 病院精神医学

<信濃毎日新聞2001年12月21日>

大学内科学とか、大学外科学という学問もなければ、それと対になった病院内科学とか、病院外科学という分野もない。ところが精神医学には、「病院精神医学」という分野がある。十九世紀以降、ヨーロッパの国公立精神病院で行われてきた慢性患者の治療、処遇についての知識に始まる。郊外の広大な敷地、点在する病棟、そこでの五、六百人、あるいは千人をこえる患者の処遇について、研究してきた。歴史的には大学での臨床精神医学より、病院精神医学が本流であった。

 日本には国公立の大精神病院は極めて少なかったので、小さな分野に留まり、医学教育で触れられることもなかった。だが病院精神医学を病院という環境そのものを治療的に創っていく学問と定義すれば、最も重要な分野であったはずだ。

 中央道・伊那インターチェンジを下りてすぐ、上伊那郡南箕輪村に南信病院という百床ほどの精神病院がある。院長の近藤廉治先生は病院精神医学の真髄に生きている。開放病棟の廊下は広く三メートルもあり、楢の木の床が快い。各病室の扉もやわらかい無垢の板造り。

 そんな病棟にテレビがない。かわりに新聞四紙、月刊雑誌もそろえている。近藤先生は、「慢然とテレビを見ていると、患者同士の会話は生まれない。それは同じ風景を眺めていながら会話のない列車の乗客のようなもの」という。病院は人間関係に疲れた人がやってくるところ。だが、固く自分に閉じ込もっていても癒されない。一歩引いた、静かで程良い会話に立ち戻ることから、再び他者との交流の喜びが湧いてくる。ここではベッドのデザイン、階段の数、病室の広さ、看護詰所の位置、ホールの機能、そして患者と看護者・医師、患者と患者の関係すべてが、治癒をうながす環境として組み立てられている。

 テレビがなければ病院精神医学というわけではない。入院と同時に、そこにやすらぎ、自分を取り戻す、そんな病院を組織化するのが病院精神医学である。(野田 正彰)

情報はこちら→信濃毎日新聞


21歳女性、向精神薬をネット販売容疑=病気装い?12カ所の精神科に通院−大阪

<時事通信2001年12月12日>

 インターネットのホームページ(HP)を開設し向精神薬を販売したとして、大阪府警保安2課などは12日、麻薬特例法違反(業としての譲り渡し)などの疑いで同府茨木市藤の里、無職女性(21)を書類送検した。女性は12カ所の病院の精神科に通院し、処方してもらった錠剤を通常の20〜180倍の値段で販売、本名と偽名で開設した計28の銀行口座に代金を振り込ませていた。調べに対し、容疑を否認しているという。 

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上部被告、「著しい精神障害ない」=下関駅殺傷事件で2度目の鑑定−山口

<時事通信2001年12月11日>

 山口県下関市のJR下関駅構内で1999年9月に起きた無差別殺傷事件で、殺人罪などに問われている上部康明被告(37)の犯行当時の精神状態について、「著しい障害はなかった」とする鑑定書が11日までに、山口地裁下関支部に提出された。同被告に対する精神鑑定は2度目で、「心神耗弱」とした前回の鑑定に比べ、障害の程度は軽いとする内容となった。
 2度目の鑑定は保崎秀夫慶応大名誉教授が実施。鑑定書は「ある程度の障害があったが、著しい障害があったとまでは言えない」としている。 

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付属池田小 重軽傷児童への災害給付を請求

<毎日新聞2001年12月7日>

 大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)の乱入殺傷事件に関連して同校は7日、文部科学省の外郭団体「日本体育・学校健康センター」(本部・東京都)に、重軽傷を負った児童13人分の災害共済給付金を請求した。学校内や登下校中などに起きた事故や事件でけがをした児童の医療費の一部を補てんする制度で、同校が事件後から、保護者に利用するよう持ち掛けていた。

 請求額は明らかになっていないが同センターが審査し受理した場合、原則として通院などにかかる費用も含めた医療費の4割が支給される。事件から1カ月間入院していた児童や、現在でも精神科に通う児童もおり、中には、事件が起きた6月だけで100万円を超える医療費がかかった家庭もあった。このため不足分について大学側は、これまで集まった義援金などの活用も含めて検討する方針。

 しかし、給付期限が初診から7年のため、以降の後遺症は対象にならず、「傷口の整形やフラッシュバック(記憶の再体験)が起きた場合の治療費は支払われないのだろうか」(けがをした女児の母)など、給付制度の改善を求める声もある。 【近藤大介】(毎日新聞)

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触法精神障害者の処遇、医師含む「専門参審制」で判定

<読売新聞2001年12月6日>

 殺人などの重大犯罪事件を起こした触法精神障害者が心神喪失を理由に無罪・不起訴になった場合の処遇見直し問題で、法務省は6日、全国の地裁に新設する処遇判定機関を裁判官と精神科医らの合議制とする方針を固めた。医師が裁判官と一緒に事実認定・審理を行い、裁判官並みの評決権を持つことは、職業裁判官以外の専門家が司法判断に関与する「専門参審制」が日本の裁判所で初めて導入されることを意味する。同省は判定機関のメンバー構成比や判定基準などの詳細を詰めたうえで、来年の通常国会に関連法案を提出する。

 触法精神障害者の処遇を巡る論議は、6月の大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件をきっかけに高まった。現行の措置入院制度はもっぱら医師の判断にゆだねられ、鑑定の信頼性も検証できないのが実情だ。このため、被害の再発防止の観点から、処遇決定にあたって裁判官の関与を求める声が出ていた。

 法務省内の検討では、処遇判定機関は裁判官と精神科医の数人で構成し、必要に応じて精神保健福祉士ら精神医療分野の専門家がオブザーバー参加して意見を述べる。精神科医は医学的観点から処遇対象者の病状と必要な治療措置について、また裁判官は法律的・社会的観点から「処遇対象者が将来問題行動を起こす可能性」についてそれぞれ判断し、合議のうえで強制的な入院・通院の可否の結論を下す。責任能力が十分あると判定すれば、検察官に差し戻し起訴されるケースもある。裁判官と医師の意見が食い違った場合は、多数決か、処遇対象者に不利な決定とならない仕組みを検討している。

 与党が先月12日に決定した見直し案では、精神障害者が心神喪失などで不起訴処分となった場合、

 しかし、判定機関の評決方法については、裁判官と医療関係者の合議制とするか、専門家で作る第三者機関の意見を聞いて裁判官が単独決定するかで意見が分かれ、結論を政府の検討にゆだねていた。法務省が医師を含めた合議制とする方針を固めたのは、専門性を重視したためだ。

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情緒障害児の心のケア、治療施設を道内にも整備−−堀達也知事が方針 /北海道

<毎日新聞2001年12月6日>

 ◇有珠優健学園、種別変更も
 堀達也知事は5日、国が都道府県に設置を求めている「情緒障害児短期治療施設」を道内にも整備する方針を明らかにした。児童養護施設の道立有珠優健学園(伊達市)の施設種別をこの施設に変更することも検討している。開会中の第4回定例道議会で、民主・道民連合の佐々木恵美子氏(十勝支庁)の一般質問に答えた。
 この施設は、虐待やいじめ、不登校などの学校生活に関係のある要因のために軽度の情緒障害を持つ児童に対し、心のケアを行うことを目的に設置される。国は各都道府県に最低1カ所、この施設を整備するよう求めているが、道内ではまだ設置されていない。
 堀知事は「児童の心のケアに専門的に対処する施設の整備が必要」と答弁。道保健福祉部によると、同学園の施設種別変更によって整備することも視野に入れているが、児童の入所が増えていることもあって慎重に検討しているという。同部は「施設整備の必要性は十分認識しているが、場所や設置時期、形態などはまだ決まっていない」と話している。
 道内の児童相談所では昨年度、情緒面に問題のある児童の相談件数が1798件あり、この5年間で約1・8倍に増えているという。【江口一】

情報は→Yahoo! News


精神医療 重大犯罪の精神障害者に対応 新プラン策定へ

毎日新聞2001年12月4日>

 政府・与党は3日、重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇に関する法整備にあわせ、「21世紀の精神医療ビジョン」をまとめ、それに基づく5カ年計画(ダイヤモンド・プラン=仮称)を策定する方針を固めた。病院の治療内容に関する情報公開と、それに対する外部評価制度の導入、医師・精神保健福祉士ら専門スタッフの養成システムの確立など、精神医療・福祉の充実が狙いで、2002年度中の策定を目指す。

 政府・与党は来年の通常国会に、責任能力が問えずに無罪になった場合、現行の「措置入院」制度に代え、全国50地裁に入退院を決定する新たな判定機関を設置することを柱にした「新法」案を提出する。

 しかし、精神障害者の家族などには、処遇システムの整備よりもむしろ十分な治療、社会復帰に向けた体制づくりを求める声が強く、総合的な対策を盛り込んだプランの策定が不可欠と判断した。

 プランには

情報はこちら→Mainichi INTERACTIVE


自殺遺児急増「助けて」 東北の奨学生、3年で2倍

<河北新報 2001年12月4日>

 借金苦などを理由にした中高年層の自殺件数の増加に比例して、親の突然の死に直面する子どもたちが東北でも増えている。遺児全般の進学支援に携わる「あしなが育英会」(本部東京)によると、親の自殺が元となり奨学生となった遺児は過去3年間で7倍に増加。東北でも7人から14人へと倍増している。自殺に対する偏見にさらされ、悩みを募らせることの多い自殺遺児。心のケアの必要性を訴える声も高まっている。

<だれにも言うな>

 A子さん(20)=大学2年・東北地方在住=は、8歳の時に父親を亡くした。ガス自殺だった。現場に行くと、いつも家族で乗っていた車のマフラーにホースがつながれ車内に引き込まれていた。借金があったことは聞かされたが、本当の原因は分からない。親類からは「自殺ということはだれにも言うな」とくぎを刺された。

 地域社会での自殺への偏見は根強い。A子さんは親の死因を封印せざるをえない苦しみが重荷となり、ふさぎ込む日々が続いた。「どうして勝手に死んだの」と、次第に父を恨む気持ちが募ったという。

 そんなA子さんを勇気づけたのは、あしなが育英会主催の「奨学生のつどい」だった。

<壁を作ったまま>

 「つどいの参加者は親がいないという境遇は同じだけど、他の子の親は生きようとしていた」と心に壁を作ったまま参加したA子さんだったが、リーダーが「親の死因なんて関係ないよ」と励ましてくれた。「話に真剣に耳を傾けて、一緒に悩んでくれる仲間に救われた」と振り返る。

 警察庁によると、昨年1年間の自殺者は全国で3万1957人。このうち、6割が50代以上の中高年だ。1998年から3年連続で3万人を超え、1日100人弱もの人が自ら命を絶つ事態が続いている。

 育英会の奨学生のうち、自殺遺児は98年度21人、99年度97人、2000年度144人と増加。01年度は11月21日現在で126人に上り、昨年を上回るペースとなっている。

 こうした状況から、「自殺は決して人ごとではない」と強調するのは、東北大3年で「あしなが学生募金事務局」東北局次長を務める小泉彰さん(21)。11月には「あしながPウオーク」を仙台市中心部で実施、総勢約100人が街を練り歩きながら募金を集めた。

<社会全体で支援>

 Pウオークは病気、災害遺児の支援を狙いに始まったイベントだが、今回は自殺をメーンテーマに据えた。寄付金は、遺児の奨学金やカウンセリングの拠点「東京レインボーハウス」の建設費用に充てる。小泉さんは「自殺は個人の問題と片付けずに、社会全体で向き合うべきだ」と訴える。

 A子さんは、育英会でのボランティア活動を通じ、最近はこう考えるようになった。「大切な友達との出会いをお父さんが与えてくれた。だから、お父さんの分も精いっぱい生きたい」

情報はこちら→Yahoo! News東北・河北


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