民主党対案 目 次 司法と精神医療の改革のための「民主党案」の概要について 民主党
裁判所法および検察庁法の一部改正
「精神保健福祉改善10カ年戦略」(座長試案)司法と精神医療プロジェクトチーム
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案要綱(案)
司法精神鑑定センター(仮称)の設置に関する裁判所法の一部を改正する法律案及び検察庁法の一部を改正する法律案骨子案
政府案と民主党案との比較 (表)
民 主 党
司法と精神医療の改革のための「民主党案」の概要について 1 池田小学校事件の教訓
被告人は過去に軽微な犯罪行為を繰り返し、精神病院への入退院等を経て、昨年6月に児童らの殺傷事件に至り、「責任能力あり」と起訴、係争中。
○ 被告人の過去の犯罪行為に対する検察の起訴・不起訴の判断、さらに検察段階での「簡易鑑定」や措置入院時の「措置診察」の判定が適切であったのか充分な検証が必要。
○ 従来から、検察段階での「簡易鑑定」が特定の精神科医に偏っており、起訴・不起訴の検察官の判断が恣意的に行われ、その後の検察官通報(精神保健福祉法25条)で、検察の意向を受けた措置入院の判断がされるなど、不適切な法の運用が現場から指摘されている。また地域精神保健福祉施策の立ち遅れや刑事施設等の精神医学的治療・援助体制の不備が指摘されているにもかかわらず、政府の対応は極めて不充分。
○ 池田小学校事件の被告人は起訴されているにもかかわらず、マスコミ報道によって「精神障害者の犯罪」として精神障害者を危険視する世論と応報感情が高まり、精神障害者への差別・偏見が助長。
2 政府案の問題点
政府案は、従来から指摘されている司法と精神医療への疑問や問題に何ら解決策を示すことなく、しかも池田小学校事件の再発防止にならない。さらに「再犯のおそれ」という不確実な将来の危険性予測に基づく、不定期な予防拘禁(=重大な人権侵害)を可能とするもの。精神障害者への差別・偏見を助長するばかりか、本質的な問題解決を先送り。
3 民主党案の概要
民主党案は池田小学校事件の教訓や従来から指摘されている司法と精神医療に対する疑問や問題点の解決をめざすために、以下のように包括的・総合的な政策を提言。
(1) 法改正事項(「司法精神鑑定センター」(仮称);裁判所法等の改正、「精神保健福祉調査員」「精神科集中治療センター」等;精神保健福祉法改正)
(2) 現行制度の運用改善(「措置入院指定病院の指定基準」の引上げ等の見直し)
(3) 精神保健福祉施策の改善と実証的調査・研究の推進(「精神保健福祉改善10ヵ年戦略」の策定と着実な実施、等)
※ 精神障害者に対する差別や偏見を助長しないよう配慮。「再犯のおそれ」の判定は科学的に不可能であり、また「重大な犯罪行為」の有無で区別せず、起訴前・起訴後の適切な精神鑑定と、あくまでも治療上の必要性から適切な精神医療を確保
民主党の「対案」の全体スキーム(案)
_「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」(政府案)に対して_
読み取れなかったため(略)
A 裁判所法および検察庁法の一部改正
○「司法精神鑑定センター」(仮称)の設置
目的: 起訴前・起訴後の精神鑑定の適正な実施。
内容: 裁判所法および検察庁法の一部改正により、鑑定人の候補者の選定事務、個別の精神鑑定に係る情報または資料の調査研究及び分析、等
※ 検察庁法の改正については、政令で検察庁に「鑑定センター」を設置するための根拠規定を盛り込む。
B 精神保健福祉法の一部改正
(1)「精神科集中治療センター」(仮称)の新設
都道府県知事により、国若しくは都道府県立精神病院、又は指定病院のうち、厚生労働大臣の基準に適合するものの全部又は一部を高度の医療及び保護を提供する医療施設として指定。
(2)「精神保健福祉調査員」の新設
精神保健福祉士、等から都道府県知事が任命。精神保健福祉法第27条第1項に基づく調査、判定委員会の求めに応じて、過去の病歴、治療状況、自傷他害の有無・内容、生活環境等を調査。
(3)「判定委員会」の新設
都道府県知事の指定する精神保健指定医2名による合議体。
指定医による診察と、措置入院、措置解除、退院等に係る判定を実施。
判定は委員の意見の一致が必要
(4)「社会復帰支援体制の強化」
都道府県等は、医師、精神保健福祉士、精神保健相談員、保健師、看護師、作業療法士、臨床心理技術者その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互連携を図るため、協力体制整備に努める。
(5) その他
施行日:公布の日から1年を超えない範囲で政令で定める。
その他、所要の規定の整備を行う。
A 司法の分野
○ 政令改正により最高検察庁に「鑑定センター」(仮称)の設置。起訴前鑑定の適正な実施をサポートする。
○ 司法精神鑑定の適正実施(特に起訴前簡易鑑定を出来る限り制限)
○ そのことにより、起訴・不起訴を慎重かつ厳格に判断
○ 刑事施設等における医療、とりわけ精神医学的治療・援助の体制整備
B 精神医療の分野
○ 精神保健福祉調査員(新)、精神保健指定医の研修・相互交流等を通じたレベルアップ
○ 措置指定病院の精神保健指定医、看護スタッフ等の配置基準の引き上げ
○ ガイドラインの策定も含め、措置入院率、措置入院期間等の都道府県間格差の是正
○ 「精神保健福祉改善10カ年戦略」の策定と着実な実施
新たな障害者基本計画と障害者プランの策定(平成15年度_)と連動した「計画」策定と着実な実施を進める。
精神病床削減計画と並行して実施。
○ 「差別克服(アンチ・スティグマ)行動計画」の実行
全家連および日本精神神経学会が取り組んでいる“手をつなごう心の世紀”キャンペーンとタイアップ。
○ 「司法精神医学調査研究会」(仮称)の設置
法務省、厚生労働省の共管。新たに設置される「司法鑑定センター」および「措置入院判定委員会」と既存の精神医療審査会等の参加・協力を得て、3_5年かけて、司法と精神医療の現状を明らかにしつつ、実証的な調査・研究を行う。
2002年5月13日
司法と精神医療プロジェクトチーム
「精神保健福祉改善10カ年戦略」(座長試案)
I 基本理念
ノーマライゼーションの実現に向けて、障害のある人もない人も、だれもが住み慣れた地域で当たり前の生活を可能とする「地域でともに生きる」ことを支援するとともに、「入院中心から社会復帰施設へ」という流れから「施設から在宅へ」と施策を転換し、人間としての尊厳が尊重され、社会の構成員の一員として、自らが主体的に生きがいをもって、健康で質の高い生活を営むことが可能となる社会をめざすことを基本理念とする。
II 基本原則
憲法は、法の下の平等や健康で文化的な生活をはじめとする諸権利を規定している。国は、国民の権利として精神保健福祉施策を位置付けていくべきである(権利性の原則)。また、年金、医療、福祉(介護)、雇用などの社会保障制度全体で精神障害者の暮らしを支える必要がある。各制度の役割を踏まえ、制度間の連携を図り、国、都道府県、市町村のそれぞれの役割・責務を踏まえて、総合的・重層的な施策が展開されなければならない(総合性の原則)。そしてこれまでの入院を中心とする隔離収容政策の反省の上に立ち、「地域でともに生きる」ことを施策の目的としなければならない(地域性の原則)。さらに、自己決定の理念を尊重し、利用者自らのちからを引き出すエンパワーメントを高めていくことを支援することが重要である(当事者主体の原則)。
また、精神障害者の社会経済活動への参画を進めるためにも、政策決定過程への当事者の参画が重要である。国、都道府県等の審議会等に当事者が参画し、施策に意見反映できるようにすべきである(当事者参画の原則)。そのためにも行政情報を積極的に開示することが求められている。さらに閉鎖的な精神病院を開かれたものにするためにも、医療監視の結果などの行政情報を公開することなど、国民への説明責任を果たすべきである(透明性の原則)。
なお、精神保健福祉施策は他の施策と比較して立ち遅れた分野であり十分な財源確保が必要だが、より有効かつ効率的に施策を実施するためには、いわゆる「ハコモノ」行政施策から転換し、既存の公営住宅や民間賃貸住宅などの活用、介護保険制度との連携などが図られる必要がある。また、ニーズ調査や政策評価等によりこれまでの施策の効果を評価・分析したうえで、さらに新たな施策を展開することが重要である(実証性・有効性の原則)。
III 計画の7つの柱
IV 具体的な施策について
1) 国民の精神保健の向上を図るために
(1) 国民の精神保健の充実:国民一人ひとりが、生まれてから一生を終えるまでの生涯にわたる精神健康は、幸福な人生を送るために欠かせない重要なテーマである。とりわけ、児童虐待や家族内暴力、引きこもり、中高年のうつ病や自殺者の増加、痴呆性老人の増加など、精神保健は国民全体の重要な課題である。児童・思春期における精神保健施策の充実や「痴呆」等に関する調査・研究を推進する。
(2) 職場および地域におけるメンタルヘルス対策の推進:職場のメンタルヘルス対策が重要性を増しているが、リストラへの不安から企業内部の相談室には気軽に相談できない環境がある。そのため、精神障害等を理由にした不当な解雇を禁止するための啓発、指導・援助体制を強化や職場のメンタルヘルス対策を進めると同時に、地域における相談体制を整備する。また産業衛生行政と保健行政とが連携して、職場のメンタルヘルス相談室を開設し、安心して相談できる体制を整備する。
(3) 自殺防止対策の推進・強化:平成10年以降、毎年3万人台となった自殺者数の増加は、とりわけ中高年男性の自殺者数の著しい増加が原因であり、職場、地域におけるメンタルヘルス対策を早急に進める。同時に、精神障害による労災認定基準の実態に即した見直しを進めることや、自殺防止キャンペーン、自殺者の遺児への支援策も含めて具体的な対策を講じる。
2) 差別・偏見を無くすために
(1) 「差別克服(アンチ・スティグマ)行動計画」の策定と実施:ハンセン病の隔離収容政策同様に、これまで政府が進めてきた入院中心の隔離政策に対する反省・謝罪のうえに立って、たとえば、小学校からの教育課程を見直し、精神障害に関する教育を正規の授業に組み入れることや、差別と偏見を取り除くためのカリキュラムの導入、精神障害者と身近に接する体験学習の導入、偏見や差別を助長しかねない精神疾患の呼称の見直し、欠格条項の見直し等など、「差別克服(アンチ・スティグマ)行動計画」を策定し、国の責任において地方公共団体や関係団体などの協働で具体的な取り組みを開始する。
(2) 「障害者差別禁止法」および「精神障害者権利章典」の検討:障害者が社会のすべての局面で差別されないよう、個別の法令・条例・制度のあり方をより高い観点から監視する「障害者差別禁止法」を制定する。同時に、人権が軽視されがちな精神障害者を守るために「精神障害者権利章典」の制定を検討する。
(3) すべての精神病棟に「患者の権利宣言」を掲示し、安心の入院治療を保障する。
3) 地域でともに暮らすために
(1) 新「障害者プラン」の策定:障害保健福祉圏域ごとに数値目標を設定し、立ち遅れた精神保健福祉施策を充実させることが必要である。多様な利用者のニーズに応える多様なサービスメニューを盛り込み、新「障害者プラン」を策定する。
(2) 市町村による地域生活支援体制の強化:すべての市町村において精神障害者居宅生活支援事業を実施するとともに、精神障害を含めた「市町村障害者計画」の策定を支援する。あわせて、市町村に「精神保健福祉懇談会」および「精神障害者地域支援チーム」を作り、具体的な支援活動を行なう。また、24時間相談できる身近な窓口を設置する。
(3) ピアサポート事業の創設:精神障害者自身が、地域でさまざまな地域生活支援プログラムを立案・実施できるように「精神障害者ピアサポート事業」を新たに創設する。
4) 社会的入院を無くすために
(1) 社会復帰の促進と精神病床の削減:精神病院の平均在院日数は徐々に減っているにもかかわらず、我が国の精神病床数は34万床を維持している。いわゆる社会的入院、長期在院者の社会復帰は障害者プランの終了年度に当たる今日でも喫緊の課題となっている。退院促進事業を実施し、7万人_10万人ともいわれる社会的入院の問題を早急に解決し、OECD諸国と比較して過剰な精神病床を削減する(「精神病床削減計画」の推進)。
(2) 介護保険制度との連携:介護保険制度との連携を進めると同時に、介護保険制度の見直しに当たって精神障害者を含む若年障害者への介護保険給付を検討する。
(3) 住宅政策の強化:社会復帰施設の拡充を進めると同時に、精神病院を退院し社会復帰を進めるうえで大きな障害になっている退院後の生活の場を保障するために、公営住宅や民間賃貸住宅を積極的に活用して、住宅を保障する。
5) 安心してかかれる精神医療サービスを提供するために
(1) 二次医療圏域での計画:精神病床の地域的偏在の是正、精神科救急医療体制の整備、外来医療の充実、地域保健福祉サービスの推進を図るために、精神医療提供体制についても一般医療と同様に、二次医療圏域での計画策定・整備を行う。
(2) 急性期等の病床機能分化:精神科救急医療システム整備事業は、利用者に身近な相談機能もなく利用しにくい現状にある。そこで、一般医療同様に救急車による搬送を行うことができるようにすることや、病院の空床情報などを情報センターに一元化するとともに、総合病院精神科が精神科救急医療システムの一翼を担うことなど進める。
(3) 一般・総合病院精神科の強化:受診の便利さ、敷居の低さ、身体合併症への対応などを考えると一般・総合病院への精神科の役割は重要であり、精神病床の必置を含めその役割と機能を強化する。
6) 働くことを保障するために
(1) 雇用対策と小規模作業所等の福祉施策の連携強化:福祉的就労から一般就労へと従来の厚生行政と労働行政の壁をとりのぞき、さらに連携を進める。
(2) 雇用義務制度の見直しの検討:障害者雇用促進法の改正を踏まえ、5年後には精神障害者についても法定雇用率の算定の対象となるように、ジョブコーチやグループ就労、障害者就業・生活支援センターの設置などの施策を推進する。
(3) 公的部門での先駆的取り組みの推進:雇用義務制度の対象とする実践的な取り組みとして、まずは国や都道府県等の公的部門において、精神障害者を積極的に雇用する取り組みを進める。
7) 精神医療・福祉スタッフの教育、研究、マンパワーの充実に向けて
(1) 教育・研修体制の充実:医師の臨床研修の基本科目に精神科を位置付けることや、精神保健指定医の研修に「精神鑑定」や「人権擁護」の研修科目を強化するなど、医師の教育、研修について充実する。
(2) 研究体制の強化:司法精神医学の確立と国公立病院を中心とするスタッフの教育・研修機能をあわせもつ司法精神医学研究所(仮称)を設置する。
(3) マンパワーの充実・確保:精神病床の人員配置基準の引き上げ、措置入院指定病院の指定基準の引き上げ、精神保健福祉士の養成促進および「臨床心理技術者」の国家資格化を進める。
以 上
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案要綱(案) 第一 精神科集中治療センターの指定
一 都道府県知事は、国若しくは都道府県が設置した精神病院(精神病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む。)又は指定病院であって厚生労働大臣の定める基準に適合するものの全部又は一部について、その設置者の同意を得て、高度の医療及び保護を提供する医療施設(以下「精神科集中治療センター」という。)として指定するものとすること。
二 都道府県知事は、精神科集中治療センターが一の基準に適合しなくなったとき、又はその運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定を取り消すことができるものとすること。
第二 精神保健福祉調査員の任命
一 第三の五による判定委員会の求めに応じて行われる調査及び第四の一の調査に従事させるため、都道府県に精神保健福祉調査員を置くものとすること。
二 精神保健福祉調査員は、精神保健福祉士のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。ただし、特に必要があるときは、精神障害者の保健及び福祉に関して専門的な知識及び経験を有する精神保健福祉士以外の者を任命することができるものとすること。
第三 判定委員会の設置
一 第四の二、三及び五並びに第五の一並びに二の1及び3の判定を行わせるため、都道府県に、判定委員会を置くものとすること。
二 判定委員会の委員は、精神保健指定医のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。
三1 判定委員会は、委員二名をもって構成する合議体で判定を行うものとすること。
2 合議体を構成する委員は、判定委員会がこれを定めるものとすること。
四1 判定委員会の判定は、合議体を構成する委員の意見の一致したところによるものとすること。
2 判定委員会が判定を行う場合(第二十九条の五の規定又は第五の三による指定医の診察が行われている場合を除く。)には、合議体を構成する各委員による診察が行われていなければならないものとすること。
五 判定委員会は、判定を行うに当たっては、判定の対象者の過去の病歴、治療状況、現在の病状、過去の自傷行為又は他害行為の有無及び内容、現在の生活環境等判定のために必要な事項について、精神保健福祉調査員に調査を行わせることができるものとすること。
六 一から五までのほか、判定委員会の委員の数、任命の手続その他判定委員会に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。
第四 措置入院の決定手続等の見直し
一 都道府県知事は、第二十七条第一項の調査を精神保健福祉調査員に行わせるものとすること。
二 都道府県知事は、判定委員会の判定の結果に基づき、措置入院の決定を行うものとすること。
三 都道府県知事は、判定委員会の判定の結果に基づき、措置入院の決定を受けた精神障害者についてその症状が重く高度の医療及び保護が必要であると認めたときは、その者の措置入院施設を精神科集中治療センターとすることができるものとすること。
四 都道府県知事は、第二十九条の二に規定する緊急措置入院の決定を受けた者については、精神科集中治療センターに入院させることができるものとすること。
五 都道府県知事は、措置入院の決定を受けた精神障害者の当該措置入院に係る病院への移送に係る行動の制限については、判定委員会の判定の結果に基づいて行うものとすること。
第五 入院措置の解除手続等の見直し
一 都道府県知事が措置入院者を退院させるには、判定委員会の判定の結果に基づく場合でなければならないものとすること。
二1 都道府県知事は、判定委員会の判定の結果に基づき、精神科集中治療センターでの入院が必要でないと認めた者については、他の国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院へ移送しなければならないものとすること。
2 都道府県知事は、1の場合においては、三による届出がなされている場合を除き、あらかじめ、その者を入院させている精神科集中治療センターの管理者の意見を聞くものとすること。
3 都道府県知事は、1の移送に係る行動の制限については、判定委員会の判定の結果に基づいて行うものとすること。
三 第四の三により精神障害者を入院させている精神科集中治療センターの管理者は、指定医による診察の結果、精神科集中治療センターでの入院が必要でないと認められるに至ったときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならないものとすること。
第六 定期の報告に係る事項の判定委員会への通知
都道府県知事は、第三十八条の三第一項の規定により措置入院者に関し精神医療審査会に通知する事項を、判定委員会にも通知しなければならないものとすること。
第七 精神障害者に係る社会復帰支援者の連携を図るための協力体制の整備
都道府県等は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、医師、精神保健福祉士、保健師、看護師、臨床心理技術者、作業療法士その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互の連携が図られるよう、その協力体制の整備に努めなければならないものとすること。
第八 施行期日等
一 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
二 所要の経過措置を設けるとともに、所要の規定の整備を行うものとすること。
一 裁判所法の一部改正関係
1 内容
刑事訴訟の精神鑑定における鑑定人の候補者の選定事務並びに裁判官その他の裁判所職員の刑事訴訟の精神鑑定に関する研究及び修養に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に司法精神鑑定センター(仮称)を置くこと。(14条の2として追加)
二 検察庁法の一部改正関係
1 内容
(1) 改正内容
検察庁に、政令で定めるところにより、検察官がその職務を行うことに資するために必要な機関を附置することができることとすること。(1条3項として追加)
(2) (1)の規定の趣旨
検察庁に司法精神鑑定センターのような機関を政令で附置することができるという一般的な根拠を与えるという趣旨の規定
2 検察庁に置く理由
鑑定人の選定をサポートすることは、一般的な検察に関する事務のサポートではなく個々の捜査のサポートということになるため、法務省よりは検察庁にやらせることが適当である。
3 法改正が必要な理由
検察庁は、国家行政組織法上「特別の機関」(同法8条の3)である。そのため、検察庁に司法精神鑑定センターのような機関を政令で附置するためには、法律で委任の根拠を与える必要がある(注)。
(注)国家行政組織法において政令を根拠に施設等機関を設置することができるのは、同法3条の国の行政機関である。検察庁は、上述のとおり同法8条の3の「特別の機関」であるので、政令だけを根拠に機関を設置することはできない。
三 その他
1 司法精神鑑定センターのスキーム
(1) 司法精神鑑定センターの業務
I 鑑定人候補者の選定
II 個別の精神鑑定に係る情報又は資料の調査研究及び分析並びに調査研究の成果及び分析の結果の提供
(2) 精神鑑定人の候補者の選定手続のイメージ(選定手続は、最高裁判所規則や政令で規定)
司法精神鑑定センター内に鑑定人候補者の案を作成する事務を行うための合議体の機関を設け、その合議体の機関の案に基づいて司法精神鑑定センターの長が正式に候補者として選定することとなる。
(3) 司法精神鑑定センターの鑑定人選定の拘束力
司法精神鑑定センターによる鑑定人候補者の選定は、裁判所及び検察官に対して拘束力を有しない。
2 その他
この法律案は、予算を伴う法律案となる。
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《立法形式 ○現行の刑法および精神保健福祉法はそのまま存続することとし、その上に新たな「強制医療手続法」を立法 |
○精神障害者の犯罪率や再犯率は、一般のそれより低いにもかかわらず、精神障害者のみを対象とし、危険視することでさらに精神障害者に対する差別や偏見を助長し、社会復帰を阻害することになる。 ○精神障害者の他害行為は「初犯」が多く、被害者はその者の家族が圧倒的に多い。また未治療や治療中断が原因となっている場合が多く、立ち遅れている地域精神保健福祉施策の充実こそ根本的な解決策である。 |
《立法形式 ○基本的に現行法・制度の運用等の改善と裁判所法等の改正、並びに精神保健福祉法の一部改正で対応 ※あわせて「精神保健福祉改善10ヵ年戦略」等で施策全体の底上げを提起。 |
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1 目 的 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な処遇を決定するための手続を定め、継続的かつ適切な医療、その確保のために必要な観察及び指導、病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進する。 |
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(目的) ○起訴前・起訴後の適正な司法精神鑑定を実施して、起訴・不起訴のより適確な判断を支援する。 ○措置入院のより適正な判定及び適切な治療の提供、並びに社会復帰支援体制の強化を図る。 |
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2 入院又は通院の決定手続 殺人、放火等の重大な罪に当たる行為について ○不起訴(心神喪失又は心神耗弱を認定) ○心神喪失を理由とする無罪判決 ○心神耗弱により刑を減軽された有罪判決(実刑を除く) |
○政府案は、重大な他害行為に限定し、心神喪失等で罪に問えない者等を対象にしているが、これは責任主義を基本とする近代刑法の大原則に反する。 ○検察段階での安易でしかも特定の精神科医に偏った「簡易鑑定」に基づき、起訴・不起訴が決定されている現状に対して、何ら解決策を示していない。 ○裁判を受けている者に対して、さらに地方裁判所で審判を受けることは、憲法で禁止されている一事不再理(「二重の危険」の禁止)に抵触する。 |
(対象等) ※重大な他害行為に限定せず、また「再犯のおそれ」を要件とはしない。 ○あくまでも治療上の必要性に基づいて、精神障害者の措置入院等の要・否を判断。 |
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《地方裁判所の審判 ※処遇の要否は、裁判官と精神保健審判員(精神科医)の合議体で、その意見の一致したところにより決定する。精神保健参与員(精神障害者福祉等に関する専門家)の意見を聴く。 ※検察官の申立てにより、審判を開始する。 ※対象者には、弁護士である付添人を付する。 ※不起訴処分を受けた者については、対象行為を行ったこと等、本制度の対象者であることの確認を行う。 ※鑑定入院命令を発し、専門家である医師が、心神喪失等の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について鑑定する。 ※検察官、付添人等は、資料を提出し、意見を陳述する。 ※保護観察所による生活環境の調査を行うことができる。 |
(裁判官の関与について) ○裁判官は犯罪事実の存否のほかに入院等の決定にも関与するが、精神科医が医学的な判断を行うのに対して、裁判官がどのような立場で何を判断するために審判に加わるのかが不明確であり、また実質的にどのように現状が改善されるのか不明である。仮に「治療の必要性」「社会復帰の促進」を根拠に処遇を決定するのであれば、裁判官の関与は不必要である。 ○治療のために人身の自由を一定制限する適正手続を保障するために、地方裁判所で裁判官を加えた合議体における審判が必要であるとするならば、精神保健福祉法の措置入院や医療保護入院などの強制入院についても、裁判官の関与が必要である。 ○「再犯のおそれ」の判定は困難であり、不確実な将来の危険性予測に基づき、事実上の無期限の強制入院を規定し、重大な人権侵害を招く。 ○憲法31条以下の適正手続や裁判の公開の保障はない。刑事裁判で認められている反対尋問権・証人尋問請求権も認められていない。 |
※司法と精神医療の役割を明確にしたうえで、適切な連携が図られるべきであり、民主党案は地方裁判所に入院等の決定を行う審判機能を持たすという考え方には立たない。 むしろ、現行法制度の枠内で起訴前・起訴後の適切な精神鑑定をサポートする体制を整備。 ○「司法精神鑑定センター」(仮称)を設置。 鑑定人候補者の選定業務、鑑定結果の調査研究等、厳格な精神鑑定をサポート。 ※起訴前鑑定については検察庁法改正で「鑑定センター」を設置。 |
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《処遇の決定 ○医療を受けさせるために入院をさせる決定(入院決定) → 指定入院医療機関における処遇へ ○入院によらない医療を受けさせる決定(通院決定) → 地域社会における処遇へ ※決定に不服の場合は、高等裁判所に抗告できる。 |
○他害行為の有無や重大さによって精神科の治療内容が変わるものではない。精神医療の現場が直面するのは、いわゆる「触法行為の有無」ではなく「治療抵抗性」などであり、また重大事件を起したことによる退院後の社会復帰の困難さである。 ○劣悪な精神医療の治療ベルの改善とそのための条件整備や退院後の地域生活支援体制の整備こそ、不幸にして事件を起した対象者の社会復帰を促進するものである。 |
_「精神科集中治療センター」(仮称)の新設 都道府県知事により、国若しくは都道府県立精神病院、又は指定病院のうち、厚生労働大臣の基準に適合するものの全部又は一部を高度の医療及び保護を提供する医療施設として指定。 _「精神保健福祉調査員」の新設 精神保健福祉士、等から都道府県知事が任命。
_「判定委員会」の新設 都道府県知事の指定する精神保健指定医2名による合議体。
_「社会復帰支援体制の強化」 都道府県等は、医師、精神保健福祉士、精神保健相談員、保健師、看護師、作業療法士、臨床心理技術者その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互連携を図るため、協力体制整備に努めることを明記。 _ その他
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3 指定入院医療機関における医療 ○入院決定を受けた者は、厚生労働省令で定める基準に適合する指定入院医療機関(国公立病院)において、入院による専門的医療を受ける。 ○保護観察所は、入院中の対象者について、退院後の生活環境の調整等を行う。 ○裁判所は、対象者、保護者又は指定入院医療機関の管理者の申立てによって、退院を許可することができる。 → 地域社会における処遇へ ○指定入院医療機関の管理者は、原則として6か月ごとに、裁判所に対し、退院許可の申立て又は入院継続の確認の申立てをしなければならない。 → 退院許可の決定 地域社会における処遇へ → 入院継続の確認の決定 |
○「再び対象行為を行うおそれ」(再犯のおそれ)の判断は極めて困難である。特に「再犯のおそれがない」ことを立証することはなお一層困難と言わねばならない。しかも指定入院医療機関の入院期間に上限が設けられていないことから、不確実な再犯予測を前提にして、無期限の予防拘禁を制度上可能としている。
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4 地域社会における処遇 ○通院決定を受けた者及び退院を許可された者は、厚生労働省令で定める基準に適合する指定通院医療機関において通院治療を受けるとともに、保護観察所(精神保健観察官)による精神保健観察に服する。 ○保護観察所は、指定通院医療機関、都道府県知事等と協議の上、処遇に関する実施計画を定める。 ○保護観察所(精神保健観察官)は、対象者の円滑な社会復帰を図るため、関係機関及び民間団体等との連携の確保に努める。 ○精神保健観察の下での通院治療を行う期間は、3年間とする(裁判所は、通じて2年を超えない範囲で、この期間を延長できる。)。 ○裁判所は、対象者、保護者又は保護観察所の長の申立てによって、精神保健観察の下での通院治療を終了することができる。 ○裁判所は、精神保健観察を受けている者につき、保護観察所の長の申立てにより、(再)入院決定をすることができる。 |
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※ 未定稿(2002年5月14日修正)
池田小学校事件および特別立法に関連する声明一覧 「重大な犯罪行為をした精神障害者」問題 法務省・厚生労働省合同検討会 重大犯障害者の処遇法案〜与党・政府の動向 「隔離新法」 国会上程反対 速報! 国会議事堂前抗議行動! 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)(更新020324)
- 新法骨子関連 2002年2月14日
- ・自由民主党 触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム第11回会合 <議事次第>
- ・重大な触法行為をした精神障害者に対する新たな処遇制度(案)の骨子
- ・精神障害者の保健・医療・福祉の総合計画(仮称)に盛り込むことを検討中の主な内容
- ・触法処遇制度(案)骨子【図】
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